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【結界】

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 フェニックスが落ち着きを取り戻し、俺を”ジッ”見ている。

「ねね。本当に私と一緒に居てくれるの?」

「いるって言っているだろ。じゃあ、自由になったら、俺と一緒に来るか?別にどこか行きたい所に好きに行ってもいいけど。」

「ううん。私もあなたと言う人間に興味が湧いたわ。もし、ここを出られたとしても一緒に居たい。」

 ふむ。どうやら本当らしい。俺も、”真偽”のスキルがあるから分かる。さて、イグニールが施した結界とやらを見てみるかな。

「なぁ、その結界はどこにあるんだ?」

「マグマの中心位に切り立った岩があるの。そこから半径10km以内に結界が張られているから火口から出られたとしてもそれ以上は行かれない。ここが一番安全で煩わしくないからここにいただけ。」

「じゃあ、その結界に行こうか。」

 俺とフェニックスは飛行してその結界の場所に行く。

 結界は、尖った岩山のようになっている。高さは20mくらいだろう。その中心に青白く光る部分がある。俺は、それに触れてみた。

《スキャン》

内容範囲結界

強度8階層

対象フェニックスのみ

効果行動の制限:この結界より半径10km以上の行動が出来ない。

術者イグニール



 8階層の結界か。かなり強力だな。って俺が言うなって感じだけど。

「なるほどな。これじゃ、ファニックスは出られないか。」

「でしょ。もう、最悪でしょ?イグニール、絶対に殺すわ!」

「うーん、まぁ、俺にとっては大したことない結界だけどね。とりあえず、ぶっ壊していい?」

「へ?」

 フェニックスは、目を丸くしている。俺は、10階層分の魔力を注ぎ結界を解除する。

《リリーブ(解除)》

 中心の光が吹き飛び、岩山がガラガラと崩れ落ちる。

「はい、お仕舞。」

「う、うそ・・・」

「ん?嘘じゃないよ。これで、ファニックスは自由だよ。良かったね。」

「これは夢?あなたいったい何者なの?」

「ん?俺は、一介の魔導剣士だよ。さて、皆の所に戻ろうか。君はどうするの?別に自由に好きな所に行ってもいいけど。」

「私は、アルファード、あなたと一緒に居るって決めたわ。私は、あなたって言う”人間”に凄く興味が湧いたから。私の事、独りにしないんでしょ?」

「うん。君さえ良ければ勿論。じゃあ、戻ろうか。」

 フェニックスは、小鳥位の大きさになり、俺の肩に留まっている。そんなフェニックスと共に俺は、皆がいる所に戻った。ナディアがコブラ達を俺とフェニックスとの戦いからちゃんと守っていてくれたので、ゲートを使うまでもなかったらしい。

「ただいま。すべて終わったよ。」

「ご主人、お帰りなのじゃ。皆は、ちゃんと無事にしておるぞ。」

「うん。ナディア。ありがとう。」

「当然のことじゃ。気にする事は無い。でも、後でご褒美が欲しいのじゃ!」

「分かったよ。なんか怖いけど・・・」

「アルファード!!!」

 ティナがすごい勢いで俺に体当たりしてくる。

「ぐほ。ティナ。それはやめなさい。普通の人なら怪我するから」

「アルファードなら大丈夫!お疲れ様」

「うん。ありがと。」

「あ、アルファード、おかえり。大丈夫だった?」

 ティファ達が小走りにやってくる。

「まぁ、うん。まぁ、全然平気だよ。」

「まぁ、全然心配して無かったけどな。どうせ、フェニックスをボコってたんだろ。」

 キャップがふざけたように話す。

「私は、アルファードの事信じてにゃから全然心配してないニャ。」

「わ、私だって信じていたわよ。」

「おいおい、喧嘩しない。で、フェニックスはどうなった?」

 コブラがフェニックスの事を聞いてくる。

「ん?ここにいるじゃん。」

「ん?どこだ?」

 俺は、肩を指さす。

「え!!この小鳥がフェニックス!?」

「何?コブラさんはお友達の事を忘れちゃったのかしら?」

「そ、そんな事無いよ。ただ、余りにもサイズが変わっていたので分からなかっただけです。」

 キャップの姿が見えない。あ、居た。

「独りボッチにさせないってフェニックスと約束したんだ。俺と一緒にいるんだってさ。」

「そ、その。聞くまでもにゃいと思うけど、イグニールの結界はどうしたニャ?」

「うん。ぶっ壊した(笑)」

「(笑)って、あんた、本当に規格外ね。」

「私もそう思うわ。一介の剣士がイグニールの施した結界を解除できるなんて考えられない。」

 フェニックスも会話に入ってくる。

「まぁ、そう言う人もいるって事だね。イグニールってそんなに強いの?」

「癪だけど、強いわ。多分、この世界で彼に勝てる種族はいないわね。私ももっと力があったら負けないんだけど・・・」

「なんじゃ、お主も力が欲しいのか?」

「ずっと、感じていたのだけれど、あなたは何者なの?人間じゃないわよね?」

「妾か?妾はアルファード第一の従属の聖獣 九尾じゃ。良きに計らうのじゃ。」

「あなたも聖獣だったのね。見える波動が皆と違うから人間では無いと思っていたけれども。でも、なんで聖獣のあなたが人間の従属になんかなったの?」

「何を言っておる。お主も、ご主人の実力を見たであろう。妾も打倒したい奴がおってな。そいつを打倒すほどの力を妾に与えてくれたのじゃ。それに、ご主人は妾よりはるかに強い。しかも、とても頼れ、信頼できるご主人じゃ。なんの問題もありゃせんぞ。イグニール何てご主人にかかればただの蜥蜴にすぎん。」

「おいおい、それは言いすぎだろ。」

「言いすぎじゃねぇって。あの八頭オロチも瞬殺だったじゃんよ。」

 いつの間にか、キャップが会話に入っている。

「なんですって!?あの八頭オロチが討伐されましたの?」

「瞬殺だよ。皆逃げているのにナディアと二人で”あっ”と言う間に討伐しちゃうんだもんな。しかも、”素材がー”とか言っていたし。見せてやれば?持っているんだろ?」

「えー。あんな死体みたいの?」

「見なくてもいいわ。本当か嘘か私には分かるから。ナディアさんの言っている事も本当、キャップさんの言っている事も本当。私が敵うはずないわね。いいわ。私もアルファードの従属になってあげる。あなたとはずっと一緒に居るんだしね。」

「マジか。まぁ、それはそれでいいけど。じゃあ、ぱぱっとやっちゃおうか。」

 俺は、魔法陣を描き、その中心に入ってもらい術式を展開する。青白い光と共にフェニックスに従属の紋章が刻まれる。

「!!!!!!。す、すごい力!!力が漲る。能力が上がるのが分かる。凄すぎるわ。」

《ユニークスキル 不老不死を獲得》

《ユニークスキル ブレスを獲得》

《ユニークスキル 看破を獲得》



俺のステータス

賢者(称号:ドラゴンスレイヤー) LV115

HP66240/66240

MP74520/75420

筋力15525

魔力17595

防御力15525

魔防16560

俊敏14490

器用13455

知力18630

幸運14490



【称号】

ドラゴンスレイヤー



【ユニークスキル】

Q&A 空間収納 鑑定 医療の心得 模倣 偽装 真偽 魔術 剣術 精霊魔術 召喚 全記憶 模倣 空間操作・認識 重力操作 多重詠唱Ⅴ 照準 忍術 奪う 瞬歩 剛剣 心眼 不老不死 ブレス 看破



【スキル】

毒耐性(高) 光属性(至) 闇属性(至) 炎属性(至) 水属性(至) 地属性(至)  クリティカル(中)

風属性(至) 無属性(至) 剣(中) 魔力欠乏耐性(至) 無詠唱 魔力調整

魔力向上(極) MP向上(極) 物理耐性(極) 魔法耐性(極) 翻訳 速読

マップ 索敵 演算加速 分離・結合 解体(至) 異常状態耐性(極) 錬金術(極)

創作(極) 忍術(低) 見切り(中)



【剣技】

眞陰流 魔人剣



【魔法】

《生活魔法》

《医療関連魔法》

《炎魔法》(14階層)

《地魔法》(14階層)

《氷魔法》(14階層)

《水魔法》(14階層)

《風魔法》(14階層)

《光魔法》(14階層)

《闇魔法》(14階層)

《無属性》(14階層)

《錬金魔法》

《創作魔法》



 ありゃ、俺までユニークスキルを獲得したぞ。ブレスって・・・とうとう、人間やめたのか・・・

「ご主人!!ご主人!!」

「タカミ!!!!」

 ナディアとティナが大騒ぎをしている。

「へ??タカミ?」

 俺は、空間収納から鏡を取出し、恐る恐る自分自身を見る。え!偽装が解けている!!

”Q&A、なぜ偽装が解けた?”

”ファニックスの能力が向上した時、自然に能力が発現してしまったと思われます。”

マジか・・・、俺は、恐る恐る、コブラ達を見る。勿論、コブラ達は、目を丸くして何が起きているか分かっていない。

「???」←コブラ達

「な、なに?アルファードが子供になっちゃった・・・?」

「アルファード!!かわいーニャ!!」

 ヴァイロンは、俺を抱きしめる。

「な、なんだ?」

”ははは・・・、まぁ、偽装が解けちゃったのはしょうがないか。誰が悪いわけでもないから・・・”

「と、とりあえず、拠点に戻ろうか(;’∀’)」

 俺達は、ゲートを通り、拠点に戻る。そこで俺は、コブラ達にまだ9歳の子供である事、師匠がウォーレン大魔導士である事、魔法学園に行くための勉強しに帝都の図書館に向かっている事、9歳なので冒険者になれないので第二の俺であるアルファードになっている事等、事情を説明した。そして、冒険者ギルドには黙っていて欲しい事もお願いした。

「はぁ、まさか、アルファードがこんな子供だったなんて・・・俺、自信無くすわー、でも、まぁいい!これからはキャップお兄さんと言いなさい!」

「キャップお兄さん。騙していてごめんなさい。」

「くぅ!!なんか、弟っぽくていい!!いい!許す!!」

「アルファードはアルファード。俺は何も変わらないさ。今まで一緒に居たから分かっている。しかし、子供なのに考え方とか行動が随分大人びているな。」

 元は、おっさんですから。ハイ。

「タカミって言うニャ!可愛いニャー!年下の旦那様だニャ!」

ヴァイロンは俺を抱きしめて抱っこする。コブラ、キャップ、ヴァイロンはすぐに俺を受け入れてくれた。なぜか、ティファだけは複雑な表情をしている。

「ティファ?本当にごめんな。」

「何が?別にアルファードは悪くないよ。私が勝手に自分と同じくらいの年って思っていただけだもん。それに、ウォーレン大魔導士様の弟子か。やっぱ、私と何もかも違う・・・、ちょっと、一人になりたいから…」

 ティファは、離籍し、部屋に戻る。今は、そっとしといた方が良いかもしれない。

「まぁ、なんだな。少し、混乱しているのだろう。ここは、そっとしとこう。」

 コブラ達も離籍し、武器の手入れをしたり、防具を磨いたり、各々行動する。フェニックスは、ティナやナディアと一緒にいるので、彼らの下に行った。

「ティナ、ナディア。フェニックスって言い続けるのも何なんで、”ノア”って名前はどうかな?」

俺は、フェニックスに尋ねた。

「あら、いい名前ね。気に入ったわ♪私は、今日からノアね。よろしく、ナディアさん、ティナちゃん」

「うん。すごくいい名前。フェニックスにぴったりの可愛い名前。」

「うむ。妾もいいと思うぞ。ナディアと言う名前も気に入っておる。」

「喜んでもらえて嬉しいよ。よろしくね。ノア」

 新たな仲間が増えた。これから更に俺の生活が賑やかになる。前世では、人と関わる事がほとんどなかった。こんなに色々な人達?と関わった事で俺も多少なりとも変われたのかもしれない。これから、どんな物語が俺に起こるのか楽しみになってきた。

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