サクラブレンド

祝木田 吉可

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第11話:ドキドキ部屋決め

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翌週の週末。既に9月は過ぎ、10月最初の週末になっていた。今日は予定していた部屋の内見日。

10時、予定の時間に長島は、約束した不動産会社に来店した。

「いらっしゃいませ。ご縁不動産にようこそ。ご要件をお伺いします。」

「内見の予約をしました、長島です。」

「10時に予約の長島様ですね。担当をお呼びますのでしばらくお待ち下さい。」

受付の店員に促され、長島は待合の椅子に座った。

しばらくして、担当者と思われる女性が出てきた。

「お待たせしました、、、って長島くん!?」

担当者は長島の顔を見て驚いた様子だったが、長島はピンとこない感じで、首を傾げていた。

「覚えてないかな。私だよ。高校のボランティアで一緒だった来間なぎさだよ。」

来間なぎさ、その名前を頭の中で記憶を巡らせていた。不意にピンときた。高校時代、ボランティア部でお世話になった一つ上の先輩だった。

「来間先輩、お久しぶりです。すみません、思い出すのに時間が掛かってしまって。お世話になります。」

「内見行く前に少し話するからこっち来てもらってもいい?」

「はい。」

長島は、来間先輩に促されるようにブース席に移動した。

「改めて、担当します。来間です。よろしくお願いします。」

「お願いします。」

「確認のために、いくつか質問させてください。」

「はい。」

「引っ越しの予定はいつですか。」

「今の部屋の更新が来年の3月10日なんですが、日曜日なんで、平日が良いなって思ってるので、3月7日の木曜日が良いかなって思ってます。」

「今の部屋の更新有無の返事の期限っていつですか。」

「今月末ですね。」

「分かりました。では、引っ越しは3月7日と予定して段取りしましょう。」

「お願いします。」

「先ず、引っ越す予定が決まっているなら更新有無の返事の期日までに更新しない旨を伝えてください。そして、今が10月ですので、年内で新居を決めてください。」

「分かりました。」

「今回は、どういったお部屋をご希望ですか。」

「彼女と同棲をするので、今がワンルームなので、それよりは広い部屋が良いかなって思ってます。」

長島がそういうと、来間先輩は嬉しそうにしていた。

「いよいよ、長島くんにも彼女が出来たんだね。」

「おかげさまで。今まで無縁でしたが。」

「長島くん、同棲って初めて?」

「はい。だから、どういう部屋を選んだら良いのか分からなくて。」

「そうなんだね。同棲を機に引っ越すのなら、長島くんの感覚で選ぶのも大事だけど、彼女さんの意見も聞きながら、選ぶっていうのも良いかもね。部屋も一つか二つかっていうのも、それぞれの意見あるからね。」

「やっぱり、そうですよね。」

「今日見るのは、2部屋あるお部屋だけど、1部屋でもリビングダイニングが広いと半個室みたいなものも可能だから、選択肢も広がってくるよ。」

「なるほど。」

長島は、来間先輩のアドバイスを携帯にメモした。

「そろそろ、内見に行こうか。」

「はい。お願いします。」

長島は、来間先輩に促されるように不動産会社の車に乗った。

車は駅北エリアに到着する。

「今日、ご案内するお部屋は、こちらになります。」

代官町を過ぎた所にあるアパートで一階は店舗だったようで、シャッターのままになってる店舗があり、住居部分は二階以上になっていた。外見は年季が入っているように感じた長島は少し不安は募った。

「では、ご案内しますね。」

「はい。」

シャッターの店舗の横にある螺旋階段の所にアパート名の表示があり、その螺旋階段を3階まで登ると内見する部屋に辿り着いた。

「このアパートは、一階の店舗の大きさに合わせてワンフロアに1部屋となってます。」

「そうなんですね。」

「じゃあ、入りますね。」

「お願いします。」

部屋の中に入ると縦長の玄関を上がり少し長い廊下を抜けると広いLDKに当たった。

「ここは、LDKのフロアになります。キッチンはカウンターで仕切りされてL字になって、広めに取ってあります。」

長島は、説明を聞きながら、キッチンを確かめた。

自分には少し低い調理台では、あるものの、絵里には丁度良いサイズの調理台になっていた。

「私にはちょっと低いけど、彼女には丁度良い高さですね。」

「長島くん、背高いから、長島くんの背に合ったキッチンは中々無いかもね。」

「やっぱ、そうですよね。」

長島は少し苦笑いをした。辺りを見渡すと大きな家具家電が既に設置してあった。

「この家具や家電は付いてるんですか?」

「はい。入居時から初回更新までの2年間、リースになってますので、2年間はここにある大きな家具や家電を使ってもらうことになります。それ以降、入居者さんのものになりますので、その後の買い替えとうはご自由にしていただくのですが、その後引っ越す際は残して頂くことになります。」

「分かりました。因みに、部屋に入るまで螺旋階段しか見えなかったんですが、搬入時はどうしたら良いですか。」

「部屋の外に出てもらうと分かると思うんですが、部屋を出て左側が螺旋階段部分、右奥に搬入用のエレベーターが設置してあります。後で見てみられますか。」

「はい。お願いします。」

その後、リビングダイニング、水回り、個室の2部屋、ベランダの説明を受けて部屋を出た。

部屋を出ると来間先輩は、エレベーターのある搬入口を指さした。

「あちらが、搬入口となっているエレベーター通路になります。専用のカードキーで建物裏側の入り口から入ってもらって使ってもらうことになります。」

「へぇ~。」

搬入口の通路は、思ったより広く使いやすい感じになっていた。

「結構大きいサイズのものも運べそうですね。」

「そうですね。ベッドは段ボールでの搬入となりますが、ソファは2人掛けなら現品で搬入出来ますよ。」

「ある程度のものが現品で搬入出来るなら便利ですね。」

長島が、内見での部屋の様子をメモし終わると鞄にしまった。

「そろそろ戻りましょうか。」

「はい。」

二人は内見を終え、不動産会社に戻った。

-続く-

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