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ハンティング5「ファング共闘戦線・中編」
しおりを挟むオーク一団のアジトの玄関口にあたる、草原と荒野のエリア。
至る箇所にオーク達が蔓延(はびこ)っており、どのオークも怠らない武装をしている。
バリエーションも剣やアックス、ボウガン、魔導銃と豊富だ。
その荒野と草原のエリアに一機の飛空挺が低空飛行滑空する。
レバノイア市の飛空挺だった。
安全圏内ギリギリの低空域で飛行し、オーク達を風圧で吹っ飛ばしていく。
甲板ハッチにスタンバイするファング達を見ながら、レバノイア市長は期待に震えていた。
「たのむぞ……コンタクターのファング諸君!!今日で街の驚異を消してくれ!!」
「市長!!警察団の制圧班が市を出たとのことです!!」
「うむ!!ファング達の戦闘が終わり次第、突入させるよう指示をしておけ!!」
「はっ!!」
市長が再び甲板ハッチに目を向けた時、グライヴを乗せたゾルドタウラ、ルファントが股がるグリファリオ、肩にレスタルを乗せたボルガノスをはじめとしたファング達が飛び出す。
ゾルドタウラは着地と共にスライド走行を開始し、グリファリオは旋回しながら羽ばたき、敵に向かう。
ボルガノスは強靭な脚力でブレーキをかけながら、蔓延る敵をレスタルと共に見据えた。
他のファング達も次々と飛び出して戦闘体勢を整え、攻める。
「さぁて、おっぱじめるぜ!!オークの連中を……撃ち砕く!!」
グライヴは走行するゾルドタウラからマグナンティアを構え、狙った標的に銃撃を開始。
狙い撃たれる魔弾光が、オーク達を立て続けに次々と撃ち斃す。
『雑魚がウジャウジャと……!!』
更に走行するゾルドタウラは左腕のアルム・ランチャーを一発、一発と撃ち放ち、頭部のヘッドマグナム、胸部装甲を割り開いたブルスト・ファランクも同時に撃ち飛ばす。
各魔弾の直撃を食らったオークを焼却爆殺させながら広範囲の爆発を巻き起こし、魔導ガトリングの銃撃はオークの体を小刻みに粉砕させる。
この強力な魔導火器を前に、迫る幾多のオーク達が爆殺・蜂の巣にされ、為す術なく吹き飛ばされていく。
ゾルドタウラはそのまま重戦車然とした攻めを継続し、ホバー走行しながら戦闘体勢のオーク達を駆逐し続ける。
「いい感じにぶっ飛んでんなぁ~!この際だ。持てる火力をかましてやろうぜ!!」
『承知した……!!』
両肩のマギガ・カノンの銃身を射撃対象の角度に合わせるゾルドタウラ。
左右のマギガ・カノンの砲口より魔弾が放たれ、重い砲撃音と共にオーク達に撃ち込まれる。
二点着弾による爆発がオークの群れを巻き包んで吹っ飛ばした。
それを確認しながらブレーキをかけて停止すると、ゾルドタウラは全重火器を構え、全弾砲撃・オール・アルムシュートを開始する。
唸る砲撃。
巻き起こる爆発群。
砕け散る地表とオーク。
ゾルドタウラの持てる全ての砲撃が、面前より攻め来るオークを一掃・駆逐し続ける。
その右側面側では、羽ばたき攻めるグリファリオとルファントがシュトースレールを撃ち放ち、オークを圧倒する。
左右二軸線で撃たれる魔導レールガンの弾光が一気に駆け抜け、射撃軸線上のオークを貫通するように撃ち飛ばす。
長距離におよぶその類いの射撃が、休む間隔なく連発され、オーク達に攻撃させる時間を与えない。
「おらおらぁ!!グリフォンライダーのお通りだぁ!!蹴散らすぜぇ~!!」
『能ある鷹は爪を隠すが……普段隠している爪……出させてもらうぜ!!ニヒルガ!!』
グリファリオは両前足の爪をくわっとさせ、自身の魔法・ニヒルガを発動。
すると、爪が通常の二倍に変化し、鋭利さが増した。
本格的な戦闘用の前足に変化させる魔法だ。
『ニヒッドスラッシュ!!』
グリファリオは加速力も付加させながら、向かい来るオークを左右交互に高速斬撃で斬り裂き続け、更に両前足を振りかぶった交差斬撃を食らわせた。
これを食らった二体のオークが容易く斬り裂かれ、転がるように吹っ飛んでいく。
「ニヒヒ!!しゃあっ!!」
ルファントは歯を見せながらニヤけると、右片手でトラスティアルを振り回しながら構えてみせる。
「もっとぶっ飛べ!!ストライク・ウインドッッ!!」
突き出したトラスティアルの切っ先から撃ち放たれた竜巻が直進し、一直線にオークを文字通りに吹き飛ばした。
契約時にグリファリオから授かった風の魔力を宿した一撃だ。
吹き飛ばされたオーク達は、地面に叩きつけられ、大半が全身打撲の大ダメージを受けていった。
更にそこからニヒッドスラッシュとシュトースレールの射撃を組み合わせながら攻め込み、グリファリオは一旦ホバリング体勢に移った。
『この数だ……一掃する!!』
「ニヒ!!いっちゃいますか!?ストーム・ブラスタル!!」
『この数と状況だ。やらずにいれないさ……』
グリファリオはその体勢のまま開口し、嘴に魔力を溜め込んだ。
そして低空よりストーム・ブラスタルの荒れ狂う一撃を見舞う。
グリファリオから吐き出されたカマイタチ現象を巻き起こす竜巻旋風が直進し、オーク達をバラバラに斬り裂きながら完膚なきまでにぶっ飛ばす。
「ふっひゅー!!ローリングかましてやろーぜ!!」
更にグリファリオはその体勢からストーム・ブラスタルを旋回しながら吐き飛ばし、更なる数のオークに炸裂させた。
その一方、ボルガノスに対してオーク達はボウガンや投げ槍で攻め込む。
だが、撃ち込まれるボーガンや投げ槍の矢は、表皮に突き立てるだけに止まって空しく落ちていく。
業を煮やしたオーク達は、ハンマーやアックスを構えながら突っ込み、ボルガノスの懐へ向かっていく。
鋭い白目を細めたボルガノスは、両掌に魔力を宿し、近づくオーク達をまとめて叩き飛ばしてみせた。
マギア・クロー。
魔力を宿した鋭利な四本の爪が、叩き飛ばすオークの体に破壊的ダメージを与える。
『うるさいな……覇ぁあっっ!!』
更に魔力を握りしめた拳を殴り付け、足許にいるオーク達を地面もろとも砕き飛ばす。
マギア・ナックルの轟々たる拳が、爆発する勢いで地面を粉砕させる。
そして叩きと殴り、サイの頭部先端の角を組み合わせた無双劇を、オーク達に連続で繰り広げ縦横無尽に叩き潰して力で圧倒させる。
マギア・クロー、マギア・ナックル、ホーントラスト…… 荒れ狂いながら炸裂する重い攻撃は、オーク達を玩具のごとく駆逐させていった。
その最中、レスタルが飛び降りながらガイヴォルクを一体のオークに突き下ろし、串刺しにしてみせる。
ガイヴォルクのドリル部を回転作動させながら抜き取ると、槍技を振るって周囲のオークを突き抉っては回転部で叩き飛ばす。
初回攻撃を済ませたレスタルは、メガネのズレを直しながらボルガノスに指示をした。
「まずは突破口だ。群れる箇所に一撃見舞う。ヴァーチェスト・カノーネを撃て!!」
『無論!!』
ズンと身体を構えたボルガノスは、足を地面にめり込ませて胸部の魔弾砲装置に魔力をチャージし始める。
チャージされていく魔力と共に比例して、時おりスパークを発生させながら魔弾光が形成される。
『身の程を知るがいい!!ヴァーチェスト・カノーネ……パージ!!』
面前延長射撃軸線上に見えるオーク達が群れるポイント目掛け、 巨大な魔弾が撃ち放たれた。
一直線に撃ち飛ばされた大型の魔光弾が、大地を抉りながら次々とオーク達呑み込んで破砕・消殺させていく。
そして最もオークが群れる地点に魔光弾が到達し、凄まじい爆発を炸裂させた。
周囲の他のファング達も負けじと攻め込む。
「うぉおおおおおっっ!!」
ゴーレム・ゴレアントのコンタクターであるアルゴが、モーニングスター(ニードルハンマー)を振り回し、向かい攻め来るオークに向かってブチ当て、 頭部を砕き潰す。
「オーク共ぉ!!どんどん来いやぁっっ!!グラビタルの洗礼を与えてやんよぉっ!!」
気迫と遠心力を十二分に乗せたグラビタルを振り回し、オーク達の頭部を殴打するように炸裂させる。
最も威力は破壊的であり、攻撃を受けた頭部は頭蓋骨諸とも粉砕する。
更にアルゴは十字に振り回して叩きつけてみせ、食らったオークは完全に即死してこと切れた。
その傍らでは、ゴレアントの豪快なパンチが振るわれ、次々にオークがぶっ飛んでいく。
『オーク……クチクスル!!』
1・2のリズムでパンチを幾度か見舞って、周囲のオークをぶっ飛ばすと、両腕に装備された魔導アームリボルバーガン・グランバレットを構え、近距離から射撃してみせる。
連続発射されるグランバレットの弾丸は、一撃で個々のオークを木っ端微塵に砕き飛ばした。
尚、弾丸はゴレアントの身体の一部を瞬間形成させて発射させる仕組みだ。
故に弾数は無限。
『ココハ、オレノキョリダ!!』
圧倒するグランバレットの射撃は攻め込むオーク達に全く攻撃余地を与えない。
一発、一発が爆発させるかのようにオークを破砕・駆逐していく。
「ははっ!!俺達を前にすりゃあ、どーにもならんぜ!!ゴレアント!!重いヤツかましてやれ!!」
『オモイヤツカ……ワカッタ』
攻撃をかけながらのアルゴの声に答え、ゴレアントは一旦射撃を停止し、銃口に魔力を溜める。
『マグナム・ド・ブレイカー!!』
両腕のグランバレットの銃口からバズーカ級の魔弾が発射され、着弾地点に二つの爆発を巻き起こしてオーク達を吹っ飛ばした。
一方で、スレッグを背に乗せたファルキアが、オーク達の許に降り立つ。
「さぁ、戦闘開始です!!まずはこのエリアのオーク達を一掃しますよ!!」
「おう!!いくぜ!!」
ファルキアから降りたスレッグは、先端に鋭利な十字架がついた魔導ステッキ・フリズアルを右手でかざし、オーク達に向けて魔法攻撃を発動させる。
「ブリザーガン!!」
フリズアルの先端より、氷の矢が形成され、弾丸のごとく撃ち飛ばす。
それはオークの一体に直撃すると、直撃部を瞬間凍結させて砕く。
心臓であればより効果が発揮される氷系魔法だ。
「命中!!しゃあ!!やったぜ!!」
「たかが一体に喜んでてはいけませんよ!!どれ程のオークがいると思っているんです!?」
「う……わかってるって!」
ファルキアはスレッグにダメ出しをしつつ、先端にガルーダの翼を模した杖状の魔法器具・ホルスメントをかざし、オーク達に向ける。
「一掃させていただきます……ブリザレイン!!」
オーク達の頭上に大型の青い魔法陣が形成され、そこから無数の氷の矢が降り注がれる。
それは多数に渡るオーク達に直撃し、一気に貫通・氷砕させてみせる。
「このくらいの魔法がこの数に対して丁度いいんです……」
「はい……って、うぉあ!?」
スレッグがふと視線を移動した瞬間に、オークがトマホークを振りかざして襲い掛かって来る。
その時、間一髪でファルキアがブリザーガンを放ってそのオークを駆逐した。
「さ、サンキュー……」
「こんな状況で油断するからです!!はぁああああっ!!」
ファルキアは先端に魔力を宿したホルスメントを振るい、一振りで四体のオークを打撃しながら凍結粉砕させてみせる。
更に前面上のオークへと攻め混み、巧みにホルスメントを攻め振るい、波入るオークを蹴散らす。
そして前面にホルスメントをかざし、魔法陣を形成させた。
「ブリザディバイダー!!」
扇型の広範囲にわたり、魔法陣から無数のブリザーガンが連続発射された。
オーク達は一溜まりもなくかき消されるかのように圧倒され、高速氷砕していった。
魔法剣士のファング・レフェントは、飛空挺のアングルグリップに掴まりながら飛び降りるタイミングを伺う。
「臨戦態勢が万全だな。だが……!!」
タイミングを見極めたレフェントは、飛び降りながら剣を抜き取る。
それを勢いと共に一体のオークへと串刺しにしてみせた。
顔面を串刺しにされたオークは、倒れ込みながらレフェントのサーフボードのような足場と化す。
オークを激しく削るように刺したままスライドして止まると、左手に装備した指輪をかざし、契約モンスターのサラマンダーを召喚する。
すると、炎を纏うずんぐりとしたオオトカゲが姿を見せた。
「リザファイド……ショータイムだ!!」
リザファイドは無言で頷くと、纏う炎を猛らせ魔力を上昇させる。
レフェントは不敵に笑みを浮かべながら、リザファイドの前に剣をかざす。
そしてリザファイドは焔を吐き出し、その剣に炎を宿させる。
燃える炎は凝縮されて刀身に吸収され、刀身を赤熱化させた。
「さぁ、愚かな豚共よ……捌かれるがいい!!」
レフェントは目が追い付けない速さでオークに斬り込み、武器破壊と同時にオークを熱で意図も簡単に斬り飛ばして見せた。
「フレイム・エレメント……俺の愛剣・バイザルトの刀身に魔力を宿し、剣技にのせて敵を駆逐していく。俺達の基本の戦法さ!!」
レフェントの巧みたる剣技が、連続的に攻め来るオークを斬り捌いていく。
その斬撃は、唐竹斬り、薙ぎ斬り、袈裟斬りの斬撃を瞬間的に組み合わせた華麗なまでの剣技だ。
多数を斬撃した区切りに、三体のオークを斬り払った直後に右手を平手にしてかざす。
「フレイム・フレアー!!」
次の瞬間、かざした掌の方向のオーク達が一斉に発火した。
一瞬にして火だるまと化したオーク達は、呻きながら倒れてのたうち回る。
炎の威力はヴァッシュやラグナデッタには到底及ばないが、多数の対象の敵に自然発火を発生させる魔法だ。
面前のオーク達を混乱に陥れると、再び素早い剣撃を食らわせ続け始めた。
そこへ更にリザファイドが睨んだ対象に開口し、小型火球・フレイム・ボマーを与えて攻撃を加える。
フレイム・ボマーを食らったオークは、打撃と火傷のダメージを受けながら攻撃体勢を崩された。
その瞬間を狙い、レフェントの華麗な斬撃が斬り込まれ、一瞬でバラバラに斬り裂かれ地に伏せる。
炎の精霊であるリザファイドは、他のモンスターと異なり、瞬間的な能力向上や援護射撃といった契約者のサポートに徹する戦闘スタイルで戦うのだ。
その炎のコンビネーションはオークを玩ぶように圧倒し続けた。
更にその向こうではトライデント・エルスタークを振るいながら爆進する、ケンタウロス・アルガイアの姿があった。
只走りながらエルスタークを振るうだけでも、オーク達は蹴散らされては斬り撥ねられる。
更に急激な減速でオーク達を吹っ飛ばすと、一気にエルスタークを振るい、豪快なまでの斬撃でオーク達を上空や遠方へ斬り飛ばす。
「覇ぁあああああっ!!俺は誇り高きケンタウロス、アルガイア!!オークの輩よ!!我がトライデント、エルスタークの力を味わえ!!」
エルスタークを左右交互に振り回し、アルガイアは猛将のごとき攻めの加速をかけて走り出す。
オーク達は攻め込む隙すらなかった。
蹴り飛ばしながら再び減速すると、アルガイアはエルスタークを振り回しながら、魔力を溜める。
「受けるがいい……!!ランダー・ウェーバーッ!!」
魔力を溜めたエルスタークの切っ先を地面に突き下ろすと、地表が一気に爆発し、地表を剥ぎ取るかのごとく爆発の波が一直線に突き進む。
直進する連続爆発と爆風に、次々とオーク達は吹き飛ばされて宙を舞う。
荒れ狂うランダー・ウェーバーの衝撃爆破は遠方まで突き進み、更なる突破口を開かせた。
その時、アルガイアの後方よりアックスやハンマーを振りかざしたオーク達が攻め込む。
だが、次の瞬間に強烈な後ろ足蹴りが二体のオークに炸裂した。
蹴り飛ばされたオークは、粉砕骨折を負いながら吹き飛ばされ、地面に叩きつけられる。
アルガイアは間髪入れずに振り返り、強烈なエルスタークの薙ぎ斬撃を食らわせ、五体のオークを同時に斬り払った。
「笑止!!予測できる攻撃に過ぎん!!気配で……」
アルガイアは側面から飛び掛かるオーク達に視線を流し、魔力を再び宿したエルスタークの切っ先で斬り払う。
斬撃を食らったと同時に四体のオーク達は爆発四散した。
グラン・ウェーバーの応用の斬撃・スラッシュ・クエイク。
魔力の力と斬撃の力を同時に敵に与え爆破させる技だ。
「わかるものだ……!!」
更なる斬り上げ斬撃でオーク達を宙へ打ち上げるアルガイア。
その時に舞った一体がワイバーン・レイディーンに噛み付かれ、上空へと連れ去られる。
レイディーンの背のシートには、ラグナデッタ同様のシートが装備されており、同じくバイク型ハンドルが常備されている。
コンタクターのリバルトは意気揚々とレイディーンに言いかけた。
「ナイスキャッチだな!!レイディーン!!」
すると、レイディーンは大きく旋回しながら、噛み締めたオークを降り投げて離す。
遠心力が加わりオークは激しく飛ばされ、地上のオークに激突し、即死した。
『成り行きと勢いでくわえただけだ!!不味ぃぃ!!上級な豚肉が食いたいぜ!!』
「ま……この依頼が終われば存分に馳走してやんよ!!一気にぶっ飛ばすぜ!!」
レイディーンはその場所へ一気に滑空しながら、両翼と巻き起こすソニックブームで、オーク達を一挙に壊滅的なまでに吹き飛ばす。
その衝撃波は地表をも粉砕させて爆発を巻き起こしていった。
リバルトは、再び舞い上がって旋回するレイディーンの背から衝撃波の痕跡を見る。
大規模に抉れた地表が一直線に出来上がっていた。
「エアロ・ブラスト……レイディーンの風の魔力を付加させたソニックブームでぶっ飛ばす……俺達の基本的な攻めさ!!」
『雑魚共を掃除する……!!』
レイディーンは軽快に翼をはためかせながら、ドンッという風圧と共に加速をかける。
再び滑空し地上のオーク達をエアロ・ブラストの衝撃波で一直線にぶっ飛ばした。
この軽快さと運動性がワイバーンの売りであり、ドラゴンと比べた相違点の優位点だ。
「ワイバーンはドラゴンよりも小型軽量……ブレスこそはできないが、この機動性が最もな武器だ。そして……」
リバルトは、背に装備したボウガン系の武装を取り出して構えると、その狙いを眼下のオークの群れに絞った。
ボウガンには拡大スコープが取り付けられており、明確な狙いを定め易くするように補われている。
そして、ボウガンの銃口から風の魔力で形成した矢が撃ち放たれた。
それはオークの身体を見事に貫通してみせる。
リバルトの精密射撃がオーク達を次々と撃ち仕止めていく。
狙いは全て心臓、もしくは頭部を撃ち抜いてみせていた。
「愛用ボウガン、スカイアローズと俺の射撃の腕、レイディーンの運動性が成せる攻撃!!滅多に外しはしないぜ」
『調子にのりすぎんなよな……もういっちょいくぜ!!』
「わわを!?バカ!!」
レイディーンは狙いを定めていたリバルトにお構い無く、再三エアロ・ブラストを仕掛けて滑空し、ぶちまけるかのようにオーク達を吹き飛ばす。
そして、低空旋回しながら傾かせた翼でオークを吹き飛ばしながらホバリング体勢に移った。
『中りやすい高度に来てやったぜ』
「そーかい……んじゃ……いくぜ……」
改めてスカイアローズを構えたリバルトは、形成した魔力の矢に更なる魔力を集中させる。
収束されていく魔力が矢に宿されて付加されていく。
リバルトは狙いを一体の中型オークに絞った。
「グレネード・ヴィント!!」
一発の魔力の矢が、黄色く光りながら撃ちはなたれた。
それは中型オークに着弾すると共に、バズーカ級の凄まじい風圧で破裂爆破し、更にその風圧が周囲のオーク達を拡大させるようにぶっ飛ばした。
これらの攻撃を飛空挺から見守る市長らは、明らかな力を目撃させられていた。
「やはり……コンタクターのファング達に依頼を呼び掛けたのは間違いなかった!!素晴らしいまでの攻撃だ!!」
「はい!!この分であれば岩場エリアまで、いえ、アジトまで時間は掛からないと……!!」
「うむ!!期待以上だ!!敬意も踏まえ、彼らの武運を祈ろう!!」
「はい!!」
市長は領域を一時離脱する市の飛空挺の窓から、彼らの働きぶりに揺さぶられるモノをひしひしと感じさせられていた。
一方、ヴァッシュとラグナデッタ、ガロイアは別の方角よりアジトを目指して進撃していた。
ヴァッシュ達のルートは、草原と荒野を迂回したルートであり、比較的遠回りの形で岩場エリアに通じているルートであった。
羽ばたいて進撃するラグナデッタの下方の地上では、ガロイアがラグナデッタのスピードに合わせて走る。
そのスピードは並みならぬ脚力と魔力が実現させていた。
(このルートならば、アジトへの本来のルートから遠回りできる!!ジェシーのおやっさんにルートを改めて解析してもらった甲斐があったぜ……アジトへの突入まで無駄な戦闘は避けたいからな)
ガロイアは突っ走りながら上空のラグナデッタを見上げて呟く。
一旦ガロイアが帰還した際に、幾つかの進撃ルートをジェシーに解析してもらっていた。
彼らはヴァッシュの休息を踏まえ、あえて遠回りのルートを進む。
当初は効率と早さのみに意図を置いていたが、ドモスに多くのダメージを与えられたヴァッシュに対するガロイアの気遣いもあり、急遽予定を勝手に変更していたのだ。
(生身で人間離れしたオークに挑む馬鹿はヴァッシュくらいなもんだな……アジトに入れば戦闘は避けられん。今は俺とラグナデッタに任せな)
ラグナデッタに乗りながら進撃する情景を睨んでいたヴァッシュは、ドモスから受けたダメージを捻り潰すように捩じ伏せていた。
精神が肉体を超越する状態を維持しているのだ。
そんなヴァッシュに、ラグナデッタはダメージに対するストレートな指摘を突きつける。
反省を踏まえた説教のようなものだ。
『ったく……普段の戦闘状態の装備にして戦っておけば負うことがなかった無駄なダメージだ。肉体バカ根性だけで突き進めばこうなって同然……』
「うるせー……もー、んなこたぁ解ってる!!だが、そんなこんなな説教なんかよりもな、フィレナを一刻も早く助けなきゃならねー!!元はといえば、オークの奇襲から守りきれなかった俺の責任だ!!」
『ラミアか……言っとくが、あくまで彼女は彼女だ……死に別れたお前の姉じゃない。履き違えるなよ』
ラグナデッタは最もなところをヴァッシュに突いてみせる。
ヴァッシュ自身も解ってはいるが、半ば図星のようなものを感じていた。
「ちっ……解ってる……!!彼女は彼女だ!!だが、つい夕べまでラミアの呪いの罪と、その呪いすら上回る嫉妬に苦しめられていたんだ!!更に獣じみたオークにレイプされるなんざあっちゃならねー!!これ以上の屈辱はもう十分なはずだ!!」
ヴァッシュの熱い想いを乗せた意見がラグナデッタに跳ね返る。
『やれやれ……まぁ……アジトに突入したら精々気張れ。次こそ中にいるオークに無様さらすなよ』
「当たり前だ!!それどころか鉄槌たる鉄槌をかましてやるさ!!」
『その言葉……忘れんなよ……!!』
「言われるまでもねー!!」
ラグナデッタの羽ばたきの加速が唸り、駆けるガロイアの脚の音が、オークアジトの岩場の谷合いに突入していった。
その頃、フィレナは必死にカギの在りかを模索していた。
薄暗い通路の影に沿うように移動し、何処に、あるいはどのオークが持っているかを探す。
しかし、この孤立無援たる状況下にあっては非常に難がある。
「カギ……カギがなきゃ助けれない!!けど、あたしだけじゃ助けれるコ達だって限られるし、これ以上オークを刺激したら絶対に不利になる!けど……!!」
フィレナは、一か八か下半身の蛇の力に頼る手に移る。
薄暗い箇所がありふれた環境が幸をさし、牢番のオークに気づかれずに、近づいていく。
(きっと……あのオークなら……けど、やっぱり恐い!!もし失敗したら……)
オークはあくびまでする素振りで隙という隙を見せまくっている。
だが、もし騒ぎ事に発展すればたちまち多勢に虜辱されたあげく、最悪殺されかねない事になるだろう。
フィレナは静かにかつ素早く移動し、近くの空き部屋の物陰までたどる。
無意識の内に下半身を速く動かせている事に、不思議な違和感を感じていた。
オークを絞め斃す行動に移せる間合いまで迫ると高まる鼓動が更に高まる。
(落ち着いてフィレナ……さっきみたいに確実に顔を塞げばいい!!)
息をのみ、深呼吸を重ねると、フィレナは自らに言い聞かせ、タイミングを素早く見計らってオークの許に移動した。
「な………!?」
「ご免なさい!!」
ビュルルルと尾をオークの頭に巻き付けて顔を完全に塞いでみせる。
「ぐっ……がっ…~!!」
きゅっと目を瞑りながら渾身の力で絞め切るフィレナ。
「お願い!!斃れて……!!」
その全力の力は、鈍い音を立たせながらオークの頭を砕き潰した。
「はぁ……はぁ……はぁ……っ、やった……!!」
フィレナはそこからカギを探す。
焦りもあり、数分探す事に奮闘した。
それらしきカギを探し当てると、フィレナは早速洞窟部屋の奥で吊るされ手錠に捕らわれている数名の亜人種の女性達に向かう。
オーク達は、厳選した美貌を持つ女性達をランダムに洞窟部屋に捕らえておく規則があったため、このような数名という形になっていた。
簡単に言えば、「最後の楽しみを取っておく」主義と言える。
だが、カギは大量の束になっており、どれがどれかわからない。
「ど、どれなの!?合うカギは!?これ!?これ!?違う……これでもない!!」
焦る気持ちが、たちまちフィレナを混乱させる。
すると、捕らわれていた一人のハーピーの少女がフィレナに囁いた。
「ラミアのお姉ちゃん、落ち着いて頑張って……!!」
「う、うん!!ありがとう……!!」
今彼女達を助けれるのは自分しかいない。
ハーピーの少女の言葉をもらい、フィレナは瞳を閉じて、今一度自分に現状の責任を言い聞かせる。
(あたししか今は助けれる人がいない……フィレナ!!ちゃんとして!!)
目を見開いたフィレナは、吊るされた鎖に尾を巻き付け、無理矢理に引き抜く手段に出た。
しかし、いつ別のオークに発見されても不思議ではない状況に別の焦りも感じ始めていた。
周辺から聞こえてくる女性達の叫び声や喘ぎ声からして、オーク達は今の所情事に夢中となっているのが察しできる。
しかし、目に見えぬ不確実な不安がフィレナやハーピーの少女達の女性達を襲う。
その最中、捕らえている鎖を引き抜いていくことに成功し、三人分の鎖を引き抜いてみせた。
「~……んっ!!よし………これでここのみんなだけでも移動できるようになった!!」
「ありがとう!!ラミアのお姉ちゃん!!」
フィレナに囁いたハーピーの少女は体をフィレナの胸元に飛び込み、なつくように悦ぶ。
彼女は人懐っこいようだ。
「え!?そ、そんな!!あたしはその……今自分にできることをしようと……それにまだ手錠のカギがわからないし……他にも助けなきゃいけないコ達だって……」
戸惑い気味に言うフィレナに、シルフの少女やウンディーネの女性も礼を言って称える。
「でも、手錠が取れただけでも本当に助かった!ありがとう!」
「あたしからもありがとう!こんな状況下でなかなか助けれるものじゃないわ!とりあえず今はここでじっくり合いカギを当てましょ!!」
彼女達は薄暗い洞窟部屋で合いカギを探し始めた。
その最中、フィレナは背負っていた罪意識が彼女達の言葉で洗い流されるような感覚を覚え、自然に涙が込み上げる。
「ラミアのお姉ちゃん、どうしたの!?」
涙を流すフィレナの表情を見て、ハーピーの少女が少し驚く様子を見せた。
「……ここまであった……色々あったこと思い出したら……勝手に……ね」
すると、何かを察したかのように精霊系のシルフィードとウンディーネは手をかざして、
フィレナの感情に感応して気持ちを察してみせた。
「……呪いに苦しんできたみたいね……負と悲しみの感じが伝わる……」
「更にその呪いなんかの為に自分を追い詰め過ぎて来たようね……まだ呪いの恐怖を感じてる……」
「え…っく……何故!?」
当然の事ながら、フィレナは自分の感情や心理状態を当てられ、彼女達に隠しきれない驚きの表情を見せた。
「あたし達は精霊系の亜人種……だから他の精神にある程度感応できたりするの」
「そ!空気に触れるような感じで……あなたは本当は人間でしょ?半分、人の感じに感応できる……」
シルフィードの少女はフィレナが元人間のラミアだということまで感じ当ててみせた。
「……そう……あたし……ついこの前までは……!!」
フィレナの膨らむ負の感じを手に取ると、ウンディーネの女性は抱き締める代わりにそっと額をフィレナのおでこに当ててみせた。
「今はここからの脱出を考えましょう……それに、あなたは本当は悪くない……今だってこうしてあたし達の為に動いてくれてるじゃない……」
ヴァッシュやガロイア、ジェシー達に続く理解かつ肯定者との出会いに、フィレナの目には押し出されるように涙が流れた。
「ラミアのお姉ちゃん……」
呟いたハーピーの少女もまた、なだめるようにフィレナに寄り沿う。
続くようにシルフィードの少女もフィレナの左肩に手を添えながら額を当てた。
「あたしも……あなたを癒す……」
絶望的な空間に置かれている事を忘れてしまう程に、彼女達は称え合うかのようにお互いを寄せ合う。
精霊系の亜人種は感応特性の他に精神的なヒーリング能力も持ち合わせていた。
その能力が傷に傷を重ね続けたフィレナの精神を癒していく。
このような状況下だからこそ、心を強く維持する必要がある。
ウンディーネの女性はそう判断した事もあり、ヒーリング能力をフィレナに注いだのだ。
確かに行動に移したフィレナの行動力は彼女なりの強さがあった。
だが、表面的な強い想いの心は、傷に傷に傷を重ね続けた諸刃の剣とも言える状態だった。
「こんな状況なのに……!!こんな目に遭わされてるのに……あたしなんかの為に……ありがとう……ありがとう……!!」
フィレナは癒されていくような感覚を確かに感じ、泣き続けながらも彼女達の暖かさに感動と感謝の気持ちに満たされる。
まさに汚れた絶望の闇に灯った純真な輝きと言えるものだった。
それから間もなくして、岩場エリアに到達したファング一行とオーク達が激突。
無双たる戦闘は更に激化する。
このエリアになると、ドモスクラスの大型オークが前線に現れ始めた。
マナフェプタンにより、過剰強化されたオークだ。
だが、ドモスはマナフェプタン強化型の上位種であり、このエリアの大型オークはドモスに比べ、弱冠強さは低い。
腕が脚が異常に発達した者、アックスやモーニングスター等の超重武器を装備した者達が迫るファング達に向かう。
このクラスのオークや通常種のオークが混合で迫る。
通常のファングや警察団では太刀打ちは不可能に近い。
従来のファング達や警察団の大半はこのエリアで蹂躙され果てていった。
岩場エリアの至る箇所の地面に殺戮された戦士達のドクロが転がっており、オーク達の力量を物語る。
だが、コンタクターたるファングや亜人幻獣のファング達は違っていた。
命のリスクと引き換えに手に入れたその力や生まれ持った能力で、真っ向からオーク達と激突する。
この時点でファング達は事前のミーティング通りに空と地上に別れていた。
先行するルファントとグリファリオ、リバルトとレイディーンが低空を駆けながらシュトースレールの射撃とエアロ・ブラストのソニックブームを浴びせてオーク勢を駆逐していく。
オーク達は射撃で貫かれ、ソニックブームの衝撃波で舞い上がるようにぶっ飛ばされていった。
「グリファリオ!!このまま最深部まで突っ込むぜ!!」
『あぁ!!巨大モンスターとやらを拝見させてもらう!!』
「この分野は……得意だぜ!!」
スカイアローズの射撃も加え、リバルトは駆け抜ける状況下で射撃してランダムに仕留めて見せた。
その最中、彼らの周囲が爆発する。
「うあ!?なんだぁ!?」
『味な事を……ルファント、あれだ!!』
グリファリオが僅かに首を向けて示した方向には、オークのトーチカがあった。
断崖絶壁に造られた射撃場だ。
それは一定間隔で設けられており、侵入者をいつでも迎撃できる体制にしていた。
スレッグを背に乗せたファルキアはその上を悠々と飛ぶ中、ホバリング体勢に移り、トーチカ目掛け魔力を飛ばす。
「地上のメンバーには厄介になりますね……我々で破壊します!!スレッグは左側のトーチカ群を!!」
「オッケー!!はぁっ!!」
スレッグは狙い撃つようにフリズアルをかざして魔法陣を形成し、狙い定めたトーチカに魔力を念じ飛ばす。
するとトーチカ砲撃手のオークが突如発生したクリスタルの結晶に包まれ瞬く間に凍結された。
「っし!!こから更に念じ……砕く!!」
スレッグが魔力の念を更に重ねると、凍結させたオークがクリスタル諸とも氷砕した。
ファルキアも同様にホルスメントをかざし、トーチカ目掛け魔力を飛ばすが、ファルキアの魔力は奥面へ連なるトーチカを五つ同時にクリスタル状に凍結させる。
「バーン・ブリザード……!!」
目を見開いたファルキアの覇気に呼応するように凍結させたトーチカが一斉に粉砕された。
スレッグとファルキアが放った魔法・バーン・ブリザードは、狙い定めた相手を瞬時に凍結させ、更に凍結させた相手諸とも爆発させる魔法だ。
一方の地上の岩場エリアの入り口付近では、雄叫びを上げて攻め来るオーク勢を前に、ゾルドタウラとボルガノス、ゴレアントが迎え撃つ姿勢で威風堂々と立つ。
彼らの首肩には各々のコンタクター達が戦闘に備える。
「こっちも相応しい装備で迎えてやらねーとな!!」
「……精密な俺の武器にはある程度の手入れを施す必要がある。こんな長期戦は希(まれ)だな……」
「さぁ!!とっとと来やがれ!!ソッコーで駆逐してやんぜ!!」
グライヴはランチャー系の武装を準備し、レスタルはガイヴォルクの軽い手入れを、アルゴはいつでもグラビタルをぶちかませる体制で構える。
「でかいやつもいるが……我が剣技で斬りせるさ……」
「身の程知らず達が来るな……我々の、否!俺の力で真っ向から突き伏せる!!」
レフェントはその傍らでバイザルトを構えながらリザファイドと共に佇み、アルガイアはエルスタークを振り回した後に地面に突き立てて迎え立つ。
彼らの誰しもが、不敵な自信を持ち合わせ、余裕の雰囲気を放つ。
『射程圏内だ!!一斉砲撃する!!』
『あぁ……砲撃で破砕させる!!』
『ブッパナス!!』
そして、ゾルドタウラ、ボルガノス、ゴレアントがオール・アルムシュート、ヴァーチェスト・カノーネ、マグナム・ド・ブレイカーを各々に撃ち放った。
前面から押し寄せていたオーク勢は、一斉にその凄まじき破壊力の砲撃を前に、爆砕・破砕・粉砕を味わされ、駆逐されていく。
アルム・ランチャー、ブルスト・ファランク、マギガ・カノン、ヘッドマグナムの重魔弾砲撃が、押し寄せていたオークをドモスクラス、通常クラス問わず木っ端微塵に砕き、魔導ガトリングがズタボロに粉砕する。
突き進むヴァーチェスト・カノーネの巨大な魔弾球が、地表を抉りながら一直線に突き進み、連続でオーク勢を一気かつ無差別に消滅破砕させていく。
ゴレアントの放ったグラン・バレットからのマグナム・ド・ブレイカーもまた、バズーカ級の破壊力を持ってオーク達を瞬時に爆砕させた。
そして、ゾルドタウラとゴレアントは連続で砲撃を続け、ボルガノスが魔力チャージのラグを踏まえながら随時砲撃をする。
この砲撃を続けた状態を継続させながら彼らは悠々と前進していく。
それはまさに幻獣無双だ。
「はっははー……これ、俺達完全にチートだぜ!!チート!!」
グライヴは自分達の余りにもの圧倒さに笑いさえこぼしていた。
「実に効率的だ……だが……」
レスタルが視線を変えると、撃ち漏らしや砲撃の死角を掻い潜ったオーク勢が目に入る。
ゾルドタウラから降りたグライヴも同様であり、マグナンティアと連結させたランチャー系の武装・ブラスト・マグナランチャーを構え、ゾルドタウラの砲撃に合わせて砲撃を開始する。
狙いは斜め左側面側。
ゾルドタウラの砲撃の死角から攻め来るオーク達に砲口を向ける。
「やっぱそーくるかっ……標的を……砕き散らす!!」
砲口を爆発させるような砲撃で敵勢に撃ち込み、直撃したオークを砕き散らすと同時に周囲のオーク達も吹き飛ばしてみせた。
グライヴの狙いは定めた相手を決して逃さず、オーク勢というオーク勢を駆逐する。
ドモスクラスのオークさえ、グライヴの射撃を前にして肉体を爆砕されて即死していく。
レスタルは、砲撃でひらかれた突破口を見出だした後に、斜め側面上から攻め来るオーク達に向かって飛び降りる。
ガイヴォルクのドリルランサーを高速回転させながら狙ったオークを突き抉りながら砕き散らす。
「飛んで火に入るなんとやらだ……はぁああああ!!」
レスタルはガイヴォルクを抜き取ると、一気に振るってオーク達を降り飛ばし、そのまま凄まじき突きと連続突き、ドリルの鋭利な破壊要素を持った振り払いを組み合わせて無双劇を展開する。
突き抉り、突き上げて攻め来るオークを圧倒していたその時、ドモスクラスのオークがアックスを振るってレスタルに攻めかかった。
「グブルガァアアア!!」
「下劣な攻めだ……アサルト・ブレッヘル!!」
レスタルは自身に魔力をチャージさせると、攻め来る巨体を目掛け、瞬発的に跳躍して突撃する。
そして魔力を宿したドリルランサーが大型オークの胸部を破砕させるように突き貫いた。
「相手が悪かったな……」
舞い上がったレスタルは自身の自然落下も攻撃に利用し、着地場所にいたオークにドリル回転するガイヴォルクを突き刺し、砕き散らす。
ガイヴォルクを逆回転させて素早く抜き取ると、鋭い眼差しで次の攻撃に転じて二、三体のオークを突き飛ばした。
「おらおらおらおらぁぁぁっ!!」
ゴレアントを降りたアルゴは、グラビタルを交差するように振るいオークに強力な打撃を浴びせて圧倒。
更に振るい叩きつけてみせ、前後左右に荒ぶるように降りまくる。
「どーだぁ!?オークのくそったれ共!!俺の力を躱せるか!?」
個々のオークを確実に砕き潰してみせ、更に回転させながら振り回し、周囲のオーク勢を一気にぶっ飛ばす。
「らぁあああああ!!」
振り回しながらアルゴは魔力を溜め始める。
モーニングスターのニードルハンマーに魔力が宿り始めオーラを灯す。
「グラン……クラッシャーッッ!!」
一気に振るい落とされたニードルハンマーが一体のオークを爆砕させながら周囲の地形諸ともオーク勢を爆破させるようにぶっ飛ばした。
無論、敵勢の接近は完全には防ぎきれない。
かといって危機的になるわけではない。
むしろ格好の的だ。
接近されたゾルドタウラは、右腕のバスターアックスでドモスクラスのハルバードの攻撃を受け止め、更に刃を捌いて強烈な斬撃をぶちかます。
破断されて斬り落とされるドモスクラスのオーク。
更に近づいたオーク達を斬り払い、爆発させるような勢いで破砕させた。
ミノタウロスの真骨頂の一撃。
『相手のエモノを見て近づくんだな……!!』
「そーゆーことだ!!」
グライヴは目を合わせたオークに向かい、ブラスト・マグナランチャーを撃ち放った。
ゾルドタウラもまたアルム・ランチャー、マギガ・カノン、ブルスト・ファランクの射撃を再開させる。
『おらぁあああああああっ!!』
ボルガノスは魔力を拳に宿して向かい来るオークをマギア・ナックルで殴ると同時に破砕させていく。
その凄まじき拳の連打にオーク達は成す術はない。
更に握り拳の魔力をスパークさせながら正拳突きの構えをとった。
『マギア・シュート!!』
拳から撃ち放った魔弾球がオーク勢の一点に直撃し、爆発する。
いわばヴァーチェスト・カノーネの小型化した魔力攻撃だ。
そこからマギア・シュートを連続で放ち、ラグがあるヴァーチェスト・カノーネに替わる連続砲撃を慣行していく。
このマギア・シュートに加わり、ゴレアントのグランバレットの魔弾岩もオーク勢を連続で砕き飛ばした。
『セメガサイダイノボウギョダ!!』
通常射撃に加え、時折マグナム・ド・ブレイカーを近距離発射してオーク達をえげつないまでに砕き飛ばしてみせる。
「我が炎と……剣技は……太刀打ち……できん……はぁああああ!!」
レフェントは、剣技と炎で来る敵勢を斬り、次第に剣速を速め、次々に焼くと斬るをオーク勢に食らわしていく。
その華麗かつ凄まじき剣技に加え、手をかざしてフレイム・フレアーをオーク勢に見舞い、指定したオーク達を炎上させて朽ち果たさせてみせる。
オークの集団の中で華麗に舞うレフェントに、リザファイドがフレイム・ボマーで幾度か支援攻撃をし、魔力を強めた一撃でオーク勢を炎上させて圧倒した。
「はぁああああ……っ!!ダッシュ・パニッシャー!!」
アルガイアは魔力を全身に纏い、エルスタークを突きだして一気にオークの集団の中へ突撃していく。
オーク勢を突き貫くように駆け抜け、一瞬にして多勢に突き、蹴り跳ばし、踏み砕き、跳ね飛して大打撃を与えた。
一行は進撃を進め、ゾルドタウラのアルム・ランチャーとマギガ・カノン、ゴレアントのグランバレット、ボルガノスが放つマギア・シュートの砲撃をメインに、押し寄せるオーク勢を次々に破砕させ、その圧倒をごり押しする。
突破口が履けた所のオーク勢には、グライヴのブラスト・マグナランチャーの射撃が乱れ撃つように撃ち込まれ、レスタル、アルゴ、レフェント、アルガイアがガイヴォルクの突き、グラビタルの打撃、バイザルトの斬撃、エルスタークの斬撃と各々が得意とする攻撃をかけて更なる追い込みを掛ける。
大型オークも、アックスやウォーハンマーで攻め混むが、ゾルドタウラのバスターアックスやボルガノスのマギア・ナックル、ゴレアントのグランバレットの零距離射撃で瞬殺されていった。
後方に待機する警察団は、かつてないファング達の力に釘付けとなっていた。
「す、凄すぎる!!」
「あれならば、今回こそは行ける!!彼らは本物だ!!」
誰もがこの大規模な依頼でオークのアジトを陥落できると踏んでいた。
だがその時だった。
岩場の岩壁や山々が突如として広大な爆発に包まれて破砕した。
凄すぎる轟音が周囲を包んだ。
更にはその消滅した岩場の向こうより、オレンジの一つの光弾が飛んできた。
それは西側の岩場岩壁に直撃し、大規模なドーム状の半球爆炎を巻き起こした。
それはついに地表にまで撃ち込まれ、オーク勢を巻き添えにしながら爆発する。
「おいおい!!一体なんなんだぁ!?半端ねー反撃だな、おい!!」
「恐らくはこれまでにファング達を葬ってきた元凶が……あれだ!!」
レスタルがガイヴォルクでグライヴに方向を示すと、その向こうには縦長の楕円形頭部の四足歩行の巨大なモンスターの姿があった。
「これまたえげつない奴が出てきやがったな!!」
「なるほど……でかい上に火力があるときたか……まさかあちらから来るとはな……!!」
アルゴとレフェントもそのモンスターの姿と巨大さに汗を流す。
「オークの集団め……あのようなモンスターを……!!」
アルガイアが睨むその巨大なモンスターの両肩には魔導キャノンが装備され、体の至る箇所に魔導機銃が埋め込まれており、これらが常に何かを狙い撃つように砲撃していた。
その巨大モンスターの周囲には、砲撃により近づけないグリファリオ達が旋回していた。
『ちぃ!!これでは接近できん!!』
「やってくれらぁ!!さっきからシュトース・レール効かねーし!!」
シュトース・レールを撃ち込むが、中る前に見えない何かにより、その射撃は遮断されてしまう。
『これじゃストーム・ブラスタルも撃てん!!射撃を躱すように距離置いたんじゃ、威力は下がるしな!!』
「なんかあるはずだ……!!あ~っムカつく!!」
高度と速度に根性が負けるスレッグに注意を促しながら、ファルキアはホルスメントをかざして攻撃を慣行する。
「わわわー!!落ちる!!落ちるー!!」
「しっかり掴まっていてください!!はぁっ………ブリザディバイダー!!」
形成された魔法陣から扇状に鋭利な氷の矢が連続で撃ち出され、巨大なモンスターに向かう。
だがそれは、シュトース・レール同様に見えない壁に弾かれ砕けた。
ファルキアは眉をひそめながら巨大モンスターを凝視する。
「やはり……!!」
しがみつきながら見るスレッグは太刀打ちできない状況下にテンパり始める。
「ひぃぃ~!?全く効かない~!?」
「はい……魔導フィールドですよ。それによって様々な魔導攻撃が遮断されてしまう。更には近づけないように弾幕を張り続けている……想像を越えましたね!!」
リバルトのスカイアローズの射撃、レイディーンのソニック・ブラストも同じように攻撃が弾かれる事に翻弄されていた。
「ちぃっ……なんなんだっっ!?全く効いてねぇ!?」
『俺のソニック・ブラストも歯が立たないだと!?俺達の攻げ……ちぃっ!!』
弾幕射撃や肩部の魔導砲の砲撃がレイディーン目掛け襲い来る。
翼をはためかせ、なんとか一撃離脱で躱して旋回体勢に戻る。
もちろん直撃を食らえばただでは済まない。
『これじゃラチがアかねぇ!!』
「!!モンスターの上にオークが乗ってやがる!!あいつらがやってんのか!?」
リバルトの目線先に、巨大なモンスターの背で三名のオークが乗りながら操縦、出力管理、砲撃主と思われる何らかの操作をしているのが飛び込んだ。
「くく!!魔導技術手術を施した魔導サイボーグのサイクロプス・ロプスディーネには敵うまい!!」
「ブグルル!!我々が生き倒れしていたサイクロプスを生殺しにして改造した甲斐があったなぁ!!魔導フィールドの出力も良好だ!!攻めてもムダ!!」
「こちらから攻めて正解だ!!魔導砲撃光弾砲……ロックオン……!!」
ロプスディーネの単眼部は魔導手術が施されており、単眼部に魔導光弾エネルギーがチャージされていく。
ロックオンスコープを介し、砲撃主のオークが狙いを定めて砲撃をした。
「ブグルル!!ファイア!!」
魔導光弾は豪速球のごとく撃ち放たれ、ファング達の後方にいた警察団へと直進。
着弾と共に、凄まじき爆炎を撒き上げながら警察団を呑み込み、半球ドーム状の爆発光を発生させて吹き飛ばす。
「うがあああっ……!!」
「ふぁがぁあああ……!?」
「はぁぐぁお?!」
焼き尽くされて消滅する警察団員の面々。
それは一発、二発と撃ち放たれ、被害を無作為に拡大させて岩壁や地表を吹き飛ばす。
更には仲間のオーク勢にも魔導光弾を撃ち放って見せる外道ぶりを披露した。
ファング達の目の前に爆発が唸り響き、大地さえ抉り飛ばす爆炎が拡がる。
形勢逆転と見たオーク達は、ロプスディーネの足許や後方に廻りながら意地汚ならしさを見せて集結し始めた。
ファング達の誰もが危機的状況下に晒される中で辛うじて攻撃を躱し切るが、撤退を余儀無くされていた。
各々の面々が悔しみと苛立ちの表情を浮かべて汗を流す。
撤退以外撃つ手はない状況下。
体制を立て直すにはそれしかなかった。
だがその時、突如として側面上から炎の塊が撃ち込まれた。
高速で撃ち込まれた数発の火球は、岩壁を粉砕させ、更に幾つかの火球がオーク勢に直撃して爆炎を撒き上げる。
更には超高速の何かがオーク勢に突っ込み、一直線上に破断させて舞い散らした。
ぶっ飛ばされ落下するオーク勢の中に見せたそれは、シザース・インパクトを放ったガロイアであった。
闘志の睨みをオーク勢とロプスディーネに突き飛ばす。
そして、火球ブレスを撃ちながら岩壁の谷間より滑り込むように高速で飛び出すドラゴン……ラグナデッタ。
唖然を食らうオーク勢を火球ブレスと衝撃波でぶっ飛ばし、その勢いを維持しながら舞い上がりターン、そして滑空。
背に騎乗するヴァッシュは、グリップハンドルを握りながら吹き荒ぶ風圧を一身に受け食らい、歯を食い縛る。
「っぐぅ……!!」
闘志たぎるヴァッシュのその目に見えるは、報酬などよりも、フィレナの救出。
当初の利益など考えていなかった。
呪いと理不尽な罪を背負わされた少女にこれ以上の仕打ちは必要ない……ヴァッシュは今流れる時の命運に怒りのレジスタンスをする。
ラグナデッタはその闘志に答えるかのようにその顎を開き、荒ぶるブレスをロプスディーネへと撃ち放った。
続く
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