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第五章 動き出す…?

第二十二話 悪夢?(恐れていた事が⁉︎)

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 ………決戦当日………

 八魔将ガルムの前に、ダンとクリアベール、勇者パーティの翔也と華奈、賢斗と飛鳥の6人で挑む事になった。
 あれから決戦の日まで、ガイウスとクリスとレイリアを説得出来なかった。
 決死の覚悟で僕達は戦いを挑んだ。

 「ベル、盾を展開! 翔也は雷光を!」
 
 クリアベールはガルムの前方に無属性の盾を展開して、翔也の雷光をガルムに放ったが…ガルムは難なく躱し、炎のブレスで翔也は黒焦げになった。
 僕と華奈は、翔也に回復魔法を掛けたが、翔也は重度の火傷で動けなかった。
 賢斗は、時間を稼ごうと…あらゆる属性の矢を放ったが、ガルムはそれを全て躱して笑みを浮かべていた。

 「皆の力を! 聖女の戦歌!」

 華奈の聖女の歌で、皆のステータスがアップされて動きが倍以上速くなった…が、それでもガルムの速度には追い付けなかった。
 接近した所を見計らって飛鳥が斬撃を入れるが、其れすらも避けられた。
 僕は闇鎖で動きを止めようとしたが、闇と炎の属性を持つガルムには効果が無く、闇鎖はモヤとなって消えていった。 
 クリアベールと一緒にハンドレットランスを放つも、それ等を全て躱す速度は脅威だった。
 翔也を見ると、まだ復活をしていない。
 賢斗も必死に魔法を放っているが、全てを躱されていた。
 ガルムは呆れた表情で僕等に言い放った。

 『仲間がいてこの程度か? つまらん…』

 そういうと、雄叫びを上げて体全体が真っ赤に燃え上がった。
 ガルムは狙いをつけて笑うと、その者に突っ込んで行った。
 最初の標的は飛鳥だった。
 だが、賢斗が飛鳥の前に立ち…マジックシールドを展開したが、ガルムの火力の方が優っていて飛鳥と賢斗は炎に包まれた。
 死んではいないみたいだが、瀕死の重傷を負っていた。
 次にガルムは、華奈に狙いを定めた。
 華奈は戦歌で無防備だった。

 「華奈!」

 まだ完治していない翔也が立ち上がり、ガルムに立ち向かったのだが…
 翔也も華奈も飛鳥と賢斗と同じ様に瀕死の重傷を負った。
 次は僕等に狙いをつけた。

 「ベル…此処から逃げろ! お前だけでもな…」
 『ほぉ…英雄ダンよ、その女は貴様の大事な女か?』

 ガルムはイヤらしい笑みを浮かべると、クリアベールに狙いを定めた。
 僕はクリアベールの前に飛び出そうとしたが、それより早くガルムは動き…
 クリアベールを牙で引き裂いた。
 僕は回復魔法を使ったが、クリアベールの傷が深すぎて回復魔法が効果が無かった。

 「し…しょ…う…」

 その言葉がクリアベールの最後の言葉だった。
 僕はすぐさま【覚醒】を使い、リザレクションを展開した。
 翔也達の傷は癒えたが、クリアベールは…
 僕はクリアベールにキスをして、ガルムを睨み付けた。

 「もう…許さないぞ!!!」

 僕は獣化でフェンリルに変身すると、ガルムに突進して行った。
 覚醒と獣化でもガルムを捕らえるには、速さが足りなかった。
 僕は慱に禁止されていた、【バーン・ザ・ソウル】を使った。
 最愛のクリアベールが死んだ今、生きていても仕方がないからだ…
 覚醒に獣化とバーン・ザ・ソウルは、確かに凄まじい能力を授けてくれた。
 僕はガルムの首を喰いちぎると、吐き捨ててから獣化を解いてクリアベールの元に行った。
  
 「ベル…仇は…」

 僕は大量の血を吐いて、ベルに重なる様に息絶えた。
 そして…僕とクリアベールの亡骸はカイナンの街に運ばれて…
 ガイウスとレイリアとクリスは、変わり果てた僕とクリアベールを見た。
 そして戦いは終わり、運ばれて来た僕達の遺体を見たガイウス達は…?
 ガイウスとクリス、レイリアは冷たくなったダンとクリアベールの遺体を見て泣き出した。
 変な意地を張って戦いに参加しない事を後悔した。
 ガイウスは、親友を見殺しにした事に悔み、クリスは仲間を守るという誓いを果たせなかった事を悔やんだ。
 レイリアは、意地を張っていた所為で友達と思い人を亡くして沈んでいた。
 そこで、3人は目を覚ました。

 「夢…だったのか⁉」

 ガイウスは涙を流していた。
 レイリアもクリスも同じ様に涙を流した後があった。
 このままつまらない事で戦いを拒否していたら、夢と同じ事が起きると焦りだした3人は、部屋で寝ているダンを叩き起こした。

 「ダン、済まなかった!」
 「いきなりどうした? というか、僕も言い過ぎた部分もぐぅ~…」
 「寝るにゃ! あちき達がつまらない意地を張っていた所為で、ダンが死ぬ夢をみたにゃ!」
 「縁起でもない夢を見るなよ…」
 「私も大人げなかったわ…ダンの事が好きだったのにベルに先を越されたと思って…一緒にいるから気持ちが伝わっていたのだと勝手に思っていたの。 ごめんなさい!」

 皆が折れてくれた事は嬉しいが…
 その切っ掛けが、僕が死ぬ所だなんて…なんて不吉な夢を見るんだ⁉
 でも、これで…八魔将と戦える!
 これは喜ばしい事だと思った。
 それにしても、3人共同じ夢を見ていて僕が死ぬとか…まさかフラグじゃないだろうな?
 
 「とりあえず3人共、まずは皆に…どうこうする前にまずは寝ろ! そして翌朝に皆に迷惑を掛けた事を謝罪してから、準備に取り掛かろうと思う。 手伝ってくれよ、仕込みが多いからね。」

 3人は頷くと、まずはベッドに戻って寝る事にした。
 翌日、3人はそれぞれに迷惑を掛けた人物たちに謝罪を入れると、全員で戦法について話し合った。
 
 「では、以前話した通りに…盾役がクリスとベル。 次に回復を華奈とレイリア、攻撃が僕と翔也とガイウスと賢斗とクライシスで行く!」
 「盾役にベルで大丈夫なのか?」
 「その疑問はもっともだけど、無属性の盾の威力が以前とは桁違いに成長しているので盾役にしたんだ。」
 「はい、師匠に鍛えられました!」
 「今のベルの無属性魔法の能力は、僕と同等かそれ以上だと思ってくれていい。」
 
 皆の視線がクリアベールに注がれた。
 クリアベールは恥ずかしそうに顔を赤くしていた。
 
 「盾役も回復も問題はないのだが、一番問題なのは攻撃が当たるかどうかなんだ! 正直に言うと、あいつの速度は桁違いに速い。」
 「では、魔法主体の攻撃方法に?」
 「いや、武器でも当てれる様に策は練ってある。 華奈、アレは用意出来ているかな?」
 「一応、言われた量は用意出来たけど…」

 僕は華奈から受け取った玉を見た。
 確かに言った通りの量は用意出来ているけど、まだ少し足りなかった。

 「華奈、もう少し大きな物を用意しておいて!」
 「皆の分はどうするの?」
 「皆の分は僕が用意する。 ステータスアップの料理を考えているので、それを作るから…華奈はそっちをお願いね。」
 「うん、解った!」

 これで半分は仕込みが完了した。
 そして残り半分は…?

 「賢斗、お前の錬金術の力を借りたい!」
 「ん? 何を作れば良いんだ?」

 僕は賢斗に耳打ちをした。
 賢斗は内容を聞くと、少し考え込んだが…早速取り掛かると言ってくれた。
 僕は空の球体を少量渡すと、賢斗はクライシスと部屋を出て行った。

 「何をしていた…と聞くのが少し怖いな。」
 「大丈夫だよ翔也、僕等には問題なくても相手には毒だからw」

 闇の魔物に毒は効かない。
 でも、犬になら効果がある物を作って貰いに行った。
 そして僕も仕込みをする事にした。

 「残りのメンバーは、草原で想定した訓練を行っておいて。 指示は僕がするけど、他に翔也も指示出来るようにしておいて!」
 「わかった!」

 そういうと、僕と華奈以外のメンバーは部屋を出て行った。
 華奈も料理の仕込みの為に部屋を出て行った。

 決戦まで残り3日…
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