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しおりを挟むペチュニアは、勉強がしたいのと気味の悪い王子とその側近たちから逃れたい一心で、2年から留学をすることになった。成績も優秀で、しつこい彼らのことは有名となっていて、教師も苦言をていしてくれたが一向になおることがなかった。
「これで、思う存分、勉強が出来るわ!」
ペチュニアは、留学した先でスポンジが水を吸収するかのように色んなジャンルの知識を吸収していった。
留学先は実力主義の国で、男爵令嬢だろうとも成績やら成し得たことで評価される。
そこでは婚約者が居る時から相手のこともろくに考えることなく、浮気をしようとしつこくつきまとい、地位をひけらかして、ナンパしてくる者などいない。
(女性の好みそうな喫茶店や雑貨屋なんて、私と行きたがる理由がわからないわ。私のことをちゃんと見ているなら、一般的な女性の好みと違うことくらいわかりそうなものなのに)
ペチュニアは、動きやすく機能的な物を好んだ。平民から母の再婚で男爵令嬢となってからも、最低限のマナーは学んでも髪は短いままで、伸ばす気もなかった。伸ばして手入れする手間をとられるくらいなら、その時間を読書にあてたいのが、彼女だ。
だが、彼女の平穏は長くは続かなかった。
留学しているとわかるや王子と側近たちが呼んでもいないのにやって来たのだ。
(は? なにしにきたの?!)
「心配したんだぞ?」
「……」
「ちゃんと連絡しろよな」
「そうですよ。学園にあなたが居ないとつまらなくて仕方がない」
「だから、迎えに来たんだ。勉強など、ここに来なくても出来る。家庭教師を雇えばいいんだ。一緒に帰ろう」
ペチュニアが絶句している間にペラペラと話したかと思えば、迎えに来たと言い出した。
周りの生徒も、突然の訪問者に怪訝な顔をしていたが、話す内容が聞こえた者は驚いた顔をしていた。
「あの、帰るつもりはありません」
「え?」
「なぜだ?」
「勉強がしたいからです」
「だから、家庭教師を雇えば済むだろ?」
話が通じていない。何より……。
(気持ち悪さに拍車がかかっているわ。婚約者でもないのに迎えに来るって、何なの?!)
何の連絡もなく、学園に入って来て好き放題したことで、彼らは警備に捕まり、国に強制送還された。抗議文を添えて。
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