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遭遇
しおりを挟む何の連絡も無く突然帰ってきた父……予定より1日早い。
しかも酷く取り乱した様子だった。
「お父さん、帰ってくるの明日だって言ってなかった?」
私はそう言いながら父の持っていた鞄を受け取ろうとした。
「あれ、それにお母さんは一緒じゃないの?おじいちゃんのところ?」
父は私の顔を見る。
一瞬何かいいかけ、首を振る。
「真実は?」
「……部屋にいるけど……呼んでくる?」
そう言いかけた時、ちょうど真実が2階から降りてきた。
「父さん、どうしたんだよ。帰ってくるの明日じゃ……」
父は真実の側に歩いて行った。
「落ち着いて聞きなさい。……透くんが……透くん一家の乗った車が事故に遭った」
不思議そうな顔をした真実。
私もわけが分からず父を見る。
父は私たちの反応を見て、言葉を選んでいるようだった。
「は?どういうことだよ?透の……って」
真実の呟くような声が耳に入る。
「詳しいことはまだよく分からないんだ。とりあえず葵さんが先に病院に行ってるから、二人も出かける用意をしなさい」
★
そこからしばらくの間、私の記憶は曖昧だった。
青海くんが包帯と管だらけになって手術室からでてきたこと、青海くんの義理のご両親が顔に布を掛けられた状態で面会をしたこと、顔面蒼白で泣く母の姿……
何も考えられずにぼんやりと私はそれを眺めていた。
死は誰にでも平等に訪れるものだ……
それは分かっていたが……
昨日まで笑って話をしていた人たちが、今目の前で動かなくなって……もう二度と話すことも笑うこともできない……
それはとても非現実的で、理解が追いつかなかった。
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