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50『女子高生怪盗ミナコ・16』
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ミナコ転生
50『女子高生怪盗ミナコ・16』
モニターに現れたのはブロンドの長い髪の女性だった……。
「わたしはミスカンダルのアイドルーシャ……蟹江艦長、大和のみなさん。歓迎……したいところですが、どうぞこのまま、お引き取りください」
「アイドルーシャ、そうもいかん。これ以上地球の周辺をゴミラスの自由にさせておくことは、地球のドロボーのハシクレとして、見過ごしておくことはできんのだよ。とりあえず月は取り返す」
「月が……」
「取られてんの?」
ミナミとミナコが呟いた。
「月が、地球のものだというのは、地球人の思いこみです。古くから、ゴミラスやミスカンダルは、月を宇宙旅行の中継基地として使ってきました。つまり、流行りの言葉で、実行支配をしているのです。今、にわかに地球が領有権を主張なさっても困惑するばかりです」
「われわれ地球人は想いで月を支配してきた。ウサギを住まわせたり、蟹をすまわせたり。ロマンの中では、数万年前、いや、まだ言葉すら定かに持たないネアンデルタール人の昔から、人類は月を認識し、地球の存在に欠くべからざるものだったった。返していただこう」
「わたしたちは、月の裏側にささやかな中継基地を持っているだけなのです。なにも月そのものを持ち去ろうというのではないのです。地球人が、月をロマンや尊崇の対象としてあがめ、憧れることを妨げるものではありません。地球人の領有を認めれば、月は百年も待たずに乱開発され、宇宙の秩序破壊の元になります」
「ミナミ、ミナコ、両舷の対空監視を厳となせ。今が危ない……」
「艦長、地球の裏側、右舷165度にゴミラス艦隊!」
「シールドを、右舷後方に張れ! 面舵いっぱーい!」
大和の巨体が、意外な早さで旋回。同時に大きな衝撃が来た。
ズガガーーーーン!!!
「シールド損傷、第三主砲被弾。損傷なし!」
副長の被害報告に、蟹江艦長は冷静に答えた。
「両舷後進いっぱい、シールド復旧急げ。主砲、対空砲応射急げ。砲雷長、マトホーク即時サルボー」
ガクンと体が前のめりになった。急速な両舷後進にショック……と思う間もなく、艦首前方を、ショックカノンやパルスレーザーが数十本の光の束になってかすめていった。
「危のうございましたね~」
左舷のミナミは長閑ににため息。ミナミは右舷の高角砲に見せかけたパルスレーザー砲や、パルス機関砲で、敵の弾を相殺射撃。ミナコそっくりの砲雷長は、マトホークの初弾十二発を発射して次弾をリリースした。
「進路そのまま、最大戦速。射撃続け!」
ズドドドド ズドドドド ズドドドド ズドドドド
大和は、敵艦隊を右に見ながら、応射を続けていく。
ミナコは、いつのまにか射撃管制機をマニュアルにして、必死の形相で、ロックオンと射撃をくり返していった。頭の中を、ある若い男性の姿がかすめていく。
――だれ、だれなの、あんたは!?――
そう想いが噴き出してくると、一瞬で山野中尉の名前と姿に結晶した。
――わたしは、時任湊子……――
そこに思い至ると、ミナコの視界は真っ白になっていった……。
50『女子高生怪盗ミナコ・16』
モニターに現れたのはブロンドの長い髪の女性だった……。
「わたしはミスカンダルのアイドルーシャ……蟹江艦長、大和のみなさん。歓迎……したいところですが、どうぞこのまま、お引き取りください」
「アイドルーシャ、そうもいかん。これ以上地球の周辺をゴミラスの自由にさせておくことは、地球のドロボーのハシクレとして、見過ごしておくことはできんのだよ。とりあえず月は取り返す」
「月が……」
「取られてんの?」
ミナミとミナコが呟いた。
「月が、地球のものだというのは、地球人の思いこみです。古くから、ゴミラスやミスカンダルは、月を宇宙旅行の中継基地として使ってきました。つまり、流行りの言葉で、実行支配をしているのです。今、にわかに地球が領有権を主張なさっても困惑するばかりです」
「われわれ地球人は想いで月を支配してきた。ウサギを住まわせたり、蟹をすまわせたり。ロマンの中では、数万年前、いや、まだ言葉すら定かに持たないネアンデルタール人の昔から、人類は月を認識し、地球の存在に欠くべからざるものだったった。返していただこう」
「わたしたちは、月の裏側にささやかな中継基地を持っているだけなのです。なにも月そのものを持ち去ろうというのではないのです。地球人が、月をロマンや尊崇の対象としてあがめ、憧れることを妨げるものではありません。地球人の領有を認めれば、月は百年も待たずに乱開発され、宇宙の秩序破壊の元になります」
「ミナミ、ミナコ、両舷の対空監視を厳となせ。今が危ない……」
「艦長、地球の裏側、右舷165度にゴミラス艦隊!」
「シールドを、右舷後方に張れ! 面舵いっぱーい!」
大和の巨体が、意外な早さで旋回。同時に大きな衝撃が来た。
ズガガーーーーン!!!
「シールド損傷、第三主砲被弾。損傷なし!」
副長の被害報告に、蟹江艦長は冷静に答えた。
「両舷後進いっぱい、シールド復旧急げ。主砲、対空砲応射急げ。砲雷長、マトホーク即時サルボー」
ガクンと体が前のめりになった。急速な両舷後進にショック……と思う間もなく、艦首前方を、ショックカノンやパルスレーザーが数十本の光の束になってかすめていった。
「危のうございましたね~」
左舷のミナミは長閑ににため息。ミナミは右舷の高角砲に見せかけたパルスレーザー砲や、パルス機関砲で、敵の弾を相殺射撃。ミナコそっくりの砲雷長は、マトホークの初弾十二発を発射して次弾をリリースした。
「進路そのまま、最大戦速。射撃続け!」
ズドドドド ズドドドド ズドドドド ズドドドド
大和は、敵艦隊を右に見ながら、応射を続けていく。
ミナコは、いつのまにか射撃管制機をマニュアルにして、必死の形相で、ロックオンと射撃をくり返していった。頭の中を、ある若い男性の姿がかすめていく。
――だれ、だれなの、あんたは!?――
そう想いが噴き出してくると、一瞬で山野中尉の名前と姿に結晶した。
――わたしは、時任湊子……――
そこに思い至ると、ミナコの視界は真っ白になっていった……。
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