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第五章 異世界召喚が8回目って…マジかコレ⁉︎

第七話 あまり会いたくなかった奴…子供レベルのw

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 翌朝…というか、昼過ぎに目が覚めた。
 本来なら眠りが浅く、熟睡はあまりしない俺だったが…?
 久々に…というか、この世界に来て初めてベッドで寝ていた所為か、熟睡をしてしまった。
 俺は起き上がってから、メイネアに挨拶をするとランドルフは既に家から出て仕事に就いていたのだった。
 信用してくれるのはありがたいが、自分の奥さんと2人きりにさせるのは不安では無いのか?
 そう思っていたが、彼らの子供達も家に居た。
 ラルフ12歳とネーア11歳の男の子と女の子だった。

 「おじさん、随分寝坊したんだな!」
 「おはようございます、おじさま!」
 「お…おじさん⁉」

 12歳位から見たら、20歳っておじさんになるのかな?
 心の中では17歳から変化していないと思っていたので、おじさんと呼ばれるとは思わなかった。
  
 「一応説明はしたんだけどね。」
 「いいよ、メイネア! 仕方がない…で、ランドルフは何処だ?」
 「今日は狩り組に参加していて、そろそろ出発するんだよ。」

 メイネアが答える前に、ラルフが答えた。
 ラルフも剣や弓を装備しているのだった。

 「ラルフも狩りに行くのか?」
 「オレもこの村の男だからな!」
 「そうか、なら俺も世話になった分は働くとするか。」

 俺はそう言いながら広場に集まっている狩り組の元に向かった。
 そこには、ランドルフと他に3人の村の男がいて、そこにラルフが加わって4人になっていた。
 
 「よぉ、遅いお目覚めだな!」
 「久々にベッドで寝たのでな、思ったより熟睡してしまったよ。」
 「おい!」
 「それで…今日は何を狩りに行くんだ?」
 「この付近にはグレートホーンというボアが出没するのでな、あまり成長していない奴を狙うつもりなんだ。」
 「おいって!」
 「どれくらいの大きさなんだ?」
 「大きいのになると小山程の大きさになるが、俺達が狙うのは俺達の背丈位のボアだ。」
 「コラ、無視するな!」
 「俺がいるから大型でも構わないぞ。 魔法で拘束している間に、お前等がトドメを刺してくれれば良いからな。」
 「だがサクヤはあの頃の強さはもうないって言っていなかったか?」
 「昨日夕飯に出たイノシシ…ボアは、俺が捕まえた奴だからな。」
 「あれは村全体に行き渡ったからな。 なるほど、サクヤに来て貰えると戦力になるな!」

 先程からちょいちょい声がするが、俺とランドルフは無視して話をしていた。
 すると、先程から怒鳴り声をあげていた奴が目の前に来て言った。

 「俺様を無視するとは良い度胸だな! お前はあの時に村に来た奴だろ?」
 「誰だ、お前?」
 「サクヤ、覚えていないか? お前がレイダリアンと共に村に来た時にやたらと絡んで来た奴の事を?」
 「いや、全く覚えてない。 いたっけ、そんな奴?」
 「お前にやたらと勝負を挑んできて、全て敗北させた奴なんだが…」
 「あーーーそういえば居たなぁそんな奴…確か名前は、出来損ないだったか?」
 「デコソイだ! 誰が出来損ないだ‼」
 
 第一世界の異世界召喚の時にこの村で世話になっていた時に、何かにつけて挑んで来た奴だった。
 俺が覚えていなかったのは、敗北を経験したことが一度も無くて記憶に残らなかったからだ。
 俺が一度でもコイツに敗北でもしていたら覚えていたかもしれないが…?

 「それで、何か用か出来損ない?」
 「デコソイだっつーの! 久々に俺様と勝負をしろ‼」
 「辞めておけ…負けて恥をかくだけだぞ!」
 「ふっ…そうやって余裕ぶっていられるのも今の内だ! 俺様はこの村で一番の狩人だからな‼」
 「そうなのか、ランドルフ?」
 「あぁ、それは本当の話だ。 村の中で一番狩りが上手い。」
 「なるほど…では精々頑張ってくれたまえ。」
 「その余裕がある態度…後悔させてやるからな!」

 俺達は村の外に出ると、早速狩場に向かって歩いて行った。
 しばらく歩いていると、複数の反応がある事を確認した。
 
 「そろそろ奴等の生息地だ。 慎重に進むぞ!」
 
 …というデコソイの言葉を無視して俺は1人で向かって行った。
 すると5匹位の大型のグレートホーンボアが一斉に襲って来た。
 ランドルフたちが助けに入ろうと俺の後ろに来ようとしたところを、俺は静止した。
 そしてグレートホーンボアに闇魔法のダークチェーンを放って、5匹を同時に拘束した。

 「今のうちに仕留めろ!」
 「「「おぅ!」」」

 ランドルフたちは動けないグレートホーンボアを片っ端からトドメを刺して行った。
 そしてデコソイが俺の所に来て言った。

 「な…中々やるじゃねぇか! だが、トドメを刺したのは俺様達でお前は1匹も仕留めていないぞ!」
 「俺は別に勝負をしていたつもりはなかったんだが?」
 「負け惜しみか! 今回の勝負は俺様の勝ちだがな!」
 「いや、だから…」

 これ以上、何か言うのは良そう。
 何か言う度に、デコソイが勝ち誇った顔をするからな。
 それに…拘束した敵を倒しただけで何故ここ迄勝ちを威張れるのだろうか?
 デコソイは子供の頃から性格が変わっていないんだな。
 
 「さて…他にも気配がするが?」
 「どの辺だ?」
 「この茂みの向こう側に…」

 考えてみれば、今まで仕留めた奴らは…俺たちより若干大きいというだけで、小山のように大きいかと言われるとそうでもない。
 …という事は、茂みの向こう側にいる奴はそのサイズの奴と思った方が良いのだろうな?
 なんて考えている内に、地面が揺れて音が近づいて来ている感じがした。
 すると茂みから、小山程の大きさのグレートホーンボアが姿を現した。
 皆は逃げる体制をしているが、俺は側面に移動してから小山程の大きさのグレートホーンボアの首を刎ねると、その背後にいる群れのボアも片っ端から首を落としていった。

 「これで当分の間は、食糧には困らないんじゃないか?」
 「おじさんスゲェな! ボアのヌシまで倒しちまった‼︎」
 「別にこの程度は何の自慢にもならないさ…」

 俺はデコソイを見ながら再び言った。

 「この程度の奴を倒した位で勝ち誇っている奴が居るみたいだが、本当に自慢にもならないからあまり広めないでくれよ、恥ずかしいからな!」
 「くっ………」

 俺はデコソイの挑発に関しては別に気にしてはいなかったが、あそこ迄何度も言われると腹が立ったので、こういう形で仕返しをしたのだった。
 後になって考えると、俺もずいぶん子供じみた事をしたものだと恥ずかしくなっていた。

 「とりあえずこのボアは、収納魔法に入れておくぞ。」
 「お前の空間魔法は、これだけの量が入るのか?」
 「最初の頃は大袋くらいなものしか入らなかったが、現在ではかなりの量が入るようになった。」
 「そうか、村に1人欲しいな。」

 俺は収納魔法にボアを収めて行くと、それから村に帰ってから広場に出した。
 すると、村中の男達がボアの皮を剥いでから、肉を切り分けて…女達がその肉を加工して行った。
 こうして村の保存食として保管されるのだった。

 「これで泊めてくれた恩は返せたか?」
 「十分だ! いつ迄も泊まって行って欲しい。」
 「ランドルフと久々に会えたから、いつまでも居たいがそうも言ってられないからな。」
 「帰るべき場所に帰る為か?」
 「向こうの世界で俺の事を…いや、もういいか。 だが、あれから何年経過したかも分からないしな。」

 俺は女達が加工しているところを見ていると、1人の少女に目が行った。
 その少女は…村の外で見かけた少女だった。

 「あれは…レイダリアンとサフラーの娘か。」

 俺は少女に近付いて行った…のだが、ランドルフに止められた。
 あの少女には何かがあるみたいだった。
 少女には何があるのだろうか?
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