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覚悟
しおりを挟む「どうして私ばかりなんですか?
皇后の心配もしてください!
私は…皇后を助けに行きます。
陛下はここにいてください。
私一人でシアナを探してきます…!」
悠長に私の心配しかしない陛下に、私はそう捲し立てる。
「…私も行く。
君一人では心配だ。
もちろん、シアナのことも心配だ。
けれど私は…」
そこまで言って言い淀んだ陛下の口を私は押さえる。
「もういいです、そこまで言っていただかなくても…」
そして彼の手を引っ張って、隠し扉へと走った。
ローレンスが、皇后より私を寵愛しているのは知っている。
けど私にも貴妃としての立場がある。
皇后を差し置いておくことはしない。
私は、ローレンスも愛しているが皇后シアナのことも大好きなんだ。
「エレーナ、すまない。
君を困らせてしまった。」
そんな私の思いを察した陛下がそう謝る。
なにも答えることはしなかった。
何と返せばいいかわからなかったから。
私達は無言のまま、隠し扉の先の裏道を走った。
「陛下、ここに隠れましょう。」
そしてある扉の前でローレンスの方を振り向いた。
──ドンッ
しかしすぐに後ろからそんな衝撃音がして、私の体は地面に倒れていく。
「エレーナ…!」
意識が遠ざかるなかで、焦ったように私を呼ぶローレンスの声が聞こえた。
─────────
「君も、なのか?」
私の言葉に驚いたようにそう言ったルイ。
「それじゃあ、僕と結婚したのは…」
「ローレンスと結婚していた過去を捨てて貴方を選んだのは…辛い思いをさせてしまった貴方への負い目もあった。
だけど一番は貴方への未練を自覚したからなの。」
私は正直にルイに伝える。
「君も、僕に未練が残っていたの?
僕はてっきり、もう…」
「蓋をしていたの。
私は、貴方と喧嘩別れしたわけではない。
だからこそ、貴方への思いが残っていたの。」
そう言った私に、彼は顔を綻ばせる。
「僕だけじゃなくて、良かった…」
安心したような様子の彼に私も笑みが溢れる。
彼との確執がなくなってよかった。
私はそう安堵した。
でも安心ばかりしてられない。
真相を知ったところで、私には疑問があった。
皇后シアナとルイの関係性は分かった。
しかし、ではどうしてシアナはルイに抱きついていたの…?
「ルイ、貴方はシアナをどう思っているの?」
「なんとも思ってないよ、ずっと君だけだ。」
私の目線を受け止めてそう言った彼に私は安堵する。
でも、そうだとしたら…
「シアナは、貴方をどう思っているの?」
「わからない。
でも君が見た、皇后が僕に抱きつく姿。
あれは見ての通り、皇后から抱きついてきた。
だから僕からはなんとも…」
なるほど。
それなら…
私は確信した。
過去で国王を恨んでいた彼女は、もしかしたらルイに好意を抱くようになったのかもしれない。
でもそれは過去の話で、今の彼女がどうしてルイに好意を持っているのかはわからない。
一つ分かるのは、彼女からすれば私は恋敵にあたるということ。
このことについてシアナを問い詰めたら、もう姉妹の仲とは言えなくなるかもしれない。
私は覚悟を決める。
シアナに会ってみよう。
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