命の恩人

あやこ

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3話

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ビニールシートと卒業アルバムを抱えて2階に上がるとそこに子供が座っていた。

花子は驚いて歩み寄ると、彼はケンジと名乗り外でお母さんを待っていたけれど、雨が降り始めたからここで雨宿りしていると話した。
携帯を持っているからお母さんが来たらすぐわかると答える。

窓を見ると止んでいた雨が又、降り出していた。
花子は取り敢えず雨が止むまで彼と待つことにする。

「お姉さんはどうしてここにいるの?」

ケンジの素朴な疑問にどう答えようか迷っていると、彼は話しを続けた。

「何か嫌なことでもあったからここに隠れてるの?」

ケンジは僕が友達になってあげると言い、何でも相談してと笑顔で答えた。

花子は彼に心配させないように、自分には友達がいるから大丈夫だと、さっき拾った卒業アルバムを開けると翔子の寄せ書きを指差し、嘘をついた。

ケンジはそこに書いてある彼女の連絡先に突然携帯で連絡し始める。

「ちょ、ちょっとなにしてるのケンジくん!これは昔の連絡先だから今は・・・・。」

花子は焦って彼を止めようとしたが、予想に外れてその連絡先は翔子に繋がる。

「もしもし。」

電話口から翔子の声が聞こえる。
花子は焦りながらもケンジに即され電話に出た。

「私の事覚えてる?花子です。」

翔子は感激したように喜び、花子との電話での再会を喜んだ。
通話が終了した後、ふと顔上げるとケンジの隣に女性が立っている。
彼女はケンジの母親で愛子と名乗った。

勝手にお子様の電話を使ったお詫びと、ここで雨宿りしていた事を話す。
それを聞くと、愛子は笑顔で御世話になりましたとお辞儀をし、とても素敵お友達がいて幸せですねと付け加えた。

そして、子供の面倒を見てくれたお礼にと丁寧に包装されたお菓子を置いて立ち去っていく。

花子は心の中でなにやってるんだろうと思いながらも、
ビニールシートに腰を下ろすとお菓子の箱を開けた。

中には丁寧に作られた創作和菓子が2個入っている。

「綺麗・・・。」

そうポツリと呟くと一つ手に取って食べようとした。
その時後ろから声がする。

花子は後ろを振り返ると、長身の端正な顔立ちの男性がスーツを着て立っていた。




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