追放されたクズ勇者の死に戻り ~「オマエはクビだ」からやり直したオレは、破滅フラグを折りまくる~

テツみン

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第三話 クズ勇者、ダンジョンへ行く

その九

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 グエルたちが商業ギルドを離れたあと、アスワンはその場にひとり残って、紅茶をすすった。

「――これでよかったでしょうか? 総支配人?」

 彼はそう独り言をつぶやく――いや、ひとりではなかった。

 いつの間にか、その部屋にもうひとりの姿があった。漆黒のローブを纏ったその人物の顔はわからない。
 なぜなら、を被っていたからだ。

「ああ。ご苦労だった、アスワン」そう、仮面の人物が声を出す。若い男のそれだ。

「それにしても久しぶりに顔を見せたと思ったら、こんなことを命令してくるなんて――いったい、今度は何を企んでいるんですか?」
「失敬だな。企んでいる――だなんて。それに、命令をした覚えはないよ。あくまでも、キミにお願いしただけだって。商業ギルド支配人、モハメド・アスワン殿」
「やめてください。昔みたいに、アス公でイイですよ」

 すると、ドクロの仮面を被った男がクスッと笑う。

「その呼び名も懐かしいな」
「まったくです」

 それからしばらく二人は雑談する。そして――

「なるほど、彼がそれを知ったら怒りますね。まさか、自分が総支配人の手のひらで踊ろらされていただけ――なんて」
「人聞きの悪いことを言わないでくれるかな? まあヤツにとっては、ちょっと高い授業料だったかもしれないけどね」

「ちょっと――ねえ……」とアスワンはニヤニヤする。

「それより、キミもずいぶんと気前が良くなったじゃないか? いろいろとヤツらに渡したんだろ? 慈善事業でも始めたのかい?」
「なあに、アナタが教えてくれたことを実行しているだけです。大きなカネを得るためには、多少の損失くらい覚悟しなさい――とね。投資ですよ。彼らにはあとでたっぷり返してもらいます」

 アスワンの言葉に、仮面の男は「あ、そう――」と素っ気ない返事をする。

「アスワン、おぬしもワルよのう」
「いえいえ、総支配人ほどではありません」

「フ、フ、フ――」と、ふたりして禍々しい笑い声を漏らした。

 その時、ドアをたたく音が聞こえたので、アスワンは「入れ」と声をかける。
「失礼します――って、あれ?」ギルド職員の女性が部屋に入ってくるとアスワンしかいないので、彼女は不思議そうな顔を見せた。

「お客様は?」
「客? 三人なら、とっくに出て行ったぞ?」
「いえ、今、中から支配人以外の声が聞こえましたので、お茶をご用意したのですが――」
「なんのことだ? ここには儂しかいないぞ?」
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