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306 助けてください(王子視点)
しおりを挟む「――なっ!? 酷いぞ! お前はちゃんと僕のお悩み相談に乗る気があるのか!? ずっと眠りについていたんだから、少しくらい真剣に僕の相談に乗ってくれてもいいじゃないか!」
頭にきた僕は闇堕ち竜からビーズクッションを取り上げて、その上にポスンと座ってやった。
ああ、やっぱりこのダメになりそうな感触は座り心地がいいな。といっても、召喚主の部屋にあった大きめのビーズクッションはもっと座り心地がいいけれど。……ぐすっ。
「はあ……つまりは、二度と呼んでもらえないかもと不安なだけだろう?」
「そうだ! だって、召喚主が急に僕を呼んでくれなくなるなんておかしいじゃないか! もう、一週間も音沙汰がないんだぞ! 風呂とトイレ以外、魔法陣から目を離さないようにしているのに! 食事中だって、目線は魔法陣に固定しているんだ! なのに、ちっとも反応がなくて!! ……きっと、召喚主を怒らせてしまったに違いないんだ。帰って欲しそうな空気を読まなかった自覚はあるからな。実際、帰れって何度も言われたし。でも、帰りたくなかったんだから仕方がないじゃないか! なあ、僕はどうしたらいい? どうしたら召喚主に許してもらえる? どうしたらもう一度呼んでもらえると思う!??」
矢継ぎ早に質問した僕をチラリと見て、闇落ち竜は深いため息をつく。
「……だったら、完全にお前の自業自得だろうが。まあ、話を聞いている限り、そこまで怒っているとも思えないがな。何か、呼ばれなくなったことに心当たりはないのか?」
「え。怒らせた以外に? 鈴木さんが召喚主だったときに召喚が途絶えるのは、たいていソレが原因だったのだが……」
「…それは何というか……。お前も自分でソレが解っているのならやめておけばいいのに……。とにかく、こちらから連絡が取れない以上、考えられることを片っ端からつぶしていくしかあるまい?」
「なるほど。……そういえば、初めに召喚がなかった日にこれはおかしいと思って、その辺をピカピカしていた精霊に頼んで召喚主の様子を見に行ってもらったんだよ。ほら、あいつらは神聖な存在だから、僕みたいにわざわざ魔法陣を使わなくたって、自由に行ったり来たり出来るだろう? そしたら見に行ってはくれたんだけどさ。トン・トン・トン・ツー・ツー・ツー・トン・トン・トンって妙な間合いでピカピカするばかりで何を言っているかちっとも分からなかったんだ。仕方なく首を傾げていたら、そのうち飽きたのかプンスカしながらどこかに行ってしまった。まったく、やはり精霊というのはいざという時に頼りにならないな」
「…それはもしや……。ま、まあ、いいか。別に問題は無かろう。召喚主だったか? あの娘も毎日元気に出かけていたからな」
「――――は?」
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