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第四話 クズ勇者、捕まる
その七
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真っ暗だ――
アレンが魔人化して地下の部屋をぶっ壊したあと、がれきに埋もれていたオレは、小さな空間の中で奇跡的に助かっていた。
「運よく、手かせも外れた。助けは――来るわけないか……なら、自力で脱出するしかないな」
手と足をチカラいっぱい踏ん張ると、大きながれきがゆらゆらと揺れた。これなら、なんとかなりそうだ。オレは武技、『剛腕』と『堅剛』を同時に発動し、がれきを押し上げた。
「うりゃあぁぁぁぁっ!」
ゴーン! という激しい音をともに、がれきを跳ね除けると、今度は別の塊が落ちてくる。うわっ! このままでは埋もれてしまう! オレは全力で、隙間から隙間へ移動し、なんとか地上まで上がってきた――が、その状態に唖然とする。
「な、なんじゃ、こりゃぁ!」
王都中心部――本来、王国政府機関の建物が並ぶ場所である。その建物が全壊、もしくは半壊していた。衛兵本部は跡形もなく、大きな穴が開いているだけだ。
「グエル!」
そんな声が聞こえ、振り向く。マルタの姿があった。
「よかった無事で!」
「おおっ! マルタも無事だったか!」
お互い、顔もカラダも埃まみれだったが、たいしたケガもない。
「グエル、これ」とマルタが手渡したのは――
「クサナギじゃないか! よく見つけたな!」
マルタも突然崩れてきたがれきの間を潜り抜け、なんとか外に出たのだが、その間に自分のリュックとこの神剣クサナギを見つけたらしい。
「よし、これで――いたっ!」
オレはそのままうずくまる。そうだった。アレンに拷問されてろっ骨が折れていたんだ。すっかり忘れていたが、今になって激痛が走る。
「グエル! 大丈夫!?」
「大丈夫――と言いたいところだが、ヤベえ、動けない――」
痛みがどんどん増してきた。冷や汗が止まらねえ。折れたろっ骨が内臓をキズつけたのかもしれない。
「待ってて、誰か呼んでくる!」とマルタが駆け出そうとするので――
「待つんだ。この状況じゃあ、誰も来やしない」
「じゃあ、どうするの?」
こういう時こそ、神書頼みだ――
『解――回復薬を使いましょう。ケガの状況から、ハイポーションでないと全回復はムリですが、製造に時間がかかります。ここはローポーションで、沈痛までの処置を提案します』
「おっけい、それでいこう。マルタ、オレが言う材料を出してくれ」
マルタは「うん」と応える。すぐさま材料が出てきた。マジでスゲえな、コイツ。いや、感心しているヒマはない。マルタに調合を頼む――あとは、魔力を加えるだけ――くっ、ダメだ。痛みが激しくて魔法に集中できない――
「すまない。マルタがやってくれ――」
「ボ、ボクが!?」
ビックリするマルタ。コイツはいままで生活魔法くらいしかやったことがない。中級以上の魔法は萎縮して失敗ばかりしていたから、それ以来、魔法を使わなくなってしまったのだ。
「大丈夫だ。オマエには魔法の才能がある。オレが保証する。だから、落ち着いてやってみろ」
前の人生で、マルタは魔族を率いるほどの大魔導士になっていた。キッカケさえあれば、必ず魔法が使える。それでも、不安そうにしているマルタの頭を撫でる。
「そんな顔をするな。オレがついている。だから、自身を持て!」
なんか、はげまし方がメチャクチャだが、苦痛でそれくらいしか頭が回らない。
「――わかった。やってみる」
オレが説明したとおりに、マルタが詠唱を行う。すると、調合された材料が淡く輝いた。
「よし! 成功だ! やればできるじゃないか――」
それを口に含むと、痛みがなくなった。
「まだ、完全に骨がつながったわけじゃないが、これなら動ける。ありがとうな」
「うん! グエルありがとう。本当はグエルが魔力を与えてくれたんでしょ?『オレがついている』ということはそういうことだよね? スゴいよ! 他人に魔力を与えることができるなんて!」とマルタは興奮しているけど、なんか勘違いしていないか?
全部、マルタがやったことだぞ――しかし、そんなことを説明している余裕はねえ。
とにかく、この状況を何とかしないと――
アレンが魔人化して地下の部屋をぶっ壊したあと、がれきに埋もれていたオレは、小さな空間の中で奇跡的に助かっていた。
「運よく、手かせも外れた。助けは――来るわけないか……なら、自力で脱出するしかないな」
手と足をチカラいっぱい踏ん張ると、大きながれきがゆらゆらと揺れた。これなら、なんとかなりそうだ。オレは武技、『剛腕』と『堅剛』を同時に発動し、がれきを押し上げた。
「うりゃあぁぁぁぁっ!」
ゴーン! という激しい音をともに、がれきを跳ね除けると、今度は別の塊が落ちてくる。うわっ! このままでは埋もれてしまう! オレは全力で、隙間から隙間へ移動し、なんとか地上まで上がってきた――が、その状態に唖然とする。
「な、なんじゃ、こりゃぁ!」
王都中心部――本来、王国政府機関の建物が並ぶ場所である。その建物が全壊、もしくは半壊していた。衛兵本部は跡形もなく、大きな穴が開いているだけだ。
「グエル!」
そんな声が聞こえ、振り向く。マルタの姿があった。
「よかった無事で!」
「おおっ! マルタも無事だったか!」
お互い、顔もカラダも埃まみれだったが、たいしたケガもない。
「グエル、これ」とマルタが手渡したのは――
「クサナギじゃないか! よく見つけたな!」
マルタも突然崩れてきたがれきの間を潜り抜け、なんとか外に出たのだが、その間に自分のリュックとこの神剣クサナギを見つけたらしい。
「よし、これで――いたっ!」
オレはそのままうずくまる。そうだった。アレンに拷問されてろっ骨が折れていたんだ。すっかり忘れていたが、今になって激痛が走る。
「グエル! 大丈夫!?」
「大丈夫――と言いたいところだが、ヤベえ、動けない――」
痛みがどんどん増してきた。冷や汗が止まらねえ。折れたろっ骨が内臓をキズつけたのかもしれない。
「待ってて、誰か呼んでくる!」とマルタが駆け出そうとするので――
「待つんだ。この状況じゃあ、誰も来やしない」
「じゃあ、どうするの?」
こういう時こそ、神書頼みだ――
『解――回復薬を使いましょう。ケガの状況から、ハイポーションでないと全回復はムリですが、製造に時間がかかります。ここはローポーションで、沈痛までの処置を提案します』
「おっけい、それでいこう。マルタ、オレが言う材料を出してくれ」
マルタは「うん」と応える。すぐさま材料が出てきた。マジでスゲえな、コイツ。いや、感心しているヒマはない。マルタに調合を頼む――あとは、魔力を加えるだけ――くっ、ダメだ。痛みが激しくて魔法に集中できない――
「すまない。マルタがやってくれ――」
「ボ、ボクが!?」
ビックリするマルタ。コイツはいままで生活魔法くらいしかやったことがない。中級以上の魔法は萎縮して失敗ばかりしていたから、それ以来、魔法を使わなくなってしまったのだ。
「大丈夫だ。オマエには魔法の才能がある。オレが保証する。だから、落ち着いてやってみろ」
前の人生で、マルタは魔族を率いるほどの大魔導士になっていた。キッカケさえあれば、必ず魔法が使える。それでも、不安そうにしているマルタの頭を撫でる。
「そんな顔をするな。オレがついている。だから、自身を持て!」
なんか、はげまし方がメチャクチャだが、苦痛でそれくらいしか頭が回らない。
「――わかった。やってみる」
オレが説明したとおりに、マルタが詠唱を行う。すると、調合された材料が淡く輝いた。
「よし! 成功だ! やればできるじゃないか――」
それを口に含むと、痛みがなくなった。
「まだ、完全に骨がつながったわけじゃないが、これなら動ける。ありがとうな」
「うん! グエルありがとう。本当はグエルが魔力を与えてくれたんでしょ?『オレがついている』ということはそういうことだよね? スゴいよ! 他人に魔力を与えることができるなんて!」とマルタは興奮しているけど、なんか勘違いしていないか?
全部、マルタがやったことだぞ――しかし、そんなことを説明している余裕はねえ。
とにかく、この状況を何とかしないと――
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