◆青海くんを振り向かせたいっ〜水野泉の恋愛事情

青海

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進級と春休み

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 「良かったあぁ、留年しないで済んだっ!!」

 透が通知表を眺めながら嬉しそうに笑う。
 
 「しかも泉のおかげで少し成績も上がったんだっ★」

 そう言いながら通知表を私に見せてくれる。

 「透が頑張ったからだね。でも良かった。これで何の心配もなく春休みを迎えれるね」

 私も嬉しくなって、透と一緒になって喜ぶ。

 今日は終業日。
 明日から二週間ほどの間春休みである。
 
 透はアルバイトを入れていたが、春休み最終日はデートの約束をしてくれていたので、それが楽しみだった。

 それに、昼間はアルバイトに行ってしまうかもしれないが、お休みの日と夜は一緒に過ごせるはずだ。



 終業式も終わり、透と一緒に帰宅する。

 「泉はどこか行きたい場所とかないの?」

 「透と一緒だったらどこでも嬉しいけど……折角だから新しくできたショッピングモールに行ってみない?」

 「うん、良いねえ。ついでにオレ……服買ってもいい?なんか最近少し服が小さくなって……」

 透と話をしながら歩く。
 私は隣を歩く透を見上げ、いつの間にかに透の背が伸びていることに気づく。
 
 「透……最近すごく背が伸びたね」

 「そうだね、やっと真実の身長に追いつくぐらいには伸びたかな。って言っても変わったのはそれぐらいだよ」

 そう言いながら苦笑する透を観察する。

 ……透はそう言うが、最近ものすごく男の子っぽくなったと思う。

 アルバイトを始めてから透は少し筋肉質っぽくなって……なんだか余裕のようなものができたのか、急に大人びてきたように思う。

 一緒にいても、ふとした瞬間の表情とかにドキドキさせられることが増えた。

 「泉、今日帰り急がないんなら少し回り道して帰ろうか」

 「うん、いいよ。何があるの?」

 そう聞くと透は内緒だと言って教えてくれなかった。

 

 いつもの帰宅ルートから外れて川沿いの道を歩く。

 川沿いの道を歩き始めて数分……。

 「すごい……もう桜……?」

 いつもの桜よりピンク色が濃い……河津桜だ。

 「この辺の桜はいつも咲くの早いんだ。日当たりがいいからなのかな……」

 透は眩しそうに目を細めるが、嬉しそうに微笑む。

 その横顔は、誰よりも春を待ちわびている……そんな風に見えた。

 思わず透に見惚れてしまう。

 そのままこの淡い景色に溶け込んでしまってもおかしくない……少しだけ怖くなって透の腕にしがみつく。

 「オレさ、泉と一緒にこの景色が見たかったんだよね」

 透はそれ以上何も言わずに、ただ私を見つめて微笑んでいた。




 ★



 「あ~あ、早くオレも真実みたいにカッコよくなりたいなあ~」

 「は?どうしたんだよ突然、何かあったのか?」

 透と真実が夕飯後の食器洗いをしながら2人で話している。

 ……透は充分かっこいいともうんだけど……

 私はお風呂を先に済ませて、ちょうどキッチンに水を飲みに来たところだった。

 「だってさ、あ、泉水分摂るの?お茶入れてあげようか?」

 私に気づいた透が話を中断して、グラスを取ってくれた。

 「ありがとう」

 「ん?水にするの?」

 透は私のお世話を焼き始めようとして、なぜか顔を赤らめた。

 「……透?」 

 声をかけると透は私から視線を外しながら、グラスに水を注いでくれた。

 「泉……そのパジャマ……可愛いね。新しいヤツ?」

 「うん……」

 ちょうど冬用のパジャマを洗ってしまっていたので春、夏用のパジャマを着ていた。

 
 透がそのまま食器洗いに戻り、私は透から受け取ったグラスを持ってリビングに移動する。

 「お前なあ、そんな事で反応してたらこれからどうすんだよ?」

 ……背後で真実が透を揶揄い始める声を聞きながら、なんだか照れ臭くなった。

 「だって……なんか泉……お風呂上がりが……色っぽいよね……パジャマ変わったら余計……」

 透の声が小さくなってそれ以上は聞き取れなかったが、顔が赤くなるのを感じていた。

 透に可愛いと言われるのは素直に嬉しかった。




 ★


 透が大学に進学したいと言ってくれたので、毎日少しずつ就寝前に一緒に勉強することにした。

 私の部屋で勉強しようかと提案したがなぜか断られてしまい、リビングでやることにした。
 
 「泉……ここって……」

 透は数学が苦手らしく、現代文や古文などの国語系は得意だった。

 私は数学は得意だったが現代文や古文の類が苦手だった。

 お互いを補うように教え合っているとリビングに来た真実が様子を見に来てくれた。

 
 真実は昔から秀才気質のようで、特に苦手な科目は無いようだった。

 同じ環境で育って、双子のはずなのに私と真実ではやはり違う。

 真実も勉強会に加わってくれることになり、穏やかに夜は更けていった。


 
 

 
 
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