広島の美術館
山の上の美術館に行くのは二回目だった。初めて行った時は雨が降っていた。玄関前に大きな水溜りができていて避けるのに大変だった記憶がある。今回は晴れていた。快晴とまではいかないが雲よりも青空が目立っている。今日この美術館に来ようと思ったのは全くの偶然だった。街を適当に歩いていてバス停の前を通った時、ひとつの広告が目に入った。美術館の企画展のものだったのだが、モノトーンな色彩に惹かれ、取り上げられている作家の名前も知らないけれど、きっと良い作品に出会えるに違いないと思った。そのままバス停でバスを待って、バスに揺られて山の真下まで辿り着いた。美術館は山の頂上にある。エレベーターなどはないから、自力で歩いていくしかない。山には猫がたくさん住んでいて、登り切るまで三匹の猫と遭遇した。どれも白い毛色をしていた。人間慣れしているようで、私が近づいても逃げもせず、一匹に限っては私の足首のあたりに体を擦り付けていった。山の中であるので緑が多い。目の保養になると思った。そういえば最近、自然に触れていない。見ているのはコンクリートや鉄骨やそれらから成形される人工物ばかりだ。もっとも、それらも元を辿れば自然物ではあるのだけれど。美術館は地下と地上の二階建てで、半年ほど前にリニューアル工事が完了して再オープンしたばかりである。一回目はリニューアル後間もない頃に行ったのだった。展示自体は改修してどのように美術館が生まれ変わったのかを説明すると共に、そこから派生して「以前と以後」をテーマとする作品群を並べるというもので、正直な感想としてはあまり面白くなかった。美術館がどのように生まれ変わったのか説明してくれるのは有難いが、それを企画展のテーマと無理やり結びつける必要はなかったし、無理やり結びつけたためか、展示されている作品の質はあまり高くないように感じた。リニューアルと全く無関係で良いから、一人の作家を深掘りするとか、集められる質の高い作品からテーマを設定するとかして欲しかったと思う。比べて、今回の企画展はかなり期待ができそうだった。外国のアーティストで国籍もわからないが、戦争や紛争をテーマにした作品を多く残しているみたいだった。
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