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49『女子高生怪盗ミナコ・15』
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ミナコ転生
49『女子高生怪盗ミナコ・15』
「大和発進ヨーイ!」
爺ちゃんの沖田艦長のような声が響いた……。
「各開口部、ハッチ閉鎖完了……出力100。乾ドック注水」
水の無かったドックに、ドードーと注水が始まった。五分ほどで大和は艦橋の最上部まで水に漬かった。
「ロック外せ。ドック隔壁解放、微速前進、ヨーソロ……」
大和は、かつて在りし日の姿のまま、浦安の海底ドッグから浮上すると、東京湾を15ノットの速度で羽田沖を目指した。
行き交う船や、沿岸の人々が驚異の眼差しで見つめる中、大和は羽田沖に近づいた。
「取り舵30度、主砲左舷90度、仰角40度祝砲ヨーイ!」
一つで3000トンもある主砲三基九門が音もなく旋回し仰角をかけていく。
「主砲、打ち方ヨーシ!」
副長のフサコが、祝砲の準備完了を伝える。
「祝砲、撃ちぃ方始め!」
轟々と三基九門の主砲から、21発の祝砲が放たれ、その筒音は東京中に響き渡った。
「水上走行止め、方位そのまま、上昇角15、微速飛行20ノット。発進!」
大和は、アニメのヤマトのようにロケット噴射をすることもなく、ただ艦体から大量の海水をしたたらせ、四つのスクリューをブーンと唸らせて、銀座通りの上空をゆるゆると15度の上昇角で飛行、一丁目上空で上昇角を30度にし、亜音速で成層圏を目指した。
ミナコは、放心状態になった。無意識の奥底で、ミナコ本来の湊子の意識が疼いたのだ。しかし、それは、ほんの瞬間で、ミナコはミナコとしての疑問を祖父にぶつけた。
「で、この大和は、何をしにいくの?」
艦橋にいた全員がズッコケた。
「艦長ぉ、この子達には、まだ説明されていなかったのですか?」
副長のフサコが呆れた顔で言った。
「いずれ分かるだろうと思ってな……わしたちは、ミナコたちがオッサン達のクレジットカードのスキャニングをやったのと似たようなことをやりに行くんだ」
「やっぱり、あくまでもドロボー稼業の延長なんですのね!?」
ミナミが、素直に喜んだ。
「でも、このドハデな出発は、並の仕事じゃないね……」
「今に分かる。それより、二人には、この船の仕事に慣れてもらおう。ミナコは右舷の緑のシートに、ミナミは左舷の赤いシートに座りなさい」
言われたように座ると、上から32インチほどのモニターが降りてきて、前からは、プレステのコントローラーに似た管制機が出てきた。
「セレクトボタンを押すと、高角砲と機銃に切り替わる。三回押せば高角砲と機銃の同時操作になる。モニターに赤やら薄いピンクの▽が出ているだろう。それが、敵のマークだ。照準はオートだが、左右の第三ボタンでマニュアル操作もできる。慣れてくれば、その方が臨機応変な対応ができる。一応チュートリアルをやっておく」
モニターの▽が▼に変わった。
「戦闘モードだ、照準の合った敵から撃っていけ。副長、マニュアル最大戦速!」
目まぐるしく▼が現れては後方に流れていく。ミナコもミナミも最初からマニュアルで、▼を消滅させていった。発射が○ボタンであることは説明をうけずとも分かった。40分ほどかけて、地球を一周する間に▼マークの全てを撃破した。
「「ヤッター!!」」
「でも、艦長、今の▼はなんでしたの?」
「世界中の軍事衛星と、機能を停止した衛星。つまり宇宙のゴミ掃除だ。で、敵を呼び寄せるデモンストレーションでもある」
「艦長、敵の通信です。メインモニターに出します」
フサコ副長が言うと、砲手用モニターの間に、50インチほどのメインモニターが現れた。
――蟹江さん。またお会いすることになりましたね――
モニターに現れたのは、ブロンドの長い髪の美しい女性だった……。
49『女子高生怪盗ミナコ・15』
「大和発進ヨーイ!」
爺ちゃんの沖田艦長のような声が響いた……。
「各開口部、ハッチ閉鎖完了……出力100。乾ドック注水」
水の無かったドックに、ドードーと注水が始まった。五分ほどで大和は艦橋の最上部まで水に漬かった。
「ロック外せ。ドック隔壁解放、微速前進、ヨーソロ……」
大和は、かつて在りし日の姿のまま、浦安の海底ドッグから浮上すると、東京湾を15ノットの速度で羽田沖を目指した。
行き交う船や、沿岸の人々が驚異の眼差しで見つめる中、大和は羽田沖に近づいた。
「取り舵30度、主砲左舷90度、仰角40度祝砲ヨーイ!」
一つで3000トンもある主砲三基九門が音もなく旋回し仰角をかけていく。
「主砲、打ち方ヨーシ!」
副長のフサコが、祝砲の準備完了を伝える。
「祝砲、撃ちぃ方始め!」
轟々と三基九門の主砲から、21発の祝砲が放たれ、その筒音は東京中に響き渡った。
「水上走行止め、方位そのまま、上昇角15、微速飛行20ノット。発進!」
大和は、アニメのヤマトのようにロケット噴射をすることもなく、ただ艦体から大量の海水をしたたらせ、四つのスクリューをブーンと唸らせて、銀座通りの上空をゆるゆると15度の上昇角で飛行、一丁目上空で上昇角を30度にし、亜音速で成層圏を目指した。
ミナコは、放心状態になった。無意識の奥底で、ミナコ本来の湊子の意識が疼いたのだ。しかし、それは、ほんの瞬間で、ミナコはミナコとしての疑問を祖父にぶつけた。
「で、この大和は、何をしにいくの?」
艦橋にいた全員がズッコケた。
「艦長ぉ、この子達には、まだ説明されていなかったのですか?」
副長のフサコが呆れた顔で言った。
「いずれ分かるだろうと思ってな……わしたちは、ミナコたちがオッサン達のクレジットカードのスキャニングをやったのと似たようなことをやりに行くんだ」
「やっぱり、あくまでもドロボー稼業の延長なんですのね!?」
ミナミが、素直に喜んだ。
「でも、このドハデな出発は、並の仕事じゃないね……」
「今に分かる。それより、二人には、この船の仕事に慣れてもらおう。ミナコは右舷の緑のシートに、ミナミは左舷の赤いシートに座りなさい」
言われたように座ると、上から32インチほどのモニターが降りてきて、前からは、プレステのコントローラーに似た管制機が出てきた。
「セレクトボタンを押すと、高角砲と機銃に切り替わる。三回押せば高角砲と機銃の同時操作になる。モニターに赤やら薄いピンクの▽が出ているだろう。それが、敵のマークだ。照準はオートだが、左右の第三ボタンでマニュアル操作もできる。慣れてくれば、その方が臨機応変な対応ができる。一応チュートリアルをやっておく」
モニターの▽が▼に変わった。
「戦闘モードだ、照準の合った敵から撃っていけ。副長、マニュアル最大戦速!」
目まぐるしく▼が現れては後方に流れていく。ミナコもミナミも最初からマニュアルで、▼を消滅させていった。発射が○ボタンであることは説明をうけずとも分かった。40分ほどかけて、地球を一周する間に▼マークの全てを撃破した。
「「ヤッター!!」」
「でも、艦長、今の▼はなんでしたの?」
「世界中の軍事衛星と、機能を停止した衛星。つまり宇宙のゴミ掃除だ。で、敵を呼び寄せるデモンストレーションでもある」
「艦長、敵の通信です。メインモニターに出します」
フサコ副長が言うと、砲手用モニターの間に、50インチほどのメインモニターが現れた。
――蟹江さん。またお会いすることになりましたね――
モニターに現れたのは、ブロンドの長い髪の美しい女性だった……。
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