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第3章 再会編
第12話 初恋の人と俺だけの秘密
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「つっ、つねちゃん!! 前に俺が言った事、覚えてくれてるかな!?」
しまった!!
俺は焦りから思わず言葉に出してしまった。
二人きりならまだしも、志保さんがいる前で……
「ん? 隆君、『前に俺が言った事』って何なの? クスッ……それに『俺』って……隆君には『俺』っていうのは似合わないわね……」
「い、いや……それは……そのぉぉ……」
俺が返事に困っていると、すかさず『つねちゃん』が俺の代わりに答えてくれた。
「志保ちゃん? それはねぇ、隆君と私だけの『秘密』なの。だからゴメンなさいね。それ以上は隆君に質問しないであげてくれるかしら? 隆君、凄く困った顔しているし……」
『つねちゃん』はそう言うと俺の方を見ながらニコッと微笑んでくれた。
やっぱり『つねちゃん』はとても優しい人だなぁ……
俺は心の中で改めてそう感じていた。
「あっ、ゴメンねぇぇ、隆君。二人だけの『秘密』ならお姉ちゃんはこれ以上聞かない事にするわ……」
志保さんは俺にそう言うと静かに麦茶を飲みだした。
「ところで隆君、学校はどう? もう慣れたかな? お友達はたくさん出来たのかな?」
『つねちゃん』は話を変える為かどうかは分からないが、俺に色々と質問をしてきた。
「う、うん……少しは慣れてきたかな……友達も幼稚園の時よりは、たくさん出来たよ……」
意外と女子達にモテているって事は伏せておこう……
「へぇ、そうなんだぁぁ。それは良かったわ。先生ね、それが一番心配だったのよ……」
『つねちゃん』が俺の事を心配してくれていたのはとても嬉しい。
でもその心配してくれていた内容は俺にとっては凄く恥ずかしい事でもあった。
俺は幼稚園の二学期からの転入生という事で、なかなか幼稚園に馴染めずにいた。
そして友達も出来ずにずっと一人で遊んでいたからだ。
人間、良い事は直ぐに忘れてしまうが、嫌な思い出はずっと覚えているものだ。
特に俺はそうだった。
五十前になってもたまにふとした時に、特に会社で嫌な事があった時なんかは当時の幼稚園時代の辛かった事を思い出す時があったのだ。
そして俺は別に凹む必要も無いのに一人で凹んでいたものだ……
「そういえば隆君って、お姉ちゃんと出会った頃は凄く恥ずかしがり屋さんで目もろくに合わせてくれなかったわよね? でも今日久しぶりに会ったけど、何だか『別人』みたいに成長した感じがするわ。一人で電車に乗ってここまで来ようとしてたしね……」
ドキッ!!
し、志保さん……
本当にこの人は恐ろしい人だ……
俺がこの数ヶ月、かなり努力して小学一年生らしい『振舞い』『言動』をしてきたのに、アナタはアッサリと見破るんですから……
「でも先生は嬉しいわ。隆君が成長した姿が見れたんだから……出来ればこれからも隆君の成長を見届けていきたいなぁ……」
『つねちゃん』はそう言いながら部屋の窓の外を眺めていた。
「つ、つねちゃん……?」
「ん? 何かな、隆君?」
「また遊びに来ても良いかな……?」
俺は恐る恐る聞いてみると『つねちゃん』は即答で
「勿論よ!! 大歓迎よ!! いつでも遊びに来てちょうだい!!」
すると透かさず志保さんも、自分も遊びに来て良いかと『つねちゃん』に尋ねていたが、勿論『つねちゃん』は笑顔で『いつでもいらっしゃい』と答えていた。
そして付け加えでこうも言っていた。
「隆君、しばらくの間は先生の家に遊びに来る時は志保ちゃんと一緒に来てちょうだいね? 一人でここまで来るのは親御さんも心配でしょうし、先生もとても心配だわ。志保ちゃんもそれで良いかしら?」
「はい、私は全然構いませんよ!! ねっ、隆君? 隆君もそれで良いよね?」
「えっ? あ……うん……」
俺は少しショックだった……
これで当分の間は俺一人で『つねちゃん』の家に行く事が出来なくなったからだ。
さすが『先生』だとも思ったが、やはり俺は少し気落ちしてしまった。
でも俺は一人で『つねちゃん』に会いたいという気持ちが強く、こう問いかけた。
「つ、つねちゃん!! 何歳になったら一人で遊びに来て良いの!?」
『つねちゃん』は珍しく俺が大きな声で問いかけたので、一瞬驚いた表情をしたが直ぐに優しい表情に戻り、笑顔でこう答えてくれた。
「そうねぇ……隆君が高学年くらいになれば一人でも安心かな……」
楽しい時間はあっという間に終わってしまう。
「あら、もうこんな時間だわ。隆君、そろそろ帰らないとお母さんに叱られるんじゃない?」
志保さんはそういうと慌てて帰り支度を始めた。
そして志保さんが俺に背を向けている瞬間にとても良い香りと共に俺の耳元で優しい声がする。
「隆君が言ってくれた事、ちゃんと覚えているからね……」
しまった!!
俺は焦りから思わず言葉に出してしまった。
二人きりならまだしも、志保さんがいる前で……
「ん? 隆君、『前に俺が言った事』って何なの? クスッ……それに『俺』って……隆君には『俺』っていうのは似合わないわね……」
「い、いや……それは……そのぉぉ……」
俺が返事に困っていると、すかさず『つねちゃん』が俺の代わりに答えてくれた。
「志保ちゃん? それはねぇ、隆君と私だけの『秘密』なの。だからゴメンなさいね。それ以上は隆君に質問しないであげてくれるかしら? 隆君、凄く困った顔しているし……」
『つねちゃん』はそう言うと俺の方を見ながらニコッと微笑んでくれた。
やっぱり『つねちゃん』はとても優しい人だなぁ……
俺は心の中で改めてそう感じていた。
「あっ、ゴメンねぇぇ、隆君。二人だけの『秘密』ならお姉ちゃんはこれ以上聞かない事にするわ……」
志保さんは俺にそう言うと静かに麦茶を飲みだした。
「ところで隆君、学校はどう? もう慣れたかな? お友達はたくさん出来たのかな?」
『つねちゃん』は話を変える為かどうかは分からないが、俺に色々と質問をしてきた。
「う、うん……少しは慣れてきたかな……友達も幼稚園の時よりは、たくさん出来たよ……」
意外と女子達にモテているって事は伏せておこう……
「へぇ、そうなんだぁぁ。それは良かったわ。先生ね、それが一番心配だったのよ……」
『つねちゃん』が俺の事を心配してくれていたのはとても嬉しい。
でもその心配してくれていた内容は俺にとっては凄く恥ずかしい事でもあった。
俺は幼稚園の二学期からの転入生という事で、なかなか幼稚園に馴染めずにいた。
そして友達も出来ずにずっと一人で遊んでいたからだ。
人間、良い事は直ぐに忘れてしまうが、嫌な思い出はずっと覚えているものだ。
特に俺はそうだった。
五十前になってもたまにふとした時に、特に会社で嫌な事があった時なんかは当時の幼稚園時代の辛かった事を思い出す時があったのだ。
そして俺は別に凹む必要も無いのに一人で凹んでいたものだ……
「そういえば隆君って、お姉ちゃんと出会った頃は凄く恥ずかしがり屋さんで目もろくに合わせてくれなかったわよね? でも今日久しぶりに会ったけど、何だか『別人』みたいに成長した感じがするわ。一人で電車に乗ってここまで来ようとしてたしね……」
ドキッ!!
し、志保さん……
本当にこの人は恐ろしい人だ……
俺がこの数ヶ月、かなり努力して小学一年生らしい『振舞い』『言動』をしてきたのに、アナタはアッサリと見破るんですから……
「でも先生は嬉しいわ。隆君が成長した姿が見れたんだから……出来ればこれからも隆君の成長を見届けていきたいなぁ……」
『つねちゃん』はそう言いながら部屋の窓の外を眺めていた。
「つ、つねちゃん……?」
「ん? 何かな、隆君?」
「また遊びに来ても良いかな……?」
俺は恐る恐る聞いてみると『つねちゃん』は即答で
「勿論よ!! 大歓迎よ!! いつでも遊びに来てちょうだい!!」
すると透かさず志保さんも、自分も遊びに来て良いかと『つねちゃん』に尋ねていたが、勿論『つねちゃん』は笑顔で『いつでもいらっしゃい』と答えていた。
そして付け加えでこうも言っていた。
「隆君、しばらくの間は先生の家に遊びに来る時は志保ちゃんと一緒に来てちょうだいね? 一人でここまで来るのは親御さんも心配でしょうし、先生もとても心配だわ。志保ちゃんもそれで良いかしら?」
「はい、私は全然構いませんよ!! ねっ、隆君? 隆君もそれで良いよね?」
「えっ? あ……うん……」
俺は少しショックだった……
これで当分の間は俺一人で『つねちゃん』の家に行く事が出来なくなったからだ。
さすが『先生』だとも思ったが、やはり俺は少し気落ちしてしまった。
でも俺は一人で『つねちゃん』に会いたいという気持ちが強く、こう問いかけた。
「つ、つねちゃん!! 何歳になったら一人で遊びに来て良いの!?」
『つねちゃん』は珍しく俺が大きな声で問いかけたので、一瞬驚いた表情をしたが直ぐに優しい表情に戻り、笑顔でこう答えてくれた。
「そうねぇ……隆君が高学年くらいになれば一人でも安心かな……」
楽しい時間はあっという間に終わってしまう。
「あら、もうこんな時間だわ。隆君、そろそろ帰らないとお母さんに叱られるんじゃない?」
志保さんはそういうと慌てて帰り支度を始めた。
そして志保さんが俺に背を向けている瞬間にとても良い香りと共に俺の耳元で優しい声がする。
「隆君が言ってくれた事、ちゃんと覚えているからね……」
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