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18 ずっと伝えられなかった思い

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「……でも、私は自分の子供に自分がされて嫌だったことはしたくないわ。というか、誰であっても嫌な思いはさせたくない。だからこそ、番を諦めるまでは誰とも付き合うつもりはなかったのだし」

 ファンゲンは私の頬を。そして、耳を優しく撫でる。妙な緊張はあるが、痛みは感じない。


「それでいいと思うよ。それでこそ僕の大好きなラシーヌだ」


 優しく優しく語りかけて、両手で私を抱き寄せる。
 心と身体が暖かい。


 彼への愛しさでいっぱいになるけれど。

 丁寧な説明を聞いたことにより、愛しさを感じた分だけ彼との将来への不安を感じてしまう。


「でも、どうするの? 私、ファンゲンと別れたくなんてないわ。一度別れて他の人とお付き合いするのも嫌。貴方が番だと分かって、ようやくなんの憂いもなく思いを告げられるようになったのに」


 小さい頃から一緒だったファンゲン。


 頭が良くて。
 優しくて。


 恋人のふりを頼むほどに信頼していた。大好きだけど、ローに対してはそんな事考えもしなかった。フリでもなんでも、恋人になってもいいと思えたのはファンゲンだけ。

 大好きで大好きで信用していて、ようやくそういった意味でも大好きよって言っていい関係になれたのに――。


「……それなのに、嘘でも他の人に好きなんて言えない……って、ファンゲン?」


 気が付けば。真っ赤になっている幼馴染に首を傾げる。体を離すのに、彼の胸にあてた手がやたらと早い振動を拾う。


「……それは、ラシーヌから僕への愛の告白と受け取っていいのかな? 君は、付き合っているフリをしているときも、僕のことは大好き大好きって言っていたけど」

「それは……だって、もし別の人が番だったら、大好きな貴方に嫌な思いをさせるから、迂闊に『愛している』なんて言えなかった……んんっ」

 彼の口が、続きの言葉を奪う。……というか、ファーストキスを奪われた。え、ヤダ、どうしよう……あ、でも婚約者になったから、もう、いいのかな? あれ? でも、番だったらお母様に無理やり別れさせられちゃう……でも、別れたくないし……。

 あ、苦しい……?




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