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12 そこ聞いちゃいます?
しおりを挟む貨幣の件でアルトに笑ってない目で見られた俺は慌ててアルトをお風呂に行かせて誤魔化した。
いやだって何気なく手に触ったのが白金貨だったんだもん。
いやまじビビった。
リアルで手にした事の無い金額だぜ?
確かにゲーム内ではめちゃくちゃお金持ってたけどさ。
たぶん億の金額はゆうにあったはず。
怖え───!
あ、でも幾ら持ってても世界樹じゃあ使いどころが無いなあ。
まさしく宝の持ち腐れ。
・・・・・・あ、アルトが帰るときにお土産と一緒に持ってって貰おう。
それか物物交換。
お、俺って頭良い!
そうと決まれば、何を持ってって貰おうかな?
あ、アルトってお酒飲むかな?
ワインやシャンパンもあるんだよね。
味見がてら今夜、一緒に飲もうかな?
この世界に来てからまだ一度も飲んでないし。
お風呂出たら聞いてみよう!
───無意識に次もまた来てくれる前提で考えているカムイだった。
アルトがお風呂から出たので、ちょっと待ってて貰って自分もサッと汗を流す。
何時もは一人だからふやけるほどお湯に浸かっているが、今夜は待ってる人がいる。
なんて嬉しいことか。
・・・でも彼は少しの間だけここにいる人。
直ぐに去って行ってしまう。
寂しいけど、俺は外に出て捕まって奴隷として生涯を送りたくはない。
ハイエルフがどれだけ長生きなのか知らないけれど、さっきのアルトの話だとめちゃくちゃ長生きしそうじゃん。
───きっと、何時もの動物たちともあと十何年かしたら死に別れて、仲良くなった人にも置いて行かれる生活になる。
それならいっそ、関わりを持たずに、このまま独りで───。
「・・・・・・カムイ? 大丈夫? 寝てない?」
ハッとした。
思ったより物思いにふけっていたらしい。
「んー、大丈夫! 今出るね」
そう言って、慌てて着替えて浴室から出た。
リビングで待ってたアルトにごめんと言って、お酒を勧める。
「アルトはお酒飲める? ていうか、幾つから飲んで良いの?」
「飲めるけど。種族によってまちまちだからなあ。俺達獣人は大体どの種族も18歳から成人だから」
「ふーん。アルトって幾つ? 若いよね」
最初にシャンパンを開けてみた。
シュワシュワ、大丈夫かなあ?
「俺はこの間20歳になった。そういえばカムイは? エルフも成人までは普通に成長するって聞いたけど」
「俺? 俺は26歳」
「───ぶっ?!」
アルトが噴いた。
大丈夫か?
やっぱり異世界って炭酸系無いのか?
「大丈夫?」
「・・・・・・げほっ、え”・・・・・・カムイって俺より年上なのか?!」
「・・・・・・そうみたい。ごめんね?」
苦笑する。
日本では散々言われ慣れた言葉だ。
ちびで童顔だったからな。
「・・・・・・もしかして、ステータスで確認したのか?」
「ああ、うん、なんかぱあっと目の前に出てね、そこに名前とか年齢とか種族が出てて、それで知った。見てみる? ていうか見せられるのかな?」
「・・・・・・ステータスオープンと言うか頭に思い浮かべると出来るが、むやみに誰かに見せては駄目だ。分かった?」
「んー、アルトにだけ、ね?」
そう言うと顔を赤らめた。
まだ一口でしょ?
酔っぱらうには早いぞ。
「じゃあ、ステータスオープン」
そう言うとステータスボードが可視化された。
不思議。
【名前:ジェイド・カムイ/通称:E・E
性別:男
年齢:26歳
種族:高位森人
体力:A+
魔力:S+
固有魔法:精霊魔法
称号:天涯孤独、精霊王、生産王、魔導王
備考:無し】
「・・・こんな感じ?」
「───いやいや色々突っ込みどころが多いんだが」
アルトが頭を抱える。
何処がヘンなのか全く分からん。
「・・・名前のところ、通称があるけど、E・Eってどういう事? 名前に一つも引っかかってないよね?」
うん、そうだね!
聞かれると思った!
だがしかし、ここはありのまま教えるぜ!
「えげつないエルフでE・E」
「・・・・・・は?」
「EGETUNAI・ELFで、頭文字を取ってE・Eって呼ばれてた、かな?」
何処がえげつないんだって?
見た目じゃないよ、中身だよ。
鬼畜仕様って言われたね。
だって、自分のために、俺、頑張った!
なのに仲間には面白がられて、E・E呼ばわりされて・・・。
・・・つらみ。
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