◆青海くんを振り向かせたいっ〜水野泉の恋愛事情

青海

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青海くんの風邪

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 翌朝、少し早めにベッドから出る。
 昨日は、思い出すたびに恥ずかしくなり、あまり眠れなかった。
 

 昨日の夜ご飯はあまり準備する時間が無かったので結局簡単に済ませてしまった。

 恥ずかしくて青海くんの顔が見れずに、青海くんも同じだったようで真っ赤な顔でぎこちなく話しかけてくれはしたがお互い気まずかった。

 ……見苦しいもの見せちゃったな……
 青海くんに謝ろうと思ったのだが、食事を終えた青海くんはさっさと部屋に戻ってしまい話ができなかった。

 

 ……今日は朝一番で青海くんに謝って、もう忘れよう。

 そう思いながらキッチンに降りる。

 幸いなことに今日は土曜だったので学校は休み、昨日の晩は眠れなかったが今日はゆっくりできるから後で少し寝よう。

 そう思いながら朝食を作る。
 そろそろみんな起きてくる頃だろう。
 ソーセージに卵を焼いて、スープを添える。

 「おはよう泉、透はまだか……」
 真実が眠そうな顔で降りてくる。
 「うん、青海くんまだ寝てるのかな……」
 椅子に座った真実に温かいコーヒーを渡す。
 「まあ今日学校休みだしなあ。まあでも先にメシだけでも食わせないと片付かないし、起こしてくるよ」
 真実はコーヒーを飲むと再び立ち上がった。
 「……うん、お願い」
 青海くんのカップを眺める。
 ……嫌われちゃってないよね……?

 

 ★


 
 やっぱり気になってしまい青海くんの部屋まで着いてきてしまった。
 
 「おい、気になるんなら泉も入ってこいよ」
 真実に声を掛けられておずおずと青海くんの部屋に入る。
 「青海くん……」
 青海くんはまだベッドに寝ていたが私の顔を見るなり真っ赤になり起き上がったが、不意に鼻血を出した。

 「あっ……また……」
 慌てたようにティッシュを鼻に押し当てた青海くんは再びベッドに寝転がる。
 「んっ……ごめん、今日はこのまま寝かせておいて。オレは大丈夫だから……」
 青海くんはそう言いながら目を閉じた。
 
 「まあ1日くらい飯食わなくったって死ぬわけじゃああるまいし今日は寝かせておいてやろうぜ。なっ?」
 真実にそう押し切られて部屋を出される。
 
 

 まあ大丈夫そうだったからいいか。
 そう思えたのはそれから一時間ほど経ってからだった。
 真実はそのまま青海くんの部屋に残ったので私は1人で朝食を済ませる。

 青海くんの分の朝食を冷蔵庫にしまって温かいミルクを飲んでいるとやっと真実が青海くんの部屋から戻ってきた。

 しかし真実の表情は暗い。
 「真実、どうかしたの?」
 「……透風邪ひいて熱がある」
 真実はそう言いながら家の薬箱を出して中を漁り始めた。
 「えっ、それじゃあ……」
 「あ、いや熱は大したことないんだ。ただ熱が出てることに気づいてなかった……というか今まで病院自体にかかってないみたいだぞ?アイツ……」
 ……?
 
 「今までに3度……施設に引き取られた時と今の親元に来た時、それからこの前頭打った時に検査したぐらいしか病院に行った記憶はないらしい。まあ透を今保護してくれてる人たちは普通に優しそうだったから……その必要が無かったからかかっていなかったんだろう」
 真実は薬箱から風邪薬を取った。
 「ただなあ、その前までは身体が動かなくなった時は押し入れの中でひたすら寝てたって言ってたから……」
 真実はそれ以上は何も言わずにグラスとペットボトルの水を手に取った。
 「そりゃあそうだよなあ。透にあんな仕打ちをした奴らが病院なんかに連れて行くはずないしな……」
 真実はそれ以上は何も言わずに佇んでいた。

 「真実ってば薬飲ませるんならその前に何か食べさせないと……ごはんお粥とかの方がいいね」
 私はなんとか涙を堪えてお粥を作る準備を始める。
 「ああ、悪いな……」
 真実は気が抜けたように椅子に座った。
 
 お米を煮ながら青海くんの赤い顔を思い出す。
 小さい頃……青海くんは一人ぼっちで耐えてたんだなあ……
 暗い押し入れで丸まって眠る青海くんの姿を想像してしまう。
 ……怖くて、心細かっただろう。
 小さな青海くんを想像すると胸が痛んだ。

 
 真実と交代で青海くんの看病をする。
 熱でうなされる青海くんを起こしてご飯を食べさせて、薬を飲ませる。
 
 「青海くん、少しでも飲んで?」
 熱で頭が朦朧としているのかぼんやりと私を見つめた青海くん。
 すりおろしたりんごジュースを口に含ませてあげると赤い顔で青海くんが笑う。
 「水野さん本当……お母さんみたいだね」
 
 そう言うと再び眠り始めてしまった。
 ……青海くん……可愛い……
 何だか胸がきゅんとしてしまった。
 ドキドキしながら青海くんを寝かせて毛布を掛ける。
 
 今日は何もする予定も無かったので青海くんの部屋に毛布を持ち込んで床に敷く。
 青海くんが眠っているベッドのそばに座り込んで、本を読む事にした。

 
 



 「んっ……ごめんなさい……」

 青海くんの声で目を覚ます。
 いつの間にかに眠っていたようだった。
 「青海くん?」
 起き上がってベッドの脇に移動する。
 ……青海くん、うなされているようだ。
 涙を流しながらうなされている青海くん。
 頭を庇うように腕を曲げて、声を漏らす。
 ……起こしてあげたほうがいいだろうか?
 
 「青海くん、青海くん……」
 そっと肩を揺するが中々起きそうにない。
 「んっ……助けてっ……」
 青海くんはなおもうなされて続ける。

 「泉、透大丈夫か?」
 真実が部屋に入ってくる。
 青海くんが泣きながらうなされる姿を見た真実は激しく青海くんを揺すった。
 「おい!透起きろっ!!」
 「へっ……」
 青海くんはハッとしたように目を覚ますが熱のせいで視界が定まらないようだ。
 赤い顔でぼんやりと私たちを見た青海くん。
 「母さん、父さん……どうしてオレのこと置いて行ったんだよ……」
 そう言って再び目を閉じた青海くんは涙を流す。
 「1人は……もう……いやだ……」
 
 青海くんは再び眠り始めてしまったが、私たちはその場から動けずにいた。

 青海くん……今までずっと……辛かったんだろうな。
 
 「莫迦だな。もう1人になんてしてやるかよ」
 隣で真実が呟く声が聞こえた。
 真実は青海くんの頭を撫で始めると鼻を啜った。
 見なくたってわかる。
 真実も多分泣いているのだ。
 
 「そろそろ夕飯の準備してくるね……」
 真実にそう告げて青海くんの部屋を出る。
 そっと涙を拭きながらキッチンに向かった。

 
 


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