57 / 84
第三話 クズ勇者、ダンジョンへ行く
その十七
しおりを挟む
「おい! 誰かいるか?」
そう声をかけたが中から返事はない。
だが、この中で何かが起きたのは間違いないだろう。オレはがれきに気をつけながら中に入った。
暗いな――オレは、初歩の火属性魔法で指先に火を灯す。なんとか足元が見える程度だ――
「ニグレアがいれば、もっと辺りを照らせるのだが――」
奥へ進むと、なにかを蹴ってしまう。カランカランという金属特有の音が響いた。なんだろうと拾い上げる。
「えっ? これって、クサナギだよな?」
両手剣――グリップとガードに見事な彫刻がある特徴的な剣を見間違えるわけはない。オレが数日前まで所持していた神剣だ。
「どうして、こんなところに転がっている?」
そのそばに、なにかが横たわっているのに気づく。「なんだ?」、あきらかにがれきとは違う。白い服のようなモノも見えた。指先の火を近づける。人だとわかり、慌てた。しかも、この人物――
「おい! ロゼル! しっかりしろ!」
勇者パーティのメンバーだった、ロゼルだ。そうだった。この部屋、なにか見覚えがあると思ったら――リッチと戦い、ロゼルが殺られた場所だ!
間に合わなかったのか?
「グエル? そこにいるの?」
マルタの声だ。思ったより早く、ココはわかったらしい。すると、部屋の中が明るくなる。フィルが光属性魔法の『ライト』で部屋を照らしたようだ。
「えっ? ロゼルさま?」フィルの声が聞こえる。
「グエル? これって、どういうこと?」
「――えっ?」
オレは改めて、状況を確認する。足元には腹部を刺されたロゼルが倒れている。意識もない。そして、オレの手には鮮血を纏ったクサナギが握られていた。
あれ? これじゃ、オレがロゼルを刺したように見えないか?
「なになに? うわっ!」
「うそ――グエルさんが?」
サリアとミリアがこの状況を見て、顔が真っ青になっている。
「ま、待て! 誤解するなよ。オレじゃない!」
慌ててそう主張するが、そんなふうに否定するほうが逆に怪しまれないか?
『まさか、自分を捨てた仲間を恨んで、殺すなんて――』
『もはや、弁解の余地はありません。極刑ですね。このクズ』
そんな、マルタとフィルの汚物を見るような目が頭に浮かんだ――
うわぁぁぁぁっ! やっぱり、オレは破滅しかないのかぁ!!
「とにかく、急ぎ治癒を!」
フィルが駆け寄って、ロゼルの腹部に手を当てる。淡い光が見えると、キズ口が塞いでいくのが見えた。その手際の良さは、教会随一の治癒士と言われるロゼルと同等か、それ以上だ!
「助かるのか?」
「キズは塞ぎました。あとはロゼル様の体力しだいですが――えっ?」
フィルの顔色が急に変わったので、「どうした?」とたずねる。
「塞いだキズ口から禍々しい魔力を感じます。これは――魔法毒です!」
「――!?」
魔族が使う闇魔法の一種で、傷口や服用で体内に侵入し、魔力を毒に変えていく――それが、魔法毒である。
「ロゼルさまの魔力が回復すると、それが毒に変換されるため、しだいに衰弱してしまいます」
治癒魔法でいったんは回復できるが、続けないとやがて死に至らしめてしまう。
「そ、そんな……」
本人が回復すれば魔力が戻り、毒になって衰弱する。それでは助かる方法がない。
「いったい、どうすれば――」
回復しても魔力が戻らなければ、毒は発生しないのだが、そんなこと――あれ?
「そうか! その手があった!」
オレがそう叫ぶと、フィルとマルタがビックリする。
「な、何? その手って――」とマルタ。
「マルタだ! マルタならきっと、ロゼルを助けられる!」
「えっ? ボクが?」と目を丸くするのだが――
前の人生で、オレは魔族にそそのかされ魔人化した。そのオレを倒したのがマルタだった。マルタは錬金術によりオレから魔力を奪い、魔人化したオレを無力な人間にしたのだ。
その術をロゼルに与えれば――
その時、ゾッとするような悪寒を感じた。
な、何かがいる――
そう声をかけたが中から返事はない。
だが、この中で何かが起きたのは間違いないだろう。オレはがれきに気をつけながら中に入った。
暗いな――オレは、初歩の火属性魔法で指先に火を灯す。なんとか足元が見える程度だ――
「ニグレアがいれば、もっと辺りを照らせるのだが――」
奥へ進むと、なにかを蹴ってしまう。カランカランという金属特有の音が響いた。なんだろうと拾い上げる。
「えっ? これって、クサナギだよな?」
両手剣――グリップとガードに見事な彫刻がある特徴的な剣を見間違えるわけはない。オレが数日前まで所持していた神剣だ。
「どうして、こんなところに転がっている?」
そのそばに、なにかが横たわっているのに気づく。「なんだ?」、あきらかにがれきとは違う。白い服のようなモノも見えた。指先の火を近づける。人だとわかり、慌てた。しかも、この人物――
「おい! ロゼル! しっかりしろ!」
勇者パーティのメンバーだった、ロゼルだ。そうだった。この部屋、なにか見覚えがあると思ったら――リッチと戦い、ロゼルが殺られた場所だ!
間に合わなかったのか?
「グエル? そこにいるの?」
マルタの声だ。思ったより早く、ココはわかったらしい。すると、部屋の中が明るくなる。フィルが光属性魔法の『ライト』で部屋を照らしたようだ。
「えっ? ロゼルさま?」フィルの声が聞こえる。
「グエル? これって、どういうこと?」
「――えっ?」
オレは改めて、状況を確認する。足元には腹部を刺されたロゼルが倒れている。意識もない。そして、オレの手には鮮血を纏ったクサナギが握られていた。
あれ? これじゃ、オレがロゼルを刺したように見えないか?
「なになに? うわっ!」
「うそ――グエルさんが?」
サリアとミリアがこの状況を見て、顔が真っ青になっている。
「ま、待て! 誤解するなよ。オレじゃない!」
慌ててそう主張するが、そんなふうに否定するほうが逆に怪しまれないか?
『まさか、自分を捨てた仲間を恨んで、殺すなんて――』
『もはや、弁解の余地はありません。極刑ですね。このクズ』
そんな、マルタとフィルの汚物を見るような目が頭に浮かんだ――
うわぁぁぁぁっ! やっぱり、オレは破滅しかないのかぁ!!
「とにかく、急ぎ治癒を!」
フィルが駆け寄って、ロゼルの腹部に手を当てる。淡い光が見えると、キズ口が塞いでいくのが見えた。その手際の良さは、教会随一の治癒士と言われるロゼルと同等か、それ以上だ!
「助かるのか?」
「キズは塞ぎました。あとはロゼル様の体力しだいですが――えっ?」
フィルの顔色が急に変わったので、「どうした?」とたずねる。
「塞いだキズ口から禍々しい魔力を感じます。これは――魔法毒です!」
「――!?」
魔族が使う闇魔法の一種で、傷口や服用で体内に侵入し、魔力を毒に変えていく――それが、魔法毒である。
「ロゼルさまの魔力が回復すると、それが毒に変換されるため、しだいに衰弱してしまいます」
治癒魔法でいったんは回復できるが、続けないとやがて死に至らしめてしまう。
「そ、そんな……」
本人が回復すれば魔力が戻り、毒になって衰弱する。それでは助かる方法がない。
「いったい、どうすれば――」
回復しても魔力が戻らなければ、毒は発生しないのだが、そんなこと――あれ?
「そうか! その手があった!」
オレがそう叫ぶと、フィルとマルタがビックリする。
「な、何? その手って――」とマルタ。
「マルタだ! マルタならきっと、ロゼルを助けられる!」
「えっ? ボクが?」と目を丸くするのだが――
前の人生で、オレは魔族にそそのかされ魔人化した。そのオレを倒したのがマルタだった。マルタは錬金術によりオレから魔力を奪い、魔人化したオレを無力な人間にしたのだ。
その術をロゼルに与えれば――
その時、ゾッとするような悪寒を感じた。
な、何かがいる――
0
あなたにおすすめの小説
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……
buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。
みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……
大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる
遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」
「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」
S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。
村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。
しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。
とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。
世界最強の賢者、勇者パーティーを追放される~いまさら帰ってこいと言われてももう遅い俺は拾ってくれた最強のお姫様と幸せに過ごす~
aoi
ファンタジー
「なぁ、マギそろそろこのパーティーを抜けてくれないか?」
勇者パーティーに勤めて数年、いきなりパーティーを戦闘ができずに女に守られてばかりだからと追放された賢者マギ。王都で新しい仕事を探すにも勇者パーティーが邪魔をして見つからない。そんな時、とある国のお姫様がマギに声をかけてきて......?
お姫様の為に全力を尽くす賢者マギが無双する!?
防御力を下げる魔法しか使えなかった俺は勇者パーティから追放されたけど俺の魔法に強制脱衣の追加効果が発現したので世界中で畏怖の対象になりました
かにくくり
ファンタジー
魔法使いクサナギは国王の命により勇者パーティの一員として魔獣討伐の任務を続けていた。
しかし相手の防御力を下げる魔法しか使う事ができないクサナギは仲間達からお荷物扱いをされてパーティから追放されてしまう。
しかし勇者達は今までクサナギの魔法で魔物の防御力が下がっていたおかげで楽に戦えていたという事実に全く気付いていなかった。
勇者パーティが没落していく中、クサナギは追放された地で彼の本当の力を知る新たな仲間を加えて一大勢力を築いていく。
そして防御力を下げるだけだったクサナギの魔法はいつしか次のステップに進化していた。
相手の身に着けている物を強制的に剥ぎ取るという究極の魔法を習得したクサナギの前に立ち向かえる者は誰ひとりいなかった。
※小説家になろうにも掲載しています。
地味な薬草師だった俺が、実は村の生命線でした
有賀冬馬
ファンタジー
恋人に裏切られ、村を追い出された青年エド。彼の地味な仕事は誰にも評価されず、ただの「役立たず」として切り捨てられた。だが、それは間違いだった。旅の魔術師エリーゼと出会った彼は、自分の能力が秘めていた真の価値を知る。魔術と薬草を組み合わせた彼の秘薬は、やがて王国を救うほどの力となり、エドは英雄として名を馳せていく。そして、彼が去った村は、彼がいた頃には気づかなかった「地味な薬」の恩恵を失い、静かに破滅へと向かっていくのだった。
A級パーティから追放された俺はギルド職員になって安定した生活を手に入れる
国光
ファンタジー
A級パーティの裏方として全てを支えてきたリオン・アルディス。しかし、リーダーで幼馴染のカイルに「お荷物」として追放されてしまう。失意の中で再会したギルド受付嬢・エリナ・ランフォードに導かれ、リオンはギルド職員として新たな道を歩み始める。
持ち前の数字感覚と管理能力で次々と問題を解決し、ギルド内で頭角を現していくリオン。一方、彼を失った元パーティは内部崩壊の道を辿っていく――。
これは、支えることに誇りを持った男が、自らの価値を証明し、安定した未来を掴み取る物語。
俺の好きな人は勇者の母で俺の姉さん! パーティ追放から始まる新しい生活
石のやっさん
ファンタジー
主人公のリヒトは勇者パーティを追放されるが別に気にも留めていなかった。
ハーレムパーティ状態だったので元から時期が来たら自分から出て行く予定だったし、三人の幼馴染は確かに可愛いが、リヒトにとって恋愛対象にどうしても見られなかったからだ。
だから、ただ見せつけられても困るだけだった。
何故ならリヒトの好きなタイプの女性は…大人の女性だったから。
この作品の主人公は転生者ですが、精神的に大人なだけでチートは知識も含んでありません。
勿論ヒロインもチートはありません。
他のライトノベルや漫画じゃ主人公にはなれない、背景に居るような主人公やヒロインが、楽しく暮すような話です。
1~2話は何時もの使いまわし。
亀更新になるかも知れません。
他の作品を書く段階で、考えてついたヒロインをメインに純愛で書いていこうと思います。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる