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しおりを挟む母を猫と取り合うことはなかった。
ましてや爪を出して脅すなんてこともなく、噛みつかれることもなかった。
いや、たまに尻尾を踏んで、威嚇と共に噛まれることはあったが、あれは踏んだ方が悪い。
それこそ、母が台所にいる時に側をうろちょろしては、よく尻尾を踏まれていた。
「シャー!!」
「そんなところに尻尾を出しとくのが、悪いのよ。ないないしておきなさい」
「……」
(ないないしとけって、踏んだことにすら謝らなくなってきたな)
「おいで。そこに居るとまた踏まれるよ?」
猫は、痛みを覚えているのか。尻尾をさっと隠したのは、流石だが母の側から離れないのを見かねて私は抱っこして回収した。
「大丈夫。尻尾は、まだ、ついてるから」
「っ、」
「あいた」
尻尾を撫でて、そんなことを言ったら猫の不興を買ったらしく思いっきり噛みつかれた。
「今のは、あんたが悪いわよ」
「……」
母にそんなことを言われた私は、内心で思った。
(あんたには言われたくないんだけど?!)
少し前まで、猫は尻尾の振り方がどうにもわからないようで、私や家族が教えたほどだ。
「尻尾の使い方が悪いから、階段を落ちたり、身軽な動きができないのかしらね」
母がぽつりとそんなことを言っていた。私は、こうやって振るんだよと尻尾を掴まえては、動かすことを度々繰り返していた。
祖母は、尻尾の振り方もわからない猫だと馬鹿にしていたが、それでもしばらくして振れるようになっただけでなく、尻尾をピン!と立てて歩くようになったのも、このあとからのように思う。
「おっぽは?」
祖母が、何かと尻尾を振らせようとして、やる気なさげにしながらも、数回振る様は、どちらが構われているか、わからない。祖母の要求にやる気のない顔を見せずに相手をする猫の方が上手なように思えたほどだ。
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