追放されたクズ勇者の死に戻り ~「オマエはクビだ」からやり直したオレは、破滅フラグを折りまくる~

テツみン

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第四話 クズ勇者、捕まる

その十五

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 歩けるまでに回復したオレは、王宮をこっそり抜け出した。

 権力者たちに、王都を破壊した件についてグダグダ言われるのでは――とヒヤヒヤしていたが、その前になんとか抜け出せてヨカッタ!

「グエル!」

 自宅に戻ろうとしたところ、マルタと出会う。

「おお! マルタ、元気になってヨカッタな!」

 頭をなでるとマルタは喜んだ。

「グエルこそ、あの状態から助かって、本当にヨカッタネ!」

 マルタの話では、フィリシアの『女神の加護』が発動し、他の治癒士が匙を投げたオレのカラダを治癒したらしい。
 なんと、女神の加護とはそういう使い方だったのか――もう一度、フィリシアには礼を言わないといけないな。

 それから、魔人化したアレンが暴れた衛兵本部周辺に、ふたりでやってきた。あの時は必死だったので、あまり記憶がなかった。こうして見ると、とんでもない被害だ。

「誰ひとり死亡者がいなかったのは奇跡だと、みんな言っているよ」とマルタが言う。
「そうか――」

 前の人生で、オレは魔人となり、王都の民を何人も殺した。逃げ惑う女、子供を殺し、快楽に浸っていた。
 あの記憶があったから、魔人化したアレンをなんとか止めなければ――なんて、思ったんだよなあ。

 結果的に犠牲者がいなかったことにホッとしている。これで少しくらい、前の人生の罪滅ぼしができただろう。

「みんな、グエルのことを『王都の英雄』、真の勇者だと言ってくれているよ」

 ――えっ? 英雄? 勇者?

「おいおい、やめてくれ。勇者の称号はもう返上したんだ」

 勇者なんて、ならないほうがイイ。権力者からイイように使われるだけだ。そして、行きつく先は破滅しかない。前の人生でそれを知ってしまったからな。

「クリネロ――あの魔族は言っていた。勇者を望む声は、自分たちがラクをしたいから――それは人類が堕落する始まりだと――いけ好かないヤロウだったが、その部分はわかる気がする」

 誰かを勇者にまつり上げることで責任を押し付けたい。勇者の行いが成功すれば自分たちは間違っていなかったと喜び、失敗したらそれを責めればイイ。自分がキズつきたくないから、勇者なんてモノを作ろうとするのだ。

「グエル、違うよ。人は勇者に責任を押し付けようとしてるわけではない。導いてほしいんだ」

 導く?

「そうだよ。自分たちを導いてくれることを期待しているんだ。人は心が弱い。だから、誰かに頼る。でも、逃げたいわけじゃない。勇者に背中を押してもらいたいんだよ。自分たちでもできるんだ――と。みんな、勇者と一緒に歩みたいんだよ」

 人々が欲しているのは、勇者のチカラではない。その勇気だ。人々に勇気を分け与える存在――だから勇者なんのだと、マルタは言う。
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