◆青海くんを振り向かせたいっ〜水野泉の恋愛事情

青海

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山の夜の夢…

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 「水野さんと真実はケンカとかしないの?」

 青海くんに背中を抱かれていたので温かった。

 「うん、最後の喧嘩したのは小学生の時かな。真実ったら私に内緒でお父さんと……」

 そう言いかけてハッとする。
 
 こんな話……青海くんにとっては……辛くなってしまうのではないか?

 青海くんは私を抱いたまま木の枝を炎に焚べる。

 焚き火と青海くんのおかげで身体が温まり始めると今度は捻った足が痛み始める。

 「少し冷やそうか」

 青海くんは濡れていたタオルを私の足に押し当ててくれた。

 それだけで随分楽になった気がした。



 相変わらず外は雨が降り続いているがいつの間にかに雷は止んでいた。

 「……もう21時か……お腹空いてない?」

 腕時計を確認した青海くんはリュックサックから小さなチョコレートバーを取り出した。

 「2つあるから一個ずつ食べよう」

 青海くんはそう言いながら私にチョコレートバーを差し出す。

 「オレは後で食べるから先に食べちゃいなよ。喉乾いてない?」

 青海くんはリュックサックからペットボトルを取り出して私のそばに置いてくれた。

 私はチョコレートバーを齧りながら青海くんの体温を背中に感じ安心していた。

 ……1人だったら怖くて仕方なかっただろうけど、今は青海くんがいてくれる。

 青海くんは私と真実の小さな頃の話を聞きたがっていたので昔の話をする。

 「私、小さい頃から真実に似てるって言われて、すごく嫌だったんだよね。真実は男の子だったし、私は女なのにって……」

 「……そうなんだ。オレも水野さんと真実は似てるって思ってたよ。でも水野さんが男顔ってわけじゃなくて何っていうんだろうね、雰囲気かな……どっちも美人の系統が似てて、育ちの良さが表れてるっていうか……毛色が似てるんだろうね」

 青海くんはそう言いながら私の肩に額を押し付ける。

 そのまましばらく取り留めのない話をしたり、逆に青海くんの話を聞いたりしていた。

 ぼんやりと焚き火の炎を見ているとだんだんと眠くなってくる。

 うとうととしながら青海くんの胸に寄りかかる。

 夜明けまであとどのくらいだろうか?

 真夏とはいえ夏の山は涼しいを通り越して寒い。

 焚き火がなければ耐えられなかっただろう。

 早く夜が明ければいいにのに……

 

 青海くんも眠いのか目を閉じてじっとしていた。

 ……きっと寝て起きたら夢だったなんてことがあるかもしれないな……

 本当の自分は今頃布団の中で目を閉じていて……

 ふっとそう思った。

 




 「ごめん水野さん……今日はたくさん歩いたから疲れちゃったのかな……オレすっごく眠くって……でも大丈夫だよ。真実が絶対に来てくれるから……オレは……」

 青海くんの身体から力が抜けて、私に寄りかかってくる。

 この頃になってようやく青海くんが震えていることに私は気づいた。

 「青海くんっ!?」
 
 私は振り返り、青海くんの顔を見つめる。

 焚き火の灯りが照らしている割に青海くんの顔色が悪い。

 「青海くん!!!青海くんってば!!」



 「泉かっ!!?」

 突然外から声が聞こえて、光で照らされる。

 懐中電灯の眩しい光に照らされて思わず顔を伏せる。

 「じいさん!こっちだ!!2人とも一緒にいる!!」

 真実の叫ぶ声と数人の人の声が近づいてくる。

 
 「青海くんっ!青海くんってば!!」

 私は必死に青海くんの身体を揺するが青海くんは目を閉じたままだった。

 

 「泉、透から離れろ!運べないだろ!!」

 真実に怒鳴られてやっと青海くんから離れる。



 青海くんが毛布に包まれ、抱かれながら連れられて行くのが見えた。

 「シンジ……水野さん足に怪我してるんだ……」

 青海くんの声が途切れ途切れ聞こえた。

 「透!大丈夫だから!少し眠れよ」

 真実が青海くんに声を掛けながら着いていく。

 

 「泉、無事で良かった!!」

 おじいちゃんがいつの間にかに側に立っていた。

 「足怪我してるのか、見せなさい」

 有無を言わせず私の足を見たお爺ちゃんは私を抱き上げた。

 「早く病院に連れていくぞ!一刻も早くだ!!」

 お爺ちゃんは周りにいた人たちに怒鳴る。

 「おじいちゃん、ごめんなさいっ!!私が悪かったの!!」

 そう言いながら抱きつくとお爺ちゃんは声を和らげた。

 「誰も責めてなんかないよ。ただ泉達が心配だったんだ。本当無事でよかった」

 お爺ちゃんに抱きしめられる。

 

 「私より青海くんが……青海くん、私のためにっ!!」

 祖父に抱きしめられながら青海くんを思い思わず泣いてしまう。

 「いずみ……」

 お爺ちゃんは私の背中をずっと撫で続けていてくれた。





 

 
 
 
 
 
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