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幻想師蜻蛉の麗しき怪盗――明治時渡恋譚――
明治三十五年の東京府。華蝶子爵家の長男・瑞翠(みすい)は、家を支える「吉兆の巫女」として女装を強いられ、屋敷に幽閉されていた。他人の幻想を固定して真実へと書き換える能力を持つ彼は、強欲な父と、冷酷な呪禁師・鬼曇(きずみ)によって、偽りの予言を売る道具として心を殺して生きていた。
そんな瑞翠の前に現れたのは、燕尾服を纏った不敵な男――「怪盗蜻蛉」を名乗る令和の幻想師・風早朔良(かざはやさくら)だった。朔良は鬼曇に盗まれた風早家の家宝「時渡りの羅針盤」を取り戻すべく、そして瑞翠自身を「盗み出す」ために現れたのだ。瑞翠は朔良の手を取り、百二十年の時を超えて令和の日本へと降り立つ。
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