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Side:圭司9
むなしく溜まっていく自分だけのメッセージを見て、圭司は重いため息をつく。
何度も送ったメッセージはいつまでたっても既読にならなかった。
「……理沙と連絡が取れない」
終業時間を過ぎて、いつもなら退社するときにメッセージを送ってくれるのが日課だったのに、2時間過ぎても何の連絡もない。急な残業でスマホを触る暇もない可能性もあるが、普段なら簡単にでも予定を連絡してくれていたから違和感がある。
どうにも嫌な予感がして電話をかけてみるがやはりつながらない。
「いっそ居場所検索するか……? でもバレたら理沙に嫌われるかな」
自分がストーカーじみた行為をしている自覚がある分、なんでもなかった場合のことを想像しても動き出せずにいた。
実は理沙のスマホには圭司と居場所を共有できる位置情報アプリをいれてある。万が一を考えてのことだったが、未だその事実を彼女に伝えてられていない。
勝手に仕掛けられた盗聴器とGPSが発見された時、理沙は「気持ち悪い」と何度も言っていたからそういうアプリにも嫌悪感を示すのではないかと不安になり、なかなか言い出せずにいた。
使う機会が訪れなければいいと思っていた矢先の、この音信不通。
本当にただ忙しくてスマホを見る余裕がなかっただけならそれでいい。
でも、ここ最近の不穏な状況からして、何かあったかもしれないという不安がぬぐい切れない。
後で謝るしかないと覚悟を決め、位置情報アプリを開いた。
アプリの位置情報が会社であることを期待しながら検索をかけたところ、それは全く別の場所を指し示していた。
「○○区の住宅……?」
理沙のスマホがある場所は、地図で見る限り住宅地にある個人宅のようだった。
理沙の地元でもない縁もゆかりもなさそうな場所が表示され、一気に血の気が引く。
不自然な居場所で、連絡が返せない状況。
恐らく本人が望まない方法でそこへ連れてこられたと考えて間違いないだろう。
それにあの女が関わっているとしたら。
須藤麗奈について素性調査をしたが、とんでもないトラブルメーカーで高校や大学でも人間関係を壊す危険人物として有名だった。
彼女が近くにいると仲の良い友達やカップルがことごとく仲違いするので、一部からはいっそ恐怖の対象として遠巻きにされていた。報復をしたくとも、彼女は常にカースト上位の男を侍らしていたから下手に手を出すとひどい報復を受けるため泣き寝入りするしかなかったという証言も一つや二つではなかった。
自分以外は皆奴隷とでも思っているのか、年々傍若無人ぶりが加速して、ここ最近は数人から詐欺被害で訴訟問題になっていたらしい。だが男女間の金銭問題は立件が難しく、須藤も罪の意識がないため無視して逃げ回っていたが、そのせいで余計にこじれて相手が強硬手段に出始め、須藤は危ない筋の男たちから追われるようになっていた。
今はコーヒーサービスの会社は休職扱いらしく、出社せず実家にも帰っていない。男に買ってもらったマンションにもおらず、所在がはっきりしない……というのが現在までに上がってきた報告だった。
「知り合いの男のとこを、泊まり歩いているらしい……か」
調査を依頼した調査会社では、別件で須藤麗奈の存在を知っていた。堅気でない相手が追っているらしく、恐らくそのせいで追い込みをかけられて逃げているのだ。
日常が崩れ身の破滅を感じ始めた須藤麗奈が、死なばもろともとばかりに理沙を拉致したとしたら、最悪の事態もあり得る。
圭司は急いでとあるところに電話をかけ始める。
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