眠れぬ夜の3秒ファンタジー 心のカモミール
『眠れぬ夜のファンタジー』
今夜、眠れなかった理由を、月は何も聞かずにただ見ていた。
言葉にできない痛みを抱えたまま、
ミナはカップにカモミールを注いだ。
湯気の向こうで、心が少しだけ、まるくなるのを感じながら。
そのとき、窓の外にふわりと光る影が舞い降りた。
「こんな夜に起きてるなんて、なかなかの夜更かし名人だね」
そう言って笑ったのは、
月のかけらでできた、小さな配達人だった。
名は“ルミ”。
夜に起きている人だけに届く、夢のかけらを運ぶ妖精だという。
「今日はちょっと特別な夢を届けに来たんだ。
“自分を責めなくていい”って書いてある、あったかい夢だよ」
ルミはポケットから、光る紙切れを一枚取り出して、
ミナの手のひらにそっと置いた。
そこには、丸文字でこう書かれていた。
“あなたが無理しないで笑えた日が、
本当の幸せのはじまりなんだよ。”
読んだ瞬間、ミナの胸の奥で、
きゅうっと結んでいた何かが、ほどけた。
「これ、効き目はゆっくりだけど、ちゃんと効くよ。
だから焦らなくて大丈夫。
今日、笑えなかったって? ううん、ちゃんと生きてたじゃない。
それって、すごく大事なことなんだよ。」
そう言って、ルミはまた空へと舞い上がった。
ミナはカモミールの最後の一口をすすると、
まぶたがすっと重くなった。
明日も、きっとまた色んなことがある。
でも今夜だけは、自分を責めるのをやめよう。
ただ静かに、優しく、眠りに落ちてみよう。
――それが、ルミの夢の効き目だった。
今夜、眠れなかった理由を、月は何も聞かずにただ見ていた。
言葉にできない痛みを抱えたまま、
ミナはカップにカモミールを注いだ。
湯気の向こうで、心が少しだけ、まるくなるのを感じながら。
そのとき、窓の外にふわりと光る影が舞い降りた。
「こんな夜に起きてるなんて、なかなかの夜更かし名人だね」
そう言って笑ったのは、
月のかけらでできた、小さな配達人だった。
名は“ルミ”。
夜に起きている人だけに届く、夢のかけらを運ぶ妖精だという。
「今日はちょっと特別な夢を届けに来たんだ。
“自分を責めなくていい”って書いてある、あったかい夢だよ」
ルミはポケットから、光る紙切れを一枚取り出して、
ミナの手のひらにそっと置いた。
そこには、丸文字でこう書かれていた。
“あなたが無理しないで笑えた日が、
本当の幸せのはじまりなんだよ。”
読んだ瞬間、ミナの胸の奥で、
きゅうっと結んでいた何かが、ほどけた。
「これ、効き目はゆっくりだけど、ちゃんと効くよ。
だから焦らなくて大丈夫。
今日、笑えなかったって? ううん、ちゃんと生きてたじゃない。
それって、すごく大事なことなんだよ。」
そう言って、ルミはまた空へと舞い上がった。
ミナはカモミールの最後の一口をすすると、
まぶたがすっと重くなった。
明日も、きっとまた色んなことがある。
でも今夜だけは、自分を責めるのをやめよう。
ただ静かに、優しく、眠りに落ちてみよう。
――それが、ルミの夢の効き目だった。
あなたにおすすめの小説
アナタの大事な女性は許されるのに~わかってくれと言われ続けた令嬢は、もう誰も許さない
タイトル通りです。
恋人には、忍耐と屈辱を味わわせても、本当に大切な女性は、すべて当然のごとく許される。
そんな理不尽を書いてみました。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
男は裏切るけれど、お金は裏切らない ~愛されない王妃は静かに爪を研ぐ~
国王は側妃を寵愛し、予算を超える贅沢を許している。
財務卿の娘である王妃は、これまで裏で不足分を補填してきた。だが、王太子にまで悪影響が及び始めたため方針を変更する。
超過分の請求先を側妃の実家にしたところ、あっという間に破産。
そのとき国王はどう行動するのか、そして王妃の心情は――
夫婦のまま、他人を愛する ~仮面夫婦~
夫婦円満。
それは、いちばん巧妙な嘘だった。
会話はある。
笑顔もある。
でも、心だけがない。
互いに踏み込まない暗黙の了解。
触れない距離。
見て見ぬふりの欲望。
仮面を外せない二人が、
ひとつの“揺らぎ”に出会う。
そのとき、夫婦という関係は崩れるのか、
それとも、初めて本音に触れるのか。
「お前を愛する事はない」を信じたので
「お前を愛することは無い。お前も私を愛するな。私からの愛を求めるな」
お互いの利益のために三年間の契約結婚をしたアヴェリンとロデリック。楽しく三年を過ごしたアヴェリンは屋敷を出ていこうとするのだが……。
貴方で良かった
「俺には愛する人がいる。申し訳ないが、君を愛することは出来ない」
結婚式を終えた夜、アレクシス・コートネイ公爵令息は妻のユーフェミアへそう告げた。彼は幼馴染の恋人エミリーだけを愛すると誓っており、妻に白い結婚を強要する。
しかし夫へ従順に従い公爵家のため真摯に働くユーフェミアに、アレクシスの心は揺れ始め――?
設定はゆるふわです。
※ 他サイトにも投稿しています。
【完結済】冤罪で辺境に幽閉された第4王子
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
ログインすると感想の投稿ができます。