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甦る記憶
しおりを挟む「見ていたんだね…」
私がそう問い詰めると、ルイは脱力したように言った。
あぁ、やっぱりね。
「君に話したいことがある。」
そして改まったようにそう言った彼に、私は覚悟を決める。
別れ話をされる、そんな見当はついた。
「実は…」
そう切り出すルイの言葉に、私は自分の心臓の鼓動が早くなるのを感じた。
「僕は、過去に戻って君の未来を変えてしまったんだ。」
しかし彼の告白は、予想外のものだった。
過去に、戻る?
その言葉が引っ掛かる。
「君は、本当はローレンスと結婚していたんだよ。」
…知っているわ。
覚えてる。
だけど、どうしてルイがそのことを知っているの?
「諦めきれなかったんだ。」
そんなルイの告白に私は胸が締め付けられる。
私のせいだわ。
ルイの気持ちを蔑ろにして、彼を捨てたのもの。
「何をいってるんだと思うよね。
でも本当のことなんだ。」
でも…
今シアナと抱き合っていたことが、この話とどう関係するの?
私はそんな疑問を持った。
「過去に戻る前の僕は、ローレンスと結婚した君をそれでも愛していた。
ずっと…諦めきれなかった。
ローレンスに取られる前にプロポーズしていれば…そんなふうに後悔していたんだ。」
ローレンスと結婚してからの、ルイの接し方に納得する。
彼が私を見るたび、悲しそうな目をしていた理由がいま分かった。
「そんな時、皇后だったシアナ様にこんな話を持ちかけられた。
内乱を一緒に起こさないか…と。
皇后は、貴妃の君ばかりを寵愛する国王を恨んでいた。
僕が君を諦めてないことにも気付いていたのか、内乱を起こした後は国王から君を奪っていいと言われたんだ。
その提案に、乗ってしまった。
宰相としての権力を最大限使って、内乱を起こした。
内乱は成功した、と思っていた。
しかし何者かに、後ろから殴られそのまま意識を失った。
目が覚めると、何故か過去に戻っていた。」
それは…
「私も同じだわ。
私も後ろから誰かに殴られて、過去に戻ったの。」
ルイの話に触発されるように、靄がかかったように思い出せなかった当時の記憶がよみがえる。
───────
「陛下…!
大変です、内乱が…」
従者のその言葉に私と陛下は驚く。
内乱…?
「陛下…」
私は不安になる。
どうなるの?
陛下も私も…
「皇后…皇后を助けないと!」
私は姉と慕う皇后を助けに向かおうと、陛下に呼び掛ける。
「今は、迂闊にここを動くべきではない。」
しかし陛下はそう言って私を抱き締めた。
「そんな…シアナは?
陛下、お願いです。
私だけでも彼女を助けに行かせてください…」
私は泣いてすがる。
シアナを置いてなどおけない。
「そんなのダメに決まっているだろう。
君が危険だ…」
私の心配…?
彼女の、あなたの皇后のシアナを心配はしないと?
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