12 / 25
2-5(*)
しおりを挟む
あと数センチで唇が重なるというところで、慌てたように檜山が俺を止めた。
「だ、駄目…!」
…ここまで来て、駄目はないだろうと思いつつ、とりあえず檜山の言い分を聞く。
「こ、ここ、会社だし、今、仕事中でしょ…!だ、誰か来たら、どうすんの…!」
真面目かよ、と脱力する。いや、まぁ、こういう奴なのは知ってたけど。
「檜山が避けまくるから、俺、いま檜山不足なんだよ…」
ここまで来たら、キスの一回や二回したところで同じだろうと、俺は檜山の顔を引き寄せる。
「ま、待…っ、なんで駄目だって言ってんのに、キスしようとすんの、バカ…!」
檜山は咄嗟に俺の唇を手で塞いでキスを制止した。あと少しだったのにと思いながら、代わりに鼻先に触れた檜山の指をすぅっと嗅ぐ。
「ちょ…っ!? な、なに嗅いで─…っ」
「んー、檜山の匂いがするかなって」
「に、匂いって…、変態なの…」
「檜山不足だって言ったじゃん」
そう言いながら、服の上から檜山の腰のラインを撫でる。細いウエスト。あの夜の肌の感触を思い出して、ウズウズする。
「や…っ、その手やらしい…! こんなトコでなに考えてんのよ、エッチ…!」
「檜山がキスさせてくんないから…」
腰を撫でながら檜山のシャツを捲りあげようとすると、檜山の身体がビクッと反応した。
「わ、わかったから…! キ、キスだけ…! キスだけならいいから…っ!」
真っ赤な顔で観念したようにそう言うと、檜山が俺の唇を塞いでいた手を離した。当惑した瞳が俺を睨んで、すぐに恥ずかしそうに俯いた。
「こんなトコで触ろうとするなんて、なに考えてんの、村瀬のバカ…」
「いや、さすがの俺もこんな場所で抱こうとは思ってないけどね」
熱くなった檜山の頬を手で包む。柔らかいそこをスリッと撫でると、檜山がくすぐったそうに首をすくめた。
「エッチなキスしたら、許さないから…」
この期に及んで、強がる檜山が可愛い。
「わかってる。それは夜に取っておくから…」
そう言って、俺は檜山に触れるだけの優しいキスをした。
「だ、駄目…!」
…ここまで来て、駄目はないだろうと思いつつ、とりあえず檜山の言い分を聞く。
「こ、ここ、会社だし、今、仕事中でしょ…!だ、誰か来たら、どうすんの…!」
真面目かよ、と脱力する。いや、まぁ、こういう奴なのは知ってたけど。
「檜山が避けまくるから、俺、いま檜山不足なんだよ…」
ここまで来たら、キスの一回や二回したところで同じだろうと、俺は檜山の顔を引き寄せる。
「ま、待…っ、なんで駄目だって言ってんのに、キスしようとすんの、バカ…!」
檜山は咄嗟に俺の唇を手で塞いでキスを制止した。あと少しだったのにと思いながら、代わりに鼻先に触れた檜山の指をすぅっと嗅ぐ。
「ちょ…っ!? な、なに嗅いで─…っ」
「んー、檜山の匂いがするかなって」
「に、匂いって…、変態なの…」
「檜山不足だって言ったじゃん」
そう言いながら、服の上から檜山の腰のラインを撫でる。細いウエスト。あの夜の肌の感触を思い出して、ウズウズする。
「や…っ、その手やらしい…! こんなトコでなに考えてんのよ、エッチ…!」
「檜山がキスさせてくんないから…」
腰を撫でながら檜山のシャツを捲りあげようとすると、檜山の身体がビクッと反応した。
「わ、わかったから…! キ、キスだけ…! キスだけならいいから…っ!」
真っ赤な顔で観念したようにそう言うと、檜山が俺の唇を塞いでいた手を離した。当惑した瞳が俺を睨んで、すぐに恥ずかしそうに俯いた。
「こんなトコで触ろうとするなんて、なに考えてんの、村瀬のバカ…」
「いや、さすがの俺もこんな場所で抱こうとは思ってないけどね」
熱くなった檜山の頬を手で包む。柔らかいそこをスリッと撫でると、檜山がくすぐったそうに首をすくめた。
「エッチなキスしたら、許さないから…」
この期に及んで、強がる檜山が可愛い。
「わかってる。それは夜に取っておくから…」
そう言って、俺は檜山に触れるだけの優しいキスをした。
0
あなたにおすすめの小説
黒瀬部長は部下を溺愛したい
桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。
人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど!
好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。
部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。
スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる