THE NEW GATE

風波しのぎ

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2巻

2-2

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 1級や2級と比べると部位欠損の回復速度はかなり遅いので、戦闘中はただの回復薬ポーションでしかないが、戦闘後に使う分には申し分ない効果があった。
 ちなみに1級回復薬ポーション・ワン1級魔術薬エーテル・ワンにいくつかのアイテムを加えて合成すると、万能回復薬エリクサーとなる。
 最低でも2級クラスの品しか使っていなかったシンには、4級の材料が高額と言われてもいまいちピンと来ない。

「もしや、4級以上の回復薬ポーションをお持ちで?」
「……話に聞いたことがあるだけですよ」

 一瞬、何かいやな予感がしたので誤魔化ごまかしておく。実際は3級どころか最高の万能薬エリクサーだって持っているが、ここで言う必要はないだろう。
 あからさまに疑いの目を向けてくる女性に買い取りを頼み、受け取った金を手早くしまうと、シンはそそくさとその場を後にした。
 白金貨では使い勝手が悪いので、金貨と銀貨に両替してもらっている。

「依頼を完遂かんすいしてないのにこの収入。なんだろな、この展開」

 森の中を長時間さまよった自分が少しばかり馬鹿らしくなってしまう。しかも、結局依頼は未達成のままなのだ。

「てかユズハ。あんなのよく見つけたな」
「クゥー! クークー」
「ほめてほめて!」と胸を張るユズハ。シンの頭の後ろでは、尻尾がばっさばっさと揺れている。
 そんなユズハの頭をでつつ、ホールに戻る。
 やや沈んだ気持ちはユズハを撫でていると薄れていった。嬉しそうに顔を手にこすりつけてくるユズハを見ていると、気落ちしているのが馬鹿らしくなる。
 考えるのをやめ、シンは依頼書が張ってある掲示板に目を向けた。
 ヒルク草の依頼を受けたときはGランクの依頼書しか見ていなかったが、現在のランクでは受けられない高額の依頼にも目を通していく。
 すると、メインの掲示板の横に隠れるように存在する別の掲示板を見つけた。
 大きさは縦横30セメルほどで、張ってある依頼書も手作り感あふれる仕様だ。横にある掲示板とは比べ物にならない。
 少し気になったシンは、乱雑に張られていた依頼書に適当に目を通していく。するとその中に、気になる単語が交じった依頼書を発見。手に取ってしっかりと内容に目を通す。


 ――スキル継承者の方にお願いしたいことがあります。
 ――依頼を受けてくださる方は西区教会横の孤児院までご連絡ください。
 ――報酬は応相談。


 内容を見て、シンはそれがランク適用外の依頼書だと気づいた。
 それらは訳ありの者たちが使う掲示板に張られ、貧しい子どもからの依頼や犯罪に関わる仕事まであるらしい。
 なぜそんな掲示板を設置しているのかとシリカに聞いたところ、「どんな方でも依頼するのは自由ですから」という答えが返ってきた。

「怪しい依頼ばかりって感じだな……あのうわさもあながち間違いじゃない、か?」

 シンは聞き耳スキルで収集した情報の1つを、記憶から呼び起こす。
 あくまで噂の域を出ないが、少々気になる内容だった。
 それはギルド同士のつながり――とくに世間に受け入れられている冒険者ギルドや商人ギルドのような表ギルドと、暗殺や誘拐ゆうかいなどの犯罪をう裏ギルドとの関係について。
 何でも、横暴な依頼人や無理難題を押しつけてくる貴族などの粛清しゅくせいを裏ギルドが行う代わりに、表ギルドは裏ギルドの犯罪に目をつむっているという。
 真実かどうかは不明だが、があったとしてもおかしくはない。

「にしても、孤児院か。確かミリーがいるのも孤児院だったな」

 先日、別れ際にヴィルヘルムの言っていたことを思い出す。
 ユズハと出会うきっかけをもたらした少女と関わりがあるかもしれないと思うと、放置するのは後味が悪い。

「……行くだけ行ってみるか」

 もともとミリーには会いに行くつもりだったので、そのついでに依頼の内容だけでも聞いてみようと、孤児院へ向かうことにした。


 セリカに孤児院までの道を聞き、歩くこと数十分。シンは教会の前にいた。
 教会と聞くと、礼拝堂れいはいどうにステンドグラスという組み合わせを思い浮かべてしまうシンだが、まさしく想像したままの造りだった。
 大きく開け放たれた扉の奥には、参拝者の座る長椅子と輝くステンドグラスが見えた。
 ちょうどステンドグラスの向こう側に太陽が来ているのだろう。少し薄暗い礼拝堂に色鮮やかな光が差し、実に神秘的である。
 室内にいるのは参拝者を除けばシスターが2人。牧師や神父などの姿は見えない。

(内装に多少の違いはあるが、まさに建築スキルの『教会』そのままだな)

 周囲を見渡しながらそんなことを考える。建築スキルは名前の通り、建物を建築するのに必要なスキルで、レベルが上がるほど大規模かつ細かな内装や設計まで可能になる。
 六天の奇術師兼建築家であるカインに付き合わされた影響で、シンも建築スキルのレベルはⅥまで成長している。そのおかげで、建物について多少の良し悪しはわかる。
 この教会は、内装は古いがどこも丁寧ていねいに手入れされていた。それだけでも管理する者の人格が知れるというものだ。

「どうかなさいましたか?」

 入口のすぐ近くで教会内を観察していたシンを見て、シスターの1人が話しかけてきた。
 黒眼で茶色の髪をシニョンにした妙齢みょうれいの女性だ。

「ん? あ、すいません。こういうところに来るのは初めてなもので」

 教会に来たにもかかわらず、祈るわけでもなく入口で突っ立っているだけというのはなかなかに不審だ。それでもシスターの口調からは、シンを警戒しているような響きはなかった。
 教会には用がないので、ここからでは見当たらない孤児院について尋ねてみることにした。

「孤児院に用事があってきたんですけど」
「ギルドで依頼書を見てくださった方ですか!」

 少々大げさな驚き方をするシスター。
 あの掲示板に張られた依頼を受ける者が滅多にいないがゆえの驚きなのか、そもそも受けてもらえると思っていなかったのか、シンが逆にびっくりするほどの反応だ。

「ええと、とりあえず話だけでも聞こうかな、と。あと、この孤児院にミリーって獣人の女の子がいませんか? この子狐……ユズハのことでちょっと確認がしたいんですけど」

 そう言って頭上のユズハを指差すシン。シスターは今になってユズハに気づいたのか目を丸くしたが、すぐにシンに向き直り、少し警戒したような目つきで言葉を返した。

「あの子が何か?」
「昨日会ったときにちょっと気になることを言われたんです。それで依頼ついでに調べたら、ユズハがいたんです」

 シスターの態度から、ミリーにはやはり何か特殊な事情があるのか? と思いつつ、シンは周囲に聞こえないように声をひそめる。

「……わかりました。どうぞこちらへ。シスターラシア、ここは頼みましたよ」

 なぜかシンを警戒していたシスターはわずかに思案した後、もう1人のシスターにその場を任せ、シンについてくるようにうながした。
 シスターは一旦いったん外に出ると、教会の裏手に回る。
 そこには1軒の古びた建物があった。アパートを彷彿ほうふつさせるその建物は所々に補修した跡があるが、あまりみすぼらしい印象は受けなかった。ここが孤児院のようだ。
 中に入ると応接室とおぼしき場所に通される。

「ミリーを呼んできますのでこちらでお待ちください」

 シンがソファーに腰かけ室内を眺めていると、すぐにシスターがミリーを連れてきた。

「……シンにぃだ」

 シスターの後ろに隠れていたミリーは、ソファーに座っているのがシンだとわかると、トトトッと駆け寄りシンの横に腰かけた。

「……どうやら本当に悪い人ではないようですね」

 微笑んだシスターもシンの正面に置かれたソファーに腰を下ろす。

「急に優しい目で見られても困るんですけど……」
「ふふっ、すいません。ミリーがこんなになつく人は久しぶりなんです」
「ヴィルヘルムも言ってましたね。あ、俺はシン。冒険者をしてます」
「このたびはミリーの頼み事を聞いていただいたようで、本当にありがとうございます。私はトリア・スリアスと申します。教会のシスターで、孤児院の管理を任されています」

 どうやらこのシスターが責任者だったようだ。

「今日はちょっと確認したいことがあって来ました……なあミリー、昨日言ってた『きつねさん』ってこいつで合ってるか?」
「うん、あってる。ありがとう」

 お礼のつもりなのか、ミリーはギュッと抱きついてきた。

「どういたしまして。ユズハもお礼言っとけよ。お前を助けられたのはミリーのおかげだ」
「クゥ!」

 ミリーの頭を撫でながらも、シンはユズハに礼を言わせるのを忘れない。実際、ミリーの言葉がなければユズハがどうなっていたかわからないのだ。


 床に下りて頭を下げるユズハと、それに応じるミリーを確認してから、シンはシスターのほうへ顔を向ける。
 微笑みを浮かべながらミリーとユズハのやり取りを見守っていたシスターも、それに合わせて姿勢を正した。

「確認したいことはもう1つあります。ギルドに出ていた依頼書のことです。詳しく聞かせてもらってもいいですか?」
「はい。シンさんは信頼できる方のようですから」

 真剣な顔でうなずくトリア。やはりランク適用外の依頼というだけあって、何かあるようだ。

「あの依頼書を読んできてくださったということは、シンさんもスキル継承者けいしょうしゃなのですよね」
「まあ、そうなりますね」

 厳密には違うのだが、そういうことにしておいたほうが話がややこしくならないと判断した。
 シンがティエラから聞いたところによると、スキルを持っているだけで優遇され、その継承にはかなりの労力なり金銭なりが必要となるそうだ。
 スキルの劣化版れっかばんとしてアーツというのもあるらしいが、シンはまだ見たことがない。

「とあるスキルの継承者を探してほしいのです。加えて……図々ずうずうしいとは思いますが、できることならそのスキルを伝授していただきたい」

 シスターがそこまでして必要なスキルということで、いくつかの候補がシンの脳裏のうりに浮かぶ。

「……やはり【ヒール】【キュア】系統あたりですか?」
「いえ、違います。今回は少し事情が異なりまして」
「事情、ですか」

 回復職にとっては基礎中の基礎のスキルなので、そのくらいなら教えてもいいか? と考えていたシンだが、どうも違うらしい。
 他にシンが思いつくのは蘇生そせい光属性ひかりぞくせいの魔術スキルだが、さすがにおいそれと教えられるものではない気がする。

「で、結局トリアさんが探しているスキルって何なんですか?」
「――か、です」
「すいません、よく聞こえなかったんですけど」
「【浄化じょうか】です」

 ご存じないですよね、とどこか諦めがちらつくトリア。

「ああ【浄化】ですか」
「無茶だということはわかっているのですが……」
「ああ、あれ面倒ですからね」
「ええ面倒で………………えっ?」

 シンの発言から数秒。そこで初めて、トリアはシンの反応がおかしいことに気づいたらしい。

「あの……今なんと?」
「いや、面倒ですね、と」

 は? という顔をしながら言葉を絞り出したトリアとは対照的に、何とも気の抜けた返事をするシン。先日どこかで見たような光景である。

「あの、どうすれば身につくのか、知っているのですか?」
「はい、知ってます」
「……依頼を、受けていただけるのですか?」
「それはそちら次第です」

 その言葉を合図にシンは表情を真剣なものに変える。
 能天気な口調でしゃべっていたシンだが、頭の中では冷静に情報を分析していた。
 ミリーのことが何かわかるかと思ったのだが、それについてはかけらも情報が入ってこない。代わりに孤児院の悩みを知ることになった。
 それが【浄化】スキルについてなのは予想外だったが、あえて詳しい素振そぶりだけを見せた。
 いくらこの世界のことについて知識がとぼしいとはいえ、初対面の相手に、自身が【浄化】を使えるとペラペラ話すほど間抜けではない。

報酬ほうしゅうについては検討の時間をいただきたいのですが」
「いえ、金銭的なものはけっこうです。その代わり、いくつか条件があります」

 途端にトリアの表情が強張こわばる。まるで次にシンが発する言葉がわかっているかのように。

「条件、ですか?」
「はい。まず1つ、ミリーの力について教えてください。2つ、あなた方が教会内で得た情報を俺に提供してください。期限はこの先、1年間です。3つ、依頼を受けたのが俺だと明かさないでください。それがたとえ教会のトップからの問いだったとしても。俺のことは奉仕活動をしに来た冒険者とでも言っといてください」

 教会というのは老若男女、さまざまな人が集まる場所だ。神の前ゆえに出てくる裏情報というのもあるかもしれない。トリアは善人のようなので、そういった話にはうとそうだが……。
 それより本命はミリーの見せた力のことだ。
 未来予知や危機察知のようなものではないか、とごく自然に考えてしまうのはシンがゲーマーだからか。現実の地球なら一笑にされる考えだろう。

「これらが俺の希望する報酬です」

 一方、問われたトリアはどうするべきか迷っているようだった。
 シンがスキルについて無知だったのなら話によっては同情し、多少の報酬と引き換えにやり方くらいは教えた可能性もある。だが、安易あんいに教えるデメリットをティエラから聞いているシンが、それなりの報酬を要求するのは当然だ。
 トリアにしてみれば、いきなり現れた素性もわからない人物にミリーの力を明かすというのは多大なリスクをともなう。シンがこの話を言いふらさないという確証もない。
 加えて、教会のトップにさえ逆らえと言われているのだ。いくら【浄化】スキルと引き換えとはいえ、条件は厳しいだろう。
 おまけに本当にシンが【浄化】の取得方法を知っているという証拠もない。
 未来を予知できる能力など権力者や欲の強い者に知られればミリーの身が危険にさらされる。軽々しく承諾しょうだくできるはずもなかった。
 返事を待つシンと口をつぐんだトリア。
 応接室を沈黙が満たす。

「……だいじょうぶだよ」

 そんな緊迫した空気を断つように、ミリーが口を開いた。
 だいじょうぶ。
 そう口にしたミリーはまっすぐにトリアを見つめる。その瞳は、とても幼い子どものものとは思えない、神秘的な輝きを宿していた。

「ミリー?」
「シンにぃなら、だいじょうぶ」
「…………」

 思案するように沈黙をたもっていたトリアは、ミリーの様子に感じるものがあったのか、意を決したように小さくうなずいた。

「わかりました。その条件でお願いします。ですが私たちは素人です。何か情報を探れと言われても、お役に立てるかどうかは」
「教会に来た人が、何か気になることを言っていたら教えてくれる程度で大丈夫です。俺としてはミリーの力の正体のほうが重要ですし」

 情報屋の真似ごとなど、下手にやらせるほうが危険だ。

「……ミリーは生まれつき『星詠ほしよみ』の称号ギフトを持っているのです。この子の話では、唐突とうとつに普通とは別の景色が見えるのだと言っていました。実際これまで、ミリーの言ったことで外れたものはありません。シンさんに頼み事をしたのも、その力で何かを見たからだと思います」
「『星詠み』? ミリーにそんな力が……」
「はい……何か知ってらっしゃるのですか? 私はこの称号ギフトについてほとんど知らないのです。称号ギフト持ちはスキル継承者より少ないですし、能力を公開することもほとんどありませんから。私が今話したことも、ミリーから聞いたことですし」

 ふむ……とシンは考え込む。
 もともと『星詠み』は、クエストを受けたときに簡単なヒントを得られる称号ギフトだったはず。
 シンも持っているのだが、ミリーのような力はまったく発現していない。発現に何か条件でもあるのかもしれないが、何も思いつかなかった。
 ただ間違いなく、シンの知る【THE NEW GATE】にはあらざる力だったと言えよう。もしかすると、元の世界に戻る手掛かりになるかもしれない。

(メッセージカードのようなアイテムだけでなく、称号ギフトにまで変化がある、か。それがわかっただけでも無駄ではなかったが、任意で発動できない称号ギフトは確認が取りづらいんだよな。確かに『星詠み』の効果は未来予知って言えなくもないが……)

 称号ギフトは任意発動型と常時発動型がある。『星詠み』はクエスト発生時に効果を発動するか選択するという、2つの中間のようなタイプだった。
 それよりも――。

「ミリーがそんな力を持ってるなんて知られたら、誘拐ゆうかい拉致らち監禁かんきん……物騒なことを考える連中が出てきそうですね。その辺どうなんです?」

 ふと剣呑けんのんな考えが浮かんでくる。あくまでシンの口調が軽いのは、これまでの経験ゆえだ。
 ちなみにこのときばかりはミリーの耳をしっかりふさいで会話していた。

「軽々しく言わないように関係者に伝えていますから、そう簡単には広まらないと思います。ここを出た後冒険者になった人たちが協力してくれていますし」
「ヴィルヘルムですか?」
「はい。他にもいますが、もっとも役に立ってくれているのは彼でしょう。彼の実力を恐れて、子どもたちに手を出す人はほとんどいなくなりましたし」

 冒険者には恐れられているヴィルヘルムだが、シンが思った通り悪い人間ではないらしい。良くも悪くも名を上げることで孤児院を守っている。
 ヴィルヘルムにうらみを抱く者が孤児院を標的にする可能性もあるが、そこは他の冒険者がなんとかしているのだろう。1人でできることなどそう多くはないのだから。

「では、先に報酬ももらったので正式に依頼を受けたいと思います。【浄化】を取得するのはトリアさんでいいんですか?」
「いえ、それは私ではなく、ラシアにお願いしたいと思っています。教会にもう1人シスターがいたでしょう? あの子に伝授してあげてください」
「そうなんですか? てっきりトリアさんだと思ってましたが」
「あの子はここで務めていた神父の孫なんです。教会の跡を継ぐのは、世襲せしゅうのほうが段取りがスムーズに進みますから」

 どうやら【浄化】以外でも何か事情があるようだ。複雑な展開になりそうだな……と、シンはユズハを撫でながら苦笑いを浮かべた。


         †


 細かい話し合いは当人をまじえて行いたいというトリアの提案を受けて、シンは教会が閉まるまで孤児院で待つことになった。仕事を放っておくわけにはいかないことは理解できたので、子どもたちの相手でもしていようかと思ったのだ。

「きつね!?」
「きつねさんだ!」
「だかせて!」
「おれがだく!」
「わたしよ!」
「クゥ~……」

 孤児院の子どもたちはユズハに興味津々だ。おもちゃにされているユズハには悪いが、今回は我慢するように頼んでいる。折りを見て助けに入るつもりだ。
 それとは対照的に、彼らはシンにまったく近づいてこない。シンのそばにいるのはミリーだけだ。

「わかってはいたが、なんだこの敗北感……」
「……がんばって?」

 ミリーのなぐさめが心にしみる。

「……まあ、突然来た奴になつけってのも無理な話か」

 子どもは警戒心が強い。いくらトリアが紹介したといっても、すぐに信用することはしないだろう。親兄弟をくしている孤児ならなおさらだ。

「ミリーはユズハのところに行かなくていいのか?」
「まける」
「負けるのか」
「うん」
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