春夏秋冬

いろは

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恋人未満編

jack junkie ※R18

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 仕事帰りに訪れたルカ宅で、大河はシャワーを浴びてから寝室に上がった。
 どうせすぐ脱ぐのだから、と衣服は身につけず下着だけで、髪を乾かすためのタオルを頭に掛けている。
 ベッドの上には先に風呂を済ませたルカがバスローブ姿で座っていて、大河が現場から持ち返った紙袋の中身を物色していた。
「おまえな、人の物を勝手に漁るんじゃねぇよ」
「馬鹿犬でも手土産のひとつやふたつ持参するようになったかと思ったんだがな」
「おれがおまえにんなもん用意するわけねぇだろ。貰いもんだ」
 袋の中身は一緒に音楽活動をしている仲間からもらった差し入れだ。
 バレンタインデーが近いからか、いいもんやるよ、と渡されたのはチョコレート色をした横長のギフトボックスで、一日数回のコーヒーブレイクを日課にしているルカは、明日の茶請けにでもしてやるかとめざとく見つけたのだろう。
 箱の蓋を開けるルカに構わず、大河は髪をがしがしとタオルで拭いていた。
 箱の中にはたまご型をした物が五つ並んでいる。これはチョコレートです、と言わんばかりのデザインで彩られた、ダークブラウンのフィルムに包まれていた。
 それの中からひとつをルカは手に取って、ぺりぺりとフィルムを剥がすと、チョコレート色のプラスチックケースが現れた。上下に分かれるケースをぱかりと開けるとチョコレート、が入っていると期待したルカは、予想外の中身に首を傾げる。
 出てきたものもたまご型をしているが、透明で柔らかいシリコン素材の物体だった。
 包装からはどう考えてもチョコレートだと主張していたのに。
 ルカにはたまごの正体が見当もつかない。
「岸波、これはなんだ?」
「あ? うわ、なんだこれ」
「私が聞いている」
 ルカが手にしている物を見て、大河は傍らにあった箱で商品名を確認し、それが何かを確信した。
「おまえ知らねぇの? おれも使ったことはねぇけど」
「だから何だ」
 怪訝そうにルカが眉間を寄せる。
 大河は髪を拭き終わったタオルを首にかけ、ヘッドボードを背もたれにしてベッドに座った。
「ん、」
 来い、とルカを手招きで呼び寄せて、背を向かせて足の間におさめ、後ろから腰を抱くように両腕を回す。
 ルカから受け取ったたまごは下に空いた穴の中に小袋が詰められていて、大河は取り出した袋の裏に描いてある使用方法のイラストにさらっと目を通した。
「何をする物だ?」
「ちょっと待ってろ」
 説明書き通りに小袋を開けると中身はとろりと粘度のあるジェル状の液体で、それをたまごの中に流し込み、穴の周囲にも垂らす。
 ルカは大河にもたれ掛かり、肩に頭を乗せてその手つきを眺めていた。
「こんなもんか」
 たまごの準備を終えてから、大河はルカの首元に唇を寄せ、するりとバスローブの紐を緩めて前を開く。
 はだけさせたバスローブの下には何も身につけておらず、ルカもすぐに肌を合わせるつもりでいたと知れた。
 相変わらず話が早いというか、話すら必要のない身体に大河の気分も急速に高まっていく。
「おい、きしなみ、これは」
「あとで教えてやるって」
 首筋に舌を這わせ、跡をつけない程度に吸いついた。
 たまごを左手で持ったまま、流し込んだ液体を右手の指で少量だけ掬い取ってルカの股に手を差し入れる。
 尻の割れ目に指をあて、穴の入り口を粘液で濡らすように揉むと、粘液がくちゅくちゅと音を立てた。
「ん、ッ」
 唐突に与えられた性感を受け入れて、ルカが敏感に声を漏らして眉を寄せる。
 指の挿入がいつもよりスムーズなのは、この粘液がそのために作られたローションであるおかげだ。
 手のひらで会陰を擦りながら二本の指で穴の入口に出し入れを繰り返すと、中から伝わる快感がルカの性器を膨らませていく。
 尻から指を離して緩く勃ち上がった竿を握り、根元からぐっと圧迫を加えて擦ってやれば、徐々に性器は体積を増した。
 日本人の平均サイズを上回るそれと、大河は手中のたまごを見比べて、これにこいつの入るのか? と疑問が沸くが、まぁなんとかなるだろ、と気楽に思い直した。
「これはなぁ、こうやって使うんだよ」
 十分に勃起した性器にたまごの穴をぴと、とくっつけると、ルカの腰がびくりと震える。
「っ、なにを……!」
「普通はソロプレイに使うもんだけどな」
 に、と口元を上げて教えてやると、その手つきも相まって、ルカはそれが自慰に使用する性具だと瞬時に理解した。
 柔らかな素材は伸縮性が良く、穴もぴったりと性器の形に拡がる。
 下に動かすとぐうっと伸びて、ルカのサイズでも全体を飲みこめた。
「ばか! こんなもの……っ」
「どうだ? オンナに突っ込んでるみてぇ?」
 亀頭を包んで上下させると、ぐちゅぐちゅと性器にローションがまとわりつく音が卑猥に響く。
 ルカがもう随分と長く異性との性的な接触は絶っていると知っていて煽ってやった。
「ふ、ざけるな……っ、私には必要、ない……!」
「突っ込むより突っ込まれる方がイイって? けどおまえ、突かれながらイクの好きだろ」
「う、るさ、いっ」
 言葉では拒みながら、抗えない性感にルカの身体はびくびくと震える。
 先ほどまで解されていた後ろにもう一度指を埋め、内壁を擦って抜き差しを繰り返した。
 中を刺激する動きに合わせて性器を扱いてやると、快感が全身に広がるように、白い胸元が薄紅色に染まってゆく。
「ふ、……ぁ、あっ、あぁ……ッ」
 次第に増える嬌声と、快楽で滲む目尻の涙をルカは隠さない。
 指では物足りなさそうに切なく見つめてくる瞳に、大河は胸にぞくぞくと痺れを感じた。
 たまらなくなって、ルカの中から指を引き抜く。
 早く自分のものを奥まで埋めてしまいたい。もっと快楽に歪む顔を見てやりたい。
「挿れてやるからケツ上げろ」
「っん……」
 下着をずらして自身の性器を露出させると、ルカは素直に従い膝をついて腰を浮かせた。
 性具からルカの性器を伝って流れたローションがシーツに染みをつくる。
 あとでめちゃくちゃ怒りそうだな、と思ったけれど、これ以上汚すことになっても気にしてやる余裕は持てそうになかった。
 尻穴に性器を当てがうと、ルカがゆっくりと腰を落としていく。ローションで多少は滑りがよくなっているとはいえ、一気に押し進むとルカの中はぎちぎちにきつい。
 それでも早く奥まで届かせたいのはルカも同じで、自分の好きな角度に内壁を擦りながらずぶずぶと大河を飲み込んだ。
 性器がほとんど埋まると大河はゆるゆる上下に腰を振り、前を性具ごとルカの手で握らせて、その上から自分の手を重ねて扱く。
 前と後ろを同時に攻め立てられ、快感に悶えて反らされる胸は、つんと勃ち上がった乳首が硬さを主張していた。
 片方のそれを摘んでやると、悦ぶように後ろの穴もきゅうきゅうと締まる。
 気持ちの良いところ全部がルカの性器に熱を送り、たまごの中で亀頭がぱんぱんに膨らんだ。
 性器を扱くスピードが無意識に上がり、はあはあと大河の吐く息も荒くなる。
「ア、あっ、ん……ッ」
 ルカの喘ぎが高くなる瞬間、びゅ、と性具の中へ熱が放たれた。
 握った手で性器がどくどくと脈打つのを感じながら、大河に背を預けるルカの耳裏を舌で舐めあげる。
 たまごから性器を引き抜き、どろりとあふれそうになるローションと精液が混じったものをこぼさないように気をつけて、ベッドサイドのゴミ箱に放ってやった。
 絶頂の余韻で力の抜けたルカのからだは、紅潮した頬も、浅い呼吸を繰り返して上下する胸も、性器を飲み込んだままひくつく尻穴もいやらしくて、大河の射精感も自ずと高まっていく。
 このまま中を追い詰めてやろうとしたが、一度熱を解放して若干の落ち着きを取り戻したルカが腰を上げ、ずるりと大河の性器が抜けてしまった。
「おいコラ、」
 なに勝手に自分だけ満足してんだ、と文句を言いそうになったけれど、ルカがまだびくびくと快感の残る身体でゆっくりとこちらに向いたので言葉を飲み込む。
 不本意に自分だけ絶頂に導かれたのが悔しいようで、むすっと不機嫌な顔をして大河の股座に腰をおろした。
 そして快楽の涙が滲んだ跡の残る目元で、箱に残っているたまごを睨む。
「残りは持ち帰るつもりか」
「なんだよ、気に入ったのか?」
「いらない。こんなもの」
 機嫌が悪いのは性具を無理やりに使わされたからか、それとも。
 大河が使うのかと思うと、気に入らないからか。無機物に頼る暇があるならここに挿れろとでも言うように、ルカは腰を上げて自分の中に大河を再び迎え入れた。
「おれもいらねぇ。やりたくなったらここに来るし」
 ぐっと腰を掴んで挿入を深くすると、ルカは眉間の皺を緩めて満足そうに腰を揺らす。
 これでよろこぶのだからおかしな奴だと思うけれど、大河もそれでまた気分が良いのだから、無自覚でも互いに溺れているのだ。
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