悪魔と契約した僕は伝説の『ブルオーガ』を右手に宿し、やがて世界最強。

葉月

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第3話 エッチなお姉さんなのに……

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 まっ、そんなこんなで旅を続けているわけなのだが……村を飛び出して一ヶ月が経過した現在も、僕は子羊のように怯えている。

 それと言うのも、〝レッドホークゴブリン〟に進化したジャミコが僕とリリスを始末するために追って来ているんだ。

 世界最強の怪物に追われている僕は居ても立っても居られない。

「んんっ……」

 悩めかしい吐息混じりの声が僕の後方から聞こえてくる。
 リリスだ。

 リリスは馬車の客車でスヤスヤと眠りについている。

 悪魔お姉さんリリスは毎晩僕を安らかな眠りに誘うためにベッドの上でアクロバティックな大技を決めて、この通り疲れ果ててしまっていた。

「なんて情けないんですか……それでどうやってこの僕を快楽死させるつもりなんですか」

 情けない醜態を晒して『大』の字になり、寝息を立てるリリスを見て深く嘆息してしまった。

 そんな寝息を立てるリリスの傍らまで歩み寄り、怖いほど美しい寝顔を見下ろす。
 露出の多い衣服から覗く白い谷間と、深いスリットから見え隠れする純白のおパンティ。

 けしからんっ! 卑猥過ぎるっ!!

 すると、僕の頬はカッと熱を帯びてズボンに立派なテントを張ってしまう。
 しめじから高級食材松茸に進化してしまったようだ。

「僕が快楽死しないとリリスは悪魔界に還れないんです。これは人助けならぬ悪魔助け。僕は責任を取らなければいけないのですから」

 僕は眠るリリスの上にまたがり、面積の少ない布をサッとずらして顔を近づけた。

 スベスベのお腹に頬を滑らせるように移動させ、マショマロ山を登頂する。
 いとも容易く山頂に到着した僕のお口はブラックホールと化し、山の麓ごと吸い込むように凄まじい吸引力を発揮した。

「ああぁっん……」

 艶めかしい小鳥のさえずりがマシュマロ山に響くと、リリスは悶絶していた。
 体を右へ左へ捻っては身悶えている。

「おっ、お前さまの体は……どっ、どうなっているんじゃ! あぁっん。ゆっ、ゆうべも……んんっ、さ、さんかっいぃっ……今朝も一度したはずじゃ!」
「なにを言っているんですかっ! そんなことでは僕との契約を果たすことなど一生かかっても不可能ですよ!」

 僕は決してイヤらしいことがしたいんじゃない。
 僕は男として責任を取ろうと最善を尽くしているだけなんだ。

 それなのにリリスはスケベな声を上げながら、僕をマシュマロ山の頂上から引き剥がした。

「なぜですかっ!? リリスは故郷に還りたくはないんですか!」
「もちろん妾はお前さまを快楽死させる。じゃがじゃ……その、こう毎日何度もとなるとさすがに妾一人では身が持たぬ。先に妾が干からびてしまうわっ」
「ハッ……!?」

 なんて情けない悪魔なんだ。
 それでもエロエロエッサイムで喚んだ上位悪魔かっ!?
 信じられないっ!

「と、とにかくじゃ……次の街についたら仲間を探さねばならぬ……。なんじゃその目は?」

 僕は情けないリリスを恨めしそうにジト目で見つめて、また深く息を吐き出した。

 リリスがエッチな悪魔お姉さんだからめっちゃ期待したのに……とんだ腑抜けだ。
 たった一ヶ月で根を上げるなんて根性が無さすぎる、まったく。

 初日の耐久力と気合はどこに行ってしまったんだよ。

 中途半端に終わり悶々とする僕を見て、気まずかったのかリリスが話題を変えてきた。

「それに宿代などの資金も稼がねばならんじゃろ? その為には手っ取り早くダンジョンに潜るのが一番だと妾は考える。その為にはやはり仲間を見つけてパーティーを組む必要がある!」
「つまり要訳すると……一人では僕を快楽死させることは無理だからエロエロパーティーを組んで僕を攻略したいということですね。しかし、それでも時間が掛かりそうだからそれまでの資金をエロエロパーティーで稼ぐということですよね?」
「…………そこまでは言っておらんのだが」
「まっ、いいでしょう。いつジャミコが追いついてくるかわかりませんし、仲間は大いに越したことありません。ただしっ!」

 立ち上がった僕の前で正座して、真剣に話しを聞くリリスに声を張り上げた。

「可愛い子限定です!」
「はぁ……?」

 目を見張り、とぼけた声を漏らすリリスに僕は重要なことを伝える。

「ギルドに登録してダンジョンに潜ったり、ギルドの依頼を引き受けて資金を稼ぐのは賛成です。ただしっ! いくら強いからといい僕の好みじゃない女の子はパーティーには入れてあげません」
「なぜじゃっ!?」
「リリスはバカなんですかっ! おっきしないからですよ! おっきしなければ僕が快楽死することは万に一つないじゃないですか。それとっ」
「まだ何かあるのか?」
「新たな仲間には……僕の……その、育ったキノコのお世話をするようにリリスから言って下さい!」
「はぁ!? なぜ妾が言わねばならんのじゃっ!」
「もう一度いいますよ。リリスはバカなんですかっ! 恥ずかしいからに決まっているでしょ! 僕が変態さんだと思われたらどうするんですか?」

 唖然とするリリスが死んだ魚のような目で僕を見てきても、引く訳にはいかない。
 これはとても重要なことなんだから。

「………………」
「……………………」

 沈黙という気まずい時間がしばし続き、助け舟を出すように馬車を操るおじさんが声をかけてくれた。

「お前さんら、〝大都市カルプス〟が見えて来たぞ」

 僕とリリスはおじさんの声に誘われるがまま、御者席の小窓から前方に視線を向けた。

 街を取り囲むように築かれた巨大な外壁――それは魔物や盗賊などが簡単に侵入できないようにするためのものだ。

 僕の育った村は森の中にあったから、もちろんこんな巨大な石の壁を見たのも初めてだった。

 魔物がやって来ても、大体僕や村の誰か(主にジャミコ)が退治していたし問題はなかった。
 でも、外の世界の人たちの中には戦えない人もいるみたいだから、彼らを守るためにも外壁は必要なんだ。

「どうやら着いたようじゃな。街に入ったらまずはギルドで――」
「一にも二にもエロ可愛い子を探しましょう! あんなに大きい都市なんですから……クスクス。激カワどスケベちゃんがいるはずですよ!」

 僕はリリスの言葉を遮り、自分の意見をしっかりと伝える。
 自分の意見を言えない人になるなと、よく村のじいさまたちに言われていたからね。

 僕の横で呆れたように嘆息するリリスの肩がガクッと落ちるけど、そんなことはどうでもいい。


 だって、あの街には僕の……ハーレムの住人がいるのだから。
 エロエロパワー全開です!
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