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第五章 異世界召喚が8回目って…マジかコレ⁉︎

第八話 旧友の子供達

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 翌日俺は、前日にランドルフに止められたが、どうしても話をしてみたくなって少女に声を掛けようとした。
 だが、少女の前に来た少年によって遮られてしまった。

 「旅人さん、村の食料の提供や協力は大変助かりましたが、あまり妹に近付かないで戴けませんか?」
 「妹という事は、君もレイダリアンとサフラーの子供なのか?」
 「父さんと母さんを御存知なのですか?」
 「レイダリアンとサフラーから俺の事は聞いていないか。」
 「おじさんは両親とどういった知り合いなのですか?」
 「せめて…お兄さんと呼んで欲しいな。 俺は君くらいの年齢の時にこの世界に来て、魔王ハルセイアスを倒した四英雄の1人だ。」
 
 少年は俺を見て驚いた様な顔をしたが、すぐに質問をしてきた。

 「では、貴方が良く父が話していた異世界から来たサクヤという方ですか?」
 「あぁ、そうだ。 レイダリアンとサフラーは、俺がこの世界に来た時に最初に知り合った冒険者でな、色々とこの世界の事や生き抜く術などを教えてくれた先生だった。 そしてこの村を出る際に、当時冒険でこの村に駐留していた他の冒険者と共に旅立って行ったんだよ。 そこでレイダリアンとサフラーとは別れたけど、魔王ハルセイアスを倒した後は俺はすぐに元の世界に戻されて2人には会えなかったがな。」
 「両親は言っていました、あの頃に一緒に冒険していた少年が英雄と呼ばれる様になり、更には一緒に冒険していたなんて自慢出来るって。」
 
 俺の事をそんな風に子供に話してくれていたんだな。
 俺は凄く嬉しかった。

 「ところで少年…そういえば名前は?」
 「あ、失礼しました。 僕はダリアで妹はレイラです。」
 「昨日な、妹のレイラを見掛けたので声を掛けようとしたのだが、ランドルフに止められたんだが…何か理由があるのか?」
 「妹は喋れないんです。 両親が目の前で殺されるのを見てから、それ以来ショックで話す事が出来なくて。」
 「そうだったのか、なら迂闊に話し掛ける事は出来ないな。」
 「ですが、妹は両親に関する話は好きなので、話し掛けるというだけなら大丈夫です。」
 「じゃあ、レイダリアンとサフラーに出会ってから、この村に来るまでの話をしてやろうか。」
 「僕は良いです。 両親から大体話は聞いているので…」
 「どんな話を聞かされたんだ?」

 ダリアはレイダリアンから俺と出会った時の話をしてくれた。
 …が、その話はとても美化されている上に、俺の事をダメ人間的な話をしていた。

 「半分は当たっているが、もう半分は嘘っぱちだ! レイダリアンめ、子供に嘘を教えてんじゃねーよ!」
 「え? 違うのですか?」
 「あの野郎…俺の失敗した話はした癖に、自分の失敗した話は一切しなかったんだな! しかもレイダリアンの活躍の話は殆ど美化されているじゃねーか!」
 「事実は違うのですか?」
 「いや、合っている話もあるが…それ以外の失敗の話はしてないなと思ってな。 2人の墓はこの村にあるのか?」
 「はい、この村の高台にありますが…」
 「どうせなら2人の墓の前で話をしてやる。 もしかすると、レイラにも何かしらの効果が出るかもしれないしな。」
 「それはどういう意味ですか?」
 「俺は闇魔法を使えるという話は聞いているか?」
 「はい、最初は少し怪しかったので妹を近付けたくはないと思っていたのですが。」
 「俺の闇魔法の中に死者の魂の呼び出しという魔法がある。 あまり期待しないで欲しいのだが、もしかするとレイダリアンとサフラーを呼び出す事が出来るかもしれないのでな。」
 
 俺はダリアに連れられて、高台の墓に行った。
 すると、レイダリアンとサフラーの墓の前にレイラが居て祈りを捧げていた。
 ダリアはレイラに俺の事を紹介すると、レイラは喋る事が出来なかったがとても驚いていた。

 「まずは…魔法を試すが、俺が話をするのは後で良い。 いくぞ!」

 俺は死者の魂の呼び出す闇魔法のネクロマンシアを発動した。
 すると墓の中からレイダリアンとサフラーの魂を呼び出す事が出来た。
 ただその姿が死んだ時と一緒で時間は止まっていた。
 だが、2人はただそこにいるだけではなく、会話も可能だった。

 『お前達は…ダリアとレイラなのか⁉』
 「父さん! 母さん!」
 
 レイラも必死に声を掛けようとしていたが、喋れないので俯いていた。
 するとサフラーがレイラの前に来て、抱きしめるような仕草をした。
 ダリアはレイダリアンにレイラの現状を説明した。
 レイダリアンとサフラーは、凄く悲しそうな顔をしていた。

 『そうか、我等の死が切っ掛けで話せなくなってしまったのか。』
 『レイラも無理に話そうとしなくても良いのよ。 話せる様になったら自然に声が出る様になるから…』
 
 僕はレイラを見ていて不憫に思い、闇魔法の回復魔法を放ってみた。
 多少の変化は見られたが、話が出来る様な感じではなかった。

 「やっぱ駄目だったか…」
 『ところで、先程から気になっていたのだが…お前達の背後にいる者は誰だ?』
 「久しぶりだな、レイダリアン! 貴様…よくも自分の失敗談を俺の所為にして面白おかしく話してくれたな!」
 『お前…サクヤか⁉』
 『え? サクヤ君なの⁉』
 「俺はまたこの世界に来てな、何故か今回は闇魔法が使えたので、文句を言いにお前達を呼び出したんだよ。」
 『ま…まて、サクヤ何を話す気だ?』
 「レイダリアンの失敗談を全て暴露してやるんだよ、お前達の目の前でお前の子供達にな!」
 『や…やめろ! 父親としての我の威厳が無くなる!』
 「知った事か! そこで悔やんでいろ!」

 レイダリアンは大声で叫んでいるが、俺は気にせずに2人に話した。

 「まず、錯乱キノコを食べて斬り掛かって来たのはレイダリアンだ。 キノコは毒々しい色をしていなければ食べれる物が多いと言ってから、それを焼かずに生のままで食べて混乱してから剣を抜いて向かって来たんだよ。 俺はレイダリアンを転ばしてから、サフラーが拘束魔法で拘束してから穴の中に埋めて錯乱効果が無くなる迄の間、2日間くらい放置していたんだよ。」
 「父さん…聞いていた話と違う。」
 「その後に、このキノコは大丈夫だと言って別なキノコを食べたら、腹痛を起こして3日間寝たきりのままだった。」
 「それも…父さんの話だったの?」
 「他にもあるぞ! サフラーが水浴びしている所を覗きに行こうと言って向かっている時に、別の冒険者の女性達が水浴びしているのを覗き見してバレてボコボコにされた事とか…」
 「父さん…」
 『や、やめろサクヤ! それ以上話されると…』

 既にダリアとレイラのレイダリアンに向ける視線が冷たい物になっていた。
 サフラーは頭を押さえて呆れていた。

 「他にもダンジョンで、そこにはトラップがあるからと飛び越えた先で着地した場所が落とし穴になっていて落とそうになった事とか…」
 『我が悪かった! だから頼む、それ位で許してくれ‼』
 「俺に慈悲を求めるだけ無駄だ! 最後にレイダリアンの人生の最大の失敗の話をしてやる!」
 『まさか…あの話じゃねぇだろうな⁉ やめろ、それだけは本当に辞めてくれ‼』
 
 俺は後世に残るだろうというレイダリアンの最大の失敗の話をした。
 その話を聞いたダリアは、腹を抱えて笑っていた。
 そしてレイラもあまりにも可笑しかったのか、笑っていたのだが…たまに声を発していた。
 すると小さくなっていたレイダリアンが気付くと、レイラに声を掛けた。
 
 『レイラ?』
 「お…とう…さん?」
 『レイラ、話せる様になったの?』
 「おか…あさ…ん?」
 
 僕はレイラの喉元に手を当ててから、回復魔法を放った。
 するとレイラは、少しずつ声が出せる様になっていた。
 
 「どうやら実験は成功だったみたいだな!」
 「サクヤさん、実験って?」
 「ダリア、君はレイラが両親の死によって喋れなくなったと言っていただろ? それは、自分の責任で両親を死に追いやったという自責の念から言葉を封じた物だと判断したんだ。 なら、その両親に合わせればもしかしたら…そう思ってな。」
 「お兄ちゃん、私…話せるよ! 話せる様になったよ‼」
 「あぁ…あぁ!」

 ダリアはレイラを抱きしめた。
 レイダリアンとサフラーも、実体はない体で2人を抱きしめる仕草をした。

 「後は4人だけに…と思っていたが、俺のMPも残り少なくてな。 後話せてもせいぜい10分位だ。」
 『サクヤ、たったそれだけか⁉』
 『もっと子供達と話せないの⁉』
 「死んだお前達が話せるだけでも奇跡的の様な物なんだ。 無茶を言うな!」

 俺は地面に座ってから目を閉じて意識を集中した。
 2人を呼び出しておく時間を少しでも引き延ばす為にだ。
 そして4人は、残された時間の中で話をしてたのだった。
 時間が来ると、レイダリアンとサフラーはダリアとレイラに別れを告げると消えて行った。
 ダリアとレイラは名残惜しそうな顔をしていたが、死んだ者に会って話が出来ただけでも良かっただろう。
 俺はMPが尽きて、その場で横になった。
 そしてある程度の時間を寝て過ごし、目を覚ますとすっかり夜になっていた。
 ダリアとレイラの2人は俺が起きるまで待っていてくれたのだった。
 
 「おや、夜か!」
 「サクヤさん、この度はありがとうございました!」
 「お兄ちゃん、ありがとう!」
 「短い時間しかなかったが、話は出来たか?」
 「はい、色々話す事が出来ました。」
 「これもお兄ちゃんのお陰です。」
 「この魔法は1度きりしか使えないから、次にも呼び出してくれと言われなくて良かったよ。」
 「その話は母さんから聞きました。 死者の呼び出しは術者に大きな負担が掛かると言っていたので…」
 「それで、2人はこれからどうするんだ?」
 「僕は強くなりたい! そしてサクヤさんの旅に同行したいです!」
 「同行してくれるのは構わないが、足手纏いは…」
 「僕は少しでも強くなるために素振りを欠かした事がありませんから。」
 「レイラはどうする?」
 「私も母さんから魔法の才能があると言われたので、家の書庫にある魔導書で勉強をして旅に同行したいと思っています。」
 「なら、明日から1か月は特訓をしてやろう。 レイダリアン仕込みの特訓だから、泣いても文句を言うなよ。」
 「「はい!」」

 俺達3人は村に帰った。
 そしてランドルフは心配してくれたのか、ダリアとレイラと一緒にいる俺を見て声を掛けて来た。
 レイラが話せる様になったことを知ると、ランドルフは村中の者達を呼んでから宴会を始めるのだった。
 その宴会も夜中になる前に終了して、俺はやっと眠りに就く事が出来た。
 翌日、僕はこの兄妹に色々教え込むのだが?

 実はこの2人は、親譲りの才能の持ち主だという事が特訓中に判明するのだった。
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