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第13話:新居決定
しおりを挟む1月最後の週末、長島は絵里を連れて部屋の最終決定のため来間先輩のいる不動産会社に来ていた。
「いらっしゃいませ。」
「来間先輩、予定より到着少し早くなっちゃってすみません。」
「良いの、良いの。もしかして、隣にいるのが?」
「彼女です。絵里と言います。」
「絵里です。よろしくお願いします。」
絵里は、来間先輩に深々と一礼した。
「担当する来間です。よろしくお願いします。」
「では、こちらへどうぞ。」
来間先輩の促す席に二人は座った。
「希望する部屋が決まったんだってね。」
「はい。彼女とも相談したのですが、ここの広いLDKの1LDKの部屋が良いなと思ったんですが。」
二人が選んだのは、10畳を超える大きなLDKに6畳間が一つの1LDKの部屋で、バストイレ別、IH対応のコンロが2口。2階の角部屋の部屋だった。
「この部屋ですね。個室が一つですけど、大丈夫ですか。」
来間先輩の問いかけに絵里は被せるように答える。
「大丈夫です。LDKが広いので半個室が作れそうなので、それで十分です。」
絵里の答えた表情は自信があり迷いが無かった。
来間先輩は「分かりました。」と頷き、絵里には笑顔で返した。そして、「今確認しますね。」と続けた。
長島は「お願いします。」と一礼した。
しばらくしてパソコンでの確認を終え二人の方に体を戻した。
「まだ空いてるみたいなので大丈夫のようですね。」
「では、そこでお願いします。」
「分かりました。では入居申し込みと入居審査に移りますね。こちらの書類に記入をお願いします。」
「分かりました。」
長島は書類の必要部分に記入をした。
「ありがとうございます。では、これにて入居審査に入らせていただきます。入居審査には1週間程度かかりますので、確認が取れましたらこちらからまた連絡しますので。よろしくお願いします。」
「ありがとうございました。」
二人は来間先輩の不動産会社を出た。
「無事に入居審査通ると良いね。」
「そうだね。」
「連絡来たら私にも教えてね。また一緒に行こ。」
「うん。分かったよ。」
二人はワクワクしながら家路についた。
2月1日、金曜日の午後に不動産会社の電話を通じて来間先輩から連絡が来た。
「お忙しいところすみません。ご縁不動産の来間と申します。長島さんのお電話でしょうか。」
「はい、そうです。」
「今、お時間大丈夫ですか?」
「大丈夫ですよ。」
「入居審査の結果が出たのでお知らせします。」
「お願いします。」
長島は一瞬固唾をのんだ。来間先輩が続ける。
「無事に入居審査が通りましたので、賃貸契約をしたいと思いますので、都合の良い日にちを教えて頂ければ幸いです。」
長島はホッと胸を撫で下ろした。
「彼女と予定確認してから返事しても良いですか?」
「分かりました。1週間以内に来店頂きたいです。」
「分かりました。早速彼女と連絡取って折り返し返事します。」
「よろしくお願いします。」
長島は、電話を切ると直ぐさま絵里に電話をかけた。
「もしもし、絵里ちゃん。」
「伸幸さん?ちょっと待って。場所移動するから一旦電話切るね。」
「うん。分かった。」
一旦、電話が終わり絵里の折り返しを長島は喫煙所に移動しながら待った。喫煙所に到着する頃に絵里からの折り返しがあった。
「伸幸さん、ごめんね。今、大丈夫だよ。」
「今、来間先輩から連絡があって、入居審査が通ったから賃貸契約したいからお店に来れる日にち教えてって連絡があって、どうする?って思って。」
「今週末も土日に予定は無いから、明日からも泊まりに行こうって思ってるから、明日にでも一緒に行こうよ。」
「分かった。じゃあ、そうやって来間先輩に返事しとくね。」
「うん。お願いします。」
「明日も10時に迎えに行けば良い?」
「伸幸さんが良ければ9時30分に迎えに来てもらいたいな。そうしたら、色々と準備が捗るんじゃない?」
「そうだね。じゃあ、9時30分に迎えに行くから、来間先輩には、お店に11時くらいに来店しますって伝えるね。」
「そうだね。そうしよう。」
「じゃあ、また明日ね。」
長島はそう言って電話を切り、来間先輩に折り返した。
「お電話ありがとうございます。ご縁不動産の来間です。」
「お世話になります。先ほど入居審査の連絡を頂いた、長島です。」
「長島様ですね。折り返しのお電話ありがとうございます。」
「先ほど彼女に連絡を取った所、明日の来店が可能になりましたので、明日の11時頃に来店出来そうですが、そちらのご都合はどうでしょうか。」
「明日の11時頃ですね。確認しますので少々お待ち下さい。」
来間先輩は、保留にした後向かいにあるホワイトボードの予定表を確認して保留を解除して伝える。
「お待たせしました。明日の11時頃、空いておりますので予定しておきますので、よろしくお願いします。もってきていただいものは、ですね、、、」
「分かりました。ありがとうございます。」
電話を終えた長島は、阿倍野社長に申し出をした。
「社長。急なんですが、新居が決まりましたのでこちらの書類お願いしても良いですか。」
「あぁ、良いよ。」
しばらく待つと必要書類を直ぐに貰うことが出来た。
「それと、この後、午後からは役所で手続きをしたいので、今日はこれで帰っても良いですか?」
「あぁ、良いよ。今日の長島くんの配達ルートは午前中だけで、午後からは事務所当番だけど、当番する人他にもいるから大丈夫だよ。役所の手続きは出来るときがチャンスなんだから、行っておいで。」
「ありがとうございます。では、私はこれで失礼します。」
「あぁ、気をつけてね。」
長島はデスクに戻り、荷物をまとめて事務所を出た。
長島が事務所を出たタイミングで、小宮山が配達ルートを終えて戻ってきた。足早に事務所を出る長島を見て不思議に思った小宮山が阿倍野社長の所までやって来た。
「社長、長島は早退ですか?」
「あぁ。新居が決まり、役所に手続きしたいからって早上がりになったよ。」
「いよいよ、同棲スタートなんですね、社長の姪さんと。」
「あぁ。あの子が良いって言っているのなら彼を信じてみようかな。」
「社長のお兄さんの娘さん、でしたよね。」
「うん。兄さんから、あの子が同棲始めるみたいだから見守ってほしいって連絡来たけど、長島くんなら心配する必要なさそうだな。」
「ですね。長島は、誰かにうつつを抜かすことは無くマイペースですからね。」
どうやら絵里は阿倍野社長の姪っ子だったようで、それを知ってるのは、社長と小宮山だけのようで、長島はそのことを知らないようだ。
-続く-
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