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酔っぱらい

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 「いたたた……」
 激しい頭痛で目を覚ます。
 ……この痛みは……またやってしまったようだ。
 起き上がれずにすべすべの泉のおっぱいに顔を埋めるって……こっちもまた……やってしまったようだ。
 
 布団の中で2人とも全裸で寝ていた事を考えると昨日の晩も泉とエッチしながら眠ったようだ。
 ……全然記憶にない。
 
 泉に抱かれて眠っていたようで、泉は重くなかっただろうか?
 泉を起こさないよう、なおかつあまり頭を動かさないように寝る場所を変える。
 
 ……昨日どれだけ呑んでしまったのだろう。
 何とか泉の隣に寝転び、目を閉じる。
 ……頭が痛い……



 
 頬を触られている感触で目を覚ますと、泉が既に起きていた。
 「おはよう、なんか昨日はごめんね。オレ……昨日のことあんまり覚えてないんだけど……酔っ払って変なことしちゃってない?」
 「……ううん、全然っ……透はすっごく優しかったよ」
 泉は顔を赤らめながらも嬉しそうに笑った。
 ……オレ、酔って何かしているようだ。
 「えっ?オレ何か絶対しちゃったでしょ?何したんだろう?ほんとごめんね?」
 慌てて起き上がり泉に謝ろうとするが止められた。
 「違うよっ、謝らないでっ?私……酔ってる透も結構好きだよ?その……普段より……」
 最後の方は聞き取れなかったが、しばらくお酒はやめようと思った。
 
 

 ★


 「透クンってば本当に水野さんの事大好きねっ」
 ロビーで会うなり浅川さんにそう言われる。
 「?そりゃあね。泉はオレには勿体無いくらいのいい奥さんだよ。可愛いし、優しいし……」
 そう返すと浅川さんは泉に絡み始める。
 「で、昨日はどうだったの?可愛がってもらえた?」
 嬉しそうに泉が頷く。
 
 ……なんだろう?
 オレそんなに変な事したのかな?



 違和感を感じながら喫煙所にいる真実のそばに行く。
 「透、もう大丈夫か?」
 喫煙所でタバコを吸っていた真実が気づいてくれて出て来てくれた。
 「うん、昨日かなり呑んじゃったみたいだね、オレみんなに迷惑かけてなかった??なんか女の子たちの反応が変なんだけど……」
 そう言うと真実は微笑む。
 「ああ、別に……変ではなかったぞ?ただいつも以上に泉に絡んでたけどなっ」
 そう言いながら携帯を弄り、動画を見せてくれた。
 
 酔って、ニヤニヤとしながらオレが泉に抱きついている。
 「ふふっ、いずみかわいいよっ……すっごい美人さんだし、優しくって……世界で一番なオレだけの奥さんだねっ★」
 「……透っ」
 画面の中のオレは泉のおっぱいに顔を埋めて頬擦りを始める。
 「ぜったい誰にも取られたくないっ!ああっ、いずみっ!愛してるよっ!お願いだから浮気なんかしないでね?オレそんなことされたら死んじゃうよっ、いずみっ!」
 そんな事を言ってるオレを泉は抱きしめていた。
 「だいじょぶだからっ!ねっ?私も透が大好きよ」
 泉は画面の中でオレを宥めている。
 「オレもういずみじゃないとだめなんだ。一生離れたくないよっ!」
 ……。
 
 「これって……」
 酔ってる自分を初めて見た。
 これは酷い。
 酔って、しかもしつこい……

 軽くショックを受けていると真実は笑って、携帯をしまう。
 「いいんじゃないか?別に酔った時くらい。それに泉は喜んでるし。お互いが良ければ問題ない」
 そう言いながら真実も少し楽しそうだ。
 
 「あの……ひょっとして、この前真実と2人で呑んだ時もこうだった?」
 恐る恐る聞くと真実は照れたように笑った。
 「ああ、お前泉と勘違いして俺に絡んでたけどな。お前を家に連れ帰るまでこんな感じだったぞ?流石に家に帰ったら泉にやり始めてけどな」
 「……本当にごめんね?」
 なんて迷惑な事をやってしまったんだろう。
 恥ずかしくなってしまう。
 
 そんなオレを見かねたのか真実に慰められた。
 「まあほら、やられた人間が喜んでるんだからいいんじゃないか?」
 真実はそう言ってくれたが……
 「泉は優しいから……迷惑って言わないだけだよ。真実、ほんとにごめんね?今度お詫びに何か返すから……」
 そう言うと真実に頭をぐしゃっと撫でられた。
 「俺も全然迷惑なんかじゃなかったぞ?また呑みに行こうなっ★」
 面白そうに真実は笑った。
 「えっ、でもまた迷惑かけちゃうよ……」
 真実はふっと鼻で笑う。
 「案外悪くないぞ?お前から愛してるって言われるのも……な?」
 
 
 
 「ちょっと、2人ともそろそろ行くわよっ★」
 浅川さんに呼ばれて振り返る。
 「分かった。すぐ行くよ」
 返事をした真実は楽しそうに笑って、オレの肩を叩いた。
 「こうやってみんなで過ごすのも悪くないなっ!」
 
 
 4人揃ってホテルを出る。
 ホテルの敷地に聳え立っていた桜の樹も満開でとてもきれいだった。
 「春だねえ」
 泉がそう言いながら腕に抱きついて来た。
 「これからずっと先まで泉と一緒に桜を見たいなあ」
 そう言うと泉が頷いてくれた。
 
 ヒラヒラと舞い落ちる桜の花びらはひとつ、またひとつと空に舞っていった。

 
 
 
 
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