【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス

文字の大きさ
12 / 35
本編

第十一話 ファステス王子 不満

しおりを挟む
 ファステス王子殿下は不満を漏らしていた。

 8歳の誕生日にマーテルリアを婚約者に選んでからというのに全く会えない事に。

 「一体いつになったら俺に会いに来るんだ‼︎」

 この件の説明は12歳になる迄は会えないと事前に聞かされている筈なのに、ファステス王子はその事を軽く聞き流していた。

 「同じ王宮内にいるんだぞ! 何故奴は俺に会いに来ようとはしない⁉︎」

 ゼーヴェンス王国の城内は無駄に広い。

 中央に位置する城、その周りに4つの区画がある。

 東西南北で分けるとしたらファステスがいる場所は北の区画で、マーテルリアがいる場所は南の区画だった。

 北の区画から南の区画に行くには、特別な許可が無い限りは中央の城から通るわけには行かず…東西の区画を抜けて南の区画に行かなければならなかった。

 その距離が半端じゃない位に遠くて、歩きでも丸一日掛かる距離だった。

 …とは言っても直線距離というわけではない。

 ゼーヴェンス王国は元々は要塞都市で、区画の内部は色々入り組んでいて、迷路の様な作りをしていた。

 まぁ、侵入者が入って来ても城に簡単に行けないような作りになっていた訳で…

 今でこそ平和な世なので面倒な作りだったが、魔王の時代にはとても重宝していたらしかった。

 「本当に無駄に広いな、この区画は…」

 この城で雇用される条件は、ある程度の知識が高い者達が選ばれる。

 何故なら…知識が低い者達だとすぐに迷子になって迷惑が掛かるからだった。

 何故ファステス王子がマーテルリアから会いに来ない事に怒り心頭だったのかというと?

 知能の低いファステス王子では、途中に迷子になって南の区画まで辿り着けないからだった。

 だからマーテルリアが会いに来るのが当然で…ぶっちゃけ、会いに行くのが面倒だからであった。
 
 ファステス王子は今すぐにでもマーテルリアに会いたくて、こちらに来る様に命令書をしたためて騎士に命令して送る様に命じた。

 だがその手紙は途中で検査されて…マーテルリアの元に届く事はなかった。

 そしてその事を知らされていないファステス王子は、数日後に音沙汰がない事を知ってまた苛立つ事になっていた。

 「俺の呼び出しに応じないなんて…」

 だから、12歳まで会えないっつーの!

 ファステス王子は別の策を考えるのだった。
しおりを挟む
感想 42

あなたにおすすめの小説

勝手にサインしろと仰いましたので、廃嫡書類に国璽を押して差し上げました

鷹 綾
恋愛
「確認? 面倒だ。適当にサインして国璽を押しておけ」 そう言ったのは、王太子アレス。 そう言われたのは、公爵令嬢レイナ・アルヴェルト。 外交も財政も軍備も―― すべてを裏で処理してきたのは彼女だった。 けれど功績はすべて王太子のもの。 感謝も敬意も、ただの一度もない。 そして迎えた舞踏会の夜。 「便利だったが、飾りには向かん」 公開婚約破棄。 それならば、とレイナは微笑む。 「では業務も終了でよろしいですね?」 王太子が望んだ通り、 彼女は“確認”をやめた。 保証を外し、責任を返し、 そして最後に―― 「ご確認を」と差し出した書類に、 彼は何も読まずに署名した。 国は契約で成り立っている。 確認しない者に、王の資格はない。 働きたくない公爵令嬢と、 責任を理解しなかった王太子。 静かな契約ざまぁ劇、開幕。 ---

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

婚約破棄が聞こえません

あんど もあ
ファンタジー
私は、真実の愛に目覚めた王子に王立学園の卒業パーティーで婚約破棄を宣言されたらしいです。 私には聞こえないのですが。 王子が目の前にいる? どこに? どうやら私には王子が見えなくなったみたいです。 ※「承石灰」は架空の物質です。実在の消石灰は目に入ると危険ですのでマネしないでね!

さようなら、私の初恋

しょくぱん
恋愛
「さよなら、私の初恋。……もう、全部お返しします」 物心ついた時から、彼だけが世界のすべてだった。 幼馴染の騎士団長・レオンに捧げた、十数年の純粋な初恋。 彼が「無敵」でいられたのは、アリアが無自覚に与え続けた『治癒の加護』があったから。 だが婚約直前、アリアは知ってしまう。 彼にとって自分は、仲間内で競い合う「賭けの対象」でしかなかったことを。 「あんな女、落とすまでのゲームだよ」

王子よ、貴方が責任取りなさい

天冨 七緒
恋愛
「聖女の補佐をしてくれないか?」  王子自ら辺境まで訪れ、頭を下げる。  それほど国は、切羽詰まった状況なのだろう。  だけど、私の答えは……  皆さんに知ってほしい。  今代の聖女がどんな人物なのか。  それを知った上で、私の決断は間違いだったのか判断してほしい。

義母に毒を盛られて前世の記憶を取り戻し覚醒しました、貴男は義妹と仲良くすればいいわ。

克全
ファンタジー
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。 11月9日「カクヨム」恋愛日間ランキング15位 11月11日「カクヨム」恋愛週間ランキング22位 11月11日「カクヨム」恋愛月間ランキング71位 11月4日「小説家になろう」恋愛異世界転生/転移恋愛日間78位

【完結】婚約破棄、その後の話を誰も知らない

あめとおと
恋愛
奇跡によって病を癒す存在――聖女。 王国は長年、その力にすべてを委ねてきた。 だがある日、 誰の目にも明らかな「失敗」が起きる。 奇跡は、止まった。 城は動揺し、事実を隠し、 責任を聖女ひとりに押しつけようとする。 民は疑い、祈りは静かに現実へと向かっていった。 一方、かつて「悪役」として追放された令嬢は、 奇跡が失われる“その日”に備え、 治癒に頼らない世界を着々と整えていた。 聖女は象徴となり、城は主導権を失う。 奇跡に縋った者たちは、 何も奪われず、ただ立場を失った。 選ばれなかった者が、世界を救っただけの話。 ――これは、 聖女でも、英雄でもない 「悪役令嬢」が勝ち残る物語。

《完結》氷の侯爵令息 あなたが子供はいらないと言ったから

ヴァンドール
恋愛
氷の侯爵令息と言われたアラン。彼は結婚相手の伯爵令嬢にとにかく冷たい態度で接する。 彼女は義姉イライザから夫が子供はいらないと言ったと聞き、衝撃を受けるが気持ちを切り替え生きていく。

処理中です...