悪魔と契約した僕は伝説の『ブルオーガ』を右手に宿し、やがて世界最強。

葉月

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第22話 美女を追い求めて……。

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「結合結界……『滅』ッ!」
「グギャァアアアッ――」

 ダンジョンに入ってすぐ、僕たちを見るや否や雄叫びを響かせたゴブリンが襲いかかって来たのだが、ランランがすぐに半透明な結界に閉じ込めると、『滅』と言う掛け声とともに結界が収縮して行き、そのまま押し潰されて弾けた。

 どうやらランランはただのタンカーではなく、ある程度の戦闘も行えるマルチタンカーのようだ。

「うむ、ランランの結界は防御だけではなく、攻撃にも転用できるようじゃな」
「ワタシの結合結界は様々なことができるね。だけど結果内に封じ込めて『滅』で押し潰せるのは弱い魔物限定アルよ。力が強すぎると潰せないね」
「雑魚処理用という訳ですね」
「雑魚処理って……まぁ、そうアルが……」

 僕たちはギルドを出てすぐにダンジョンへとやって来た。
 通常、このようなダンジョンに潜る際はそれなりの準備が必要だろう。

 それこそ奥に行くとなれば最低でも数日分の食料は必要となる。
 だけど、僕たちは食料を持参していない。

 持参する必要がないと言うのが正しいのだけどね。

「しかし、ダンジョンの最深部まで潜るとは言ったものの、一体このダンジョンは何階層まで続いておるんじゃろうな?」
「ダンジョンの深さは様々ね。小規模なダンジョンなら5階層までしか存在しないね」
「Sランク冒険者がリーダーを務めるパーティーが数日かけて最深部まで行ったということを考慮すれば、それなりに深さはあると覚悟しておいた方が良さそうですね」

 僕たちは話し合い。足早にダンジョンの奥へと進んで行く。
 ぼやぼやしていたら時間だけが無駄に過ぎていってしまうからね。

 前回リリスと2人でダンジョンに潜った際は、3階層までしか行っていない。
 その辺までは雑魚魔物しかいなかった。

 しかし、今回は前回よりもずっと深くまで潜る。
 なんたって目的地は現在行くことが可能な最深部までだ。

 それに伴い出現する魔物の脅威レベルも跳ね上がるだろうから、ある程度まで下りたら慎重に進まなければ……。
 まっ、それまではそこまで慎重になることもないだろう。

 逆に慎重になり過ぎるとレインたちに追いつけなくなってしまう可能性もある。

 ランランは元パーティーメンバーのレインたちを気にしているようだが、僕は〝絶世の美女〟をレインに先越される方が嫌なのだ。

 レインの奴はとんでもなくドスケベな思想の持ち主だから、封印されて眠っている絶世の美女ちゃんにどんな卑猥な悪戯をしでかすかわかったもんじゃない。

 僕が絶世の美女ちゃんを適切に保護してあげなければッ!
 僕は使命感に燃えていた!


「ニンゲン……グウ、オンナ……ハ、ウマゼル」

 順調にダンジョンを下りて行く僕たちの前に、片言の言葉を話すデカイのが現れた。

 1階層から5階層までは人の言葉もろくに話せない魔物たちしか現れなかったのに対し、6階層まで下りてくると一気に魔物のレベルも跳ね上がるようだな。

 緑色のデカイ図体は推定4メートル程はあるだろうか?
 手にはトゲトゲの棍棒を握り締めている。

「少しは歯ごたえのありそうなトロールが現れたね」
「そんなことより気に食わんッ! こやつ程度の雑魚が妾に子を産ませるじゃとッ、身の程を知らぬゴミ虫めがッ!!」
「リリスの言う通りですよ。僕が大人になったら2人は僕の子を産むんですから」
「アイヤー! タタリはとても大胆な愛の告白をしてるね。ワタシの大事な部分が圧倒的にやる気に満ちているね!」
「なっ! 妾とて大事な女の部分が既に濡れ濡れじゃ! なんなら今すぐにこのダンジョン内でッ――」

 リリスもランランも太ももをスリスリしながら頬を染めている。
 そんな淫らな仕草を見せる2人の太ももからは、何やら粘着質な汗のようなモノがたらーっと流れていた。

 2人とも本当にドスケベなんだから……。
 魔物を前に言葉だけで妄想して発情するなんて……もう可愛すぎるですよ!!

 2人が垂れ流した女の匂いに興奮して、目前のトロールが鼻息荒くトゲトゲ棍棒を振りかぶりながら突っ込んでくる。

「グッ……グガァッ……」

 ――だが、すぐに首から煙を上げて地面に倒れ込んでしまう。
 リリスの放ったデスボールがトロールの顔面にヒットして吹き飛んでしまったのだ。

「ふんッ! 口ほどにもないの」
「圧倒的雑魚ね」
「2人共すぐに離れるですよッ!」

 リリスとランランはトロールを甘く見すぎている。
 そのため地面にひれ伏したトロールに無警戒に近づき、見下すような視線を向けた。

 刹那――

 顔面を失ったトーロルがものの数秒で首なし状態で立ち上がると、リリスとランランの体をガッシリと掴み上げたのだ。

「「ッ!?」」
「なっ、なんじゃこやつは!? 顔もない癖になぜ動けるのじゃ!」
「はっ、離すアルよ! 汚い手でワタシに触れるなッ!」

 2人を掴み上げるとトロールはスポッと首を瞬時に生やしてみせた。
 そう、トロールがオークよりも厄介なのはその驚異的な自己再生能力にある。

 トロールは例え四肢を切り裂かれたとしても、驚くべき回復力で瞬く間に回復してしまう。
 それが例え顔面であっても同じなんだ。

「オンナ……オレノコドモ、ウム。ズコバコ……タクサンスル」
「ふッ、ふざけるでないわッ! 誰が貴様などに抱かれるか!」
「これでも喰らうアルよッ! 結合結界『結』……続けて『滅』ねッ」

 ランランは素早く印を結び、トロールの顔面を四角い結界で覆うと、間髪入れずに『滅』で再び顔面を弾き飛ばしたのだが、それは無意味でしかない。

 先ほどトロールが倒れたのは奴の演技。

 そもそもトロールには痛覚が備わっていないと言われている。
 トロールが殺られた振りをするのは敵を油断させるための悪知恵に過ぎない。

 だからランランが顔面を吹き飛ばしてもトロールが2人を離すこともないんだ。

「どうなってるアルかッ!?」
「なぜ倒れんのじゃ!? それに……また再生しおった!」

 僕はトロールの手の中で暴れる2人を見て嘆息した。
 リリスもランランもそこら辺の冒険者よりは圧倒的に強いと思う。

 だけど……2人には決定的に足りないモノがある。
 それは魔物に関する知識だ!

 どれほど優れた技や肉体を有していたとしても、異形のモノである魔物に関する知識がないと勝てない時もある。

 逆を言ってしまえば、それほど強くない者でも知識があれば勝てる魔物がいることもまた事実。
 トロールはその代表と言ってもいいだろう。

「肉体憑依……《ポイズンスライム》……ッ!」

 僕はやれやれと呆れの色を見せながら頭を振り、右手で魔法陣を形成して肉体憑依を行った。

 喚び出したのは《ポイズンスライム》。
 僕は《ポイズンスライム》を右腕に憑依定着させると、トロールに向かって右手を伸ばした。

 すると、僕の腕は紫色の毒々しい液体状に早変わりし、ヌルヌルと伸びてトロールの口内に『ズズズズッ』と音を立てながら侵入する。

「グッ、ナンダ、ゴレハ……」
「お前さまッ!?」
「タタリ!?」

 僕の伸びたスライム右腕が体内に侵入を果たすと、『ドスンッ』と鈍い音を立ててトロールの両膝が折れる。

 たまらずリリスとランランを離して口内に入り込む僕のスライムを引っこ抜こうとするトロールだが、無駄だね。
 液体状のスライムを捕まえることは不可能なんだ。

 その隙に2人が僕の元まで引き返してくる。
 僕はトロールに不敵な笑みを浮かべた。

「僕に出会ったのが運の尽きですね。死ぬですよ」

 別れの言葉を告げると、トロールの肉体は『ジューーッ』と肉が溶け出して骨となり、次第にその姿が見えなくなった。
 跡形なく消滅するトロール。

「一体何をしたのじゃ!?」
「何度も再生するトロールがあっと言う間に消えたよ!」
「2人共怪我はありませんか? どんなに雑魚が相手でも油断は禁物ですよ」
「すまん」
「面目ないね」

 反省した様子で申し訳なさそうに肩を竦めた2人に、僕はトロールについて知っていることを教えることにした。
 これから冒険者としてやっていく上で、相手の情報を知っているのと知らないのとでは全然違うからね。

 まず、トロールには基本的に物理的な攻撃が通用しないとうこと。
 打撃や斬撃などでいくら攻撃しても、トロールは瞬く間に再生してしまうからだ。

 そこで重要になってくるのはトロールの倒し方なのだが、最もポピュラーな討伐方法は燃やすこと。

 再生能力が非常に高いトロールは肉体を傷つけても何度でも再生してしまうが、すべてを燃やしきるほどの火力があれば容易く勝てる。

 もちろん肉体を消滅させられれば炎じゃなくてもいい。

 今回敢えて高火力を出せる《ドラゴン》ではなくて、《ポイズンスライム》を憑依定着させたのにも理由がある。

 2人がトロールに捕まっている状態で高火力による炎攻撃を行えば、少なからず捕まっている2人にも火傷などの怪我を負わせてしまうリスクがあると判断した。

 僕の大切なリリスとランランの素肌に傷がついたら大変だ。

 そこで僕は《ポイズンスライム》の毒で体内からトロールの肉を分解して溶かすことにした。
 スライムでトロールを包まずに、体内から溶かしたのも炎と同様の理由からだ。

 僕の魔物講義の授業を正座で真剣に聞く2人の瞳は、とても素直に輝いていたと思う。

「お前さまは本当に魔物についてだけ・・は詳しいの。さすがはシャーマンじゃな」
「タタリはとても物知りね。年下とは思えないくらい頼りになるアルよ」

 リリスの『だけ』は余計だが、2人共僕を褒めてくれている。
 非常に気分がいい。

「うん。じゃあご褒美に先生に2人のパンティを見せてみるのですよ」
「しッ、仕方ないの……助けてもらったからの」
「ご褒美はとても大事ね」

 そう言いながら立ち上がった2人が恥ずかしそうにスカートの裾を持ち上げて、パンティを僕に見せてくれる。

 今日のリリスのパンティは髪と同じ色の美しいアメジストヴァイオレットなパンティちゃん。
 意匠が凝らされたリッチ感溢れるパンティは大人の色気を数倍増しにさせている!

 対するランランも髪と同じ色のサーモンピンクなパンティちゃんがとてもキュートだった。

 まったく異なる2人だからこそ、僕の僕もつい張り切って大きなテントを張ってしまう。


 だが、ここで今すぐにしたい気持ちをグッとこらえて、僕たちはさらに奥へと進むことにした。
 絶世の美女が僕のエロエロパーティーに入りたいと待っているのだから、待たせるのは男じゃないですよ。
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