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13 断罪される王太子
しおりを挟むそれを見て明らかに状況が悪くなっているのを感じた王太子は、声を張り上げ逆切れする。
「ハミング! お前は卑怯にも僕達を陥れるために、大事な魔道具の紛失を黙っていたのか!?」
「いえ……王太子殿下。私にはそのようなつもりはございませんわ。そもそもあのような『音』が発生してしまう以上、消音魔道具の紛失を隠し通すことは不可能です。もちろん王宮にはすぐに紛失を届け出て、国王陛下にも直接お会いして謝罪をいたしました。国王陛下からは『こちらで探せるから気にせずともよい』と寛大なお言葉をかけていただきました。国王陛下。あのとき御迷惑をおかけしてしまいましたこと、改めてお詫び申し上げます」
その場で深々と頭を下げるハミング。
「よい。頭をあげよ。そなたは何も悪くない。悪いのは全て手癖の悪い嘘つきな泥棒と、それに騙された愚かな息子だ。あの魔道具は一見するとただの高価な指輪にしか見えぬし、学園から持ち出した形跡もないことから、この卒業パーティーで見つかる可能性もあるやも知れぬ……と思ってはいたが。まさか、このような事態になろうとは。そもそも、このような場所での婚約破棄騒動など――到底許せるものではない。親として情けない限りだ。もちろんこのままにはせぬし、二人には責任をとらせるつもりだ。そうだな…『噓つきは国外追放』――だったか」
「な……! ち、父上! 冗談ですよね!? 僕はこの国の王太子ですよ!?」
「それがどうした。ハミング嬢に罪を着せたときに、お前自身が言い出した事だろう? なーに、心配せずとも追放する前に、王太子の任は解いてやる。弟王子に優秀な従兄弟、お前の代わりはいくらでもいるからな」
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