竜騎士のヴァッシュとラミアの少女 ~幻獣ハンター記録譚~

ホクチャッピー

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ハンティング6「ファング共闘戦線・後編」

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 ラグナデッタの雄々しき一撃のブレス。

 突き進む一発のブレスは、ロプスディーネの前方斜め上から高速で放たれ、真っ直ぐにロプスディーネへと直撃する。

 巻き起こる大爆発とその爆風圧がその威力を物語った。

 吹きすさぶ爆風に、その場に居合わせていた者達全員が身構える。

 しばらくの間に終息するまで、その轟音は鳴り響いた。

 だが、晴れた爆発の中からは全くの無傷の姿で佇むロプスディーネが姿を現す。

 ラグナデッタのブレスさえも、魔導フィールドを前に相殺されたのだ。

「なるほど……魔導フィールドってやつかっ……!!」

『生意気なモンを張ってやがるな……ふん!!』

 ラグナデッタは鼻で笑うタイミングと同時に来たロプスディーネの対空射撃をかわすと、二、三度翼をはためかせ、一気にその場を離脱する。

その状態から旋回飛行体勢に入り、再びラグナデッタはロプスディーネへと翼をはためかせて突っ込む行動に出る。

 ヴァッシュは風圧と遠心力を味わいながらグリップを強く握り締め、余裕の表情でロプスディーネを視界に掴まえ続けた。

 そしてラグナデッタは、今の勢いを維持してロプスディーネへと突っ込む。

 だが、巨大モンスター同士が激突しては、ヴァッシュの身の保証はない。

 ロプスディーネを操縦するオーク達もこの状況にビビり、一時的に攻撃を止めた。

「ぶ、ぶつかる……!!」

「ぎゃあああああ!!」

『ふん……!!』

 ラグナデッタはそれを見越しての牽制を仕掛けていたのだ。

 ラグナデッタは舞い上がりながら、ロプスディーネとの限界ギリギリの高度を滑空し、再度旋回飛行の体勢に移る。

 ラグナデッタとガロイアの乱入に、グライヴやレスタル達は再び敵側の形勢が乱れた事を確信した。

「ドラゴン様のお出ましってか!!」

『あれが……ファイアードレイク……!!』

 ゾルドタウラが旋回するラグナデッタを見上げ呟き、グリファリオはその姿勢に敬意すら覚えていた。

『流石に勢いと威圧が違うな……が、ドラゴンでもブレスは弾かれちまった……やはり魔導フィールドは脅威だ……!!』

「あぁ……だが、今ので奴等の形勢や心理に乱れが起きたはずだぜ!!」

『どうやら……背中に乗っている連中がアレを操縦しているようだ……無論魔導フィールドの管理もだろうな』

 旋回しながらロプスディーネを注視する最中、再びロプスディーネの魔導光弾が放たれた。

 更にはその砲撃がやぶれかぶれのような弾道で放たれ、無作為に周囲を破壊し続け、対空砲火も同様に無作為に放たれる。

 その行動は自分達のテリトリーすらも破壊していく愚かな行動であった。

『ハナタレ豚共が……ビビりテンパってやがるな』

「あれがこれまでに幾多のファングや警察団を葬ってきた脅威の正体か……確かにあれじゃあ、近づけねぇ……だが……」

 ヴァッシュはロプスディーネの足許で乱舞するガロイアを見た。

 ガロイアはロプスディーネの完全なる死角を捉えて高速魔法・ソニック・スティーゲンを維持し、クライス・レイザーの斬撃ラッシュをオーク達に食らわし続けている。

「おらおらオラオラぁっっ!!しゃぁああああ……!!」

 クライス・レイザーの三爪鉄甲の刃が凄まじい速度でオーク達を圧倒し、斬り裂き潰す。

 ヴァッシュはガロイアの攻め方を窺った。

「ガロイアが下にいる……今、アイツならデカブツの死角から仕掛けれる!!」

 ロプスディーネに好転の一手を入れてくれる。

 まだその行動の前段階にも関わらず、ガロイアがやってくれる事を長年の相棒故にヴァッシュは確信していた。

 そのガロイアはロプスディーネの真下に入り、真上を見上げた。

 そこには、ロプスディーネの腹に装着された巨大な装置があった。

「なんだぁ!?このデカイ装置は!?」

 その装置は半ば強引にロプスディーネの躰に組み込まれており、終止稼動音を響かせていた。

 ガロイアは牙を見せてニヤつきながら、攻め混むオークをぶちのめして制する。

「これはこれは……弱点ですかぁ!?」

 ガロイアはトマホークを振り上げたオークを踏み台にして高速で舞い上がる。

「シャアアアッッ!!」

 そして、クライス・レイザーを突き上げて一点集中に突き刺し、大型装置をひしゃげさせて破壊した。

 破壊された装置は、一瞬のガロイアの着地と離脱の直後に爆発した。

「ヴグゥウウウゴォォ!!」

 ロプスディーネは、うめき苦しみながら立たせた足をすくませ、その場に体を伏せてしゃがみ込むに至った。

 ヴァッシュの確信通りでもあった。

 当然の事ながら上にいたオーク達はパニックに陥る。

「な!?何が!?何が起こった!?」

「魔導装置が……破壊された!!」

「アレは砲撃、フィールドの攻防を司る装置!!アレが破壊されたとなれば……!!」

「そ、そーてーガイだ!!」

 この期を逃すコトなく、筆頭としてレイディーン、グリファリオ、ファルキアがそれぞれの魔導攻撃を仕掛ける。

『倍返しだ!!』

『食らえやぁ!!』

「はぁ!!ブリザディバイダー!!」

 レイディーンが翼をはためかせながら魔力の籠った衝撃波・ソニック・スレイドを、グリファリオがストームブラスタルの竜巻とカマイタチのブレスを、ファルキアが扇状に展開させた氷の刃を撃ち放った。

 ロプスディーネに放たれたその魔導攻撃群は、ほぼ同時にロプスディーネを直撃し、その巨体を一瞬に崩し混ませる。

 ある部位は衝撃波で陥没し、またある部位は斬り裂き抉られ、更に別の部位には氷が突き刺さり、直撃部を凍結させていた。

 瞬く間にロプスディーネが倒れた際に、ガロイアは淡々とその場を脱し、驚異の跳躍力で高らかに舞う。

「しゃぁっっ……派手にオークの連中をのしてやろーぜぇっっ!!!!」

 ガロイアは、気迫高まる声を上げながら叩き付けるように標的にしたオークを仕留めた。

 立ち込める土煙の中、ゆっくりと上体を上げたガロイアは上空を見上げ、その視線にあるラグナデッタを見るなりニヤつく。

 ラグナデッタのその威圧的な存在に、その場を引き継がせるかのようにして、ガロイアはソニック・スティーゲンを発動させて離脱した。

「頼むぜ、ラグナデッタ!!!」

 ガロイアのその言葉のタイミングに合わせてその顎を開口させるラグナデッタ。

 その口内に、炎の魔力を充填させていく。

 ラグナデッタの背に乗るヴァッシュは、眼下のロプスディーネとオーク達を睨み付けていた。

「これまで数多くのファング達を葬ってきた元凶もこれで終いだ……この先にはフィレナ達が囚われている……時間もねー……かましてやろーか、ラグナデッタ!!」

『無論……!!』

 ヴァッシュの放つ言葉と同時にラグナデッタは眼光をクワッと拡げた。

 そして次の瞬間、口内に充填された炎の魔力がオレンジの炎となり、 一気にロプスディーネ目掛け撃ち放たれた。

 隕石が落下するかのような凄まじいチャージドブレスがロプスディーネに炸裂。

 空気を震わせるようなけたたましい大爆発を巻き起こし、一気にロプスディーネとそれに搭乗していたオーク達を諸とも爆砕させる。

 更にその衝撃爆発により、その周囲のオーク達も吹っ飛ばされ、次々に爆死していった。

 凄まじきラグナデッタの一撃の後、抉り飛ばされた地面と燻る炎、衝撃で崩れた岩の渓谷が残った。

 強烈なインパクトを与え、外にいたオーク達は絶望的な圧倒と威圧感にただ立ち尽くすが、直ぐに本能的な闘志を燃やして突貫を開始する。
 
 豪々たるその群れは、濁流の如くファング達を目掛けて走る。

 しかし、コンタクターのファング達は恐れることを知らず、各々ニヤケ笑いすらこぼしていた。

「馬鹿の一つ覚えってか……」

『ふん……愚か極まりない連中だ……ヴァッシュ、お前は洞窟のアジトに突入しろ。外の雑魚に無駄な体力を使うよりも中の奴らに体力を消耗した方がまだ意味はある』

 ラグナデッタはオークの暴れ狂う様を見下ろしながらヴァッシュにアジトへの突入案を薦めた。

 無双劇に悪戯に体力を消耗するよりも主たる元凶を潰す事に体力を消耗させる……それは最もな事だ。

 ヴァッシュも納得と賛同の意思を示した言葉を飛ばした。

「確かにな……まともに全部相手してりゃ、日が暮れて日が上るぜ。っしっ!!ラグナデッタ、頼むぜ!!」

 ラグナデッタはオーク達の頭上をドンと滑空して一気にアジトの入口を目掛けて翔んだ。

 奥面のアジト入口付近へ突っ込むラグナデッタのその姿を地上から見届けたガロイアは、ニッと笑う。

「ラミアのお嬢さんとレバノイアの女性達はお前に一任するぜ……さぁ……こちとら更なる祭りだぜっ!!」

 クライスレイザーをかざし、その鋭利な切っ先を強調させながら構えると、ガロイアは猛スピードでオーク達に斬り込みの斬撃を与えた。
 
 その凄まじい衝撃を宿しながらオーク達を吹き飛ばして斬り裂く様は、ウェアウルフの誇りと力を体現していた。

 グライヴとゾルドタウラはラグナデッタの攻め様を見て、それに肖らんと攻めのホバーダッシュでオーク達をはね飛ばしては轢き潰し始めた。

 更にはグライヴが撃つブラスト・マグナランチャーとゾルドタウラが放つアルム・ランチャー、ブルスト・ファランクス、マギガ・カノン、ヘッドマグナムの砲撃も加えてオークの群れを次々に砕き散らす。
 
「はっはは!俺も一気にアジトに突っ込むぜっ!!送迎頼む、ゾルドタウラ!!」
 
『了解だっ!!おおおっっ!!』

 ファング達の猛撃は更に連鎖を重ねる。

 滑空したグリファリオが、シュトース・レールを連続かつ高速でオークの群れに浴びせ、連続粉砕させて見せる。

 その最中にニヒルガを魔力維持したニヒッド・スラッシュの斬撃も加わり、斬り込まれたオークが瞬く間に吹っ飛ばされていく。

『ルファント!!グライヴ達に続いて、お前も突っ込め!!外は任せろ!!』

「そうかい!!んじゃ、突破口頼むぜぇっ!!そんで可愛い子いたらアプローチしちゃおーぜ!!」

『相変わらずだな!!そらそらそらそらぁっっ!!』
 
 連続でニヒッド・スラッシュを食らわせると、グリファリオはニヒルガを解除してスライドしながら着地し、アジトに至る軸線上にストーム・ブラスタルのカマイタチ竜巻のブレスを放った。

 一直線に巻き進むストーム・ブラスタルが阻むオークの群れを斬撃を伴わせながら一掃して吹っ飛ばす。

 猛烈な風の渦に見えない無数の斬撃にオーク達は成す術はなかった。

そのすぐ向こうでも、レスタルとボルガノスがヴァーチェス・トラスターを繰り出しながらアジトを目指す。

 魔力の宿る轟々たる突きが、巨体による撥ね飛ばしが大量のオーク達をぶっ飛ばす。

 レスタルは凄まじい景色が目まぐるしく過ぎ去る中で、じっと視界をアジト入口に向けていた。

「強大な技一つで敵戦力を粉砕しながら本拠地に攻め入る……今の状況下には最適な攻め方だ。ボルガノス。俺が本拠地に突入した後は外を任せる」

『そのつもりだっ!!更に突っ込む!!』

 ボルガノスは更に地面を掴み跳ねながら速度を上げて文字のごとく突き進み、レスタルもアサルト・ブレッヘルを同時に食らわせながら、蔓延るオークを無双のままに駆逐する。

 そして、オークのアジトの入口を目前にした四人のファングの男達がそれぞれの契約モンスターから飛び降りる。

 グライヴとレスタルは、土煙を上げながら地面にブレーキをかけて減速するゾルドタウラとボルガノスから、ヴァッシュとルファントはギリギリの低空飛行をするラグナデッタとグリファリオから各々が持つ武装を手に地上に飛び降りた。

 そして、契約の相方を下ろしたそれぞれのモンスター達は、再びオークの駆逐へと赴く。

 ラグナデッタはUターンする軌道でドンと飛翔し、翼を唸らせるような羽ばたきでアジト入口付近から離脱。

 顎を開口しながら轟々と翼を羽ばたかせ、空からの優位かつ強力なブレス弾雨を連続で地上のオーク達目掛け浴びせ続けた。

 オーク達がブレス弾雨を前に次々に爆殺されて燃え砕けていく中、ラグナデッタは更にブレスを口内にチャージし始める。

 そのチャージを解き放つと、一発の大型ブレスがロプスディーネの砲撃と同レベルの爆発を巻き起こさせた。

 拡がる凄まじい炎と地震のごとき衝撃、爆発が着弾地点のオークを襲った。

 ゾルドタウラは土煙を上げながらホバーターンし、そこから重戦車然とした体躯を走行させながら両肩のマギガ・カノンの砲撃を慣行。

 魔弾の着弾地点のオーク達を一斉に爆砕して吹き飛ばした。

 グリファリオは地面を鋭い足爪で砕きながら助走をかけ、翼をはためかせながらオークの群れへと自ら突っ込んでニヒッド・スラッシュで一網打尽にする。

 そして、何体かを踏みつけながら群れに対して至近距離からのストーム・ブラスタルをぶちかまし、一気に群れを一掃した。

ボルガノスはその場からギガバットの翼をはためかせ、オークの群れ達に突入。

 一度上昇した後に一気に下降し、オークを直に踏み砕いた。

 間髪入れることなく、マギア・ナックルとマギア・クローの混合乱舞を見舞い、更にはマギア・シュートの魔弾を連続撃ちを繰り出して駆逐の限りを尽くす。

 そして、問答無用に胸部の魔導砲からヴァーチェスト・カノーネの大型魔弾を撃ち放ち、一直線上のオークを消滅破砕させた。

 今回の共闘依頼における強力な四大モンスター達の無双攻撃と共に、他の力強いファング達もまた己の力という力を乱闘然と攻めるオーク達にぶつける。

 並みいるオークに対し、地上に降りたスレッグとファルキアは同特性のフリズアルとホルスメントを振るい、打撃氷殺の乱舞を見舞い続け、時折防御から捌き上げて反撃を返す。

 その最中での二人の会話は、この期に及んでも余裕があることを醸し出させる。

「スレッグ……この数ですがっ……我々の……力を存分に……ぶつければ容易くなる……ものです!!」

「へへっ……!!魔法使って……凍らせたりも……いいけどさっ……やっぱ、近距離はっ……直接打撃に限るね!!」

「えぇっ!!ですがっ……やはり……魔法を撃ち込むに……越したことは……ありません!!」
 
 フリズアルとホルスメントを振るい薙ぎ払ってオーク達を氷殺させると、スレッグとファルキアは背中合わせになりながら息も合わせて連続魔法を発動させた。

「ブリザレインッ!!」

 空中より降り注ぐ無数の氷の矢。

「ブリザディバイダー!!」

 扇状に列を成して高速射撃される氷の矢。

「バーン・ブリザードッ!!」

 二人の視界上のオーク達に一斉に氷砕爆発が巻き起こった。

 スレッグとファルキアはニッと笑い合いながら再び迫ったオークに打撃氷殺して見せた。

 その向こうにグラビタルを振り回しながら獅子奮迅するアルゴと時折ナックルを食らわせながらガンバレットを撃つゴレアントの姿があった。

 唸るグラビタルの猛烈なる連続打撃や一撃必殺の叩き下ろし、打ち当て、打ち払いがオーク達を叩きのめし続ける中、アルゴが吠えるようにゴレアントへと語りかける。

「おおおっ!!ゴレアントォッ!!このっ……わからず屋のっ、肉の塊共ォっ……っによぉ!!もっと……強大なっ……一撃っ……かますぞっ!!」

『オオオオッ!!ムロンダッ、アルゴ!!フン!!』

 一体のオークを叩き潰すと、ゴレアントは両腕をかざし、マグナンティアの連続射撃を次々にオークの群れに浴びせた。

 連続打撃攻めをするアルゴの方面側や後方にも両腕を向け、彼の死角から迫るオーク達を連続射撃で撃ち仕留めて援護射撃する。

『マグナム・ド・ブレイカー!!』

 そして、ゴレアントはマグナム・ド・ブレイカーの連続撃ちを食らわせ始め、バズーカのごとき砲撃が二重、三重、四重と重なり、爆殺の嵐を巻き起こす。

 アルゴも魔力を解き放ちながらオークにグラビタルをぶち当て、連続打撃と爆破を食らわせて行き、次々にオークをぶっ飛ばし続ける。

「らぁああああっ!!グラン……クラッ……シャアアアアアアアアアッ!!」 

 その攻撃の最中に更なる魔力を上げてグラン・クラッシャーをぶちかまし、食らわせた地点のオーク達を一斉に爆砕・爆破して巻き上げて見せた。

  その轟音の中、レフェントが華麗なる高速な剣捌きで次々にオークを斬り伏せさせていく。

 フレイム・エレメントによる炎の魔法を宿した刀身による斬撃は、斬り伏せたオーク達を斬り口から炎を燃え上がらせる。

 言葉にならない断末魔がそれに比例して重なっていく。

「まだ尚……我々の力に屈伏しない……実に愚かだ……オークとは……!!」

 アックスを捌き弾いて薙ぎ斬り、流れるかのように袈裟斬り、逆袈裟、斬り上げ、唐竹と斬撃と捌きを組み合わせてオーク達を一掃させていく。

  その剣撃は最早レフェントの容姿も伴って、芸術と言ってもよい程だ。

 リザファイドもレフェントの戦闘の随所、随所からフレイム・ボマーを見舞い、彼の援護攻撃をする。

 乱舞を舞うレフェントの流れる連続剣撃は、一体のドモス級のオークに流れ着く。

 タンッと跳躍したレフェントは冷徹のようにも見えてしまう余裕の笑みを浮かべ、刹那的高速斬撃で頭部から叩き斬って見せた。

 燃え上がりながら崩れ落ちるオークの巨大の上を跳び越え、アルガイアが睨みを効かせながらオークの群れにエルスタークの切っ先を突き下ろす。

「おおおおおおおっ!!」

 一体のオークにその切っ先が突き刺さり、地面に叩き刺した瞬間に、凄まじき爆発と連続爆破の波が一直線に走る。

 アルガイアの技であるランダー・ウェーバーとスラッシュ・クエイクの混合技が炸裂したのだ。
 
 アルガイアはエルスタークを振り回しながら、半周分の薙ぎ斬撃を周囲のオーク達に見舞い食らわした。

「覇ぁあああああああっ……!!!」

 既にスラッシュ・クエイクの爆発斬撃が自ずと巻き起こり、一斉にオーク達を爆殺する。

「どんどん来るがいい!!俺の誇りを見せ食らわせて見せよう……!!笑止っ!!」

 後方から迫るオーク達に蹴り技を食らわせた後、ケンタウロスの俊敏性を活かし、他の迫ったオーク達を前脚で蹴り跳ばしながら駆け出した。

 この時点でオーク達は次々に撥ね飛ばされ、駆逐、よくて全身複雑骨折の大ダメージを与えていた。

「貴様達の終焉はここなのだと言うことっ……身を持って知れぇえええっっ!!」

 その攻撃の流れからアルガイアはダッシュ・パニッシャーを繰り出し、撥ね飛ばしと突き、爆殺を一直線に食らわしていった。

 地上の無双乱舞をレイディーンの背から見下ろしていたリバルトは、同じく上空にいるラグナデッタのブレス空爆戦法に目が止まり釘付けになっていた。

『おい!!リバルト!!お前も攻撃しろっっ!!』

 レイディーンに叱咤されたリバルトは、はっとなってスカイアローズを構え直す。

「いやいやー、いっけねー、いけねっ。ドラゴンのブレスに目が止まっちまった!!」

『俺に対するアテツケか?!ああっ?!』

「切れんな、切れんな……俺達の特性見せつけてやろうぜレイディーン!!」

 リバルトはスカイアローズの銃身に装備された魔導スコープを覗きながら地上のオークを空中から狙撃した。

 レイディーンの飛行速度に影響されることない、精密な狙撃がオークを撃ち仕留めていく。

 突風の矢とも言うべき風の魔弾が一点、一点に向かってピンポイントにターゲットを撃ち貫いて見せるリバルトの狙撃は確かになものだ。

 他のファングに比べ、地味ではあるが確実に仕留めていく様は正統なスナイパーだ。

 だが、コンタクターのファング故に、これだけに止まる筈がない。

 ある程度撃ち仕留めた後にリバルトはレイディーンに真骨頂を促す。

「さて……やっちまうかぁ……アレ!!」

『アレな……掴まってろよ!!いっくぜぇ……!!』

 レイディーンはそのまま一気に地上のオークを目掛け急降下を開始した。

 そして、魔力を宿らせたソニックブームの衝撃波、ソニック・スレイドを滑空しながら巻き起こす。

 食らわされたオーク達は地表諸ともぶっ飛ばされ、次々と空中に舞った。

 レイディーンは飛翔しながら旋回ターンの飛行をすると、その最中にリバルトは魔力を発動させ、スカイアローズからグレネード・ヴィントを撃ち放った。

 文字のごとき突風のグレネード弾がオーク達に炸裂し、一挙にぶっ飛ばした。

 リバルトはこの旋回飛行中にグレネード・ヴィントを三発放ってみせ、巧みな狙撃力と風の魔力を見事に体現した。

 再びソニック・スレイドを食らわせに滑空したレイディーンだが、その急降下中にリバルトはグレネード・ヴィントを食らわす。

『大した狙撃だっ!!』

「今更何言ってんだぁ?楽勝だってのーっ!!」

 リバルトの狙撃力に改めて見直した次の瞬間に、爆発的なソニック・レイドが再びオーク達をぶっ飛ばし舞い上がらせた。

 後方で無双乱舞が巻き起こる中、四人のコンタクター・ファングがそれぞれに揃い踏んでいた。

 居合わせた矢先にグライヴとルファントが口を開いた。

「これは奇遇だなぁ、みんなで攻め混もうって?って、ルファントもか!!」

「グライヴも考え一緒かー。もしかして囚われてる女性目当て?」

「なんだよ、お前も同じか!!」

「貴様ら、そんな下らん会話などするな。ここのオーク一味を駆逐し、囚われてる市民女性達を救出する……依頼を果たす。それ以外に何がある?」

「女の子にきょーみねーの~?真面目だねー」

「確かに真面目だなぁ……でもま、そーいう律儀な奴は嫌いじゃねーな。よろしく頼むぜ」

「ふん。依頼には忠実な姿勢でが基本中の基本だろ?ファングとしての自覚をもっと持つべきだと思えるがな」
 
 「所々ラフにがモットーなんでな、俺とこいつは……あ、一応コンビ組んでるもんで!」

「ご託はいいっ!!それぞれが邪魔になんねーように闘ってきゃいいんだ!!この中に助けなきゃあならねーラミアがいんだよっ……散々な悲劇味わってるラミアがな……!!」

 ヴァッシュはそう叫ぶとフェイタル・ウィングを担ぎながら猛烈なダッシュでアジトに単身で突っ込んでいった。

「もしかして……あのファングの兄ちゃんが一番女目当て?」

「知るか!!そんじゃま、おっ始めますかっ」

 グライヴとルファントは余裕の不敵笑みでマグナンティアとトラスティアルをジャキッと構える。

「どいつもこいつも……市民の救出をなんと捉えている?依頼を完遂させるだけだ。参る……!!」

 レスタルはガイヴォルクをかざし、鋭い眼差しでアジトの入口を見据え走り出した。

 熱く闘志を滾らせてオークのアジトに飛び込むヴァッシュの背に続くようにして、三人のコンタクター・ファング達もアジト内部に身を投じた。

 掘削されたオーク達の人工洞窟の壁には魔導エネルギーを利用したランプが規則的に並び、奥まで続いていた。

 大半のオーク達は外へと迎撃に向かった為、アジトの中は予想外にがら空きになっていた。

 通路の陰からいつ敵が来てもおかしくないシチュエーションだが、四人が駆け抜ける通路は次々に杞憂に終わっていく。

 だが、実質オーク一味の上層部のオーク達はアジトの奥地に残っており、迎撃を下の者達に任せていた。

 その中でも異様なまでに体躯が発達したドモスよりも大型のモヒカンヘアーの猪のような風貌のオークが、エルフの女性を無理矢理抱き寄せて酒に入り浸る。

 女性にとっては不快この上ないものだ。

「いやぁあああっ!!やめてぇぇっっ!!」

 「グビッししし!!可愛いなぁ……ぐふふふっ!!宴じゃ、宴じゃあ!!」

 エルフの女性の悲鳴が響く中、しばらく胸元に巨大な顔を埋めるコトに没頭し続けた後に直ぐに次の指名し、部下に命じた。

「よーし、次!!セイレーン!!」

「御意!!来い!!ガボルド様を満足させろ!!」

「ひっ……お願いッ、帰してっ!!気持ち悪いいっ!!」

「グギヒッ!!たまらんなぁ~!!何とでもいえお!!」

 エルフに続け、セイレーンに汚らわしい巨大な手を伸ばすそのオークこそがこのオークのアジトの主であり、今回の一連の元凶・ガボルドだった。

 全身にマナペプタンを投与し、肉という肉が魔力の塊になった強大かつ強力なオークだ。

  投与し過ぎたが故に、全身には逆立つように無数のトゲ状のイボが発症するまでの副作用に侵されて奇形になっていた。

「ガボルド様!!お取り込みの最中失礼しやすっ!!」

「貴様ぁ……宴を妨げるのか?」

「滅相もありやせん!!ですがっ……二つの緊急事態が発生しやしてっ!!」

「緊急事態だぁ?」
 
「へい!!最もお楽しみにされていたハーピーとラミアの小娘が他の亜人種と共に脱走しやした!!更に我々の大量の兵を突破したファングが四人が侵入!!残る警備戦力で迎撃するも……歯が立ちません!!」

  フィレナが助けたハーピーとシルフィードの少女、ウンディーネの女性達はこの間に牢獄の番人のオークに攻撃をかけていた。

 元々風と水を司る魔力を持った精霊であるシルフィードとウンディーネは、突風と水を発生させた魔法攻撃を発動させる。

 二人息を合わせてかざした掌の先の空間からは、突風と高圧水流が警備のオークに向かって放たれる。

 重要たる門番に通常のオークが担当していたが為に、彼女達の攻撃でも十分に圧倒できていた。

 戦闘慣れしていないフィレナは同じく戦闘経験ゼロのハーピーの少女をオーク側からかばうように守る。

 そして同じ頃、二手に別れたヴァッシュとルファント、グライヴとレスタルが、出会すオーク達を次々に斬り潰し、突き飛ばし、撃ち砕き、突き砕いて進撃する。

 本来相棒同士のグライヴとルファントの組み合わせな筈だが、この時「こういう時は新鮮な組み合わせで」のノリと勢いで今のメンバーで突入したのだ。

 無論、ヴァッシュとレスタルはそんなテンションではない。

 フィレナ達の救出、依頼の忠実な達成という概念が二人を突き進ませる。

 マグナンティアを単体にした銃捌き、乱舞するトラスティアルの槍捌き、同じく槍捌きの乱舞に加えた圧倒的破壊力を見せるガイボルグ、そして、巨大な刀身に竜の魔力の炎を宿して爆発的破断に破断を重ねるフェイタル・ウィングの破壊的剣撃。

 ドモス級と出会しても、更なる圧倒的攻撃を与えて駆逐する。

 グライヴは再びブラスト・マグナランチャーの砲撃を、ルファントはトラスティアルの切っ先から放つ破壊的突風魔法、ブラスタル・ウィンドを、レスタルは高速回転するガイヴォルクに魔力を込めたアサルト・ブレッヘルの一撃を食らわす。
 
 そして、ヴァッシュはアームズ・フレイムにバーン・フレイアを重ねて発動させ、一瞬の一振りの薙ぎで多数のオークを炎爆殺させてみせていた。

 二点同時の無双乱舞を展開させながら突入していくヴァッシュ達。

 欲望の宴を妨害された上に不覚たる不覚の報告に、ガボルドは怒りを露にした。

「何ぃ?!ぬぉおああああああっ!!やけくそじゃあああっ!!!」

 破れかぶれと言わんばかりに、セイレーンを無理やり掴んで舐め回す。

「ひっ?!いやいやいやいやっ!!いやぁああああああぁっ……キモイッッ!!キモイィ!!!」

「戦闘装備を用意しろ!!宴が終わるまでになぁ!!グシシシシッ!!」

「アイサー!!」

 ガボルドは部下に戦闘装備の準備を命じた。

 自らが戦闘に赴く意思表示だ。

 無論、戦闘だけではない。

 自らの手で脱出を図ったフィレナ達をその場でイイコトをする魂胆であった。

 更にガボルドは他の戦闘要員の要請命令も下した。

「それからだぁっ……ザビダ、レガボ、ゴルンの奴らにも捜索ついでに戦闘体制に移行しろと伝えとけっ!!」

「アイサー!!」

 ガボルドが命じたオーク達は皆このアジトのナンバー2の者達であった。

 ザビダは頭にバンダナを巻いた毛むくじゃらの大型オークであり、右腕に魔導グレネードランチャーを移植し、その腕と自らの目にマナペプタンを投与した狂戦士だ。

 レガボは腕のみを特化して強化した大型オークで、その豪腕とメイスを改造・大型化したバスターメイスを振り回す狂暴なオークである。

ゴルンは腕と胸部にマナペプタンを投与強化した大型オークであり、しゃくれ顎と牙が特徴的なオークだ。

 武器は左腕に移植された魔導チェーンソーであり、危険なオークだった。

 ガボルドからの命令を、耳に付け備えた魔導通信機器で受け、それぞれの狂戦士達は、武装を身に付けてアジト内部の捜索に踏み出していく。

 もしフィレナ達が先に出会してしまうことがあれば絶望的な状況下になるのは必至だ。

  そのフィレナ達は何とか幾人かの女性達の救出に成功し、手に入れた内部の地図を見て脱出に最適なルートを探る。

 手にしたその地図は現状の命綱だ。

「……とにかく、ここの主の部屋付近は極力避けて……このルートを迂回しながら……ここの牢獄室に廻りましょう!」

「うん……だけど、これ以上の人数で動くのはもう……!!」

 シルフィードの少女が、迂回して次の監獄を目指す提案をするが、既に十人の一般女性達も同行する形になっており、これ以上の救出は難しくなっていた事をフィレナは懸念する。

「確かにそうね……人数が多ければ行動においても重くなるし、戦闘の対処も難しくなるわね。なら二つに別れて先に脱出する組と捜索組に別れましょ?それぞれの組にあたしかあなたが付いて行動すれば、最悪なんとか戦闘に対応できる……」

 ウンディーネの女性は戦闘が可能な自分とシルフィードの何れかがアジトに残り、もう一方が脱出組に付いて最小限でも戦闘に対応できるように行動していく事を立案した。

 こうしている間にもいつ最悪なオークの狂戦士と出会すかわからない。

 洞窟内の不気味な空間もまた、迫る何かを感じさせてならなかった。

「……悩む時間は無い……行動しましょう!!あたしは……」

 フィレナが決意を言いかけたその時だった。

 一行がこれから行こうとしていた通路の方角から重い足音が近づく事に気づいた。

「え!?嘘っ?!」

「何?何?……え?!」

 救出した女性達もざわつき始める。

 ただのオークの足音ではない。

 迫る緊迫感と得たいの知れない恐怖に冷や汗を滲ませ始めたシルフィードの少女は、咄嗟の判断で一般女性達を連れ出し、別ルートを行き始めた。
 
「あたしに、あたしに付いてきて!!このメンバーで一回脱出する!!ラミアさんはハーピーちゃんを守って!!彼女は一番幼いから!!」

「う、うん!!」

「ラミアのお姉ちゃん……大丈夫だよね?助かるんだよね?」

 会ったばかりにも関わらず、妹のようにフィレナにしがみついてくるハーピーの少女。

 こんな絶望的不安感の中だからこそ頼りになる対象は心強いもの。

 ハーピーの少女からしてみれば今いるフィレナ達が最も頼りの存在だ。

「う、うん。魔法使えるお姉さん達もいるから、きっと大丈夫……うん、大丈夫……」

 フィレナ自身は頼りにされるプレッシャーも感じつつ、シルフィードの少女やウンディーネの女性に頼れる心強さを感じていた。

 互いに自己紹介すらしていないが、災害に見回れて孤立したかのような状況下の現状でそれは些末なことだった。

 とにかく今いるメンバーだけでも生きて脱出し、日常の世界に戻る事。

 特にフィレナは苛烈な非日常を味わい過ぎていたが故に、より一層その想いが強くなる。

  今は判断した道を進むしかない。

 シルフィードの少女は低空を浮かびながら前へ前へと薄暗い中を進んでいく。

 その時、彼女は嫌な風が背後から迫る感覚を感じた。

「っ!!さっきの!!みんな、急い……で……!?」

 シルフィードの少女は皆に急いで逃げる事を投げ掛けようとしたが、迫る嫌な感覚の風が急激に迫った。

 同時に地響きが迫る。

 明らかに人間大の大きさが放つ足音ではない。

 狂ったような息遣いで迫っていたのはオークの狂戦士の一人、ゴルン。

 アジト内部の強力なオークの中で、最も遭遇してはならないオークだった。

「がぶっひっ……逃げてる、逃げてる!!悲鳴を上げて逃げる女……たまらん……!!ガルルァアアアアアアアア!!」

 狂った眼をグワッと見開き、腕に移植された魔導チェーンソーを唸らせながら吠えるゴルン。

「きゃああああああああっ!!」

 逃げる後尾の一般女性達はパニックになり、我先にと走り出す。

「いけないっ!!パニックになっては更なる危険がっ……!!ウンディーネさん!!足止めでもいいから私達で攻撃をかけましょう!!」

「えぇっ!!」

 シルフィードの少女はウンディーネの女性に呼び掛けながら、逃げる女性達に当たらないようにすり抜け、ゴルンが迫る方へと手をかざした。

 「くっ……さっきみたいに、いえっ!!さっき以上の力であたしの水と風の魔法を……!!」

 二人は直ぐ様、風と水の攻撃魔法を見舞う。

 かざした手の空間から魔力を上昇させた突風と高圧水流が放たれ、迫るゴルンに直撃する。

 うねり進む風と水の二重奏は通常のオークであればおよそ100メートルの距離まで吹っ飛ばす威力だった。

 だが、その威力の直撃を受けた筈のゴルンは、全く平然としており、魔導チェーンソーを振るいながら両端の壁を破壊して突き進む。

 砕け散る外壁が押し迫る最中でも、彼女達は必死の想いで魔法攻撃を連発式に切り換えて繰り返した。

 だが、幾度も与える魔法攻撃も、マナペプタンにより強化した身体には全く効果がない。

 その反則的な防御力の前に圧倒され、遂には目前にまで攻められてしまう。

 時間稼ぎにも成るか成らないかの中、咄嗟の判断で横路地に免れるウンディーネの姿がゴルンの視界に捉えてしまう。

 ゴルンはさぞ嬉しそうにして、その路地の壁を魔導チェーンソーを振るわせて砕き散らす。

「グヒヒヒハッ!!キャーキャー逃げる女達を恐怖に浸らせるのも好きだが、そうやって必死で逃げる特定の美しい奴を追い詰めていく……!!正にオレの趣味醍醐味だぁっ!!」

 ゴルンはウンディーネに目を付け、彼女が逃れた路地を破壊して進撃し始めた。

 シルフィードの少女も成す術がなく、薄暗い空間で起こる事態を見続けるしかなかった。

「くっ……何もっ、何もできないなんてっ……は?!」

 その時、何かに出会したかのような多重の悲鳴がフィレナ達が逃れた方から木霊した。

「まさか今みたいな類いのオーク?!うっ……あのコ達だけじゃ危険過ぎる……ウンディーネさん、何とか生き延びてっ……!!」

 シルフィードの少女は苦渋の決断で先にいるフィレナ達の危機に向かった。

 フィレナ達の正面からはザビダが迫っていた。

 悲鳴を上げながら再び来た道を戻ろうとする女性陣達に向け、移植した魔導グレネードランチャーの銃口を向ける。

 彼もまた命を弄ぶ類いのオークだった。

 牙を見せながらニヤケて呟く。

「グフッ……!!グフフフフッ!!ラミアとハーピーはボスのご指名だからな……他は趣味に浸らせてオッケーだぜっ……!!」

 次の瞬間、ザビダは魔導グレネードランチャーを抵抗すらもできずに逃げる女性達に向けて撃ち放った。

 凄まじい爆発が巻き起こり、それによる粉塵が巻き起こる。

 女性達の叫び声が多重に響く中、ザビダは何発も発射し、通路上の道や外壁も巻き添えにして破壊に浸る。

「ブグルハァッ!!たまらねーんじゃあっ!!恐怖に浸らせるこの魔導グレネードと悲鳴のコラボ!!中れば確実に死ぬヤツを絶妙かつ巧みに撃ってギリギリの一線を生きるスリル味わせるんだよぉ!!」

 爆発の中に聞こえた悲鳴はフィレナとハーピーの少女、数人の女性の叫びだ。

 更にこの時、フィレナの近くにいた一般女性達に砲弾が直撃し爆発を巻き上げ、同時に大量の岩瓦礫が砕け散る。

 瓦礫が降り散乱する中、フィレナ達にも砲撃と瓦礫が迫った。

 その砲撃の恐怖の中、フィレナは深層心理に生きたい気持ちが在ったことを感じながらハーピーの少女を抱き締める。

 その時、シルフィードの少女が彼女達の前に舞い降り、全霊をかけた風の魔法を放って降り注ぐ瓦礫を一斉に吹き飛ばした。

 この風魔法を受けたゴルンは、少しばかりだが進撃する足を止めるような行動をした。

 シルフィードの少女は今の風魔法を使った事によりかなりの魔力を消費しており、息遣いを激しくさせていた。

「シルフちゃんっ!!」

「はぁ、はぁ、はぁはぁ……っく!!はぁ、はぁ、はぁ……!!早く逃げてください!!ここは私に任せ……っ!!」

 シルフィードの少女がフィレナに叫びかけていた矢先に、魔導グレネード弾が彼女に撃ち込まれた。

 彼女は間一髪でそれをかわすと、これ以上はあたしの力で庇いきれないという意思表示の眼差しをフィレナに送った。

 フィレナは頭から痛烈な何かが刺さるかのような悲しさを感じ取った。 

 死ぬかも知れない危険地帯が巻き起こり、救出した女性は再びバラバラにはぐれてしまう。

 ハーピーの少女をきゅっと抱き締めた後、慣れない蛇の身体を使い、全力でその場を離れた。

 ハーピーの少女もまた、離れていくシルフィードの少女の後ろ姿から哀しげな何かを感じて呟く。 
 
「シルフのお姉ちゃん……」

「……っきっと……きっとまた再会できるからっ……大丈夫だからっ……!!」

 フィレナはハーピーの少女と自らに言い聞かせ、新たに確認した路地に入った。

 かつて感じた事がない後ろめたさがフィレナに纏わりつく。

 結局現状で助かる見込みは自分とハーピーの少女。

 助けた筈の女性達の命の危機に晒されていく。

 皮肉なバタフライ効果だった。

 蝶が羽ばたけば嵐が起こる。

 フィレナは捕らわれた他の女性達を助けようとしたその善意だった筈の行動が、彼女達の命を危険に晒した挙げ句に、危険な橋へ追いやってしまったのだ。

 よかれと、それも極限の状況下のよかれと思った善意の行動が皮肉に皮肉を呼ぶ有り様となったのだ。

 フィレナは進むにつれて罪悪感に充たされていき、自身を再びネガティブに追いやり始めた。

 先ほどシルフィードの少女とウンディーネの女性に癒されたものが瞬く間に逆退行していくのを感じていた。

 これも呪いの中で、赤ちゃんの命を奪って来た罪の制裁なのか?

 見舞われ過ぎる悲惨な運命にフィレナ自身は、呆れと哀しみ、諦めを混ぜた感情でハーピーの少女に囁いた。

「あなた……だけでも助かって……」

「え!?お姉ちゃん……?」

「私が……助けようなんて……しなければみんな生きていたかもしれない……それか私自身がみんなを不幸にさせてるのかもしれない。あなただけでも……助かって……ね?」

「お姉ちゃん、さっきは大丈夫だって……!!」

 フィレナは確実に大型オークが入れない、通常のオークが出入りするような、否、人が出入りするような空間である事に気づいた。
 
 なんとなく感覚でこの先には絶望的な空間があると覚る。

「だめ……これ以上は頼れるお姉ちゃんになれないよ……ごめんね……ごめんねっ……!!」

「そんな事ない!!今だってお姉ちゃんが居てくれるから、心強いんだよ!!」

「ほんとに……無理っ……無理なのっ……!!」

 遂にフィレナは張り詰めがこと切れ泣き崩れていく。

 「あたしはっ、お姉ちゃんと一緒に出たい!!じゃなきゃっ……じゃなきゃっ、一人ぼっちにまたなっちゃう……!!」

 フィレナはハーピーの少女のその天涯孤独を察する言葉に、痛烈な感情を抱かせずにはいられなかった。

 だがフィレナの追い詰められた精神がネガティブを起こす。

「なら……尚更私から離れて!!死んじゃうわよ!?現に、私は……みんなを死なせて……!!」

「そんな事まだわかんないよ!!」

「……っ!!」

 フィレナは絶句しながら前に進み出した。

 この先に感じる絶望的な状況に自らを投げ入れ、自身の全てを終わらせようとしていた。

「お姉ちゃん!!」

 ハーピーの少女はそれでもフィレナの腕に飛び付いて離さない。

 フィレナはハーピーの少女にしがみ着かれたまま前に前に進み続けていく。

 フィレナの頭の中はすでに滅裂なまでにぐしゃぐしゃになっていた。

「……っぃあっ……いゃああっっ!!」

「っ!!声?!」

 その時、フィレナとハーピーの少女は、前の方から悲鳴のような声が聞こえて来る事に気づいた。

 ずっと叫び続けている声だ。

 状況に変化が生じ、フィレナとハーピーの少女は無言になり、前進を続けていく。

 次第に近づくにつれそれは確実に悲鳴と判った。 

 薄暗い通路の空間の床から光が出ている。

 それは金網式の床であり、その先は行き止まりだった。

「っ……!!」

「えっ……!?」

  ハーピーの少女は金網の音を立てながらへたり込んでしまう。

 その音はガボルドにも気づかれてしまった。

「ぬぅっ?!グフッ、誰だぁあ!?」

 ガボルドは岩壁にあるレバー型の装置を引き下げ、フィレナとハーピーの少女が乗っていた金網を開放させる。

「……!!」

 力が抜けたハーピーの少女は飛ぶ事もできずに、フィレナは放心状態に陥って巨大なベッドへと落ちてしまう。

 あってはならない、起こってはならない事態が彼女達を襲った。 

「うっ……くっ……!!あぁ……!!」

 フィレナはベッドに落ちる際に、ラミアの身体の重みから自身にダメージを受けてしまっていた。

 痛みに耐えながら見上げたフィレナは絶句するしかなくなる。

「グヒヒヒハッ!!グヒヒヒハッハー!!まさかそっちから戻ってきてくれようとはなぁ!!グフッグフッフフフ……いや、結構、結構……!!」

 表情を合わせてしまったガボルドは、実に愉快と言わんばかりににやけている。

 直ぐ様散々はべらせていたエルフとセイレーンの女性達を追いやり、ガボルドはフィレナとハーピーの少女に欲を向けた。

 汚れに汚れた顔の上に雨のような涎も落ち、生理的に最悪なモノしか覚えられない。

「喜べ!!俺様がお前達を最も指定していたのだ!!特にラミアをなぁ!!どぉれ……まずはハーピーから……!!」

 ベッドに落ちて放心状態のハーピーの少女に汚れ極まりない手が迫る。

 不の極限から抵抗もできずに放心状態から抜け出せないハーピーの少女は、飛ぶことすらできずにガボルドに身を委ねざるを得ない。

 フィレナは咄嗟にハーピーの少女を抱き締めて庇う。

 見るからに純心な彼女をこんな最悪な状態のモノに汚されるのは、同じ女性としても耐えきれるものではない。

「ダメっ!!絶対にダメっっ!!このコはだけは
絶対にっ!!あなた、あたしが欲しいんでしょ!?あたしが!!」

 フィレナは気づけばハーピーの少女を守る為、自らの身をガボルドに差し出そうと行動していた。

 先ほどの悲観的概念や感情はどこかにすっ飛んでいたのだ。

 すると、ハーピーの少女はきゅっとフィレナを抱き返す仕草をして呟いた。

「こ……こわい……こわいよ……こわいっ!!」

 怯える彼女のその呟きに悲痛さを感じてならない。

 こんな絶望的な空間で起こる期待は奇跡を望むしかなかった。

 ガボルドはにやけながらフィレナの両肩を急激に巨大な手でガッチリと掴み、顔を胸に渦ませながら狂ったように彼女を舐め始めた。

 「ブグルルルルルルルハァッ、ブシュルルルグブフ……ハーっ!!グヒヒヒハッ、モノわかりいーじゃねーかっ!!ラミアちゃん?!ブシュルルルグブっ!!」

「いやぁあぁっ!!うっ……!!」
 
「ハー、ハー、ハー……存分に味わい尽くしてやる……!!」

 死ぬような屈辱的状態の中、フィレナは蛇の身体をガボルドに巻き付けて倒す事を思いつき、ガボルドを睨みながら蛇の身体を素早く動かした。

 シュルルルとガボルドの首にフィレナの蛇の身体が巻き付けられ一気に締め上げる。 

「お願いだから……やめて!!誰があなたのような汚らわしいオークに……!!いっそ、死んでっ!!!」

 フィレナは全身全霊の力でガボルドをギリギリと締め付けていく。

 その力は、初めてオークに抵抗した時以上の力を振り絞っていた。

 通常の人間ならば全身の骨を潰すに及ぶ力だ。

 だが、その強力なラミア・ホールミーはマナペプタンで全身強化したガボルドにとっては些末なダメージに過ぎなかった。

「生意気だな……!!ふん!!!」

 逆にガボルドはフィレナの蛇の身体を握り潰した。

「きゃあああああああっっっ!!!」

 屈辱かつ卑猥な空気が漂う空間にフィレナの悲鳴が響き渡る。
 
「抵抗しても無駄だっ!!が、抵抗してくれた方が犯し甲斐があるってもんだっ!!ガバッガガガ!!!」

 ガボルドは握り締めたフィレナの蛇の身体を無理矢理引き離すと、フィレナの胸に再度巨大な顔を埋めながらベッドに食い込ませた。

「ああうぅっ……はうくぅっ!!イヤああああああぁっっっ、あああああああっ!!」

 握り潰された尾から来る強烈な激痛と、ガボルドが押し付けた汚らわしい舌による、死に等しい舐め回しの屈辱がフィレナに重く襲いかかる。

 悶えもがいて抵抗するも、大型の顔ごとベッドに食い込まされては最早意味を成さない。

「グブフルルルルグブフ!!はっはっー!!もーたまらんのー!!」

「やぁあああああっ!!ハーピーちゃん、逃げてっ、逃げてぇえぇえっ!!」

 フィレナはガボルドに無意味とわかりながら激しく身体を揺らして抵抗しつつも、ハーピーの少女に逃げるように泣き叫ぶ。

 だが、衝撃的な光景を目の当たりにしてしまったハーピーの少女は、放心状態になり続けるしかなくなっていた。

「逃がすわけなかろー!!ぐふっ!!」
 
 ガボルドは放心状態が続くハーピーの少女の脚を握りしめたままフィレナへ直にのしかかり、その重圧もまた重苦しく痛い。

 フィレナの表情は恐怖と涙に支配され、滅茶苦茶になっていた。

「ブグルハァッ!!その顔、いいなぁ!!」

 次の瞬間、次の瞬間にどうされるかもわからない死にも値する絶望がフィレナを襲う。

 その刹那、フィレナは強く瞳を瞑り、どう行動しているかわからないヴァッシュの助けを願った。

 最早、そうすることでしか希望を見出だせなかった。




(ヴァッシュさんっ……!!!)




 恐怖、屈辱、痛み……がんじ絡めの想いの間でフィレナの心がヴァッシュの名を叫んだその瞬間。




 ドォオオオオンッッ!!!

 


 ガボルドの後方で、爆発したかのような衝撃音と共に、岩壁が濁流のような凄まじさで吹き飛んだ。

 その砕け散る岩壁の中には先ほどの側近のオークや警備のオークが混じってぶっ飛ばされている。

「なっ?!!」

 ガボルドが振り返った先には、刀身を燃え滾らせたフェイタル・ウィングを振るい切ったヴァッシュとトラスティアルを突き出したルファントの姿があった。

「なんか、だだっ広いトコでちまいましたねー!!」

「……大方、主犯たるオークの連中の大ボスの部屋だろう……」

 ルファントは陽気な表情で軽くトラスティアルを振り回した後に切っ先を下に向けて構え、ヴァッシュは振るい切ったフェイタル・ウィングをゆっくりと肩に担ぎながらガボルドの方を見た。

 心なしか、その会話はわざとらしくも聞こえてくる雰囲気を出していた。

「ほらな……居やがった」

「ニヒヒ!」

 ヴァッシュは鋭い眼光を維持したまま、ルファントは意気揚々とした雰囲気のまま、並みならぬ何かでガボルドを威圧する。

「な……!!?なんだっっ?!!まさかっ……貴様らがっ!!?グルグゥ!!!」

 ガボルドは情事を止め、身体を起こした。

 自身の身体に染み付いた魔力を介して、二人がただならぬファングだと瞬時に察した。

「ヴァッシュ……なのっ……!!?」

 フィレナは自身の心中の想いと同時にヴァッシュが現れたシチュエーションに、嬉しさや驚き、はたまた疑いを覚えざるを得なかった。

 だが、結局は感激に行着き、きゅっと瞳を強く閉じてその感情の涙を流した。

「ヴァッシュ……っうっ……ヴァッシュ……っ!!!」

「フィッ……レナ!!?……っっっ!!!!」

 この時、ヴァッシュはガボルドに押し付けられていた女性がフィレナだと初めて認識する。

 その刹那、眼を血走らせながら内なる感情が竜の滾る炎のように一触即発。

 連動するかのようにヴァッシュの身体からオーラ・フレイムの炎が爆発した。

 ヴァッシュは無言のまま研ぎ澄まされた鋭利な殺気と猛る炎の眼光を、そして炎を滾らせるフェイタル・ウィングの切っ先をガボルドへと突きかざした。


 
 続く


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