どうかわたしのお兄ちゃんを生き返らせて

なかじまあゆこ

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カラスを退治したい

カラスとの戦い

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  せっかく楽しく食べているのにと思いながら、わたしは、フォークをお皿の上に置き、立ち上がった。

  和室から音がするみたいだ。

  まさか、泥棒とかじゃないよね。念のために近くにあったフライパンとお玉を持ち和室に向かう。

  夕方の十七時位だけど、最近はめっきり日が落ちるのが早くなり廊下は薄暗かった。

  そして、わたしは、縁側と繋がっている和室の扉を開いた。

  すると……。

  
  あ……。

  あ……。

  黒い何かが、バサバサバサバサわたしの顔に直撃した。

  「うぁーーーーーーーーーーーー!!」


  直撃した何かが、わたしの顔をつつく。痛い、痛いーーー!!  これは、あの……。

   この黒い物体は、アイツだ。

  わたしは、フライパンとお玉を振り回した。お玉がアイツの体にバンッと当たった。

  ギャッ、バサバサバサバサ。

  ガッーガッーガッーカー。

  アイツは飛び、逃げ出そうとした。

「逃げるな!」

  わたしは、叫んだ!

  飛ぶなんて卑怯だ。

  
   カァーカァーカァーガッー。

   黒いアイツはあのカラスだ。

   逃げるなというわたしの声に反応したのか、カラスはバサバサバサバサとわたしの方へと再び向かって来る。

  物凄い勢いでわたしの方へやって来る。

  余計なことを言ってしまったのかもしれない……。

  でも、それは、後の祭だ。

  カラスは、バサバサバサバサとわたしの方へと向かって来て、わたしの頭の上に飛びのった。

  わたしは、慌ててフライパンを振り回すけれど、カラスは、簡単に避けた。

   空を飛べるなんて卑怯だ。

  
  カラスは、わたしの頭をつつくわたしがフライパンやお玉を振り回すと、さっと飛んで避ける。

  バサバサバサバサバサバサと飛び回る。

「わたしに何か恨みでもあるの?」わたしは、大声を出して聞いた。

  カラスのくせにカラスのくせに。わたしを馬鹿にして。許せない!

  カァーカァーカァー。

  カラスは、ただ鳴くだけで答えない。

  
「返事をしないのなら出て行って」

  わたしは、怖いけれど勇気を出して言った。手のひらにはじわりと汗をかいている。

  カァーカァーカァーアホッーアホッーカァーアホッーカァーカァーカァー。

  ア、アホッーアホッーですって!

  わたしを馬鹿にするのにも程がある。

   フライパンを持つ手に力が入る。許せない、わたしは、フライパンをおもいっきり振り回した。

  
  フライパンをぶんぶんカラスに向かって振り回し、「許せない、わたしが何をしたのよ、どうして苦しめるのよ。ふざけるな~アホッーなんて鳴くな~」

 馬鹿にして、馬鹿にして。ふざけるな~。

   わたしは、大声で叫びながらフライパンを振り回した。

  だけど、フライパンはカラスに当たらない。

   カァーカァーアホッーアホッー。

    と鳴き続けるカラス。

「ふざけるな~」

   わたしは、狂ったように叫んだ。

  
  わたしが叫ぶとカラスは、更に馬鹿にしたように、アホッーアホッーカァーカァーと鳴く。

  許せない、許せないよ。

  悔しい、悔しいよ。なんだっていうの……。

  カラスに本気で怒っているなんて馬鹿らしくなり、わたしは振り回していたフライパンを下ろした。

    
  身体中に入っていた力が抜けてその場にしゃがみ込んだ。

  カァーカァーアホッーアホッー。

「史砂、お前の勢いはそこまでかな?」

   カラスが低くてよく通る声で言った。

   カラスの悪魔は、タンスの上に止りわたしを馬鹿にしたかのように、カァーカァーと鳴いた。

  この、カラス許せない。だけど身体に力が入らなくてわたしは言い返せない。

  悔しくて涙が出そうだ。

  
  そして、カラスがバサバサと和室から飛び去ろうとしたその時、

  お兄ちゃんの遺影がガタガガタガタガガタと揺れた。

  揺れた遺影が、カラスをめがけてビューンと飛んだ。

   飛んだ遺影は、逃げようとしたカラスの羽にバコンッと当たった。

  ガァッとカラスは鳴いた。

  これはお兄ちゃんが助けてくれたの?

  
  カラスはバランスを崩してその場に落ちそうになったのだけど、すぐにバランスを取り戻して羽を広げてバサバサと縁側からヨタヨタの姿で飛び去った。

   お兄ちゃんの遺影は、ガタンッとその場に落ちた。

  「お兄ちゃん」

   わたしは、遺影の額をそっと拾い上げた。

   そして、遺影の中のお兄ちゃんは涙を流していた。

  嘘でしょ……。どうして?
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