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第10話:旧友からのアドバイス
しおりを挟む「あっ、長島さん。いらっしゃいませ。カウンター席空いてますので、どうぞ。」
「ありがとうございます。」
長島は、案内されたカウンター席に座る。
「今日はどうされますか?」
「今日はランチにします。トマトクリームパスタの大盛り、デザートはアフォガード、食後にホットコーヒーお願いします。」
「かしこまりました。お待ち下さい。」
注文を取ったマスターは奥の厨房に入って調理を開始した。
長島は、スマホを取り出し、物件探しをしていた。
「横から失礼します。お水置いておきますね。」
「ありがとう。」
「今、チラッと見えちゃったんですが、物件探しですか?」
店員さんにそう声かけられ、特に隠すような事でもないと思った長島は普通に受け答えする。
「うん。今のアパートの更新をしないで、別の部屋に越そうかなって思ってね。同棲することになったから。彼女と。」
そういうと店員は嬉しそうに言った。
「いよいよ、同棲するんですね。彼女さんと。」
「うん。同棲って初めてだから、どういう物件探したら良いのかなって思って。今までは、ワンルームだったり、ロフト付きの部屋だったから、それよりは少し広めの部屋って思って1LDKくらいなのかなって思ってるけど、どう思う?」
「そうですね…。」
その店員は少し考えて言った。
「2Kとか2DKでも良いんじゃないですか。一部屋より2部屋あると生活の幅が広がると思いますよ。」
「なるほどね。」
長島は、2Kや2DKも範囲に入れて探してみた。
「範囲広げると結構あるもんだな。」
気になる物件を候補として保存した。
「気になるものありました?」
「うん。とりあえず、保存したから後でまた問い合わせてみるよ。」
「良い物件に巡り会えると良いですね。」
「だね。」
奥からマスターが出てきた。
「パスタお待たせです。」
「ありがとうございます。いただきます。」
長島は無心にパスタを頬張る。
「やっぱり美味いな。」
しみじみと感じながら食べ進める。
食べ終わるのを確認した店員がデザートのアフォガードと珈琲を持ってきた。
「デザートのアフォガードと珈琲ですね。」
「ありがとうございます。」
アフォガードと珈琲の組み合わせが食後の小腹を満たしてくれる。
「ふぅ。落ち着いた。」
長島は自分のプレイログを見直していた。
「今日は、階段と不規則を練習するかな。」
長島は、珈琲を飲み干すと席を立った。
「ごちそうさま。」
「ありがとうございます。」
長島は会計を済ませて店を出た。
そのままゲーセンに向かうといつものように音ゲーコーナーに到着した。すると、そこに久しぶりの顔があった。高校時代に一緒に練習していた仲間の一人の神谷悠介だった。
「ながし?」
神谷は長島の顔をのぞき込む。
「やっぱり、ながしだ。久しぶりだね。覚えてる?かみゆうだよ。」
「かみゆう!?久しぶりだね。高校以来?元気してた?」
長島は、久しぶりの神谷にうれしビックリの様子。
「ながし、こっち戻ってきてたんだね。確か、大学は愛知県だったよね。」
「うん。こっちで就職したから戻ってきたんだよ。」
「今、何やってるの?」
「今、ボトルカーで自販機の飲み物を補充してるよ。かみゆうは?高校のあと、専門学校だったよね。」
「そうそう。専門学校がパソコン関係だったから、そのまま今は警備会社のセキュリティ部門にいるよ。」
「そうなんだね。専門学校の知識が結びついてるってわけか。凄いね。」
「そんなことないよ。パソコンが好きなだけで仕事始めたら思った以上にプログラミングで数字とにらめっこで中々苦労してるよ。」
「そうなんだね。でもやっぱり得意を仕事にしてるのは凄いことだと思うよ。」
「ありがとう。そういや、ながしは今もポップンやってるの?」
「やってるよ。かみゆうは、今もビーマニやってるの?」
「うん、やってるよ。さすがに大会は出ないけど。ながしは、ポップンの大会出るの?」
「うん。無事にエントリー出来ればだけど。今、エントリー出来るように練習してるとこ、かな。」
「そうなんだ。頑張れよ。」
「うん。ありがとう。」
そう言うと、神谷は自分の持ち場であるビーマニの筐体に戻った。長島は、空いたポップンの筐体に移動してプレイを始めた。1時間ほどプレイをしたあと、休憩エリアでプレイログを纏めていた。
そこに同じタイミングで休憩しに来た神谷が話しかける。
「相変わらず、丁寧に纏めてるね。」
「そうかな。メモ程度で僕にしか分からないと思うんだけど。」
「いやいや、分かりやすく纏めてるよ。ストロングポイントとウィークポイントが分かりやすいし、次何を練習しようかも分かりやすいよ。」
「そうなんだ。そういえば、絵里ちゃんもそんなこと言ってたな。」
長島は、今まで自分が何気なく書いていたプレイログが使いやすいことになっていると、今更になって気付かされた。
神谷は長島から女性の名前が出たことを逃さなかった。
「ながし、絵里って誰?彼女?」
長島は少し恥じらいながら答える。
「うん。大学時代の後輩で、この間、用事があって大学に行ったら、その子も一緒で向こうから好きだって言われて付き合い始めたんだ。その子もポップンやってて、今一緒に大会にエントリー出来るように練習もしてるんだ。」
「なるほどね。でも、ながし、今まで色恋沙汰に全く縁無かったんだよね?」
「そうなんだよ。ポップンの練習は良いとして、デートとか、どういうふうに過ごしたら良いのかっていう経験値は皆無だから、どうして良いのか分からないんだよね。かみゆう、学生の時から彼女いたよね?どうしてた?」
「どうするも、彼女さんとしても一緒に過ごせる時間が好きなんじゃないかな。見栄っ張りになったり、意地はったりしなくても良いんじゃないかな。何をするとか、二人の時間が過ごせるなら、問題ないと思うよ。俺も彼女の趣味や好きな時間を否定せずに一緒に楽しんだりしながら二人の時間を過ごしてるよ。」
「素のままで良いってこと。」
「その子と仮に結婚を考えてるなら、飾り過ぎてもボロが出た時に大変だし、オフになることが出来なかったりして窮屈になるだけだよ。」
「なるほどね。そういや、かみゆうは彼女さんとはどうなの?」
「高校時代の時の彼女とは卒業の時に別れたよ。お互い進路で遠距離になるってことで、お互い無理に縛ることは良くないって言って、ここまでにしようって納得して、別れた。そのあと、専門学校の時に出来た彼女がいて、その彼女と同棲してもうすぐ2年になるからって婚約することになったんだ。今、入籍いつやる?って話してるよ。」
長島は神谷の近況に驚かされる一方だった。
「同棲してたの!?同棲ってどう?僕も今度彼女と同棲始めるからって今、引っ越すために物件探ししてるんだけど、どういうところ探したら良いのか分からないし、同棲って良いのか悪いのか見当もつかないんだよね。」
「同棲するなら部屋2つあると良いよ。お互いのプライベートを確立させたいならね。そうでなかったら、1LDKが良いと思う。リビングダイニングが広い部屋のね。リビングダイニングが広いだけでも半個室が出来たりしてより寛げたりするしね。同棲は、お互いに自分の主張を押し続けるようなタイプだったり、お互いのオフの姿を受け入れられなかったり、嫌なとこばっかり目立つんだったら、向かないかもな。確かに、同棲は結婚の前の見極めだったりするんだろうけど、そればっかりを意識してたらお互いが窮屈になってしまって、裏切りとかに発展しちゃうから、やっぱりありのままの自分をお互いに曝け出しても問題ないって思える信頼関係を養えるかどうかじゃないかな。」
「信頼関係を養えるかどうか、か。入籍はいつが良いって候補はあるの?」
「彼女は、11月22日に拘ってるんだよね。俺は日にちに拘りないから、彼女の希望通りに11月22日でも良いかなって。」
「11月22日に拘るって、11月22日って特別な日なの?」
「ながし、良い夫婦の日って知ってる?」
「聞いたことはあるよ。」
「その良い夫婦の日っていうのが、語呂合わせで11月22日なんだよ。」
「11月22日で良い夫婦かぁ。」
長島は、それを聞いてスマホのメモに入力した。
「ながし、どうした?メモなんかして。」
「11月22日、覚えやすくて良いなって、思って。僕も参考にしようかなって思って。」
「そうか。それよりも先ずは、これから始まる同棲を楽しんでね。」
「ありがとう。」
「ごめん。俺、この後彼女と約束してるから、先に行くね。またね。」
「うん。またね。」
神谷はそう言って、ゲーセンを出ていった。
-続く-
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