追放されたクズ勇者の死に戻り ~「オマエはクビだ」からやり直したオレは、破滅フラグを折りまくる~

テツみン

文字の大きさ
75 / 84
第四話 クズ勇者、捕まる

その七

しおりを挟む
 真っ暗だ――

 アレンが魔人化して地下の部屋をぶっ壊したあと、がれきに埋もれていたオレは、小さな空間の中で奇跡的に助かっていた。

「運よく、手かせも外れた。助けは――来るわけないか……なら、自力で脱出するしかないな」

 手と足をチカラいっぱい踏ん張ると、大きながれきがゆらゆらと揺れた。これなら、なんとかなりそうだ。オレは武技、『剛腕』と『堅剛』を同時に発動し、がれきを押し上げた。

「うりゃあぁぁぁぁっ!」

 ゴーン! という激しい音をともに、がれきを跳ね除けると、今度は別の塊が落ちてくる。うわっ! このままでは埋もれてしまう! オレは全力で、隙間から隙間へ移動し、なんとか地上まで上がってきた――が、その状態に唖然とする。

「な、なんじゃ、こりゃぁ!」

 王都中心部――本来、王国政府機関の建物が並ぶ場所である。その建物が全壊、もしくは半壊していた。衛兵本部は跡形もなく、大きな穴が開いているだけだ。

「グエル!」
 そんな声が聞こえ、振り向く。マルタの姿があった。

「よかった無事で!」
「おおっ! マルタも無事だったか!」

 お互い、顔もカラダも埃まみれだったが、たいしたケガもない。

「グエル、これ」とマルタが手渡したのは――

「クサナギじゃないか! よく見つけたな!」

 マルタも突然崩れてきたがれきの間を潜り抜け、なんとか外に出たのだが、その間に自分のリュックとこの神剣クサナギを見つけたらしい。

「よし、これで――いたっ!」

 オレはそのままうずくまる。そうだった。アレンに拷問されてろっ骨が折れていたんだ。すっかり忘れていたが、今になって激痛が走る。

「グエル! 大丈夫!?」
「大丈夫――と言いたいところだが、ヤベえ、動けない――」

 痛みがどんどん増してきた。冷や汗が止まらねえ。折れたろっ骨が内臓をキズつけたのかもしれない。

「待ってて、誰か呼んでくる!」とマルタが駆け出そうとするので――
「待つんだ。この状況じゃあ、誰も来やしない」
「じゃあ、どうするの?」

 こういう時こそ、神書頼みだ――

『解――回復薬を使いましょう。ケガの状況から、ハイポーションでないと全回復はムリですが、製造に時間がかかります。ここはローポーションで、沈痛までの処置を提案します』
「おっけい、それでいこう。マルタ、オレが言う材料を出してくれ」

 マルタは「うん」と応える。すぐさま材料が出てきた。マジでスゲえな、コイツ。いや、感心しているヒマはない。マルタに調合を頼む――あとは、魔力を加えるだけ――くっ、ダメだ。痛みが激しくて魔法に集中できない――

「すまない。マルタがやってくれ――」
「ボ、ボクが!?」

 ビックリするマルタ。コイツはいままで生活魔法くらいしかやったことがない。中級以上の魔法は萎縮して失敗ばかりしていたから、それ以来、魔法を使わなくなってしまったのだ。

「大丈夫だ。オマエには魔法の才能がある。オレが保証する。だから、落ち着いてやってみろ」

 前の人生で、マルタは魔族を率いるほどの大魔導士になっていた。キッカケさえあれば、必ず魔法が使える。それでも、不安そうにしているマルタの頭を撫でる。

「そんな顔をするな。オレがついている。だから、自身を持て!」

 なんか、はげまし方がメチャクチャだが、苦痛でそれくらいしか頭が回らない。

「――わかった。やってみる」

 オレが説明したとおりに、マルタが詠唱を行う。すると、調合された材料が淡く輝いた。

「よし! 成功だ! やればできるじゃないか――」

 それを口に含むと、痛みがなくなった。

「まだ、完全に骨がつながったわけじゃないが、これなら動ける。ありがとうな」
「うん! グエルありがとう。本当はグエルが魔力を与えてくれたんでしょ?『オレがついている』ということはそういうことだよね? スゴいよ! 他人に魔力を与えることができるなんて!」とマルタは興奮しているけど、なんか勘違いしていないか?
 全部、マルタがやったことだぞ――しかし、そんなことを説明している余裕はねえ。

 とにかく、この状況を何とかしないと――
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……

buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。 みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……

大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる

遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」 「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」 S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。 村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。 しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。 とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。

世界最強の賢者、勇者パーティーを追放される~いまさら帰ってこいと言われてももう遅い俺は拾ってくれた最強のお姫様と幸せに過ごす~

aoi
ファンタジー
「なぁ、マギそろそろこのパーティーを抜けてくれないか?」 勇者パーティーに勤めて数年、いきなりパーティーを戦闘ができずに女に守られてばかりだからと追放された賢者マギ。王都で新しい仕事を探すにも勇者パーティーが邪魔をして見つからない。そんな時、とある国のお姫様がマギに声をかけてきて......? お姫様の為に全力を尽くす賢者マギが無双する!?

防御力を下げる魔法しか使えなかった俺は勇者パーティから追放されたけど俺の魔法に強制脱衣の追加効果が発現したので世界中で畏怖の対象になりました

かにくくり
ファンタジー
 魔法使いクサナギは国王の命により勇者パーティの一員として魔獣討伐の任務を続けていた。  しかし相手の防御力を下げる魔法しか使う事ができないクサナギは仲間達からお荷物扱いをされてパーティから追放されてしまう。  しかし勇者達は今までクサナギの魔法で魔物の防御力が下がっていたおかげで楽に戦えていたという事実に全く気付いていなかった。  勇者パーティが没落していく中、クサナギは追放された地で彼の本当の力を知る新たな仲間を加えて一大勢力を築いていく。  そして防御力を下げるだけだったクサナギの魔法はいつしか次のステップに進化していた。  相手の身に着けている物を強制的に剥ぎ取るという究極の魔法を習得したクサナギの前に立ち向かえる者は誰ひとりいなかった。 ※小説家になろうにも掲載しています。

地味な薬草師だった俺が、実は村の生命線でした

有賀冬馬
ファンタジー
恋人に裏切られ、村を追い出された青年エド。彼の地味な仕事は誰にも評価されず、ただの「役立たず」として切り捨てられた。だが、それは間違いだった。旅の魔術師エリーゼと出会った彼は、自分の能力が秘めていた真の価値を知る。魔術と薬草を組み合わせた彼の秘薬は、やがて王国を救うほどの力となり、エドは英雄として名を馳せていく。そして、彼が去った村は、彼がいた頃には気づかなかった「地味な薬」の恩恵を失い、静かに破滅へと向かっていくのだった。

A級パーティから追放された俺はギルド職員になって安定した生活を手に入れる

国光
ファンタジー
A級パーティの裏方として全てを支えてきたリオン・アルディス。しかし、リーダーで幼馴染のカイルに「お荷物」として追放されてしまう。失意の中で再会したギルド受付嬢・エリナ・ランフォードに導かれ、リオンはギルド職員として新たな道を歩み始める。 持ち前の数字感覚と管理能力で次々と問題を解決し、ギルド内で頭角を現していくリオン。一方、彼を失った元パーティは内部崩壊の道を辿っていく――。 これは、支えることに誇りを持った男が、自らの価値を証明し、安定した未来を掴み取る物語。

俺の好きな人は勇者の母で俺の姉さん! パーティ追放から始まる新しい生活

石のやっさん
ファンタジー
主人公のリヒトは勇者パーティを追放されるが別に気にも留めていなかった。 ハーレムパーティ状態だったので元から時期が来たら自分から出て行く予定だったし、三人の幼馴染は確かに可愛いが、リヒトにとって恋愛対象にどうしても見られなかったからだ。 だから、ただ見せつけられても困るだけだった。 何故ならリヒトの好きなタイプの女性は…大人の女性だったから。 この作品の主人公は転生者ですが、精神的に大人なだけでチートは知識も含んでありません。 勿論ヒロインもチートはありません。 他のライトノベルや漫画じゃ主人公にはなれない、背景に居るような主人公やヒロインが、楽しく暮すような話です。 1~2話は何時もの使いまわし。 亀更新になるかも知れません。 他の作品を書く段階で、考えてついたヒロインをメインに純愛で書いていこうと思います。

処理中です...