4 / 10
4
しおりを挟む猫を飼うことになったきっかけは、みんな、祖母や母の知り合いから、貰い手がないと困って連れて来られてきた仔猫だった。
最初にそんな仔猫を引き取ったのは、私が保育園に通っていた頃だ。
家に帰ると可愛らしい仔猫がいた。そう、最初の猫はチビの頃は、可愛かった。いや、仔猫時代に可愛くないのは、そうはいないだろうが。
最初の猫としては、強烈だった。この猫は、雌なのにボスの風格を兼ね備えた猫だったのだ。
あっという間に私は、こいつに格下に扱われることになったのだ。母は、同格より、少し上。父はその下の下。私は、底辺だ。
爪をチラつかせ、仲良くなんてしてやるもんかとさながらヤンキーのように威嚇されるのだ。私は毎回怯えることになり、母に助けを求めることも、しばしばあった。
マーキングのつもりなのか。父や私の布団で、これみよがしにオシッコをした。
私が何か言えば、引っかかれるか噛みつかれるだけだ。父は、怒ることをするより、困り果てて母を呼ぶだけだった。
それが繰り返され、気に入らないことがあれば、オシッコをして抗議するようになったのだ。
それについに母がブチギレしたのだ。普段は優しいが、怒らせると一番怖い人間をこの猫は怒らせたのだ。
「いい加減にしなさい。仲良く出来ないなら、他所に行ってもらうわよ!?」
「っ!?」
人の言葉はわからないはずだが、この時の表情は覚えている。雷に打たれたようなショックな顔を猫はしていた。
それから、しばらくは大人しくしていたが、それが長く続くことはなかった。それでも、前よりオシッコする回数は格段に減った。
そのうち、猫の方が別の家で厄介になったっきり、そこが気に入ってしまったらしく、戻って来かったのだ。
その家で、他の猫たちと幸せに暮らす生活を猫自身が選んだようだ。
母が、色々と聞いて回って、もしかして……?と言う猫がいると見に行ったら、他の猫たちと和気藹々としていたらしい。母は、あちらが面倒を最後まで見るからと言われて、猫の様子を見て、引き離すのは可哀想に思えて、連れ帰ることなく、よろしくおねがいしますと頼んで、そっと帰って来たらしい。
私としては、その日から平穏が戻ったようなものだったが、何だかんだと言っても、居なくなってしまうと寂しいものであった。
父も、私と同じように思ったようだ。
21
あなたにおすすめの小説
ちゃんと忠告をしましたよ?
柚木ゆず
ファンタジー
ある日の、放課後のことでした。王立リザエンドワール学院に籍を置く私フィーナは、生徒会長を務められているジュリアルス侯爵令嬢アゼット様に呼び出されました。
「生徒会の仲間である貴方様に、婚約祝いをお渡したくてこうしておりますの」
アゼット様はそのように仰られていますが、そちらは嘘ですよね? 私は最愛の方に護っていただいているので、貴方様に悪意があると気付けるのですよ。
アゼット様。まだ間に合います。
今なら、引き返せますよ?
※現在体調の影響により、感想欄を一時的に閉じさせていただいております。
疎遠だった幼馴染が彼女と別れて私に会いに来るようになったのだけど
くじら
恋愛
図書館の定位置には、いつも黒縁メガネの女生徒がいる。
貴族同士の見栄の張り合いや出世争いから距離を置いて穏やかに過ごしていたのに、女生徒の幼馴染が絡んでくるようになって…。
幼馴染みの婚約者が「学生時代は愛する恋人と過ごさせてくれ」と言ってきたので、秒で婚約解消を宣言した令嬢の前世が、社畜のおっさんだった件。
灯乃
ファンタジー
子爵家の総領娘である令嬢の前に、巨乳美少女と腕を組んだ婚約者がやってきた。
曰く、「学生時代くらいは、心から愛する恋人と自由に過ごしたい。それくらい、黙って許容しろ」と。
婚約者を甘やかし過ぎていたことに気付いた彼女は、その場で婚約解消を宣言する。
前半はたぶん普通の令嬢もの、後半はおっさんコメディーです。
ヒロインと結婚したメインヒーローの側妃にされてしまいましたが、そんなことより好きに生きます。
下菊みこと
恋愛
主人公も割といい性格してます。
アルファポリス様で10話以上に肉付けしたものを読みたいとのリクエストいただき大変嬉しかったので調子に乗ってやってみました。
小説家になろう様でも投稿しています。
老け顔ですが?何かあります?
宵森みなと
恋愛
可愛くなりたくて、似合わないフリフリの服も着てみた。
でも、鏡に映った自分を見て、そっと諦めた。
――私はきっと、“普通”じゃいられない。
5歳で10歳に見られ、結婚話は破談続き。
周囲からの心ない言葉に傷つきながらも、少女サラサは“自分の見た目に合う年齢で学園に入学する”という前代未聞の決意をする。
努力と覚悟の末、飛び級で入学したサラサが出会ったのは、年上の優しいクラスメートたちと、ちょっと不器用で真っ直ぐな“初めての気持ち”。
年齢差も、噂も、偏見も――ぜんぶ乗り越えて、この恋はきっと、本物になる。
これは、“老け顔”と笑われた少女が、ほんとうの恋と自分自身を見つけるまでの物語。
隣人の幼馴染にご飯を作るのは今日で終わり
鳥花風星
恋愛
高校二年生のひよりは、隣の家に住む幼馴染の高校三年生の蒼に片思いをしていた。蒼の両親が海外出張でいないため、ひよりは蒼のために毎日ご飯を作りに来ている。
でも、蒼とひよりにはもう一人、みさ姉という大学生の幼馴染がいた。蒼が好きなのはみさ姉だと思い、身を引くためにひよりはもうご飯を作りにこないと伝えるが……。
前世の記憶が蘇ったので、身を引いてのんびり過ごすことにします
柚木ゆず
恋愛
※明日(3月6日)より、もうひとつのエピローグと番外編の投稿を始めさせていただきます。
我が儘で強引で性格が非常に悪い、筆頭侯爵家の嫡男アルノー。そんな彼を伯爵令嬢エレーヌは『ブレずに力強く引っ張ってくださる自信に満ちた方』と狂信的に愛し、アルノーが自ら選んだ5人の婚約者候補の1人として、アルノーに選んでもらえるよう3年間必死に自分を磨き続けていました。
けれどある日無理がたたり、倒れて後頭部を打ったことで前世の記憶が覚醒。それによって冷静に物事を見られるようになり、ようやくアルノーは滅茶苦茶な人間だと気付いたのでした。
「オレの婚約者候補になれと言ってきて、それを光栄に思えだとか……。倒れたのに心配をしてくださらないどころか、異常が残っていたら候補者から脱落させると言い出すとか……。そんな方に夢中になっていただなんて、私はなんて愚かなのかしら」
そのためエレーヌは即座に、候補者を辞退。その出来事が切っ掛けとなって、エレーヌの人生は明るいものへと変化してゆくことになるのでした。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる