かいせん(line)

たくひあい@あい生成

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Re actance amplifier

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 通話を終えた俺に、橋引が「もういいの?」と聞いてきた。
「あぁ……」
端末を閉じて、今居る階段の踊場を見渡す。
足元の光沢のある床には、蛍光灯のカタチと、自分たちがくっきりと映っていた。真面目に移動したりなんなりで自分の目を見るのはなんだかちょっと恥ずかしい。


 俺と橋引は現在、取引の情報を確認、調査のためにこの式場周辺の部屋を回っている。数分前『注文する食事の伝票がそのまま何らかの記号になっており、一定のメニューが、集団に一定数ごとに注文されていた』とそのときホールを確認していた橋引が推察したことを確かめようというのだ。
 会場の人を当たるべく、ホール付近に来ている。さっきは電話中なので廊下に出たけれど。ピザを探したりは継続していた。

「呪いのこと?」
橋引が聞いてきて、俺は首肯く。
 ちなみに色たちは山の方に行っている。
この周辺の奇妙な空気や何か埋まって居そうというのを調査していたのだけど──
「さっき、怪しい術が施された木を見つけたらしい。誰がやったかはわからないが、恐らく土地の何年か昔の『所有者』の関係だろう。通話中、色も同じことを考えているみたいだった」
「ふうん、なんだか、曰くがありそう」
橋引はあまり関心がないのか、それともこれからのことを考えるのでいっぱいなのか、どこかなげやりな返事。

 こんなときにあらためて思い出すのは御幸ケ原だった。
『事業の付加価値、利益性が限定的なので、その……収益で賄うしかありません、ここはもともと土地の所有者が好意で――』
 なんてあのときの御幸ヶ原は言っていたが、恐らく嘘だ。好意などではない。
 歓迎ムードという感じでは無さそうだった。しかしだったらなぜ取引の日にコンセッションの導入話を持ち出すなんて荒れそうなことをした? もしかしたら式場とは別に、外部からの説明会みたいな感じなのだろうか。御幸ケ原は宣教師なのかもしれない。

『事故が多いっていうのに、式場ばかり建ててどうなのよそもそも! 買い取らせてくだされば、任せてくだされば、事故とか災害とかそんなときにも、支援が受けやすくて困らないんです!』──という、あのとき聞いた台詞もよく考えるとある意味を持って聞こえてくる。


 通話を終えた俺がそのまま廊下でボーッとしている間に橋引が吐き捨てる。
「あー、本当にムカつく。あの『自然の敵』!! 共有財産の為に式場周辺の山を埋め立てるなんて」
イライラしている橋引をずっと待たせるのもアレなので声をかける。
「自然の敵って……、悪い。待たせたな、いこうか」
「うん」

二人で、とりあえずホールに行くかなと言い合っていると途中で橋引がこちらを見詰めたまま黙った。
「な、なに? また、俺何かしたかな」
「いや……、熱ある? 顔赤いよ?」
「気のせいだよ!」
もうさっさと階段を降りよう、調査に集中しよう、としたところで、人の気配。
「誰が自然の敵?」
下のフロア声がかかった。

「げっ……」
頭おかしい代表、御幸ケ原だ。
「私も居るわ」
横から悠柏さんが、ぬっと現れた。
「ふー、スッキリ! これで、神をうざいと思わずに済みそう! ね、私たち仲良くしましょ?」
──?
「あの……」
「──おじいさまから聞いてきたの。『あの子』が、なんであんなに偉そうなのか、私を無視するのかって、でも、やっと今わかってスーッキリ!」

どうかしら、と悠柏さんが近付いてくる。何かの香水のにおいがした。
橋引の手が微かに俺の指先に触れる。
「……」

──早く、行こう?
ああいうタイプは、考える、反省する
って機能がついてないから、関わらない方がいいよ。

例えば嫌味のつもりでも
『知らなかったし、これから直せばいいんだ!』としか思っていないの。
だから否定していても開き直って馴れ馴れしくしてくる。ちょっと最近同じパターンを見たからわかるの。サイコストーカーの典型。

「あー……」
閉め出しを食らっても永遠に何が悪いかわからないってことね。

「急いでるんで、失礼します!」

橋引を連れてホールに向かう。あの二人がなぜ一緒に居るんだよ、怪しすぎるだろと思ったがなんにしろ一度逃げた方がよさそうだったので離れた。


ホールは未だに、たぶん出来上がってる人たちで盛り上がっている。
あちこちに並べられている布がかけられたテーブルには、未だに、新しく用意したのであろう様々な料理があったが、少しずつ少なくなってきていた。
 周りの雰囲気からして、既にコンセッションなんとかの会議も他の余興も結構終盤のようだ。結果的にこれは飲み会?で良いんだろうか。
「あー帰って焼きそばかなんか作りてぇ……」
もうすぐ夕方だし、あんな分けてあるのをちまちま食べたってすぐに腹が減る。
「もうじき帰れるわよ。うまくいけば」
橋引はクスッと笑った。
「ありがとな」
「何が」
「いや……俺、キレそうだったから」
「私もよ。でもここで血圧をあげても、貴重な気高い血がもったいないわね」

2021/9/2013:20
  ─19:46加筆
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