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どの口が!
ちゃんと言い返せた自分を内心でほめたたえる。
(言ってやった! 言い返せた! 私えらい!)
もうあなたに興味ないわ! という態度でクールに対応できたはずだ。心臓はバクバクして今更手が震えてきたが、堂々と話せた気がする。
そして落ち着いてくると、言われた言葉を思い出して腹が立ってきた。
「……早すぎないかとか、どの口が言ってんのよ」
二股して浮気相手に乗り換えた男にそんなことを言う権利があると思っているのか。
今更ながらはらわたが煮えくり返ってくる。突然色々ありすぎて気持ちが追い付いていなかったけど、やっぱり自分は思ったより傷ついていたらしい。
彼氏に二股されていたことも、いきなり呼び出されて振られたことも、忠告したのにまんまと麗奈にひっかかったことも全て悔しくて悲しくて、自分が惨めで仕方がなかった。
「ていうか、彼氏ができたのかって訊きにくる神経もどうかしているわ」
捨ててやった女がすぐ次に彼氏を作ったから、自尊心が傷つけられたのだろうか。
それにしても、以前の幸生はこんな非常識で自己中心的な振る舞いをしたことがなかったのに、麗奈と会ってから彼は変わってしまった。いや、本性があらわになったのかもしれないが、少なくとも最初からあんな人ではなかったはずだ。
人の立場になって物事を考えられる優しい人だと思っていた。彼と過ごした幸せな日々が全部嘘だったとは思いたくない。
何か動きがあったらすぐ連絡してと圭司から言われていたため、昼休みにさっそく幸生に絡まれたことを彼にメッセージで知らせた。
すぐにポン、とスマホが鳴る。
『大丈夫か? 嫌な思いしただろ。ソイツが絡んできたのは、麗奈って女が何か吹き込んだんじゃないかな』
こんなに早く彼氏ができるなんておかしい、きっと二股していたんだ、幸生は裏切られていたんだよ、などと言って幸生に理沙を問いただすよう誘導した可能性もある……と圭司からのメッセージが続く。
そう言われてみれば、あり得る話だ。
幸生の興味は麗奈にしかないはずだから、理沙に彼氏ができたかどうかなんてどうでもいいはずだ。わざわざ聞きにきたのは、麗奈の指示だと考えるほうが自然だ。
圭司の慧眼に背筋がぶるりと震える。
幸生と麗奈と一緒にいる時に理沙たちを目撃したのだろうか。
いかにも恋人みたいな理沙たちを見て、麗奈が速攻で動き始めたのかもしれない。
過去、麗奈に彼氏を盗られた時はしばらく恋愛する気にもなれなくて数年は彼氏がいない状態が続いたから、今回のようにすぐ次の人ができたというのは麗奈にとっても初めてのパターンだろう。
もし、本当にわざと狙って理沙の彼氏を奪いに来ているのなら、この場合麗奈はいつ行動に移るのか。
麗奈が幸生と付き合い始めてまだ数週間くらいだろう。
過去の彼氏も数か月ほどで別れてしまっているので、幸生が捨てられる日もそう遠くないのかもしれない。
まだ圭司がどこ誰だか分からない状態だろうから、麗奈から彼に直接の接触はないだろう。
そうなるとまた理沙とデートをしている時を狙って声をかけてくるか、一人になった瞬間を狙って近づいてくるかのどちらかと考えられる。
メッセージのやりとりでそのように話し合い、その場合にどう対処するかを圭司と考えをまとめていた。
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