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Side:圭司11
杉下が家のインターホンを押す。
案の定、最初は無視されたがしつこく押し続けているとようやく相手が応じた。
『……なんですか?』
「夜分遅くにすみません。実は今日、タブレットを紛失してしまいましてね。どこに置き忘れたか分からなくて、タブレットの位置検索をしたらこちらのお宅にあると表示されたので訪ねてきたんですよ」
『は? いや知らないですけど。間違いじゃないですか?』
「でも位置情報がここの家の中を示しているんですよねえ。うっかり持っていってしまわれたんでは? 家の中を探させてもらってもいいですか?」
『いいわけねーだろ。知らないって言ってんだろが。迷惑なんだよ、帰れ』
「あー、まあそうですよね。じゃあ警察を呼んで立ち会ってもらいます。それなら中に入れてもらえます?」
『警察って……いや、それは……でも……ちょ、ちょっと待ってください』
警察、という単語にあちらは明らかに動揺しているようだ。
もしこの家に拉致した理沙を監禁しているのなら、警察を呼ばれては困るため無視はできない。ひとまず穏便に帰ってもらおうと動くはずだという杉下の思惑通り、中から男が出てきた。
「あの、ウチは本当に心当たりがないんで、警察呼ぶとか言われても困るんですよ。つか、呼んでもこないと思いますよ。位置情報がずれてるとかじゃないんですか?」
「位置情報は間違いなくここなんですよ。黒いビジネスバックに入れてあったんですけど……女性ものでね、留め具が金でロゴのシンプルなキーチェーンがついているバックです。……本当に、心当たりはないですか?」
理沙が持っていたバックの特徴を口にすると、男が明らかに動揺し始める。
理沙のカバンのことだと理解したようだが、杉下がどこまで気づいてここへきているのか測りかねているようだ。どうやって誤魔化そうと考えているのがまるわかりだ。
「いや……ちょっと俺じゃわかんないんで、えっと、後日連絡させてください。今はちょっと無理なんでマジで」
その時、杉下がハンドサインを出した。
車内にいた傭兵たちが一気に動き始め、車から飛び出すと驚く男をあっという間に制圧する。
声を上げる暇もあたえず、全員で室内に押し入った。
典型的な半グレといった風情の中途半端な金髪男の顔を見て、圭司は怒りが抑えられなくなり杉下からそいつを引きはがし床に叩きつけた。
そのまま上に乗り上げ胸倉をつかむと男がわめきだした。
「痛ってぇ! な、何しやがるてめえ! 警察呼ぶぞ!」
「警察? 呼ばれて困るのはお前だろう。女攫ってどうするつもりだった? 彼女はどこにいる」
「……っ! は、はあ⁉ 知らねえし! なんなんだよお前ら!」
「バカが。頭が悪いと早死にするぞ。長生きしたいならもうちょっと賢くなるべきだな。もう一度訊く。彼女はどこだ?」
圭司が脅し付けると圧倒的に不利だと本能的に悟ったのか、男は素直に白状する。
「……地下の、シアタールーム」
それだけ聞くと素早く立ち上がって下階段を目指して走る。
騒ぎを聞きつけてリビングから他の男たちが出てきたが、杉下と傭兵たちがあっという間に制圧する。背中側に争う声を聴きながらシアタールームの扉を勢いよく開け、愛しい彼女の名前を叫ぶ。
「理沙!!!」
抱き上げた体から力が抜けた。
気を失ってしまったようだと分かり、改めて理沙をこんな目に遭わせた奴らに怒りが募る。
後部座席に横たえて、呼吸と脈を確認する。すうすうと穏やかな寝息が聞こえ、ホッと息をつく。緊張状態から解放され気が抜けたのだろう。
眠っている理沙を車に残し、杉下たちがまだ戻らないため圭司はもう一度家の中に戻った。
案の定、最初は無視されたがしつこく押し続けているとようやく相手が応じた。
『……なんですか?』
「夜分遅くにすみません。実は今日、タブレットを紛失してしまいましてね。どこに置き忘れたか分からなくて、タブレットの位置検索をしたらこちらのお宅にあると表示されたので訪ねてきたんですよ」
『は? いや知らないですけど。間違いじゃないですか?』
「でも位置情報がここの家の中を示しているんですよねえ。うっかり持っていってしまわれたんでは? 家の中を探させてもらってもいいですか?」
『いいわけねーだろ。知らないって言ってんだろが。迷惑なんだよ、帰れ』
「あー、まあそうですよね。じゃあ警察を呼んで立ち会ってもらいます。それなら中に入れてもらえます?」
『警察って……いや、それは……でも……ちょ、ちょっと待ってください』
警察、という単語にあちらは明らかに動揺しているようだ。
もしこの家に拉致した理沙を監禁しているのなら、警察を呼ばれては困るため無視はできない。ひとまず穏便に帰ってもらおうと動くはずだという杉下の思惑通り、中から男が出てきた。
「あの、ウチは本当に心当たりがないんで、警察呼ぶとか言われても困るんですよ。つか、呼んでもこないと思いますよ。位置情報がずれてるとかじゃないんですか?」
「位置情報は間違いなくここなんですよ。黒いビジネスバックに入れてあったんですけど……女性ものでね、留め具が金でロゴのシンプルなキーチェーンがついているバックです。……本当に、心当たりはないですか?」
理沙が持っていたバックの特徴を口にすると、男が明らかに動揺し始める。
理沙のカバンのことだと理解したようだが、杉下がどこまで気づいてここへきているのか測りかねているようだ。どうやって誤魔化そうと考えているのがまるわかりだ。
「いや……ちょっと俺じゃわかんないんで、えっと、後日連絡させてください。今はちょっと無理なんでマジで」
その時、杉下がハンドサインを出した。
車内にいた傭兵たちが一気に動き始め、車から飛び出すと驚く男をあっという間に制圧する。
声を上げる暇もあたえず、全員で室内に押し入った。
典型的な半グレといった風情の中途半端な金髪男の顔を見て、圭司は怒りが抑えられなくなり杉下からそいつを引きはがし床に叩きつけた。
そのまま上に乗り上げ胸倉をつかむと男がわめきだした。
「痛ってぇ! な、何しやがるてめえ! 警察呼ぶぞ!」
「警察? 呼ばれて困るのはお前だろう。女攫ってどうするつもりだった? 彼女はどこにいる」
「……っ! は、はあ⁉ 知らねえし! なんなんだよお前ら!」
「バカが。頭が悪いと早死にするぞ。長生きしたいならもうちょっと賢くなるべきだな。もう一度訊く。彼女はどこだ?」
圭司が脅し付けると圧倒的に不利だと本能的に悟ったのか、男は素直に白状する。
「……地下の、シアタールーム」
それだけ聞くと素早く立ち上がって下階段を目指して走る。
騒ぎを聞きつけてリビングから他の男たちが出てきたが、杉下と傭兵たちがあっという間に制圧する。背中側に争う声を聴きながらシアタールームの扉を勢いよく開け、愛しい彼女の名前を叫ぶ。
「理沙!!!」
抱き上げた体から力が抜けた。
気を失ってしまったようだと分かり、改めて理沙をこんな目に遭わせた奴らに怒りが募る。
後部座席に横たえて、呼吸と脈を確認する。すうすうと穏やかな寝息が聞こえ、ホッと息をつく。緊張状態から解放され気が抜けたのだろう。
眠っている理沙を車に残し、杉下たちがまだ戻らないため圭司はもう一度家の中に戻った。
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