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第一章
第七話 サポーターについての授業
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「では、授業を始めますが…まずは皆さんが勘違いをされているサポーターの役割についてお話致しますね。」
生徒達は申し訳なさそうな顔をしていた。
「あ、いや別に…皆さんが話した通りにサポーターの仕事は荷物運びには違いありませんよ。ただ、仕事内容が他のパーティーメンバーに比べて遥かに多いのです。」
「先生!私の聞いた話では、サポーターはパーティーの後に着いてメンバーの荷物を持って移動すると聞いたのですが?」
「それは間違いありませんが、サポーターの仕事はそれだけではありません。パーティーでの戦闘で邪魔にならない所で待機をし戦闘が終了するまで待ちます。戦闘終了後にメンバーが倒した魔物の素材や魔石の回収をした後に再び移動する際に着いて行きます。」
「私はそう聞いておりました。」
「ですが、それだけではありません。パーティーでのサポーターは移動だけではありません。長く旅をする場合は、泊まる場所の確保や周囲の安全確認をし、寝床の準備や食事の支度なども行います。これはサポーターにもよりますが、その日に使用したメンバー達の武具のメンテナンスやチェックを行います。そうしないと、翌日以降に武器が破損する可能性がありますからね。」
「サポーターの仕事って大変なんですね。」
「そして様々なアイテムや備品の管理もサポーターの仕事ですが、それ以外にも重要な役割があります。何だか分かりますか?」
生徒達は首を傾げた。
「簡単な事です。死なない為に行動をしなければならない事ですよ。」
「それは他の冒険者にも言える事ではないのですか?」
「そうですね、ですがサポーターというのはパーティーメンバーのヒーラーより重要な役割があり絶対に死なない事を務める事です。荷物自体はサポーターが死んでもメンバーが持てば良いのですが、旅の終わりというのならともかく、旅の途中でサポーターが死んだりすると様々な事に支障が出るんです。食事の用意や寝床の準備以外に武具のメンテナンスが出来なくなったり、スペアの武器や薬品が使用出来なくなったりと…」
「それは各自で用意する物ではないのですか?」
「各自でも持っている者もいますね。ですが大量の薬品を持ち歩くには限度があります。マジックバックや収納魔法を取得しているとなれば別ですが、大体の冒険者はそこまでの用意は出来ませんし、なにより戦闘がメインですからね。」
「その話だけだと先生の様なサポーターが強い理由が分かりません。」
「先程も言いましたが、サポーターの最大の条件は死なない事がメインになります。場所や地形によっては、戦闘が終わるまで待つ事が出来ない場合があります。そしてサポーターだからと言って魔物に襲われないとは限らなくて、サポーターも自衛の手段は確保しているんですよ。」
「魔法や剣を使えるんですか?」
「当然です!サポーターになる条件では、多少の剣技や魔法の使用が条件となりますのでね。ある一定の日数が経ちますとサポーターは必然的に狙われやすくなります。その理由は分かりますか?」
「すいません正直解りません。」
「魔物を引き付ける何かを持っているとかですか?」
「正解です!魔物はタイプにもよりますが…魔石に引き寄せられるのです。ある一定の魔物を討伐すると、討伐証明部位や魔石を多く保有している為に、魔物達は必然的にサポーターを狙い襲ってきます。その為に、魔物に囲まれたりすると、メンバーは魔物を討伐に動きますが、サポーターだって自衛の為にメンバーと共に戦う場合もあるんです。」
「完全に守られて貰ってばかりだと思いました。」
「中には戦闘能力が低いサポーターの場合はそれがあるかもしれませんね。初心者のサポーターとかなら…」
「先生に質問です!サポーターの皆さんは、魔法で属性同時出現や複合一魔法が出来る人は多いのですか?」
「属性同時出現くらいなら…数人使用出来る方が居ますね。ただし、戦闘目的での使用ではありませんが…」
「これもですが、戦闘に用いる事以外に出来る人は数人います。戦闘で使用出来る人は、僕以外に他にもう2人いますね。」
「戦闘に用いる以外に複合統一魔法ってどんな物があるんですか?」
「洗濯に使用したり、休息場所の地形を整えたりする時に使用しますね。他にも風呂に使ったり、料理に使用したりと…」
水と洗剤だけで洗濯をすると、生地が痛んだりして着れなくなったりする場合がある。
そういった場合に火と水の複合統一魔法でお湯を作りだしたり、地形を整えたりする為に土と火の複合統一魔法を使用する場合がある。
生活魔法の延長としての使い方なら大して難しくはないけど、これを戦闘に用いようとすると結構失敗する率が高い。
戦闘では複合統一魔法の魔力の使用量が異なって来るのと、比率による計算などが異常に面倒くさいからだ。
「先生って、戦闘に複合統一魔法をしてきましたよね?」
「そういえば先生のランクは幾つなんですか?」
「自分はSランクですよ。以前はSランクパーティーの【闇の閃光】でサポーターをしていました。」
「「「「「「闇の閃光⁉」」」」」」
「おや?御存知でしたか…」
「いや、闇の閃光を知らない人の方が珍しいですよ!」
「依頼達成率99%というSランクの冒険者パーティーですよね⁉」
「英雄や英傑がメンバーにいるパーティーだったんですか!」
「はい、とある依頼でパーティーの半数が壊滅的な状況になって活動に支障が出来てしまったので解散しましたが。」
「あのパーティーが解散…ですか⁉」
「何があったんですか?」
「とある遺跡の調査で、魔神を封印している封印石が破壊されて魔神ディアボロスが放たれまして、それをメンバーで討伐は出来たのですが、リーダーのブランドンが半身が動かない状態になり、魔導士のマリアンが今後の活動に支障が出る大怪我を負って、自分は奴の呪いの攻撃で両足を破壊されました。」
「えっと…?先生は杖で歩いている様に見えますけど?」
「ここ迄なるのに結構掛かりましたね。完全に治る迄には年単位掛かると言われていますが…」
「先生の歩き方を見ると、重傷を負ったようには見えないのですが?」
「長時間無理をしなければ、普通に生活する分には問題ありませんよ。そうですねぇ…自分に挑んで来た君は…名前は何ていうのかな?勝負に勝ったので名前を教えてくれるとありがたいんだけど。」
「ラスといいます。ラス・イリューザーです。」
「ではラス君、僕の足はこんなですが…それでもこれ位の事は可能ですよ。」
教壇からラス君の背後に一瞬で移動した。
そして杖の先端をラス君の首に突き付けた。
「先程は君の炎攻撃に対して気持ちをへし折る為に魔法攻撃で応戦しましたが…こうして攻撃するのも可能だったんですよ。」
「移動したのが見えなかった…」
「ですが、自分はあくまでもサポーターですよ。メンバーの剣士なら一瞬で10人の首を落とせますからね。その辺が戦闘職とサポーターの違いです。」
ラス君から離れて杖を突きながらゆっくり教壇に戻って行った。
生徒達は静まり返っていた。
「さて、自分の指導に文句がある人はいつでも挑んで来て良いですからね。先生はそんな君達の挑戦をいつでもお待ちしておりますので。」
生徒達は首が捥げるのではないかと思う位に首を振っていた。
「さて、サポーターについての授業はここまでにして…今度は本格的な授業を開始致しますね。」
遂に始まるテルパの授業だが、はたしてどうなるのだろうか?
生徒達は申し訳なさそうな顔をしていた。
「あ、いや別に…皆さんが話した通りにサポーターの仕事は荷物運びには違いありませんよ。ただ、仕事内容が他のパーティーメンバーに比べて遥かに多いのです。」
「先生!私の聞いた話では、サポーターはパーティーの後に着いてメンバーの荷物を持って移動すると聞いたのですが?」
「それは間違いありませんが、サポーターの仕事はそれだけではありません。パーティーでの戦闘で邪魔にならない所で待機をし戦闘が終了するまで待ちます。戦闘終了後にメンバーが倒した魔物の素材や魔石の回収をした後に再び移動する際に着いて行きます。」
「私はそう聞いておりました。」
「ですが、それだけではありません。パーティーでのサポーターは移動だけではありません。長く旅をする場合は、泊まる場所の確保や周囲の安全確認をし、寝床の準備や食事の支度なども行います。これはサポーターにもよりますが、その日に使用したメンバー達の武具のメンテナンスやチェックを行います。そうしないと、翌日以降に武器が破損する可能性がありますからね。」
「サポーターの仕事って大変なんですね。」
「そして様々なアイテムや備品の管理もサポーターの仕事ですが、それ以外にも重要な役割があります。何だか分かりますか?」
生徒達は首を傾げた。
「簡単な事です。死なない為に行動をしなければならない事ですよ。」
「それは他の冒険者にも言える事ではないのですか?」
「そうですね、ですがサポーターというのはパーティーメンバーのヒーラーより重要な役割があり絶対に死なない事を務める事です。荷物自体はサポーターが死んでもメンバーが持てば良いのですが、旅の終わりというのならともかく、旅の途中でサポーターが死んだりすると様々な事に支障が出るんです。食事の用意や寝床の準備以外に武具のメンテナンスが出来なくなったり、スペアの武器や薬品が使用出来なくなったりと…」
「それは各自で用意する物ではないのですか?」
「各自でも持っている者もいますね。ですが大量の薬品を持ち歩くには限度があります。マジックバックや収納魔法を取得しているとなれば別ですが、大体の冒険者はそこまでの用意は出来ませんし、なにより戦闘がメインですからね。」
「その話だけだと先生の様なサポーターが強い理由が分かりません。」
「先程も言いましたが、サポーターの最大の条件は死なない事がメインになります。場所や地形によっては、戦闘が終わるまで待つ事が出来ない場合があります。そしてサポーターだからと言って魔物に襲われないとは限らなくて、サポーターも自衛の手段は確保しているんですよ。」
「魔法や剣を使えるんですか?」
「当然です!サポーターになる条件では、多少の剣技や魔法の使用が条件となりますのでね。ある一定の日数が経ちますとサポーターは必然的に狙われやすくなります。その理由は分かりますか?」
「すいません正直解りません。」
「魔物を引き付ける何かを持っているとかですか?」
「正解です!魔物はタイプにもよりますが…魔石に引き寄せられるのです。ある一定の魔物を討伐すると、討伐証明部位や魔石を多く保有している為に、魔物達は必然的にサポーターを狙い襲ってきます。その為に、魔物に囲まれたりすると、メンバーは魔物を討伐に動きますが、サポーターだって自衛の為にメンバーと共に戦う場合もあるんです。」
「完全に守られて貰ってばかりだと思いました。」
「中には戦闘能力が低いサポーターの場合はそれがあるかもしれませんね。初心者のサポーターとかなら…」
「先生に質問です!サポーターの皆さんは、魔法で属性同時出現や複合一魔法が出来る人は多いのですか?」
「属性同時出現くらいなら…数人使用出来る方が居ますね。ただし、戦闘目的での使用ではありませんが…」
「これもですが、戦闘に用いる事以外に出来る人は数人います。戦闘で使用出来る人は、僕以外に他にもう2人いますね。」
「戦闘に用いる以外に複合統一魔法ってどんな物があるんですか?」
「洗濯に使用したり、休息場所の地形を整えたりする時に使用しますね。他にも風呂に使ったり、料理に使用したりと…」
水と洗剤だけで洗濯をすると、生地が痛んだりして着れなくなったりする場合がある。
そういった場合に火と水の複合統一魔法でお湯を作りだしたり、地形を整えたりする為に土と火の複合統一魔法を使用する場合がある。
生活魔法の延長としての使い方なら大して難しくはないけど、これを戦闘に用いようとすると結構失敗する率が高い。
戦闘では複合統一魔法の魔力の使用量が異なって来るのと、比率による計算などが異常に面倒くさいからだ。
「先生って、戦闘に複合統一魔法をしてきましたよね?」
「そういえば先生のランクは幾つなんですか?」
「自分はSランクですよ。以前はSランクパーティーの【闇の閃光】でサポーターをしていました。」
「「「「「「闇の閃光⁉」」」」」」
「おや?御存知でしたか…」
「いや、闇の閃光を知らない人の方が珍しいですよ!」
「依頼達成率99%というSランクの冒険者パーティーですよね⁉」
「英雄や英傑がメンバーにいるパーティーだったんですか!」
「はい、とある依頼でパーティーの半数が壊滅的な状況になって活動に支障が出来てしまったので解散しましたが。」
「あのパーティーが解散…ですか⁉」
「何があったんですか?」
「とある遺跡の調査で、魔神を封印している封印石が破壊されて魔神ディアボロスが放たれまして、それをメンバーで討伐は出来たのですが、リーダーのブランドンが半身が動かない状態になり、魔導士のマリアンが今後の活動に支障が出る大怪我を負って、自分は奴の呪いの攻撃で両足を破壊されました。」
「えっと…?先生は杖で歩いている様に見えますけど?」
「ここ迄なるのに結構掛かりましたね。完全に治る迄には年単位掛かると言われていますが…」
「先生の歩き方を見ると、重傷を負ったようには見えないのですが?」
「長時間無理をしなければ、普通に生活する分には問題ありませんよ。そうですねぇ…自分に挑んで来た君は…名前は何ていうのかな?勝負に勝ったので名前を教えてくれるとありがたいんだけど。」
「ラスといいます。ラス・イリューザーです。」
「ではラス君、僕の足はこんなですが…それでもこれ位の事は可能ですよ。」
教壇からラス君の背後に一瞬で移動した。
そして杖の先端をラス君の首に突き付けた。
「先程は君の炎攻撃に対して気持ちをへし折る為に魔法攻撃で応戦しましたが…こうして攻撃するのも可能だったんですよ。」
「移動したのが見えなかった…」
「ですが、自分はあくまでもサポーターですよ。メンバーの剣士なら一瞬で10人の首を落とせますからね。その辺が戦闘職とサポーターの違いです。」
ラス君から離れて杖を突きながらゆっくり教壇に戻って行った。
生徒達は静まり返っていた。
「さて、自分の指導に文句がある人はいつでも挑んで来て良いですからね。先生はそんな君達の挑戦をいつでもお待ちしておりますので。」
生徒達は首が捥げるのではないかと思う位に首を振っていた。
「さて、サポーターについての授業はここまでにして…今度は本格的な授業を開始致しますね。」
遂に始まるテルパの授業だが、はたしてどうなるのだろうか?
応援ありがとうございます!
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