21 / 28
21 運命の分かれ道
しおりを挟む「すごいですわ! すごいですわ! 今日お会いした王太子殿下の側近の方に、お義姉様にお付き合いしている方はいるかを聞かれましたの。王太子殿下にはまだご婚約者がいらっしゃいませんし、これは、ひょっとしたらひょっとするのではないかしら? お義姉様が未来の王太子妃……なんて。キャー♡ そうなったらすごいですわ! すごいですわ、すごいですわぁ~♪♪」
義妹が本日打ち合わせ予定だった最新のエッセイ本の原稿を抱え、くるくると楽しそうに回っている。いつもより回転が多い。義妹の望みが叶っている絶好調の合図だ。
え……いや、まさか。ないわよね!? そんな面ど…恐れ多い。
あ! ほら、大丈夫よ! 私には『あの資格』があるし……周りから婚約を忌避される……婚約破棄、の……。だからもしそんなことになっても、貴族が……国民が……民意、が。反対をしてくれる…………はず……。
「…………」
今や一家に一冊とか言われている義妹の本。
最新作に……何を書いているんだろう? と、くるくる回る義妹を目で追えば。
大事そうに持っている原稿用紙から『すごい』とか『さすが』とか『お義姉様』とかいう文字が大量に見えますが……。
義妹はまだ回っている。
ダメだ。もう、本当に嫌な予感しかしない。
落ち着いて。大丈夫よ。時間はかかったが義妹の『ずるい』も何とか解決できたのだ。選択さえ間違えなければ今回もちゃんと乗り切れるはず。
考えろ。
どうすれば大嫌いな面倒ごとを避けられるか?
どうすれば大好きなのんびりとした生活を手に入れられるか?
どうすれば――私が、みんなが幸せになれるのか?
公爵令息か。
高位の魔法使いか。
王太子殿下か。
私が出した結論は――。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
499
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる