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最後の異世界生活~カノン編~
~最終日(後編)~
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準決勝前の待機場所で突如めまいに襲われたカノン。
主将に大丈夫と言ったが、まだぼんやり感は治まっておらず、待機場所の自分の荷物を置いている所まで移動し、水を飲みながら考え事をしていた。
「(また、あの感覚…。いったい…どうなっていますの…こんなにも頻繁に。
正直…煩わしいですわ。
おまじないって…たしか、この世界の言葉、漢字で書くと『のろい』って書くのですわよね…。呪いだなんて、物騒ですわ…。それに!今発動しても、はた迷惑ですわよ!)」
カノンが一人で考え事をして、どこともなく怒っていると、試合を近くで見ようと待機場所に顔を覗かせた峰岸君達に声を掛けられた。
「美桜ちゃん…どこか具合…悪い?」
「雅君…いのりちゃん…。いいえ、大丈夫ですわ。熱気に当てられただけです。」
「嘘。僕達には本当の事…話してよ。
大した力とかないし、何の役に立てるかわからないけど…でも、一緒に考えたり、話しを聞く事は出来る。
また…一人で抱え込まないで欲しい。」
「…峰岸君に全部言われちゃったけど…右に同じく。」
「……わかりました。ですが…今は、お待ちください。目の前の事に集中したいのですわ。負けられない相手ですもの。」
「…わかった。」
「ちゃんと話してくれるの、待ってるね。」
「お二人とも、ありがとうございます…。そろそろお時間ですので、行って参ります。」
カノンは持っていた水を置き、二人に手を振りながら、待機場所のもとの場所まで戻って行った。
カノンの戻りを確認した主将も、心配の表情を浮かべたが、顔色が戻り力強く笑うカノンの表情を見て、安心した表情に戻った。
カノンと主将、二人が気持ちを切り替え、改めて気合を入れ直したのと同時に準決勝の案内が始まった。
二人は案内に従い、試合マットの上に移動し、身を構え、試合開始の笛を待つ。
笛が鳴り、カノンは全身に程よく力を入れ、勢いよく踏み込み、攻撃を繰り出した。
相手は主将。
同じチームメイトだが、臆せず、攻防を続けた。
それは主将も同じで、先ほどカノンの容態を心配していたのを感じさせないくらいの、譲る気のない気迫をまとい、強気な姿勢で攻防に当たっている。
二人は一本、また一本と互角に渡り合えるような試合展開を繰り広げ、その試合は会場を熱気の渦に巻き込むほどに熱い展開となった。
そんな攻防を幾度か繰り返している中、カノンが体制を崩した所へ主将が技を入れ、激しい戦いの末に主将が勝利を収めた。
カノンと主将、二人は試合マットの上にお互いが向き合うように立ち、お辞儀をしてその場から離れた。
主将は部の待機場所に行き、カノンは主将に一声かけ、お手洗いへと足を運んだ。
トイレの個室へと入り、一人うずくまるカノン。
経験の差。
いくらカノンがそれを自主練や外部の教室で補おうとも、やはり積み重ねてきた月日の違いが出る事もある。
今回の結果がそれだ。
「…っ…。(こんな…悔しいですわ…。もう少しでしたのに…。あの時、体制を崩さなければ…。もっと他に有効手段があったはず…。もっとあの時…。)」
カノンは、溢れ出そうになる涙を必死にこらえながら反省をした。
何分そうしていた事だろうか、次の団体戦の事もあり、気持ちを切り替える事に努めた。
「(後悔も、反省も…一通りしましたわ。後でいくらでもまた押し寄せるはず…。
ならば…次の団体戦の為に気持ちを切り替えなければ…。
今、ここで、こうしていても始まらないですわね。)」
カノンが深呼吸を一つして気持ちを切り替え、気合を入れ直し、個室から出ると、トイレの前に待っていた原さんがカノンに気付き、駆け寄った。
原さんは、カノンにどう声を掛けてよいか考えながら言葉を紡いだ。
「……惜しい…試合だったね。」
「…はい…さすが主将さん…手強かったですわ。」
「……あれから、具合悪いとかは…平気?」
「大丈夫ですわよ、ご心配…お掛けしました。」
「うん…。…泣きたい時は…泣いていいと…思う…。」
「……ありがとうございます。でも、反省も後悔も、また後で思いっきりしますわ。今は…次の試合の事だけを考えます。」
「そっか。」
原さんはカノンの力強い笑みを浮かべた表情を見て、安心した表情を見せた。
二人は談笑を交えながら、その場を後にし、部の待機場所に向かった。
待機場所に戻ると、主将がカノンに駆け寄って来た。
その表情は少し沈んでいた。
「そんな顔をしないでくださいまし。お互い、全力を出したではありませんか。
やはり…いくら努力を重ねようとも、経験に勝るものはないですわ。
完敗です。」
「違う…惜敗だよ。誰が何と言おうと、完敗じゃない!!
だって、私!すっごく苦戦したんだよ!
努力に勝るものはないんだよ!
一ノ瀬さんが体制を崩したところに私の技が入ったから、点に繋がって、結果的に勝てたけど、あれがなければ負けてた……。
だから…惜敗…ううん、気持ち的には私が完敗だよ。」
「……いいえ…主将さんの攻防がお見事でしたわ。」
「一ノ瀬さんこそ、見事だよ!」
「「……ふっ…。」」
二人はお互いに負けまいと言い争いをしていたのだが、次第にその事に可笑しさが込み上げ、どちらかともなく同時に吹き出し、笑いあった。
「一ノ瀬さんてば、本当に負けず嫌いなんだから…ふふっ…。じゃぁ…二人ともお見事って事で…。あと、あの約束…。」
「ふふっ…そうですわね。………柊さん。」
「ずっと『主将さん』なんだもん。いい加減、名前で呼んで欲しかったよ。でも、やっと叶った!!」
『私が勝ったら…名前で呼んで欲しい。』
そう試合前に約束していた事を果たし、主将…もとい、柊さんは満足そうに満面の笑顔を見せた。
その表情をみてカノンも釣られて照れたような満面の笑みを返した。
その様子を先に待機場所に戻っていた峰岸君や一ノ瀬家の皆、原さんや部の皆がにこやかに見ていた。
その後、カノン達は団体戦に挑むべく、時間が来るまで再度準備をしたのだった。
主将に大丈夫と言ったが、まだぼんやり感は治まっておらず、待機場所の自分の荷物を置いている所まで移動し、水を飲みながら考え事をしていた。
「(また、あの感覚…。いったい…どうなっていますの…こんなにも頻繁に。
正直…煩わしいですわ。
おまじないって…たしか、この世界の言葉、漢字で書くと『のろい』って書くのですわよね…。呪いだなんて、物騒ですわ…。それに!今発動しても、はた迷惑ですわよ!)」
カノンが一人で考え事をして、どこともなく怒っていると、試合を近くで見ようと待機場所に顔を覗かせた峰岸君達に声を掛けられた。
「美桜ちゃん…どこか具合…悪い?」
「雅君…いのりちゃん…。いいえ、大丈夫ですわ。熱気に当てられただけです。」
「嘘。僕達には本当の事…話してよ。
大した力とかないし、何の役に立てるかわからないけど…でも、一緒に考えたり、話しを聞く事は出来る。
また…一人で抱え込まないで欲しい。」
「…峰岸君に全部言われちゃったけど…右に同じく。」
「……わかりました。ですが…今は、お待ちください。目の前の事に集中したいのですわ。負けられない相手ですもの。」
「…わかった。」
「ちゃんと話してくれるの、待ってるね。」
「お二人とも、ありがとうございます…。そろそろお時間ですので、行って参ります。」
カノンは持っていた水を置き、二人に手を振りながら、待機場所のもとの場所まで戻って行った。
カノンの戻りを確認した主将も、心配の表情を浮かべたが、顔色が戻り力強く笑うカノンの表情を見て、安心した表情に戻った。
カノンと主将、二人が気持ちを切り替え、改めて気合を入れ直したのと同時に準決勝の案内が始まった。
二人は案内に従い、試合マットの上に移動し、身を構え、試合開始の笛を待つ。
笛が鳴り、カノンは全身に程よく力を入れ、勢いよく踏み込み、攻撃を繰り出した。
相手は主将。
同じチームメイトだが、臆せず、攻防を続けた。
それは主将も同じで、先ほどカノンの容態を心配していたのを感じさせないくらいの、譲る気のない気迫をまとい、強気な姿勢で攻防に当たっている。
二人は一本、また一本と互角に渡り合えるような試合展開を繰り広げ、その試合は会場を熱気の渦に巻き込むほどに熱い展開となった。
そんな攻防を幾度か繰り返している中、カノンが体制を崩した所へ主将が技を入れ、激しい戦いの末に主将が勝利を収めた。
カノンと主将、二人は試合マットの上にお互いが向き合うように立ち、お辞儀をしてその場から離れた。
主将は部の待機場所に行き、カノンは主将に一声かけ、お手洗いへと足を運んだ。
トイレの個室へと入り、一人うずくまるカノン。
経験の差。
いくらカノンがそれを自主練や外部の教室で補おうとも、やはり積み重ねてきた月日の違いが出る事もある。
今回の結果がそれだ。
「…っ…。(こんな…悔しいですわ…。もう少しでしたのに…。あの時、体制を崩さなければ…。もっと他に有効手段があったはず…。もっとあの時…。)」
カノンは、溢れ出そうになる涙を必死にこらえながら反省をした。
何分そうしていた事だろうか、次の団体戦の事もあり、気持ちを切り替える事に努めた。
「(後悔も、反省も…一通りしましたわ。後でいくらでもまた押し寄せるはず…。
ならば…次の団体戦の為に気持ちを切り替えなければ…。
今、ここで、こうしていても始まらないですわね。)」
カノンが深呼吸を一つして気持ちを切り替え、気合を入れ直し、個室から出ると、トイレの前に待っていた原さんがカノンに気付き、駆け寄った。
原さんは、カノンにどう声を掛けてよいか考えながら言葉を紡いだ。
「……惜しい…試合だったね。」
「…はい…さすが主将さん…手強かったですわ。」
「……あれから、具合悪いとかは…平気?」
「大丈夫ですわよ、ご心配…お掛けしました。」
「うん…。…泣きたい時は…泣いていいと…思う…。」
「……ありがとうございます。でも、反省も後悔も、また後で思いっきりしますわ。今は…次の試合の事だけを考えます。」
「そっか。」
原さんはカノンの力強い笑みを浮かべた表情を見て、安心した表情を見せた。
二人は談笑を交えながら、その場を後にし、部の待機場所に向かった。
待機場所に戻ると、主将がカノンに駆け寄って来た。
その表情は少し沈んでいた。
「そんな顔をしないでくださいまし。お互い、全力を出したではありませんか。
やはり…いくら努力を重ねようとも、経験に勝るものはないですわ。
完敗です。」
「違う…惜敗だよ。誰が何と言おうと、完敗じゃない!!
だって、私!すっごく苦戦したんだよ!
努力に勝るものはないんだよ!
一ノ瀬さんが体制を崩したところに私の技が入ったから、点に繋がって、結果的に勝てたけど、あれがなければ負けてた……。
だから…惜敗…ううん、気持ち的には私が完敗だよ。」
「……いいえ…主将さんの攻防がお見事でしたわ。」
「一ノ瀬さんこそ、見事だよ!」
「「……ふっ…。」」
二人はお互いに負けまいと言い争いをしていたのだが、次第にその事に可笑しさが込み上げ、どちらかともなく同時に吹き出し、笑いあった。
「一ノ瀬さんてば、本当に負けず嫌いなんだから…ふふっ…。じゃぁ…二人ともお見事って事で…。あと、あの約束…。」
「ふふっ…そうですわね。………柊さん。」
「ずっと『主将さん』なんだもん。いい加減、名前で呼んで欲しかったよ。でも、やっと叶った!!」
『私が勝ったら…名前で呼んで欲しい。』
そう試合前に約束していた事を果たし、主将…もとい、柊さんは満足そうに満面の笑顔を見せた。
その表情をみてカノンも釣られて照れたような満面の笑みを返した。
その様子を先に待機場所に戻っていた峰岸君や一ノ瀬家の皆、原さんや部の皆がにこやかに見ていた。
その後、カノン達は団体戦に挑むべく、時間が来るまで再度準備をしたのだった。
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