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本当の婚約
しおりを挟む「ジェイク団長、資料の用意ができました」
「ありがとう、レイ」
「レイちゃん、予算のリスト・・・」
「はい、もう準備できてます」
レイはセルにサッと表を渡す。その様子をエリカとレオンが見て、ほぉ・・・と感心している。
「・・・さすがレイちゃん・・・仕事が出来る・・・」
「ああ、私にも彼女のような秘書が欲しいな」
「すまないが、レオン王子・・・レイは俺たちのものだ。他を当たってくれ」
ジェイクとセルがレイに抱きつき、レオンにキーッと威嚇している。レオン王子はただ「仕事ができる人間が欲しい」と言っただけであるのに、狼のようにこの国の王子に威嚇する様子は滑稽だ。
「本当にラブラブねえ、レイちゃん。ちょっと夜お泊まりさせてくれない?ちょっとだけ・・・ちょっとだけ覗かせてくれればいいから」
今やジェイク、セル、そしてレイの関係は誰もが知る事実である。三人で愛し合うなど淫らであると言う人もいるが、騎士団員や家族もレイを理解してくれているので気にしない。ジェイクとセルは戦争の活躍により爵位を持っているのだが、一代限りのものなので煩く言う者もいないであろう。そして一番の理解者であるエリカもいる。
「やっぱり三人だと、どっちが攻めなの?やっぱりセル副団長?それともジェイク団長が・・・!?」
──スッパァァアアアアン!!
後ろに控えていたビッグがハリセン(幻覚!?やはり幻覚なのか??)をどこから出してきたのか取り出してエリカの頭を叩いたように見えた。しかし一瞬でそのハリセンは見えなくなる。
「おい、エリカ・・・そんなに仲が良いのが羨ましいのか?」
「え、いや、その・・・覗き見隊としての、性分が・・・」
「エリカ・・・僕の愛情表現がまだ足りてなかったのかな」
レオンとビッグがエリカに攻め寄った。そして問答無用にエリカは二人に連れられて帰っていってしまう。きっと今晩は大変なことになるだろう。あの様子だと第二子もすぐに出来るはずである。
「で、エリカ妃たちは何をしに来たんですか?」
すぐに帰っていったエリカたちにレイは首を傾げた。エリカがジェイクに何やら手紙を渡しているのが見えたが、何だったのであろうか。
「そのことだけど・・・」
「あ、ああ・・・ちょっとレイ・・・こっちに来い」
ジェイクとセルが急にレイの前に跪いた。二人は小さな箱を手にしていた。その箱を開けると、小さなダイヤモンドが三つ中に埋まっている指輪が現れた。
(え・・・これって・・・)
「レイ、俺は一生、お前を愛すことを誓う」
「僕・・・レイちゃん以外は考えれないよ・・・」
二人は同時に声を合わせた。
『僕たちと・・・結婚してください』
(え・・・う、うそ・・・)
「エリカ妃が、俺たちみたいな人も受け入れてくれる教会を紹介してくれたんだ」
「神は、どんな愛も受け入れてくれるんだって。三人特別に結婚できるように取り計らうってレオン王子が約束してくれたんだ」
「ああ・・・その代わりレオン王子に一生忠誠を誓うという契約をさせられたがな・・・ちゃっかりしてやがるぜ」
レイは感動で涙が止まらない。二人はじっと片足を付いたまま、レイの答えを待っている。
(まさか・・・二人に愛して貰えるなんて・・・)
前世で大好きだった二人のキャラクターが、実際に目の前に現れ、しかもレイを愛してくれるという奇跡のようなことが起こった。レイが夢にまでみた“ハッピーエンド”も叶いそうである。
「レイ・・・」
「答えは?」
レイが何も言わないので、二人は怪訝そうに眉をしかめ始めた。レイは二人を交互に見て、笑顔を見せた。
「・・・私も二人を愛してる・・・二人と結婚、します!!」
ジェイクとセルは立ち上がり、レイにキスを浴びせた。そしてレイの左手の薬指に二つの指輪を嵌めた。裏には絵が彫られており、指輪を二つ合わせるとハートの型となるものだ。
「すごい、綺麗・・・」
「これで僕たちのものだって主張できるね・・・」
「ああ、一生、俺たちのものだ」
レイは涙を拭った。レイは二人に言わなければならないことがあったのだ。
「あのね・・・実は私のお腹の中にね・・・」
レイはまだ膨らみのないお腹を支えた。ジェイクとセルはレイのお腹を見て顔を上げる。そして二人はその意味を察して、珍しく涙を流した。
「僕たちの、子・・・」
「ああ、俺たち三人の、大事な子だ」
あれから避妊もせずに毎日毎日やっていたのだ。はじめレイは避妊用の薬を飲もうとしたが、ジェイクとセルがそれを止めた。もしできたら、どちらの子であっても大事にするとレイに明言していたのだ。二人はたくさん子供が欲しいそうで、きっと二人に似たやんちゃな子たちが産まれ賑やかになるであろう。
「でも、女の子だったら、どうしよう」
「ああ・・・変な男に捕まらないか心配で仕事もできなくなりそうだ」
「僕たちより強い男しか駄目だからね」
(そんな男・・・どこにいるっていうのよ)
実際、レイに娘が産まれ、赤い瞳をしたエリカの息子が騎士団に入団し、二人の父に彼女を賭けて剣で何度も挑み、最後に娘を涙ながらに送り出すこととなるのだが、それはまた別のお話である。
「それよりレイちゃん、そんな仕事しちゃだめだよ!!」
「ああ、そんなもんネイトに任せて早く帰れ」
ネイトは学校の一環であるインターン生として騎士団で仕事を週に三回ほどしているのだ。将来も、騎士となることに決めたらしく、仕事の合間にも練習に参加している。ちなみに父親の病気は完治し、両親が売り出したヘアケア商品が今爆売れしている。
(エリカ妃のおかげね・・・)
エリカの友人と認知され、レイ艶がある髪が話題となった。レイの実家のヘアケア商品を使えば、エンジェルリングが出来る程の髪となると貴族たちの噂となったのだ。実際エリカのごわついていた髪質は改善され、さらに美しくなったと噂だ。
「ほら、階段は僕の手を繋いで」
「俺は後ろから、もし倒れそうになっても受け止めれるようにしておくからな」
そうやって過保護な二人に守られながら、レイは今日も一日過ごすのであった。
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