11 / 34
第一部
第11話 血の誓約
しおりを挟む
ルークは、息を切らせて円形劇場に入ると、マレの皇女の舞い踊るその姿に目を細めた。
胸を満たす想いがあふれ、頭の芯まで熱くなる。
なんで忘れていられたんだろう?
いつからか、信じられないほどに彼の心を占めてしまった、この異国の舞姫を。
吸い寄せられるように、中央の舞台へと歩を進める。
――僕の黒猫。
一歩、踏み出すたびに記憶があふれてくる。
――僕の舞姫。
初めて出会ったのは、もう、1年も前。マレの祝祭だった。
――僕の女神。
そこで、出会ったバステトに恋をした。
ルークは、ゆっくりと舞台に上がった。
◇◇◇◇◇◇
バステトは、手首を返して、シャン、とシストルムを鳴らし、領巾を翻すと、立ち止まり、ルークを見つめ返した。
ルークの朱金の髪は風に乱れ、浅葱色の瞳が熱をはらんだように潤んでいた。
バステトの、異国の婚約者。
腹黒で、性格が悪くて、いつもバステトのことをからかってひどい言葉を投げかける。
バステトのことをあんなに馬鹿にするのに、そのくせバステトにとても優しい。
馬鹿なバステトが恋してしまった、初恋の王子様。
そして、バステトのせいで記憶を失ってしまった、哀れな王子様。
伝えたいことは、たくさんあった。でも、バステトに言葉は必要ない。
舞が、バステトの全てを語るから。
バステトは、ルークを見つめたままシャムシールを鞘から抜き放った。
陽の光の中、シャムシールの刀身は光を照り返し、輝きを放つ。
光を払う動作からその剣舞は始まった。
その舞に先ほどのような激しさはない。
腕を返し、体をゆらす度に、領巾が翻り、髪が流れる。
剣を用いているのに、たおやかで、甘く、切ない。
身に着けたままのシストルムは、なぜか鳴らない。
さざ波のように静やかなその舞に、人々は声もなく引き込まれていた。
バステトの踊りは、芸や見世物ではなく、神への供物なのだ。
でも、今日は違う。
それは、神ではなく、たった一人の青年に捧げられていた。
その舞が何を告げているのか、わからぬものは、この場にいなかった。
そして。
バステトは、曲刀をを頭上に掲げ、ふわりと円を描くように回り――。
ルークの喉もとにシャムシールの切っ先を突きつけた。
それは、マレの人々しか知らない、剣の舞の求愛だった。
ルークの浅葱色の瞳と、バステトの翠緑の瞳が交差する。
バステトが、ルークに告げたかったことは、想いは、すべてこの舞へのせた。
これが全部、バステトの想いだ。
全部ぶつけてやった。
ルークも気づいたろう。
でも、バステトは、情けなく、お前に愛を乞うたりしない。
全てをここにおいて、マレに帰るのだ。
剣の舞は、相手が求愛への諾否を返すことで、終幕を迎える。
だが、ルークは応え方を知らない。
知らなくていい。ルークの答えなんか必要ない。
それこそが、バステトの答えだ。
バステトは、剣の舞を終えるべく、シャムシールを鞘に戻そうと剣を引いたが、それを最後まですることはできなかった。
ルークが、突きつけられた曲刀の刃に手の平を這わせたのだ。
――なんで。
その手の平に赤い線が走り、血がしたたり落ちる音がした。
ルークは、バステトから目をそらさない。バステトも、目をそらせなかった。
――知るはずないのに。
そして、ルークは、したたり落ちる血を、手の平から舐めとると、ゆっくりと構えられたままの刀の脇をぬけ、バステトの前に一歩踏み出した。
バステトの唇が震える。
それは、マレの人々しか知らないはずの、求愛への応え方。
ルークは応えたのだ。「諾」と。
そして、ルークは、バステトに口づけた。
剣の舞の愛に応え、血の契りを交わすために。
バステトが、力が抜けたように崩れ落ちるのをルークは抱き留めた。
疲れ切って意識を失ってしまったバステトを腕に抱いたまま、ルークは、円形劇場から、学園の生徒に語りかけた。
そのころには、学園の生徒は、ほとんどがこの円形劇場に集まっていた。
「さて、諸君。
君たちにはもうばれてしまったろうから、隠すつもりはないよ。
マレの舞姫の話は君たちも聞いたことがあるだろう?
その姿や出自は公にされることはなくとも、その舞の素晴らしさは近隣諸国へと鳴り響いているからね。
そんな、国に守られ、秘匿されていたマレの至宝を、婚約とは言えマレ皇家が手放すのには、理由があった。
彼女の命が狙われていたんだ。
彼女は命を守るために、国外に出された。
しかし、この国でも彼女を狙う輩は存在してね。
それを出し抜くために、彼女に悪い噂を流して孤立させざるを得なかった。
まあ、ちょっと大変だったけど、それはもう解決した。
彼女の悪い噂は直におさまるだろう。
今後、君達には、マレの至宝にして舞姫たるバステト皇女を、次代の王妃として敬意と恭順を持って遇することを期待しているよ」
ルークは、そこで間をおき、一人一人と目を合わせるように、会場を見渡した。
「それから、もう一つ。諸君に知っておいてほしい。
この僕が、どれほどの手を尽くし、彼女を、この国へ連れてきたのか。
賢明な諸君ならわかってくれるだろう?
このかわいらしい舞姫を手に入れるために僕の払った努力がどう報われるべきかを」
◇◇◇◇◇◇
その後、バステトの日々はあまり変わらなかった。
相変わらずルークは、バステトを構いながら側にいる。
誰も近寄ってこないので、やっぱり友達ができない。
ルークが、あの舞のあと円形劇場で何か言ったらしいが、やっぱり誰も教えてくれないのでよくわからない。
変わったことと言えば、周りから白い目でなく、生暖かい目で見られるようになったことぐらいだ。
今日もルークは、生徒が大勢いる学園のカフェテリアで、バステトにお昼のデザートを食べさせている。
スプーンを口に運ぶのは正直やめてほしい。
ゆっくり食べられないし、時々口の周りが汚れてしまうのだ。
それをふくのに、ルークが指先で唇をなぞるので、それもくすぐったい。
「なんで、これは大丈夫で、あれがだめなのか、距離感がよくわからない」
「なにか、言ったか?」
ベリーのソースのたっぷりかかったケーキを堪能していたバステトはルークが言ったことを聞き逃して尋ねたが、ルークは答えるつもりがないらしい。
バステトは、いつも通り黒そうな笑みを浮かべるルークをみて、ため息をつく。
ルークは、秘密主義でよくわからないことが多いのだ。
でも、まあ仕方ない。
受け入れるしかないのだろう。
もう、バステトは一生ルークの側にいるしかなくなってしまった。
剣の舞の血の誓約は、神への誓約なのだ。
死ぬまで破れない。
ふと思った。
これは、あれだ。最近習った言葉だ。
「バステト、知ってる。これ、飼い殺しっていう」
周りがざわつく。
「また、君はそう誤解を生むことを……」
誰に習ったのそんな言葉、とつぶやくルークの声に、護衛のエルマーがびくりとしたのは、ルークに見えていなかったと思っておこう。
「まあ、いいか。君なら、一生飼ってもいいかもね」
そして、いつものように、甘い、甘い声でルークは囁くのだ。
『僕の黒猫』
(第一部完)
胸を満たす想いがあふれ、頭の芯まで熱くなる。
なんで忘れていられたんだろう?
いつからか、信じられないほどに彼の心を占めてしまった、この異国の舞姫を。
吸い寄せられるように、中央の舞台へと歩を進める。
――僕の黒猫。
一歩、踏み出すたびに記憶があふれてくる。
――僕の舞姫。
初めて出会ったのは、もう、1年も前。マレの祝祭だった。
――僕の女神。
そこで、出会ったバステトに恋をした。
ルークは、ゆっくりと舞台に上がった。
◇◇◇◇◇◇
バステトは、手首を返して、シャン、とシストルムを鳴らし、領巾を翻すと、立ち止まり、ルークを見つめ返した。
ルークの朱金の髪は風に乱れ、浅葱色の瞳が熱をはらんだように潤んでいた。
バステトの、異国の婚約者。
腹黒で、性格が悪くて、いつもバステトのことをからかってひどい言葉を投げかける。
バステトのことをあんなに馬鹿にするのに、そのくせバステトにとても優しい。
馬鹿なバステトが恋してしまった、初恋の王子様。
そして、バステトのせいで記憶を失ってしまった、哀れな王子様。
伝えたいことは、たくさんあった。でも、バステトに言葉は必要ない。
舞が、バステトの全てを語るから。
バステトは、ルークを見つめたままシャムシールを鞘から抜き放った。
陽の光の中、シャムシールの刀身は光を照り返し、輝きを放つ。
光を払う動作からその剣舞は始まった。
その舞に先ほどのような激しさはない。
腕を返し、体をゆらす度に、領巾が翻り、髪が流れる。
剣を用いているのに、たおやかで、甘く、切ない。
身に着けたままのシストルムは、なぜか鳴らない。
さざ波のように静やかなその舞に、人々は声もなく引き込まれていた。
バステトの踊りは、芸や見世物ではなく、神への供物なのだ。
でも、今日は違う。
それは、神ではなく、たった一人の青年に捧げられていた。
その舞が何を告げているのか、わからぬものは、この場にいなかった。
そして。
バステトは、曲刀をを頭上に掲げ、ふわりと円を描くように回り――。
ルークの喉もとにシャムシールの切っ先を突きつけた。
それは、マレの人々しか知らない、剣の舞の求愛だった。
ルークの浅葱色の瞳と、バステトの翠緑の瞳が交差する。
バステトが、ルークに告げたかったことは、想いは、すべてこの舞へのせた。
これが全部、バステトの想いだ。
全部ぶつけてやった。
ルークも気づいたろう。
でも、バステトは、情けなく、お前に愛を乞うたりしない。
全てをここにおいて、マレに帰るのだ。
剣の舞は、相手が求愛への諾否を返すことで、終幕を迎える。
だが、ルークは応え方を知らない。
知らなくていい。ルークの答えなんか必要ない。
それこそが、バステトの答えだ。
バステトは、剣の舞を終えるべく、シャムシールを鞘に戻そうと剣を引いたが、それを最後まですることはできなかった。
ルークが、突きつけられた曲刀の刃に手の平を這わせたのだ。
――なんで。
その手の平に赤い線が走り、血がしたたり落ちる音がした。
ルークは、バステトから目をそらさない。バステトも、目をそらせなかった。
――知るはずないのに。
そして、ルークは、したたり落ちる血を、手の平から舐めとると、ゆっくりと構えられたままの刀の脇をぬけ、バステトの前に一歩踏み出した。
バステトの唇が震える。
それは、マレの人々しか知らないはずの、求愛への応え方。
ルークは応えたのだ。「諾」と。
そして、ルークは、バステトに口づけた。
剣の舞の愛に応え、血の契りを交わすために。
バステトが、力が抜けたように崩れ落ちるのをルークは抱き留めた。
疲れ切って意識を失ってしまったバステトを腕に抱いたまま、ルークは、円形劇場から、学園の生徒に語りかけた。
そのころには、学園の生徒は、ほとんどがこの円形劇場に集まっていた。
「さて、諸君。
君たちにはもうばれてしまったろうから、隠すつもりはないよ。
マレの舞姫の話は君たちも聞いたことがあるだろう?
その姿や出自は公にされることはなくとも、その舞の素晴らしさは近隣諸国へと鳴り響いているからね。
そんな、国に守られ、秘匿されていたマレの至宝を、婚約とは言えマレ皇家が手放すのには、理由があった。
彼女の命が狙われていたんだ。
彼女は命を守るために、国外に出された。
しかし、この国でも彼女を狙う輩は存在してね。
それを出し抜くために、彼女に悪い噂を流して孤立させざるを得なかった。
まあ、ちょっと大変だったけど、それはもう解決した。
彼女の悪い噂は直におさまるだろう。
今後、君達には、マレの至宝にして舞姫たるバステト皇女を、次代の王妃として敬意と恭順を持って遇することを期待しているよ」
ルークは、そこで間をおき、一人一人と目を合わせるように、会場を見渡した。
「それから、もう一つ。諸君に知っておいてほしい。
この僕が、どれほどの手を尽くし、彼女を、この国へ連れてきたのか。
賢明な諸君ならわかってくれるだろう?
このかわいらしい舞姫を手に入れるために僕の払った努力がどう報われるべきかを」
◇◇◇◇◇◇
その後、バステトの日々はあまり変わらなかった。
相変わらずルークは、バステトを構いながら側にいる。
誰も近寄ってこないので、やっぱり友達ができない。
ルークが、あの舞のあと円形劇場で何か言ったらしいが、やっぱり誰も教えてくれないのでよくわからない。
変わったことと言えば、周りから白い目でなく、生暖かい目で見られるようになったことぐらいだ。
今日もルークは、生徒が大勢いる学園のカフェテリアで、バステトにお昼のデザートを食べさせている。
スプーンを口に運ぶのは正直やめてほしい。
ゆっくり食べられないし、時々口の周りが汚れてしまうのだ。
それをふくのに、ルークが指先で唇をなぞるので、それもくすぐったい。
「なんで、これは大丈夫で、あれがだめなのか、距離感がよくわからない」
「なにか、言ったか?」
ベリーのソースのたっぷりかかったケーキを堪能していたバステトはルークが言ったことを聞き逃して尋ねたが、ルークは答えるつもりがないらしい。
バステトは、いつも通り黒そうな笑みを浮かべるルークをみて、ため息をつく。
ルークは、秘密主義でよくわからないことが多いのだ。
でも、まあ仕方ない。
受け入れるしかないのだろう。
もう、バステトは一生ルークの側にいるしかなくなってしまった。
剣の舞の血の誓約は、神への誓約なのだ。
死ぬまで破れない。
ふと思った。
これは、あれだ。最近習った言葉だ。
「バステト、知ってる。これ、飼い殺しっていう」
周りがざわつく。
「また、君はそう誤解を生むことを……」
誰に習ったのそんな言葉、とつぶやくルークの声に、護衛のエルマーがびくりとしたのは、ルークに見えていなかったと思っておこう。
「まあ、いいか。君なら、一生飼ってもいいかもね」
そして、いつものように、甘い、甘い声でルークは囁くのだ。
『僕の黒猫』
(第一部完)
18
あなたにおすすめの小説
物置部屋に追いやられた伯爵令嬢ですが、公爵様に見初められて人生逆転しました〜妹の引き立て役だったのに、今では社交界の花と呼ばれています〜
丸顔ちゃん。
恋愛
伯爵家の令嬢セレナは、実母の死後、継母と義妹に虐げられて育った。
与えられた部屋は使用人以下の物置、食事は残飯、服はボロ。
専属侍女も与えられず、家の運営や帳簿管理まで押し付けられ、
失敗すれば鞭打ち――それが彼女の日常だった。
そんなある日、世間体のためだけに同行させられた夜会で、
セレナは公爵家の跡取りレオンと出会う。
「あなたの瞳は、こんな場所に閉じ込めていいものではない」
彼はセレナの知性と静かな強さに一瞬で心を奪われ、
彼女の境遇を知ると激怒し、家族の前で堂々と求婚する。
嫁ぎ先の公爵家で、セレナは初めて“人として扱われ”、
広い部屋、美味しい食事、優しい侍女たちに囲まれ、
独学で身につけた知識を活かして家の運営でも大活躍。
栄養と愛情を取り戻したセレナは、
誰もが振り返るほどの美しさを開花させ、
社交界で注目される存在となる。
一方、セレナを失った伯爵家は、
彼女の能力なしでは立ち行かず、
ゆっくりと没落していくのだった――。
虐げられた令嬢が、公爵の愛と自分の才能で幸せを掴む逆転物語。
「地味ブス」と捨てられた私、文化祭の大型スクリーンで王子様の裏の顔を全校生に配信します
スカッと文庫
恋愛
「お前みたいな地味女、引き立て役にもならないんだよ」
眼鏡にボサボサ頭の特待生・澪(みお)は、全校生徒が見守る中、恋人だった学園の王子・ハルトから冷酷に捨てられた。
隣には、可憐な微笑みを浮かべる転校生・エマ。
エマの自作自演により「いじめの犯人」という濡れ衣まで着せられ、学園中から蔑まれる澪。
しかし、彼女を嘲笑う者たちはまだ知らない。
彼女が眼鏡の奥に、誰もが平伏す「真実の美貌」と、学園さえも支配できる「最強の背景」を隠していることを――。
「……ねぇ、文化祭、最高のステージにしてあげる」
裏切りへのカウントダウンが今、始まる。
スクリーンの裏側を暴き、傲慢な王子と偽りのヒロインを奈落へ突き落とす、痛快・学園下剋上ファンタジー!
記憶を失くして転生しました…転生先は悪役令嬢?
ねこママ
恋愛
「いいかげんにしないかっ!」
バシッ!!
わたくしは咄嗟に、フリード様の腕に抱き付くメリンダ様を引き離さなければと手を伸ばしてしまい…頬を叩かれてバランスを崩し倒れこみ、壁に頭を強く打ち付け意識を失いました。
目が覚めると知らない部屋、豪華な寝台に…近付いてくるのはメイド? 何故髪が緑なの?
最後の記憶は私に向かって来る車のライト…交通事故?
ここは何処? 家族? 友人? 誰も思い出せない……
前世を思い出したセレンディアだが、事故の衝撃で記憶を失くしていた……
前世の自分を含む人物の記憶だけが消えているようです。
転生した先の記憶すら全く無く、頭に浮かぶものと違い過ぎる世界観に戸惑っていると……?
記憶を失くした悪役令嬢~私に婚約者なんておりましたでしょうか~
Blue
恋愛
マッツォレーラ侯爵の娘、エレオノーラ・マッツォレーラは、第一王子の婚約者。しかし、その婚約者を奪った男爵令嬢を助けようとして今正に、階段から二人まとめて落ちようとしていた。
走馬灯のように、第一王子との思い出を思い出す彼女は、強い衝撃と共に意識を失ったのだった。
婚約破棄のあと、あなたのことだけ思い出せない
柴田はつみ
恋愛
伯爵令嬢セシリアは、王宮の舞踏会で王太子レイヴンから公開の場で婚約破棄を言い渡され、その場で倒れた。
目覚めた彼女は、礼儀も常識も覚えているのに――ただ一つ、レイヴンだけを思い出せない。
「あなたは、どなたですか?」
その一言に、彼の瞳は壊れた。
けれどレイヴンは何も語らず、セシリアを遠ざける。彼女を守るために、あの日婚約を捨てたのだと告げられないまま。
セシリアは過去を断ち切り、王宮の侍女として新しい生活を始める。
優しく手を差し伸べる護衛騎士アデルと心を通わせていくほど、レイヴンの胸は嫉妬と後悔で焼けていった。
――守るために捨てたはずなのに。忘れられたまま、他の男に笑う彼女を見ていられない。
一方、王宮では“偽聖女”の陰謀と、セシリアの血に眠る秘密が動き出す。
記憶を取り戻せば、彼女は狙われる。取り戻さなければ、二人は永遠に届かない。
これは、忘れてしまった令嬢と、忘れられてなお愛を捨てられない王太子が、もう一度“選び直す”恋の物語。
悪役令嬢に転生しましたが、行いを変えるつもりはありません
れぐまき
恋愛
公爵令嬢セシリアは皇太子との婚約発表舞踏会で、とある男爵令嬢を見かけたことをきっかけに、自分が『宝石の絆』という乙女ゲームのライバルキャラであることを知る。
「…私、間違ってませんわね」
曲がったことが大嫌いなオーバースペック公爵令嬢が自分の信念を貫き通す話
…だったはずが最近はどこか天然の主人公と勘違い王子のすれ違い(勘違い)恋愛話になってきている…
5/13
ちょっとお話が長くなってきたので一旦全話非公開にして纏めたり加筆したりと大幅に修正していきます
5/22
修正完了しました。明日から通常更新に戻ります
9/21
完結しました
また気が向いたら番外編として二人のその後をアップしていきたいと思います
10年間の結婚生活を忘れました ~ドーラとレクス~
緑谷めい
恋愛
ドーラは金で買われたも同然の妻だった――
レクスとの結婚が決まった際「ドーラ、すまない。本当にすまない。不甲斐ない父を許せとは言わん。だが、我が家を助けると思ってゼーマン伯爵家に嫁いでくれ。頼む。この通りだ」と自分に頭を下げた実父の姿を見て、ドーラは自分の人生を諦めた。齢17歳にしてだ。
※ 全10話完結予定
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる